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本編
⑳ 勝利は愛する者の手に
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狭くて暗い、ジメジメする場所。
それが子供の頃、アレクサンドルにとって唯一安心できる場所だった。
「おい、アイツ。どこへ行った?」
「さぁ、ずぶ濡れになったから、泣いて母親のところにでも言ったんじゃないか?」
「あんなヤツ……ちょっと剣が使えるからって……生意気だ。次は背中にネズミを入れてやろうぜ」
「いいなぁ、そりゃ面白い!」
兄達が笑いながら話しているのを、アレクサンドルは邸の床下で聞いていた。たまたま穴が空いているのを発見し、何かあればそこに隠れることにした。
虫もいるし、狭くて湿気が多いが、外でいじめられるよりマシだ。
幼い頃から、アレクサンドルは兄達から虐められてきた。
第三夫人である母親は身分が低いが、父親から一番気に入られていた。力を持つ第一夫人は、陰で母を虐めた。それが息子達に伝わるのも時間の問題だった。
女達が揉め事を起こすのを父は一番嫌った。使用人達は第一夫人の味方なので、何を言っても母は悪くなってしまう。
母はこの暮らしを失うことを恐れ、我慢を貫き、息子にもそれを強いた。
何度も助けを求めたが、それくらい我慢してと言われ、一人で逃げる術を身に付けるしかなかった。
生まれつき魔力が多かったアレクサンドルは、何をしても人より早く覚え、簡単にできてしまう。出来の違いが見えてしまう度、兄達からの虐めは酷くなった。
貴方が目立つからいけないのよ。静かに息を殺して生きてくれたら、私も上手くやっていける。お願い、そうして。
母には繰り返し、そう言われていた。
今考えたら母も必死だったと思う。そして自分には、母を助ける力がなかった。
必死に生き抜いて家を出たが、ロナパルム家からの呪縛は、いつになってもアレクサンドルに巻きついて離れない。
いつかその呪縛から完全に離れられる日を待つ。
そう、子供の頃と同じ……息を顰めてじっと……。
でも、本当は明るいところが好きだ。
思いっきり剣を振り、何一つ、気にすることなどなく、自分の思うままに生きたい。
羽を広げ、大空を駆け回るように、縛られずありのままでいたい。
『今のままでいいのかって思うことは、変われるチャンスじゃないですか』
君はそう言った。
そうだ。隠れ、逃げてばかりで、前に踏み出さなかったのは自分だ。
誰よりも強くなって高みに上り、誰にも文句なんて言わせないくらいになればいい。家のことも、母のことも、全力で向き合って解決すればいい。
君はすごい人だ。
魔力を持っているわけではないのに、大きな会場の色を変えてしまった。今までは、自分の名を呼ばれる度に隠れてしまいたいと思っていた。
だけど今は違う。
もっと呼んで欲しい。
たくさんの声援が力になり、抑えていた扉を開ける。
できる。
見ていてくれ、カガミ。
肌を焼く高温を纏い、ポルカが放った灼熱の炎が迫ってくる。
風を使えば炎の勢いが増す。
アレクサンドルは、全身に漲る魔力を集め自らの手に集中させた。
できる。
中途半端な力でダメなら、最大の力を使い、炎を吹き飛ばせばいい。
「くっ……」
強すぎる力を解放すると、体のあちこちが悲鳴を上げる。右手を前に出したアレクサンドルは、今だと片方の目を閉じた。
大地が揺れ、大きな風が巻き起こる。迫り来る炎に向けて一直線にぶつかった。
炎は風の勢いを受け、火は一度大きく膨らんだが、それ以上の強い風に押し返されて消滅した。大風はポルカ目掛けて飛んでいき、彼を吹き飛ばす。その勢いのまま、観客席に飛んでいった。
観客席には強い防御魔法壁が張られているが、それが歪むほどの風を受け、壁は勢いに耐えられず穴が空いてしまった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
