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27章 雨乞いを
話すべきは
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そして、戦と武技から神々としての都合と言うべきものがやはり少し語られる。それに関しては、どうにも苦々し気にするあたり、現状与えられた役割、捕らわれている仕組み、それの逸脱一歩手前どころの話ではないのだろう。
要は、この柱の剣に今は輝きが灯っているからこそ、話せるようになった内容だとそう呼んでも良い物が。
「我らは、座を持つからこそ座に縛られる」
曰く、それこそが仕組みでもあるのだと。超常の力を振るう、その権利を確かにこの世界で有するからこそ、伴う義務が存在しているのだと。
「その方らを選んだのは、間違いなく我が姉だ」
「ええ、以前、そのように」
確かに、その時にこの柱はいなかった。改めて口に出すと言う事は、つまりあの場の情報は神々の間でも共有が為されぬとそう言う事であるらしい。確かに、ぎりぎりだと、そんな言葉を確かに言っていた。そのあたり、言われてオユキが思い出してみれば、要はそれこそが思考としてと言う事なのだろう。
「成程、既に聞いたか」
「はい。過日に」
「で、あれば話は早い。先にも言ったように、一部の異邦人は我らの中でも取り合う事となる。そして、その結果は何であれ、こちらに来た時にはやはりその者の存在が最も近い座、そこに依るのだ」
つまりは、選んだからこそ権限を振るえることがあるらしい。オユキとしては、理解はそこまで。その先に、選んだ柱がどのような権限を振るえるのか、それについては流石に理解が及ぶようなものではない。考えたい、そのような話ですらない。
「確かに、結末としては望まぬものではあろう」
「ええ、そうでしょうとも」
ただ、それができると言うのならば。
「生憎と、それを我が許す事は無い。力は確かに劣る。あの姉にはとてもではないが、勝てぬ」
だが、それでも許さぬことは許さぬと。そう戦と武技が改めて語る。どうにも、このあたりの話に関してはカルラに聞かせるつもりがないようで、何やらしっかりと動きが止まっている。このあたりは、さて、いよいよ異なる理屈に依る物なのであろうが、それでもこうした空間であれば。戦と武技の座に近いこの空間であれば、間違いなく振るえる力があると言う事らしい。
「我の力が及ぶ限りは、確かな守りがあるのだとそう知るが良い。まぁ、こうしてその方に不可ばかりかけはするのだがな」
「そこは、流石にもう諦めもついていますので」
散々にマナを徴収される、それについては言葉通り。身分の保証という、この世界で最も困難な部分を随分と行ってもらえているのだ。それこそ、ミリアムがプレイヤーとしてのトモエを見た事がある、記憶にあるなどと言ってはいたのだが、それにしても不足は実に多い事だろう。今、この世界にはその時代を知っているものなど間違いなく数えるほどだ。そして、公爵と言う立場を追い落とされた者でもある。ならば、その人物の発言は多少は聞くことこそあれ、確実な保障とは到底言える物でも無い。事実、神国に二度は戻ったはずのミリアムが、未だにこちらに残された者達、その人物たちの確認もおぼついていないのだから。
「要は、それだな」
「ああ、そういう事ですか」
そして、つらつらと思考が脳裏をめぐるオユキに対して、戦と武技から。
「我が姉たちが、要はあの者たちの存在を保証しようとな」
「それこそ、司祭の位を持つ方に頼めば」
「神が望まぬ、それでその方らはやはり奇跡は使えぬ」
「そういう事ですか」
オユキの思いつくこと、それは容赦なく封じられている。いや、ミリアムにしても、それを始まりの町の教会で、あの創造神の分霊に確認したことだろう。そこで、今こうして戦と武技が語ったことと同じ結果を得たと言う事であるらしい。通りで、始まりの町から戻って暫くは、また不機嫌な様子を隠しもしないものだと。
「全く、こちらが確かにそうしている分は」
「その方がそうあるのだと、理解して振る舞っているのだ我が姉は」
