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第四章
第179話 ユウリナの正体&ミュンヘル王国への行軍
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「一つ質問」
ユウリナの腕がキュイイイインと鳴り、
光が溢れて直視できないほど眩しい。
これは絶対レーザー兵器だ。
一気に背筋が冷たくなる。
「……なんだ?」
くそ! どうなってやがる。
仲間だと信じているが、ユウリナなら本当に撃つかもしれない。
俺はフラレウムの刀身を赤く熱した。
「人間に……生命に……価値や意味ってあルと思う?」
ユウリナの表情は読み取れない。
なんだ、いきなり。……これはどう答えるのが正解だ?
「……ない。雑草のように、ただこの星に自然発生しただけだ」
数秒の沈黙の後、扉が勢いよく開いた。
「どうした! 王子!!」
扉の外で待機していたリンギオたちが入ってきた。
ユウリナはちらりと目をやると腕の兵器を収めた。
「冗談よ。オスカーの慌てた顔が見たかったダけ」
いつもの調子に戻った。
本当かよ……その言葉も信じられない。
なんかすごい試されている気がする……。
「なんだよそれ……」
撃たなかったのは一応合格ってことなのか?
ていうか本当に仲間だよなコイツ……。
俺は困惑しているリンギオたちに下がるよう命じた。
怖いから話題を変えよう。
「俺のこのガシャの夢はどうしたら治る?」
ユウリナは椅子に座り、指を組んで顎を乗せた。
碇ゲン〇ウかよ。
「しばラくは無理ね。相当量のガシャのエネルギーがあナたの体に残っている。
放射能って言えば分かるかシら。ソれと似たようなもの。
今までタくさんのパターンを見てきた。
どうしようモないのよ」
「そうか……」
「……根本的な解決にはナらないけど、
起きてる時に夢に犯されたらコれを飲みなさい。
正気を保ち続ければ死なないワ」
そう言い、俺の手のひらに小さな錠剤を落した。
「ソーンとヤホンの報告ではガシャは腐樹が変化した可能性があると」
「そうよ、腐樹が長い年月経つと稀に結晶化する。
デも結晶化すると感染力はなくなル。よかったワね」
やっぱりそうなのか。
ていうかこの薬飲んでも大丈夫なんだろうな……。
なんかこわい。
「詳しいんだな」
「昔から相手してキたから」
「……ユウリナみたいな機械人が何人かいれば殲滅できそうだけどな」
「簡単に言わないデ! 何十万年もの間、何度もやってるわ、そして何度も負けている」
「えっ」
「私たち機械人は初めは何百人もいた。
メンテナンスポッドがあれば半永久的に生きられるけど、
腐王たちとの闘いデ、今は片手で数えられるくらいしか残ってナい。
もうみんなバラバラ。
……私たちは〝星の管理人〟。
腐樹を討伐すルため、人々を導き、コノ星の種全てを率い共二戦う。
だからオスカー、私ハあなたについてイるの。
今までと同じように強力な国家ヲ育て、この星から腐樹を消シ去るために。
……今回はイイ感じよ、あなたはいい王になる。
私はね、オスカー。何千年ぶりかに心躍っテるのよ」
ユウリナの機械の顔が笑ったように見えた。
「……心躍るって……何だか人間みたいだな」
「人間よ」
「え?」
「私、元は人間なの。
脳と人格をデータ化してこのボディに入レただけ。
機械蜂ともリンクしてるかラ、このボディが壊れても私は死なないワ」
まじかよ。びっくりしたー。道理で人間くさいわけだ。
しかしまあ、なんだかちょっと安心した。親近感も湧いたし。
「そんなこと本当にできるんだな……。
でも古代文明の科学力を考えれば納得かも。
ていうかある意味神じゃん」
あ、神か、こいつ。
「そうヨ、神なのよ。困ったことに。ウフふフフ」