全ての魔力を使い果たし、立っているのがやっとだったアレクサンドルは、地面に膝をついた。
何が起きたのか、誰もが辺りを見回しており、会場中が静寂に包まれる。
風の勢いで地面が捲れ、端の方に吹き飛ばされたポルカが倒れている。寝転がったまま両手を上げ、降伏のポーズをしたので、勝利の鐘が鳴り響いた。
「終わった……勝ったぞ……」
アレクサンドルが勝利の雄叫びを上げ、拳を掲げると、割れんばかりの拍手と歓声が湧き起こる。
色とりどりの紙吹雪が空から舞い、アレクサンドルの名を誰もが叫んでいた。
いつまでも終わらない歓声、そこに現れたのは、王太子のトリスタンだった。
「まったく防御壁に大穴を開けるとは……、恐ろしい男だな。よくやったよ。お前が今年の優勝者だ」
「殿下、見届けていただきありがとうございます」
「これで昇進を断られたら、私の立場がないんだが」
「もちろん、お受けいたします。身に余る光栄で御座います。精一杯務めさせていただきます」
ずっと頑なだったアレクサンドルがアッサリ受け入れたので、トリスタンはフフンと楽しそうに笑う。
トリスタンは手に持っていた勝者の金冠をアレクサンドルの頭に乗せた。
再び拍手と歓声に包まれる中、トリスタンはもっと楽しそうな顔になり、腕を組んだ。
「それで? 勝者の願いはどうする?」
「決まっています。カガミをここへ……」
すでに分かっていたのか、トリスタンが手を挙げると、カガミが場内に入ってきた。周囲を見回し、観客に囲まれている状況に不安そうな顔をしていたが、目が合うと泣きそうな顔で笑った。
「よかった……怪我がなくて……本当に……、優勝おめでとうございます」
「君のおかげだ。カガミ、君が勇気をくれたから、ここに立つことができた。だから勝利は、君に捧げる」
「えっ……」
アレクサンドルは自分の頭から冠を外し、カガミの頭に乗せた。カガミの目が大きく開かれる。前髪を留めたから、表情が分かりやすくなって嬉しい。
「え……どうして……こんな……」
「好きだ」
カガミはもっと目を開き、アレクサンドルを見つめてくる。大きな黒い瞳に、自分が映っているのが見えて、アレクサンドルは微笑んだ。
「行かないでくれ。それが言いたかった。俺の側にいて欲しい」
「だっ……だって、友人って……そもそも、私達は契約で……」
「始まりはそうだった。けれど、君に惹かれてしまった。上手い言葉を言えなくてすまない。好きなんだ。愛している」
「えっ、えっ、嘘……ええ!?」
まだ信じられないという顔のカガミを、アレクサンドルは抱きしめて持ち上げる。会場にキャーっという声が響いた。
「勝者の望みはこれだ」
アレクサンドルはカガミの首の後ろに手を当て、自分の方に引き寄せる。目を閉じて、カガミの唇に自分の唇を当てた。
柔らかい。
想像以上に柔らかい感触と、眼鏡が肌に当たり邪魔だと感じる。
「勝利のキス、これで望みは叶えられた。アレクサンドルに拍手を!」
トリスタンが空高く声を上げると、歓声と拍手に包まれる。まるで酒を飲んだ時のような高揚感、たくさんの人に称賛される感覚は、今まで味わったことがない。
こんな気持ちだったのかと、アレクサンドルは、やっと明るいところに出られたように思えた。
割れんばかりの拍手は鳴り止まず、勝者であるアレクサンドルの名を呼ぶ声はいつまでも続いた。
◇◇◇
「こんな所にいたのか?」
パーティー会場の熱気に酔ってしまい、カガミは一人、会場が望める二階の椅子席に座っていた。天井のステンドグラスが綺麗だなと眺めていたら、今日の主役であるアレクサンドルがやってきた。
「ちょっと疲れてしまって。アレクサンドル様は大丈夫ですか? みんな話したいと列を作っていましたよね」
「ああ、祝勝会と言っても、みんな飲んで騒ぎたいだけだ。おめでとうは聞き飽きたし、俺の役目はもう終わった」
そう言ってアレクサンドルはタイを緩めながら、カガミの隣に座る。