「仕方ありません」
そう、本当にどうにもならない。
「ええ、こちらに改めて読んで頂いた、生前に楽しんで、楽しんだ世界にもう一度機会を頂けた」
そう、その分くらいは、オユキもどうにかしてくれようとそうは考えるのだ。そして、そうした物が積もっていくさまを、月と安息は良しとする。戦と武技は、良しとしない。特に、そのあたり本当に好んでいる相手、その差という物が存在しているのだろう。オユキに近いのは、確かに月と安息なのだろう。しかし、戦と武技、こちらが近いのはオユキではない。トモエだ。
だからこそ、トモエが許さぬことをこの柱は許すことがない。オユキが受け入れる事だとしても、それを実際に望んでいないのだと神々が顕現するために支払うマナだけではすまぬ、そんな降り積もる物を見過ごさない。
だが、やはり人の歩み、それを保証する以上はオユキが受け入れてしまえば、それ以上は無い。それが当然とばかりに、オユキが既に決めたのだとしてしまえば、カルラのほうもやはり動き出す。
「ええ、良いでしょう。貴女が望むと、望まぬと。クレリー家、こちらは私のほうでどうにかしましょう」
方法は確かにある。そして、必要な人手、神国としての明確な利益。それらも今回の試しが終われば、やはり用意ができる。一度は移動してきた者達、それらをまた取りまとめて送り出す。そこでまたひと悶着はあるのだろうが、それこそ任せることが出来る先は多い。
「方策は、そうですね。今回の雨乞い、それを神国でも行うとき、それをクレリー家の領地で行いましょう」
「当家の領、ですか」
「領都は、王都からあまり離れぬ位置に作らねばならぬと聞いています。その功績をもって、水と癒しが好む祭りを行った、その結果として王都と領都、まずはここに水路を」
カルラは、先ほどまでの戦と武技とオユキの話し合いを聞いていない。何故突然オユキが態度を変えたのかと、なにやら目を白黒させてはいるのだが、オユキとしてはもはやそれに構うつもりはない。成程、実に月と安息らしいやり口だと、そう思えるからこそもはや、そこにためらいが無い。
オユキとトモエ、この二人の決定事項。それを翻すだけの物を用意すると言うのであれば、つまりは今回と同じだけの事をして見せろと、そう示すのだ。
問題がある。はっきりと、今もトモエもオユキも抱えている。それらの全てを、果たして本当に取り除くことが出来るのか。ただ、それをこそ問うてくれようと。
「そこから先は、大いに環境も変わるでしょう。確か、以前に得た情報では特産と呼べるものが無いと言う事でしたが、王都に不足している物はやはり多いのです」
人が増えた。ならば労働力も増えたとみることもできるのだが、やはり早々容易くそのような計算が成立するものではない。要は、これから先、始まりの町で今も巻き起ころうとしているものが王都でも起きる。人が暮らすためには、燃料が、魔道具が慢性的に不足している神国では煮炊きをするにもそれが求められる。
「水運が行えれば、馬車の奇跡、それも併用することで木材は大量に運搬できます。森が近い、植生が豊かなクレリー量であれば、調薬に、素材の採取に精を出すのが良いでしょう」
マルコが、王都で妊娠するものに向けて栄養剤のようなものを広めたらしい。かなり慌てて周囲に採取者や狩猟者を送り込んで集めようとはしているのだが、生憎と王都の魔物は強力だ。護衛しながらでは、いかにマリーア公爵領の新しい特産があるとはいえ難しい。それについては、既に散々試したうえで結論は出ている。始まりの町では、運用できる。領都でも、問題なく。だが、王都ではやはり護衛の手が足りないのだと。ならば、王都が、神国の王家が何を求めるかなどわかり切っている。そして、水と癒しと月と安息が何故手放せないと考えているのか。多少は理解が有るはずのオユキの内面、それに対して無理を押してくるのはなぜなのか。
「一先ずは、それで存続の条件は飲むでしょう。いえ、それを求めているからこそ、今回の事が起きてはいるのです」
「ですが」
「貴女の望みは、存続ですか。それとも、これまでと変わらぬ状況ですか」