ユウリナは笑った。
雪の降る中、弟と二人で薪割りをしていた。
子供用の小さな斧でよたつきながら、弟はこちらを見て笑う。
お兄ちゃんが手本を見せてやる。そう思って勢いよく薪を割った。
どうだ、凄いだろ。得意げに振り返ると、そこに弟の姿はなかった。
「……ㇾス将軍……バルバレス将軍」
目を開けると副将ベイツの顔があった。
「大丈夫ですか? うなされてましたよ」
ベイツの左頬の大きな傷はもう治りかけていた。
そんなことを考えながら現実に引き戻される。
「……嫌な夢だ」
バルバレスは荷馬車の中で自分がどこに向かっているのか思い出した。
窓の外はカルロザン川沿いの街道、反対側は密林。
大陸西部、ミュンヘル王国へ続く道中だ。
2000のキトゥルセン連邦軍が長い列を作っている。
「明日、ジュフィセアス山脈の渓谷を通り、ミュンヘル王国入りします。
今日はこの森で野営が良いかと……」
「この辺りはブリムス同盟の加盟国だらけだっただろう。
地図上では中立地帯の森だが……警戒は怠るなよ」
「はっ」
数週間前、ミュンヘル王国から「同盟を結びたい」と文書が届いた。
ミュンヘル王国には〝ラウラスの影〟の工作員はおらず、国交もないので、
いままで詳細な情報が無かった。
ただ古い国ということで、宝石や絹織物、牛や馬が有名な大国、
という断片的な情報は入ってきてはいた。
大陸中央部とはジュフィセアス山脈で隔絶されており、
ミュンヘル王国は長い間独立を保ち、独自の文化を育んでいる。
急な手紙に当初は罠だという意見が強かったが、
外からキトゥルセン連邦王国を見れば、
短期間で北部統一を果たし、
魔剣フラレウムや雷魔ネネル、有翼人や白毛竜に、
何やら強力な氷使いの魔人と神と祭られる機械人までいる、
大戦力を有する強国という印象だろう。
今のうちに同盟を組んでおいたほうがいい、
と考える国があっても不思議ではない。
それと交渉に向かう決め手となったのが、
連名で書かれたウェイン・ホブスという人物の名前だった。
副将ベイツの昔の知り合いだったらしく、
信頼に足る人物だと裏が取れたためだ。
山脈に向かう道の手前の森の中で野営をした。
夕食後、バルバレスは幹部用テントに戻る途中、
ふと何かに呼ばれたように森の中に目をやった。
木々の間に一人ポツンと子供が立っていた。
こんな夜になぜ……
そう思った時、月夜とはいえ離れた場所にいる子供の細部まで見えることにぞっとした。
しかもあれは……弟のリルパフにそっくりだ。
いや、リルパフはあの日、死んだのだ。
自分のせいで。
バルバレスは混乱していた。
「将軍、どうしました?」
部下の声に一瞬気を取られ、目を戻した時には子供の姿は消えていた。
なんだ、今のは?
バルバレスはしばらく子供の消えた場所から目を離せなかった。
ユウリナの腕がキュイイイインと鳴り、
光が溢れて直視できないほど眩しい。
これは絶対レーザー兵器だ。
一気に背筋が冷たくなる。
「……なんだ?」
くそ! どうなってやがる。
仲間だと信じているが、ユウリナなら本当に撃つかもしれない。
俺はフラレウムの刀身を赤く熱した。
「人間に……生命に……価値や意味ってあルと思う?」
ユウリナの表情は読み取れない。
なんだ、いきなり。……これはどう答えるのが正解だ?
「……ない。雑草のように、ただこの星に自然発生しただけだ」
数秒の沈黙の後、扉が勢いよく開いた。
「どうした! 王子!!」
扉の外で待機していたリンギオたちが入ってきた。
ユウリナはちらりと目をやると腕の兵器を収めた。
「冗談よ。オスカーの慌てた顔が見たかったダけ」
いつもの調子に戻った。
本当かよ……その言葉も信じられない。
なんかすごい試されている気がする……。
「なんだよそれ……」
撃たなかったのは一応合格ってことなのか?