魔法剣術大会が終わり、そのまま祝勝会に突入したので、ろくに話す時間がなかった。あの熱烈な告白の後なので意識してしまい、頬が熱くなる。
「改めてお礼を言うよ。大変だっただろう。あんな応援を用意してくれて、驚いたし、嬉しかった。おかげで力が漲ってきたんだ」
「私だけの力では……、でも喜んでくれて良かったです」
「しかし、あの横断幕だけはいただけない。あの似顔絵は俺か?」
「そうですよ。私が絵師にカッコ良く描いてくれと依頼を」
「うぅ……、あれはさすがに恥ずかしい……なんで上半身裸なんだ」
「強そうに見えるからです。そんなイメージが湧いて……」
カガミの中で、強そうな宣伝といえば、プロレスが思い浮かんでしまい、気づいたらそのイメージで作っていた。今回の趣旨から外れてしまったようだ。
「でも、恥ずかしがることないですよ。本人の方がもっとカッコいいですから」
カガミが胸を張ってそう言うと、アレクサンドルはますます赤くなり、照れた表情になる。
「カガミ、お前に言われると、もっと恥ずかしくなる」
「何でですか?」
「当たり前だろう。好きなやつに言われたら、嬉しくて胸が高鳴る」
揶揄うつもりで聞いてみたが、真っ直ぐに打ち返され、カガミはゴクリと唾を飲み込む。
「愛している、カガミ」
「わっ……」
アレクサンドルにぐっと手を掴まれ、顔が間近に迫ってくる。
「ずっと言いたかったが、情けないままの自分では言えなかった。まだ万全の状態とは言えないが、必ず成功してお前を幸せにする。帰るなんて言うな。ずっと側にいてくれ」
「ちょっ、待って、話を……」
「返事は? 少しでもいい、俺を好きな気持ちがあるならそれで十分だ。お願いだから、ここにいると約束を……」
「待って、待ってください。熱が、凄すぎる」
あまりの勢いに後ろに下がるが、ぐいぐい迫られて、カガミは椅子から落ちそうになる。こちらの世界の人は、こんなに愛情表現がストレートなのだろうか。心臓が壊れそうだ。
「き、聞いてください。お、俺はアレクサンドル様のファンで……」
「お、私から俺になったな。それは良いが、いい加減、その呼び方はやめてくれ。アレクだ」
「だから、そのアレク、様のファンなんです。ファンたるもの、節度は守るべきと心掛けてきたのです。それは……添い寝していただけた時は、めちゃくちゃ嬉しくてたまらなかったですけど、でもファンとしてはですね、自分だけ特別になるには……」
「だから何だ? 俺が許可しているんだ。何も問題はない」
「問題はっ、な…………ないですね」
それを聞いたアレクサンドルはニヤリと笑った。この国で一番強い男だ。勝てるわけがない。
「そういう頭の固いところも可愛いんだが……」
「かわいい? や、やめてくださ……」
「そろそろ、言ってくれないか? カガミの返事は?」
ついに窓に体を押しつけられる形になり、逃げるつもりなどないが、逃げ場がなくなる。
こんな想いを抱いてはいけない。
ブレーキをかけていたが、緩めた途端、溢れ出してきた。
「好き……です」
「俺も好きだ」
待っていたかのように、唇が重なる。
二度目だけど、一度目は緊張と興奮でよく分からなかった。今は分かる。柔らかくて、硬くなって、ウネウネして……。
「わぁぁ、し、舌が……」
「口を吸っているんだ。当たり前だろう」
「待ってくださ……息はどこで……」
「鼻でしろ」
「だっ、だって俺の鼻息が、アレク様にかかるなんて」
「うるさい、もう何も考えられなくしてやる」
「だっ……うゔぅ……!!」
アレクサンドルの口付けの勢いが強すぎて、歯がぶつかってしまうが、お構いなしにジュルリと舐められる。どうすればいいか、奥で引っ込んでいた舌を絡め取られ、口内で生き物のように絡め合う。
推しに鼻息なんてかけられないと思っていたが、苦しくなって少しずつ鼻から息を吸った。
それでも興奮が重なり酸欠になりそうで、唇を強く吸われる度に意識が薄れてしまう。
「あっ……んっ…………ふっ……ん……んっく……」
「もっと、舌を出せ。なんて甘いんだ。腹の奥まで入れたくなる」