仮に望んでいることが後者だと言うのならば、そんな事は起こりえないのだとわかっているだろうと。そうオユキはただ相手に突きつける。
「ですが、本当に」
「それに関しては問題ありません」
そう、それを呑ませるためにオユキがいる。
「クレリー家の取引相手は、現国王陛下ではありません」
そのあたりにしても、勘違いするようには仕向けられているのだろう。
「先に、譲位の宣言がなされています。つまりは、今取引を、今後の形を話し合うべきは現陛下ではなく、今は王太子様です」
「それは、いえ、確かにそうなります」
「王太子妃様とは、私から言うのもあれですが悪くない関係は築けています。そして、求める物、それを支払う事もできます」
そう、王太子妃は、そこから間違いなく話を聞かされている王太子も。オユキに対して、トモエに対して望まなければならないものがある。そして、その支払いを、求めに対して確かに神国に生きる者が行ったのならば応えねばならぬ者たちだからこそ、取引の余地が存在している。
「しかし、誰かが責任は取らねばならないでしょう」
「それは」
「ええ。サクレタ公爵家の甘言に乗ったのだとしても。乗ったからこそ、責任は追及せねばなりません。神国に、王家に弓を引いた、その罪は贖わねばなりません」
そう、結論は決まっている。クレリー家はもはや代替わりが必須だ。そして、それをこうして話している相手が、間違いのない跡取りだとそう決めているのだろう神国でも。恐らく、それを知っている者は多いに違いない。こうして、オユキが己の意見を翻さなければ、それもやむなしとしたのだろう。だが、意見を覆すことがあれば、それはそれでと考えているには違いない。マリーア公爵が、オユキにそのあたりを言い含めなかったのは、やはり負担が過剰とそう考えての事ではあるのだろう。先代アルゼオ公爵にしても、フォンタナ公爵を、こちらの跡取りであるらしい人物に対する振る舞い、その苛烈を一度見たからこそではあるのだろう。
「もはや、貴女の意志は無視する事となるのでしょうね」
トモエが話し合えと、そう言われたからこその場ではある。だが、結論はやはり話し合いなどからは生まれない。
実に苦々し気な戦と武技、シェリアの表情だけが、この場の結末を示すのみ。
要は、この柱の剣に今は輝きが灯っているからこそ、話せるようになった内容だとそう呼んでも良い物が。
「我らは、座を持つからこそ座に縛られる」
曰く、それこそが仕組みでもあるのだと。超常の力を振るう、その権利を確かにこの世界で有するからこそ、伴う義務が存在しているのだと。
「その方らを選んだのは、間違いなく我が姉だ」
「ええ、以前、そのように」
確かに、その時にこの柱はいなかった。改めて口に出すと言う事は、つまりあの場の情報は神々の間でも共有が為されぬとそう言う事であるらしい。確かに、ぎりぎりだと、そんな言葉を確かに言っていた。そのあたり、言われてオユキが思い出してみれば、要はそれこそが思考としてと言う事なのだろう。
「成程、既に聞いたか」
「はい。過日に」
「で、あれば話は早い。先にも言ったように、一部の異邦人は我らの中でも取り合う事となる。そして、その結果は何であれ、こちらに来た時にはやはりその者の存在が最も近い座、そこに依るのだ」
つまりは、選んだからこそ権限を振るえることがあるらしい。オユキとしては、理解はそこまで。その先に、選んだ柱がどのような権限を振るえるのか、それについては流石に理解が及ぶようなものではない。考えたい、そのような話ですらない。
「確かに、結末としては望まぬものではあろう」
「ええ、そうでしょうとも」
ただ、それができると言うのならば。
「生憎と、それを我が許す事は無い。力は確かに劣る。あの姉にはとてもではないが、勝てぬ」
だが、それでも許さぬことは許さぬと。そう戦と武技が改めて語る。どうにも、このあたりの話に関してはカルラに聞かせるつもりがないようで、何やらしっかりと動きが止まっている。このあたりは、さて、いよいよ異なる理屈に依る物なのであろうが、それでもこうした空間であれば。戦と武技の座に近いこの空間であれば、間違いなく振るえる力があると言う事らしい。
