ドリフトシンドローム~魔法少女は世界をはみ出す~【第二部】

音無やんぐ

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第二部 魔法少女は、ふたつの世界を天秤にかける

承前

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※第二部のプレストーリーになります。第一部のあらすじになっています。
 ネタバレを含みますので、もしご興味をお持ちいただけましたら、第一部よりお読みいただければ嬉しく思います。



 『名字川白音なじかわしらねは魔法少女である』

 親友にして相棒、ヤヌル佳奈かな
 同じく幼なじみの親友大空莉美おおぞらりみ
 白音はふたりに導かれて魔法少女になった。
 そして白音のクラスメイト、天才的な頭脳を保つ宇宙そらミッターマイヤー。
 佳奈や莉美の一学年上の先輩、タレントやモデルをしている神一恵かみひとえ
 彼女たちも加わって、五人の魔法少女チームとなった。
 チームは白音をリーダーとしてまとまり、『チーム白音』などという気恥ずかしい名前を付けられ、様々な人と出会い成長していった。
 やがて、魔法少女ギルドでも最強と言われる魔法少女チームとなる。

名字川白音なじかわしらねは転生者である』


 異世界の地にて戦いに敗れ、殺された魔族。
 その魂が現世へと転生を果たしたのが白音だった。

 やがて白音は、魔法少女ギルドのマスター、リンクスと出会う。
 それは偶然か、必然か。それとも何かに導かれてのことか。

 リンクスは異世界から転移を為して現世に渡り、正体を隠して暮らす魔族の王子だった。
 彼の願いは、自分を守って戦いに散った最愛の人を蘇らせる方法を見つけること。

 そして、白音が前世の記憶を取り戻した時、自分こそが王子の思い人、その転生した姿であったと知る。


名字川白音なじかわしらねはふたつの世界に想いを馳せる』


 現世と異世界、ふたつの世界は危機に瀕していた。
 異世界にて乱発される『英雄召喚』が原因となり、ふたつの世界を隔てる壁がゆるく、もろくなりつつあった。

『英雄召喚』。それは現世の人間を、強大な力を持つ兵器として異世界に呼び込む魔術儀式だった。
 勢力争いに明け暮れる人族が、その力を欲してなりふり構わず無茶な儀式を強行していた。

 世界を隔てる壁のほころびは、『異世界事案』と呼ばれる突発的な転移事象を頻繁に発生させるようになり、それがまたさらに緩みを拡大させる。

 放っておけば、いずれふたつの世界が破綻し、壊滅的な崩壊を引き起こすと予想された。


名字川白音なじかわしらねは振り向かない』


 チーム白音は世界の崩壊を止めるため、英雄召喚を廃絶させるため、異世界へと続く転移ゲートをくぐった。

 人族と、その召喚英雄によって滅ぼされた魔族、その王族たるリンクス。
 アイドル魔法少女グループ、エレメントスケイプの最年少メンバー火浦ひうらいつき。
 それにチーム白音が魔法の力で生み出した謎生物UMAこと、ちびそら。

 彼らと共に。


 だがその中でただひとり、一恵ひとえは異世界へと渡ることが叶わなかった。

 一恵自身の告白によれば、一恵は人間ではない。
 その仮初めの体が限界を迎え、ゲートをくぐる前に想い出だけを遺して消えてしまったのだ。


 凜として、静かに消えていった一恵のことを、白音は未だ知らない。

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