「ひっ……んんっ……ああっ」
激しい口付けで頭がいっぱいなのに、アレクサンドルは服の上から胸を弄ってくる。平らな胸など触って何が楽しいのかと思うのだが、アレクサンドルは興奮したように下半身を押し付けてきた。
「んんっ!」
「ただでさえ魔力が空になると、性欲が増すんだ。好きなやつとこんなことをして、我慢できるはずがない」
「だめ……だっ、ダメです。こんな所……人が……」
「大丈夫だ。みんなパーティーに夢中でこちらまで来ない」
すぐ下の階では、トリスタンから異世界部のみんなまで揃い、楽しく飲んでいるはずだ。音楽が聞こえ、みんなが歌い踊っている様子が伝わってくる。
そんな中で、こんなことをして……。
恥ずかしいけど、胸が余計に高鳴るのは何故だろう。
「俺の膝に乗ってくれ、そうだ……これで……」
「えっ……えっ、ちょっと……」
アレクサンドルに手を引かれ、彼の膝に乗ると、ズボンの前を開けられてしまう。直視できず慌てているうちに、アレクサンドルは自分のモノを取り出し、カガミのとピタリと合わせてきた。
「カガミのも……硬くなってきたな……」
「だっ……だって……」
こんな所でだめだと思うのに、身体中の血が下半身に集中する。ドクドクと心臓が高鳴り、ソコはあっという間に大きくなった。
「…………浴場の時も思ったが、カガミのココはやけに立派だな」
「へ? そ、そんな……人と比べたことなんて……マナーですから銭湯でも見ないようにしてましたし……」
「でも、アレク様の方が大き……んんっ」
敏感なところを擦られて、変な声が出てしまう。階下は賑やかだが、誰かに聞かれてしまいそうだ。
「宝の持ち腐れとはまさに……、いや、でもこれは、俺だけが愛でることができるから、俺の宝には違いない」
「へ? 何を仰って……?」
「いや、可愛いと思って」
アレクサンドルは、訳の分からないことを一人で言って納得している。何のことか聞こうとすると、可愛いで誤魔化されてしまった。
「あの、いくら何でも……俺は可愛いの部類ではないかと」
「それがな。色々考えたんだが、小動物のように可愛いも当てはまらない。カガミはカガミだから可愛い」
「はい?」
「いいだろう? 好きなんだ。そうやって、目を細める仕草も、邪魔な眼鏡も、全部可愛い」
「なっ……あっ……ううっ……わぁ……ん……」
耳元で囁かれて、背中にゾクッとした快感が走る。とにかく愛をこれでもかとぶつけてくるアレクサンドルにクラクラしてしまう。
まさに言葉に酔わされ、全身赤くなっていると、アレクサンドルはガッチリと握っていたソコを自分のモノと合わせて擦り始める。
「ああっ……くっ……あ、あ、あぅぅっ」
「蜜が溢れてきたな。こんなに漏らして……気持ちいいのか?」
「ん……す、すご……きも……ちい……」
自分で弄る時の快感とは違う。溢れた先走りで滑りが良くなり、もっと気持ち良くなる。カガミはアレクサンドルの肩に掴まり、必死に声を我慢する。
「んっ……んっ…………んんんっ」
「ああ、たまらない……このままカガミの全てを愛したい……しかし、さすがにここは厳しいな」
気持ち良くて頭が溶けてしまう。二人でキスをしながら夢中で腰を揺らす。
先っぽをぎゅっと掴まれると、カガミは息を吸い込んで背を反らした。
「あっ…くっ、……………んんっ――――っっ!」
ピクピクと全身を震わせ、カガミは白濁を放つ。すると敏感になっているソコを重ね合わせ、今度はアレクサンドルが詰めた声を上げる。
腹に熱い飛沫を感じ、アレクサンドルも達したのだと分かった。
「ぁ……はぁ……ハァハァ……はぁ……」
しばらくお互い荒い息を吐きながら、無言でただ抱き合った。早く汚れを拭き、みんなの元に戻らなければいけない。
そう思うのに、もう離れたくなくて、カガミはアレクサンドルの背中に手を回し、ぎゅっとしがみついた。
それは、アレクサンドルも同じだったようだ。
「もう少しだけ……あと少しだけ……」
