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動乱編
ep97 スケッチ
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「本当に森なんだな......て、当たり前か」
俺を先頭にしてフェエルとエマとミア、四人で前後左右の方向それぞれを注意しながら進んでいく。
イナバのナビゲートで、比較的視界が良好で動きやすそうな場所を選びながら。
「おーいライマス。ちゃんとついてこないとはぐれるし」
一歩遅れてついてくるライマスに向かってエマが声をかけた。
「ガブリエル先生の魔犬に襲われちゃうぞぉ?」
「お、お前だって、戦闘系の能力じゃないんだ。人のこと気にしている場合じゃないだろう。ギャルモンスター」
「あーしはヤソガミに守ってもらうからイイんだよ。てかモンスターって言うなし!」
「な、ならば同じルームメイトのこともヤソガミ氏は守ってくれるはずだ」
「はあ?お前は男だろ?」
「な、なんだ。ギャルのくせに考え方が古いな」
「お前ムカつく!」
彼らの会話を聞いていて、そういえばと思った。
ライマスはどんな魔法を使うんだ?
一度も使ったところを見たことがないし、魔法媒介装置を所持しているのかどうかもわからない。
「なあライマス。訊きたいことがあるんだが」
俺はピタッと立ち止まって振り返った。
「お前の使う魔法って、どんなものなんだ?」
「え?ヤソみんも知らないの?」
先にフェエルが反応する。
「てっきり寮でそういう話をしていてとっくに知っているんだと思った」
「寮でライマスと魔法の話をしたことがない。てゆーか授業の話すらしたこともない」
今になって思えば、ライマスは授業や魔法の話題を意図的に避けていたんだな。
いくら変態のオタクでいつも漫画と美少女の話ばかりしているといっても、ライマスだって魔法学園の生徒。
さすがにちょっと不自然だ。
奴のキャラの濃さで気がつかなかったけど......。
しかし、今は魔術演習の真っ最中。
協力して臨むのであれば、ライマスの魔法についても把握しておきたい。
お互いのためにも。
「で、ライマスはどんな魔法を使うんだ?」
恥ずかしいのか、もじもじと答えにくそうにするライマスへ向かって、意表をつくことをフェエルが口にした。
「ライマスくん。ぼくの使う緑魔法は、ずっと周りからバカにされてきたんだ」
「え?フェエル氏?」
「ライマスくんも、ぼくの魔法をバカにする?」
「し、しない!余は、人の魔法をバカにしたことなどない!」
「ぼくもライマスくんの魔法をバカにしたりしないよ。もちろんヤソみんもミアちゃんも。エマちゃんは...するかも?」
「あ、あーしもしないし!たしかにトッパーたちと一緒にフェエルのことからかっていたけど、魔法のことをバカにしたことはないし!?た、たぶん......」
あわてて否定するエマに、フェエルとミアはくすくすと笑った。
一呼吸置き、俺はライマスに目で問いかけた。
「よ、余の魔法は......」
やっと観念したライマスは、いつもより小さいA5サイズのスケッチブックと鉛筆を見せてきた。
「〔スケッチ〕という魔法で、このクロッキーブックとデッサン用の鉛筆が魔法媒介装置だ」
「それで絵を描くのか?」
「そ、そうだ。こんな感じで......」
ライマスはノートを開いてさらさらとチョウチョの絵を描いた。
すると二次元のチョウチョがかさかさと生き物のように動き出し、ノートからズズッとはみ出してくる。
「ノートから生きたチョウチョが!?」
まもなくノートから飛び出して三次元となったチョウチョは、本物のチョウチョのようにパタパタと宙を舞う。
「スゲーじゃん!」
真っ先にエマが感動した。
もっとも社交辞令を言わなそうな人間が先陣を切ったせいか、思わずライマスは目を丸くした。
「た、たいしたことは...」
頭を掻いて照れるライマスから、魔法のチョウチョが離れていく。
それを興味深く目で追っていたら、イナバにおでこをぺしっと叩かれた。
「なんだよ?」
「小僧!」
イナバの声と同時に、目の前にバッと黒い影が走った。
俺を先頭にしてフェエルとエマとミア、四人で前後左右の方向それぞれを注意しながら進んでいく。
イナバのナビゲートで、比較的視界が良好で動きやすそうな場所を選びながら。
「おーいライマス。ちゃんとついてこないとはぐれるし」
一歩遅れてついてくるライマスに向かってエマが声をかけた。
「ガブリエル先生の魔犬に襲われちゃうぞぉ?」
「お、お前だって、戦闘系の能力じゃないんだ。人のこと気にしている場合じゃないだろう。ギャルモンスター」
「あーしはヤソガミに守ってもらうからイイんだよ。てかモンスターって言うなし!」
「な、ならば同じルームメイトのこともヤソガミ氏は守ってくれるはずだ」
「はあ?お前は男だろ?」
「な、なんだ。ギャルのくせに考え方が古いな」
「お前ムカつく!」
彼らの会話を聞いていて、そういえばと思った。
ライマスはどんな魔法を使うんだ?
