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第2章 久瀬玲華
嵐が過ぎ去るまで②
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うちの高校の校舎は三階から順に学年が下がっていく。俺たちの教室は二階で、三階の教室は一年の教室だ。そして、その上に屋上がある。その屋上は特別棟への連絡路の役割も担っている。もちろん、二階からでも特別棟には行けるが、今回の目的は屋上だ。
屋上では、明日からの文化祭に向けて、横断幕などを設置している生徒会と、ペンキなどで看板を製作している生徒が数人いる程度。太陽がオレンジ色に染まりつつある。
生徒たちは俺たちをちらっとだけ見るが、それぞれおしゃべりしつつも作業に戻る。
一ヶ月以上も経てば、凛もただのキレイな生徒の1人、という位置付けになっている。サインだなんだと言う人は、さすがにもういない。
「はーっ、疲れた!」
彼女は大きく伸びをした。夕日を背にした彼女はあまりに美しくて、そんな何気ないしぐさでも絵になってしまう。
凛はここ数日衣装制作で駆り出されている。意外にも裁縫ができる人らしく、女子ときゃっきゃしながら一緒に衣装を作っている。裁縫できるとは思わなかった、と言ったら怒られたものだ。
「疲れるけど⋯⋯これがさ、きっと憧れてた普通の学生生活なんだなって思うと、頑張れちゃう」
こちらを振り向いて、笑顔を見せる。
やっぱり彼女の笑顔はとても可愛くて、綺麗で⋯⋯だから、胸がチクリと痛んだ。
「久しぶりに2人になれたっていうのもあるしさ、その⋯⋯私の弱音っていうか、愚痴っていうか⋯⋯話していい?」
「⋯⋯どうぞ」
珍しいな、と思った。彼女が自分からこういう話をしてくることは最近なかった。
「今ね、玲華、こっちにいるんだって。撮影で。昨日連絡きたんだ」
「玲華から?」
ぎくりとする。声が上ずってしまっていないか不安になる。
今朝のことが知られてしまっていないか、不安でしょうがない。
「うん。犬飼監督の映画作品の舞台がよりによって鳴那町で、その主演が玲華でって話」
「⋯⋯⋯」
なんとなく、玲華の悪意を感じた。
彼女がそんなことをする性格ではないと思ってはいたが、あの時の怒りようから言うと、どうにも⋯⋯凛には当たりが強い。それだけ彼女にとって凛がやったことが許せないことだったのかもしれない。
でも、わざわざ連絡する必要ってあるのか。
俺に対しても⋯⋯どうしてあんな事をしたのか。
屋上では、明日からの文化祭に向けて、横断幕などを設置している生徒会と、ペンキなどで看板を製作している生徒が数人いる程度。太陽がオレンジ色に染まりつつある。
生徒たちは俺たちをちらっとだけ見るが、それぞれおしゃべりしつつも作業に戻る。
一ヶ月以上も経てば、凛もただのキレイな生徒の1人、という位置付けになっている。サインだなんだと言う人は、さすがにもういない。
「はーっ、疲れた!」
彼女は大きく伸びをした。夕日を背にした彼女はあまりに美しくて、そんな何気ないしぐさでも絵になってしまう。
凛はここ数日衣装制作で駆り出されている。意外にも裁縫ができる人らしく、女子ときゃっきゃしながら一緒に衣装を作っている。裁縫できるとは思わなかった、と言ったら怒られたものだ。
「疲れるけど⋯⋯これがさ、きっと憧れてた普通の学生生活なんだなって思うと、頑張れちゃう」
こちらを振り向いて、笑顔を見せる。
やっぱり彼女の笑顔はとても可愛くて、綺麗で⋯⋯だから、胸がチクリと痛んだ。
「久しぶりに2人になれたっていうのもあるしさ、その⋯⋯私の弱音っていうか、愚痴っていうか⋯⋯話していい?」
「⋯⋯どうぞ」
珍しいな、と思った。彼女が自分からこういう話をしてくることは最近なかった。
「今ね、玲華、こっちにいるんだって。撮影で。昨日連絡きたんだ」
「玲華から?」
ぎくりとする。声が上ずってしまっていないか不安になる。
今朝のことが知られてしまっていないか、不安でしょうがない。
「うん。犬飼監督の映画作品の舞台がよりによって鳴那町で、その主演が玲華でって話」
「⋯⋯⋯」
なんとなく、玲華の悪意を感じた。
彼女がそんなことをする性格ではないと思ってはいたが、あの時の怒りようから言うと、どうにも⋯⋯凛には当たりが強い。それだけ彼女にとって凛がやったことが許せないことだったのかもしれない。
でも、わざわざ連絡する必要ってあるのか。
俺に対しても⋯⋯どうしてあんな事をしたのか。
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