アレクサンドルがそう言って手の力を強めてくるので、カガミはうんと答えて彼の柔らかな髪に顔を埋めた。
それが子供の頃、アレクサンドルにとって唯一安心できる場所だった。
「おい、アイツ。どこへ行った?」
「さぁ、ずぶ濡れになったから、泣いて母親のところにでも言ったんじゃないか?」
「あんなヤツ……ちょっと剣が使えるからって……生意気だ。次は背中にネズミを入れてやろうぜ」
「いいなぁ、そりゃ面白い!」
兄達が笑いながら話しているのを、アレクサンドルは邸の床下で聞いていた。たまたま穴が空いているのを発見し、何かあればそこに隠れることにした。
虫もいるし、狭くて湿気が多いが、外でいじめられるよりマシだ。
幼い頃から、アレクサンドルは兄達から虐められてきた。
第三夫人である母親は身分が低いが、父親から一番気に入られていた。力を持つ第一夫人は、陰で母を虐めた。それが息子達に伝わるのも時間の問題だった。
女達が揉め事を起こすのを父は一番嫌った。使用人達は第一夫人の味方なので、何を言っても母は悪くなってしまう。
母はこの暮らしを失うことを恐れ、我慢を貫き、息子にもそれを強いた。
何度も助けを求めたが、それくらい我慢してと言われ、一人で逃げる術を身に付けるしかなかった。
生まれつき魔力が多かったアレクサンドルは、何をしても人より早く覚え、簡単にできてしまう。出来の違いが見えてしまう度、兄達からの虐めは酷くなった。
貴方が目立つからいけないのよ。静かに息を殺して生きてくれたら、私も上手くやっていける。お願い、そうして。
母には繰り返し、そう言われていた。
今考えたら母も必死だったと思う。そして自分には、母を助ける力がなかった。
必死に生き抜いて家を出たが、ロナパルム家からの呪縛は、いつになってもアレクサンドルに巻きついて離れない。
いつかその呪縛から完全に離れられる日を待つ。
そう、子供の頃と同じ……息を顰めてじっと……。
でも、本当は明るいところが好きだ。
思いっきり剣を振り、何一つ、気にすることなどなく、自分の思うままに生きたい。
羽を広げ、大空を駆け回るように、縛られずありのままでいたい。
『今のままでいいのかって思うことは、変われるチャンスじゃないですか』
君はそう言った。
そうだ。隠れ、逃げてばかりで、前に踏み出さなかったのは自分だ。
誰よりも強くなって高みに上り、誰にも文句なんて言わせないくらいになればいい。家のことも、母のことも、全力で向き合って解決すればいい。
君はすごい人だ。
魔力を持っているわけではないのに、大きな会場の色を変えてしまった。今までは、自分の名を呼ばれる度に隠れてしまいたいと思っていた。
だけど今は違う。
もっと呼んで欲しい。
たくさんの声援が力になり、抑えていた扉を開ける。
できる。
見ていてくれ、カガミ。
肌を焼く高温を纏い、ポルカが放った灼熱の炎が迫ってくる。
風を使えば炎の勢いが増す。
アレクサンドルは、全身に漲る魔力を集め自らの手に集中させた。
できる。
中途半端な力でダメなら、最大の力を使い、炎を吹き飛ばせばいい。
「くっ……」
強すぎる力を解放すると、体のあちこちが悲鳴を上げる。右手を前に出したアレクサンドルは、今だと片方の目を閉じた。
大地が揺れ、大きな風が巻き起こる。迫り来る炎に向けて一直線にぶつかった。
炎は風の勢いを受け、火は一度大きく膨らんだが、それ以上の強い風に押し返されて消滅した。大風はポルカ目掛けて飛んでいき、彼を吹き飛ばす。その勢いのまま、観客席に飛んでいった。
観客席には強い防御魔法壁が張られているが、それが歪むほどの風を受け、壁は勢いに耐えられず穴が空いてしまった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
全ての魔力を使い果たし、立っているのがやっとだったアレクサンドルは、地面に膝をついた。
何が起きたのか、誰もが辺りを見回しており、会場中が静寂に包まれる。