「我の力が及ぶ限りは、確かな守りがあるのだとそう知るが良い。まぁ、こうしてその方に不可ばかりかけはするのだがな」
「そこは、流石にもう諦めもついていますので」
散々にマナを徴収される、それについては言葉通り。身分の保証という、この世界で最も困難な部分を随分と行ってもらえているのだ。それこそ、ミリアムがプレイヤーとしてのトモエを見た事がある、記憶にあるなどと言ってはいたのだが、それにしても不足は実に多い事だろう。今、この世界にはその時代を知っているものなど間違いなく数えるほどだ。そして、公爵と言う立場を追い落とされた者でもある。ならば、その人物の発言は多少は聞くことこそあれ、確実な保障とは到底言える物でも無い。事実、神国に二度は戻ったはずのミリアムが、未だにこちらに残された者達、その人物たちの確認もおぼついていないのだから。
「要は、それだな」
「ああ、そういう事ですか」
そして、つらつらと思考が脳裏をめぐるオユキに対して、戦と武技から。
「我が姉たちが、要はあの者たちの存在を保証しようとな」
「それこそ、司祭の位を持つ方に頼めば」
「神が望まぬ、それでその方らはやはり奇跡は使えぬ」
「そういう事ですか」
オユキの思いつくこと、それは容赦なく封じられている。いや、ミリアムにしても、それを始まりの町の教会で、あの創造神の分霊に確認したことだろう。そこで、今こうして戦と武技が語ったことと同じ結果を得たと言う事であるらしい。通りで、始まりの町から戻って暫くは、また不機嫌な様子を隠しもしないものだと。
「全く、こちらが確かにそうしている分は」
「その方がそうあるのだと、理解して振る舞っているのだ我が姉は」
「仕方ありません」
そう、本当にどうにもならない。
「ええ、こちらに改めて読んで頂いた、生前に楽しんで、楽しんだ世界にもう一度機会を頂けた」
そう、その分くらいは、オユキもどうにかしてくれようとそうは考えるのだ。そして、そうした物が積もっていくさまを、月と安息は良しとする。戦と武技は、良しとしない。特に、そのあたり本当に好んでいる相手、その差という物が存在しているのだろう。オユキに近いのは、確かに月と安息なのだろう。しかし、戦と武技、こちらが近いのはオユキではない。トモエだ。
だからこそ、トモエが許さぬことをこの柱は許すことがない。オユキが受け入れる事だとしても、それを実際に望んでいないのだと神々が顕現するために支払うマナだけではすまぬ、そんな降り積もる物を見過ごさない。
だが、やはり人の歩み、それを保証する以上はオユキが受け入れてしまえば、それ以上は無い。それが当然とばかりに、オユキが既に決めたのだとしてしまえば、カルラのほうもやはり動き出す。
「ええ、良いでしょう。貴女が望むと、望まぬと。クレリー家、こちらは私のほうでどうにかしましょう」
方法は確かにある。そして、必要な人手、神国としての明確な利益。それらも今回の試しが終われば、やはり用意ができる。一度は移動してきた者達、それらをまた取りまとめて送り出す。そこでまたひと悶着はあるのだろうが、それこそ任せることが出来る先は多い。
「方策は、そうですね。今回の雨乞い、それを神国でも行うとき、それをクレリー家の領地で行いましょう」
「当家の領、ですか」
「領都は、王都からあまり離れぬ位置に作らねばならぬと聞いています。その功績をもって、水と癒しが好む祭りを行った、その結果として王都と領都、まずはここに水路を」
カルラは、先ほどまでの戦と武技とオユキの話し合いを聞いていない。何故突然オユキが態度を変えたのかと、なにやら目を白黒させてはいるのだが、オユキとしてはもはやそれに構うつもりはない。成程、実に月と安息らしいやり口だと、そう思えるからこそもはや、そこにためらいが無い。
オユキとトモエ、この二人の決定事項。それを翻すだけの物を用意すると言うのであれば、つまりは今回と同じだけの事をして見せろと、そう示すのだ。
問題がある。はっきりと、今もトモエもオユキも抱えている。それらの全てを、果たして本当に取り除くことが出来るのか。ただ、それをこそ問うてくれようと。