ていうか本当に仲間だよなコイツ……。
俺は困惑しているリンギオたちに下がるよう命じた。
怖いから話題を変えよう。
「俺のこのガシャの夢はどうしたら治る?」
ユウリナは椅子に座り、指を組んで顎を乗せた。
碇ゲン〇ウかよ。
「しばラくは無理ね。相当量のガシャのエネルギーがあナたの体に残っている。
放射能って言えば分かるかシら。ソれと似たようなもの。
今までタくさんのパターンを見てきた。
どうしようモないのよ」
「そうか……」
「……根本的な解決にはナらないけど、
起きてる時に夢に犯されたらコれを飲みなさい。
正気を保ち続ければ死なないワ」
そう言い、俺の手のひらに小さな錠剤を落した。
「ソーンとヤホンの報告ではガシャは腐樹が変化した可能性があると」
「そうよ、腐樹が長い年月経つと稀に結晶化する。
デも結晶化すると感染力はなくなル。よかったワね」
やっぱりそうなのか。
ていうかこの薬飲んでも大丈夫なんだろうな……。
なんかこわい。
「詳しいんだな」
「昔から相手してキたから」
「……ユウリナみたいな機械人が何人かいれば殲滅できそうだけどな」
「簡単に言わないデ! 何十万年もの間、何度もやってるわ、そして何度も負けている」
「えっ」
「私たち機械人は初めは何百人もいた。
メンテナンスポッドがあれば半永久的に生きられるけど、
腐王たちとの闘いデ、今は片手で数えられるくらいしか残ってナい。
もうみんなバラバラ。
……私たちは〝星の管理人〟。
腐樹を討伐すルため、人々を導き、コノ星の種全てを率い共二戦う。
だからオスカー、私ハあなたについてイるの。
今までと同じように強力な国家ヲ育て、この星から腐樹を消シ去るために。
……今回はイイ感じよ、あなたはいい王になる。
私はね、オスカー。何千年ぶりかに心躍っテるのよ」
ユウリナの機械の顔が笑ったように見えた。
「……心躍るって……何だか人間みたいだな」
「人間よ」
「え?」
「私、元は人間なの。
脳と人格をデータ化してこのボディに入レただけ。
機械蜂ともリンクしてるかラ、このボディが壊れても私は死なないワ」
まじかよ。びっくりしたー。道理で人間くさいわけだ。
しかしまあ、なんだかちょっと安心した。親近感も湧いたし。
「そんなこと本当にできるんだな……。
でも古代文明の科学力を考えれば納得かも。
ていうかある意味神じゃん」
あ、神か、こいつ。
「そうヨ、神なのよ。困ったことに。ウフふフフ」
ユウリナは笑った。
雪の降る中、弟と二人で薪割りをしていた。
子供用の小さな斧でよたつきながら、弟はこちらを見て笑う。
お兄ちゃんが手本を見せてやる。そう思って勢いよく薪を割った。
どうだ、凄いだろ。得意げに振り返ると、そこに弟の姿はなかった。
「……ㇾス将軍……バルバレス将軍」
目を開けると副将ベイツの顔があった。
「大丈夫ですか? うなされてましたよ」
ベイツの左頬の大きな傷はもう治りかけていた。
そんなことを考えながら現実に引き戻される。
「……嫌な夢だ」
バルバレスは荷馬車の中で自分がどこに向かっているのか思い出した。
窓の外はカルロザン川沿いの街道、反対側は密林。
大陸西部、ミュンヘル王国へ続く道中だ。
2000のキトゥルセン連邦軍が長い列を作っている。
「明日、ジュフィセアス山脈の渓谷を通り、ミュンヘル王国入りします。
今日はこの森で野営が良いかと……」
「この辺りはブリムス同盟の加盟国だらけだっただろう。
地図上では中立地帯の森だが……警戒は怠るなよ」
「はっ」
数週間前、ミュンヘル王国から「同盟を結びたい」と文書が届いた。
ミュンヘル王国には〝ラウラスの影〟の工作員はおらず、国交もないので、
いままで詳細な情報が無かった。
ただ古い国ということで、宝石や絹織物、牛や馬が有名な大国、
という断片的な情報は入ってきてはいた。
大陸中央部とはジュフィセアス山脈で隔絶されており、
ミュンヘル王国は長い間独立を保ち、独自の文化を育んでいる。
急な手紙に当初は罠だという意見が強かったが、
外からキトゥルセン連邦王国を見れば、
短期間で北部統一を果たし、
魔剣フラレウムや雷魔ネネル、有翼人や白毛竜に、
何やら強力な氷使いの魔人と神と祭られる機械人までいる、
大戦力を有する強国という印象だろう。
今のうちに同盟を組んでおいたほうがいい、
と考える国があっても不思議ではない。
それと交渉に向かう決め手となったのが、
連名で書かれたウェイン・ホブスという人物の名前だった。
副将ベイツの昔の知り合いだったらしく、
信頼に足る人物だと裏が取れたためだ。
山脈に向かう道の手前の森の中で野営をした。
夕食後、バルバレスは幹部用テントに戻る途中、
ふと何かに呼ばれたように森の中に目をやった。
木々の間に一人ポツンと子供が立っていた。
こんな夜になぜ……
そう思った時、月夜とはいえ離れた場所にいる子供の細部まで見えることにぞっとした。
しかもあれは……弟のリルパフにそっくりだ。
いや、リルパフはあの日、死んだのだ。
自分のせいで。
バルバレスは混乱していた。
「将軍、どうしました?」
部下の声に一瞬気を取られ、目を戻した時には子供の姿は消えていた。
なんだ、今のは?
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