風の勢いで地面が捲れ、端の方に吹き飛ばされたポルカが倒れている。寝転がったまま両手を上げ、降伏のポーズをしたので、勝利の鐘が鳴り響いた。
「終わった……勝ったぞ……」
アレクサンドルが勝利の雄叫びを上げ、拳を掲げると、割れんばかりの拍手と歓声が湧き起こる。
色とりどりの紙吹雪が空から舞い、アレクサンドルの名を誰もが叫んでいた。
いつまでも終わらない歓声、そこに現れたのは、王太子のトリスタンだった。
「まったく防御壁に大穴を開けるとは……、恐ろしい男だな。よくやったよ。お前が今年の優勝者だ」
「殿下、見届けていただきありがとうございます」
「これで昇進を断られたら、私の立場がないんだが」
「もちろん、お受けいたします。身に余る光栄で御座います。精一杯務めさせていただきます」
ずっと頑なだったアレクサンドルがアッサリ受け入れたので、トリスタンはフフンと楽しそうに笑う。
トリスタンは手に持っていた勝者の金冠をアレクサンドルの頭に乗せた。
再び拍手と歓声に包まれる中、トリスタンはもっと楽しそうな顔になり、腕を組んだ。
「それで? 勝者の願いはどうする?」
「決まっています。カガミをここへ……」
すでに分かっていたのか、トリスタンが手を挙げると、カガミが場内に入ってきた。周囲を見回し、観客に囲まれている状況に不安そうな顔をしていたが、目が合うと泣きそうな顔で笑った。
「よかった……怪我がなくて……本当に……、優勝おめでとうございます」
「君のおかげだ。カガミ、君が勇気をくれたから、ここに立つことができた。だから勝利は、君に捧げる」
「えっ……」
アレクサンドルは自分の頭から冠を外し、カガミの頭に乗せた。カガミの目が大きく開かれる。前髪を留めたから、表情が分かりやすくなって嬉しい。
「え……どうして……こんな……」
「好きだ」
カガミはもっと目を開き、アレクサンドルを見つめてくる。大きな黒い瞳に、自分が映っているのが見えて、アレクサンドルは微笑んだ。
「行かないでくれ。それが言いたかった。俺の側にいて欲しい」
「だっ……だって、友人って……そもそも、私達は契約で……」
「始まりはそうだった。けれど、君に惹かれてしまった。上手い言葉を言えなくてすまない。好きなんだ。愛している」
「えっ、えっ、嘘……ええ!?」
まだ信じられないという顔のカガミを、アレクサンドルは抱きしめて持ち上げる。会場にキャーっという声が響いた。
「勝者の望みはこれだ」
アレクサンドルはカガミの首の後ろに手を当て、自分の方に引き寄せる。目を閉じて、カガミの唇に自分の唇を当てた。
柔らかい。
想像以上に柔らかい感触と、眼鏡が肌に当たり邪魔だと感じる。
「勝利のキス、これで望みは叶えられた。アレクサンドルに拍手を!」
トリスタンが空高く声を上げると、歓声と拍手に包まれる。まるで酒を飲んだ時のような高揚感、たくさんの人に称賛される感覚は、今まで味わったことがない。
こんな気持ちだったのかと、アレクサンドルは、やっと明るいところに出られたように思えた。
割れんばかりの拍手は鳴り止まず、勝者であるアレクサンドルの名を呼ぶ声はいつまでも続いた。
◇◇◇
「こんな所にいたのか?」
パーティー会場の熱気に酔ってしまい、カガミは一人、会場が望める二階の椅子席に座っていた。天井のステンドグラスが綺麗だなと眺めていたら、今日の主役であるアレクサンドルがやってきた。
「ちょっと疲れてしまって。アレクサンドル様は大丈夫ですか? みんな話したいと列を作っていましたよね」
「ああ、祝勝会と言っても、みんな飲んで騒ぎたいだけだ。おめでとうは聞き飽きたし、俺の役目はもう終わった」
そう言ってアレクサンドルはタイを緩めながら、カガミの隣に座る。
魔法剣術大会が終わり、そのまま祝勝会に突入したので、ろくに話す時間がなかった。あの熱烈な告白の後なので意識してしまい、頬が熱くなる。
「改めてお礼を言うよ。大変だっただろう。あんな応援を用意してくれて、驚いたし、嬉しかった。おかげで力が漲ってきたんだ」