「そこから先は、大いに環境も変わるでしょう。確か、以前に得た情報では特産と呼べるものが無いと言う事でしたが、王都に不足している物はやはり多いのです」
人が増えた。ならば労働力も増えたとみることもできるのだが、やはり早々容易くそのような計算が成立するものではない。要は、これから先、始まりの町で今も巻き起ころうとしているものが王都でも起きる。人が暮らすためには、燃料が、魔道具が慢性的に不足している神国では煮炊きをするにもそれが求められる。
「水運が行えれば、馬車の奇跡、それも併用することで木材は大量に運搬できます。森が近い、植生が豊かなクレリー量であれば、調薬に、素材の採取に精を出すのが良いでしょう」
マルコが、王都で妊娠するものに向けて栄養剤のようなものを広めたらしい。かなり慌てて周囲に採取者や狩猟者を送り込んで集めようとはしているのだが、生憎と王都の魔物は強力だ。護衛しながらでは、いかにマリーア公爵領の新しい特産があるとはいえ難しい。それについては、既に散々試したうえで結論は出ている。始まりの町では、運用できる。領都でも、問題なく。だが、王都ではやはり護衛の手が足りないのだと。ならば、王都が、神国の王家が何を求めるかなどわかり切っている。そして、水と癒しと月と安息が何故手放せないと考えているのか。多少は理解が有るはずのオユキの内面、それに対して無理を押してくるのはなぜなのか。
「一先ずは、それで存続の条件は飲むでしょう。いえ、それを求めているからこそ、今回の事が起きてはいるのです」
「ですが」
「貴女の望みは、存続ですか。それとも、これまでと変わらぬ状況ですか」
仮に望んでいることが後者だと言うのならば、そんな事は起こりえないのだとわかっているだろうと。そうオユキはただ相手に突きつける。
「ですが、本当に」
「それに関しては問題ありません」
そう、それを呑ませるためにオユキがいる。
「クレリー家の取引相手は、現国王陛下ではありません」
そのあたりにしても、勘違いするようには仕向けられているのだろう。
「先に、譲位の宣言がなされています。つまりは、今取引を、今後の形を話し合うべきは現陛下ではなく、今は王太子様です」
「それは、いえ、確かにそうなります」
「王太子妃様とは、私から言うのもあれですが悪くない関係は築けています。そして、求める物、それを支払う事もできます」
そう、王太子妃は、そこから間違いなく話を聞かされている王太子も。オユキに対して、トモエに対して望まなければならないものがある。そして、その支払いを、求めに対して確かに神国に生きる者が行ったのならば応えねばならぬ者たちだからこそ、取引の余地が存在している。
「しかし、誰かが責任は取らねばならないでしょう」
「それは」
「ええ。サクレタ公爵家の甘言に乗ったのだとしても。乗ったからこそ、責任は追及せねばなりません。神国に、王家に弓を引いた、その罪は贖わねばなりません」
そう、結論は決まっている。クレリー家はもはや代替わりが必須だ。そして、それをこうして話している相手が、間違いのない跡取りだとそう決めているのだろう神国でも。恐らく、それを知っている者は多いに違いない。こうして、オユキが己の意見を翻さなければ、それもやむなしとしたのだろう。だが、意見を覆すことがあれば、それはそれでと考えているには違いない。マリーア公爵が、オユキにそのあたりを言い含めなかったのは、やはり負担が過剰とそう考えての事ではあるのだろう。先代アルゼオ公爵にしても、フォンタナ公爵を、こちらの跡取りであるらしい人物に対する振る舞い、その苛烈を一度見たからこそではあるのだろう。
「もはや、貴女の意志は無視する事となるのでしょうね」
トモエが話し合えと、そう言われたからこその場ではある。だが、結論はやはり話し合いなどからは生まれない。
実に苦々し気な戦と武技、シェリアの表情だけが、この場の結末を示すのみ。
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