一度も使ったところを見たことがないし、魔法媒介装置を所持しているのかどうかもわからない。
「なあライマス。訊きたいことがあるんだが」
俺はピタッと立ち止まって振り返った。
「お前の使う魔法って、どんなものなんだ?」
「え?ヤソみんも知らないの?」
先にフェエルが反応する。
「てっきり寮でそういう話をしていてとっくに知っているんだと思った」
「寮でライマスと魔法の話をしたことがない。てゆーか授業の話すらしたこともない」
今になって思えば、ライマスは授業や魔法の話題を意図的に避けていたんだな。
いくら変態のオタクでいつも漫画と美少女の話ばかりしているといっても、ライマスだって魔法学園の生徒。
さすがにちょっと不自然だ。
奴のキャラの濃さで気がつかなかったけど......。
しかし、今は魔術演習の真っ最中。
協力して臨むのであれば、ライマスの魔法についても把握しておきたい。
お互いのためにも。
「で、ライマスはどんな魔法を使うんだ?」
恥ずかしいのか、もじもじと答えにくそうにするライマスへ向かって、意表をつくことをフェエルが口にした。
「ライマスくん。ぼくの使う緑魔法は、ずっと周りからバカにされてきたんだ」
「え?フェエル氏?」
「ライマスくんも、ぼくの魔法をバカにする?」
「し、しない!余は、人の魔法をバカにしたことなどない!」
「ぼくもライマスくんの魔法をバカにしたりしないよ。もちろんヤソみんもミアちゃんも。エマちゃんは...するかも?」
「あ、あーしもしないし!たしかにトッパーたちと一緒にフェエルのことからかっていたけど、魔法のことをバカにしたことはないし!?た、たぶん......」
あわてて否定するエマに、フェエルとミアはくすくすと笑った。
一呼吸置き、俺はライマスに目で問いかけた。
「よ、余の魔法は......」
やっと観念したライマスは、いつもより小さいA5サイズのスケッチブックと鉛筆を見せてきた。
「〔スケッチ〕という魔法で、このクロッキーブックとデッサン用の鉛筆が魔法媒介装置だ」
「それで絵を描くのか?」
「そ、そうだ。こんな感じで......」
ライマスはノートを開いてさらさらとチョウチョの絵を描いた。
すると二次元のチョウチョがかさかさと生き物のように動き出し、ノートからズズッとはみ出してくる。
「ノートから生きたチョウチョが!?」
まもなくノートから飛び出して三次元となったチョウチョは、本物のチョウチョのようにパタパタと宙を舞う。
「スゲーじゃん!」
真っ先にエマが感動した。
もっとも社交辞令を言わなそうな人間が先陣を切ったせいか、思わずライマスは目を丸くした。
「た、たいしたことは...」
頭を掻いて照れるライマスから、魔法のチョウチョが離れていく。
それを興味深く目で追っていたら、イナバにおでこをぺしっと叩かれた。
「なんだよ?」
「小僧!」
イナバの声と同時に、目の前にバッと黒い影が走った。
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