「私だけの力では……、でも喜んでくれて良かったです」
「しかし、あの横断幕だけはいただけない。あの似顔絵は俺か?」
「そうですよ。私が絵師にカッコ良く描いてくれと依頼を」
「うぅ……、あれはさすがに恥ずかしい……なんで上半身裸なんだ」
「強そうに見えるからです。そんなイメージが湧いて……」
カガミの中で、強そうな宣伝といえば、プロレスが思い浮かんでしまい、気づいたらそのイメージで作っていた。今回の趣旨から外れてしまったようだ。
「でも、恥ずかしがることないですよ。本人の方がもっとカッコいいですから」
カガミが胸を張ってそう言うと、アレクサンドルはますます赤くなり、照れた表情になる。
「カガミ、お前に言われると、もっと恥ずかしくなる」
「何でですか?」
「当たり前だろう。好きなやつに言われたら、嬉しくて胸が高鳴る」
揶揄うつもりで聞いてみたが、真っ直ぐに打ち返され、カガミはゴクリと唾を飲み込む。
「愛している、カガミ」
「わっ……」
アレクサンドルにぐっと手を掴まれ、顔が間近に迫ってくる。
「ずっと言いたかったが、情けないままの自分では言えなかった。まだ万全の状態とは言えないが、必ず成功してお前を幸せにする。帰るなんて言うな。ずっと側にいてくれ」
「ちょっ、待って、話を……」
「返事は? 少しでもいい、俺を好きな気持ちがあるならそれで十分だ。お願いだから、ここにいると約束を……」
「待って、待ってください。熱が、凄すぎる」
あまりの勢いに後ろに下がるが、ぐいぐい迫られて、カガミは椅子から落ちそうになる。こちらの世界の人は、こんなに愛情表現がストレートなのだろうか。心臓が壊れそうだ。
「き、聞いてください。お、俺はアレクサンドル様のファンで……」
「お、私から俺になったな。それは良いが、いい加減、その呼び方はやめてくれ。アレクだ」
「だから、そのアレク、様のファンなんです。ファンたるもの、節度は守るべきと心掛けてきたのです。それは……添い寝していただけた時は、めちゃくちゃ嬉しくてたまらなかったですけど、でもファンとしてはですね、自分だけ特別になるには……」
「だから何だ? 俺が許可しているんだ。何も問題はない」
「問題はっ、な…………ないですね」
それを聞いたアレクサンドルはニヤリと笑った。この国で一番強い男だ。勝てるわけがない。
「そういう頭の固いところも可愛いんだが……」
「かわいい? や、やめてくださ……」
「そろそろ、言ってくれないか? カガミの返事は?」
ついに窓に体を押しつけられる形になり、逃げるつもりなどないが、逃げ場がなくなる。
こんな想いを抱いてはいけない。
ブレーキをかけていたが、緩めた途端、溢れ出してきた。
「好き……です」
「俺も好きだ」
待っていたかのように、唇が重なる。
二度目だけど、一度目は緊張と興奮でよく分からなかった。今は分かる。柔らかくて、硬くなって、ウネウネして……。
「わぁぁ、し、舌が……」
「口を吸っているんだ。当たり前だろう」
「待ってくださ……息はどこで……」
「鼻でしろ」
「だっ、だって俺の鼻息が、アレク様にかかるなんて」
「うるさい、もう何も考えられなくしてやる」
「だっ……うゔぅ……!!」
アレクサンドルの口付けの勢いが強すぎて、歯がぶつかってしまうが、お構いなしにジュルリと舐められる。どうすればいいか、奥で引っ込んでいた舌を絡め取られ、口内で生き物のように絡め合う。
推しに鼻息なんてかけられないと思っていたが、苦しくなって少しずつ鼻から息を吸った。
それでも興奮が重なり酸欠になりそうで、唇を強く吸われる度に意識が薄れてしまう。
「あっ……んっ…………ふっ……ん……んっく……」
「もっと、舌を出せ。なんて甘いんだ。腹の奥まで入れたくなる」
「ひっ……んんっ……ああっ」
激しい口付けで頭がいっぱいなのに、アレクサンドルは服の上から胸を弄ってくる。平らな胸など触って何が楽しいのかと思うのだが、アレクサンドルは興奮したように下半身を押し付けてきた。
「んんっ!」
「ただでさえ魔力が空になると、性欲が増すんだ。好きなやつとこんなことをして、我慢できるはずがない」
「だめ……だっ、ダメです。こんな所……人が……」
「大丈夫だ。みんなパーティーに夢中でこちらまで来ない」
すぐ下の階では、トリスタンから異世界部のみんなまで揃い、楽しく飲んでいるはずだ。音楽が聞こえ、みんなが歌い踊っている様子が伝わってくる。
そんな中で、こんなことをして……。
恥ずかしいけど、胸が余計に高鳴るのは何故だろう。
「俺の膝に乗ってくれ、そうだ……これで……」
「えっ……えっ、ちょっと……」
アレクサンドルに手を引かれ、彼の膝に乗ると、ズボンの前を開けられてしまう。直視できず慌てているうちに、アレクサンドルは自分のモノを取り出し、カガミのとピタリと合わせてきた。
「カガミのも……硬くなってきたな……」
「だっ……だって……」
こんな所でだめだと思うのに、身体中の血が下半身に集中する。ドクドクと心臓が高鳴り、ソコはあっという間に大きくなった。
「…………浴場の時も思ったが、カガミのココはやけに立派だな」
「へ? そ、そんな……人と比べたことなんて……マナーですから銭湯でも見ないようにしてましたし……」
「でも、アレク様の方が大き……んんっ」
敏感なところを擦られて、変な声が出てしまう。階下は賑やかだが、誰かに聞かれてしまいそうだ。
「宝の持ち腐れとはまさに……、いや、でもこれは、俺だけが愛でることができるから、俺の宝には違いない」
「へ? 何を仰って……?」
「いや、可愛いと思って」
アレクサンドルは、訳の分からないことを一人で言って納得している。何のことか聞こうとすると、可愛いで誤魔化されてしまった。
「あの、いくら何でも……俺は可愛いの部類ではないかと」
「それがな。色々考えたんだが、小動物のように可愛いも当てはまらない。カガミはカガミだから可愛い」
「はい?」
「いいだろう? 好きなんだ。そうやって、目を細める仕草も、邪魔な眼鏡も、全部可愛い」
「なっ……あっ……ううっ……わぁ……ん……」
耳元で囁かれて、背中にゾクッとした快感が走る。とにかく愛をこれでもかとぶつけてくるアレクサンドルにクラクラしてしまう。
まさに言葉に酔わされ、全身赤くなっていると、アレクサンドルはガッチリと握っていたソコを自分のモノと合わせて擦り始める。
「ああっ……くっ……あ、あ、あぅぅっ」
「蜜が溢れてきたな。こんなに漏らして……気持ちいいのか?」
「ん……す、すご……きも……ちい……」
自分で弄る時の快感とは違う。溢れた先走りで滑りが良くなり、もっと気持ち良くなる。カガミはアレクサンドルの肩に掴まり、必死に声を我慢する。
「んっ……んっ…………んんんっ」
「ああ、たまらない……このままカガミの全てを愛したい……しかし、さすがにここは厳しいな」
気持ち良くて頭が溶けてしまう。二人でキスをしながら夢中で腰を揺らす。
先っぽをぎゅっと掴まれると、カガミは息を吸い込んで背を反らした。
「あっ…くっ、……………んんっ――――っっ!」
ピクピクと全身を震わせ、カガミは白濁を放つ。すると敏感になっているソコを重ね合わせ、今度はアレクサンドルが詰めた声を上げる。
腹に熱い飛沫を感じ、アレクサンドルも達したのだと分かった。
「ぁ……はぁ……ハァハァ……はぁ……」
しばらくお互い荒い息を吐きながら、無言でただ抱き合った。早く汚れを拭き、みんなの元に戻らなければいけない。
そう思うのに、もう離れたくなくて、カガミはアレクサンドルの背中に手を回し、ぎゅっとしがみついた。
それは、アレクサンドルも同じだったようだ。
「もう少しだけ……あと少しだけ……」
アレクサンドルがそう言って手の力を強めてくるので、カガミはうんと答えて彼の柔らかな髪に顔を埋めた。
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