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動乱編
ep98 戦闘開始
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「!」
即座に俺たちはアルマを構えて臨戦態勢をとる。
黒い影の正体。
言うまでもない。
「ガブリエル先生の〔仮想ゼノ〕だ!」
黒ずんだ魔犬は、やや距離を空けて足を止めた。
口には魔法のチョウチョを咥えている。
はからずも、仮想ゼノをおびき出すためのエサになったかのよう。
「ああ!余の蝶々が!」
ライマスの声むなしく、魔法のチョウチョは魔犬の口の中で砕けて消えた。
グルルル...と唸りながらこちらを窺う魔犬。
ここは特待生の俺が率先して、と思った矢先。
「〔一陣の風〕」
意外なことに、誰よりも先にミアが行動を起こした。
ブワァァァッ!
ミアによって起こされた突風が魔犬をドンッと突き飛ばす。
「ギャウゥッ!!」
まるで車にはねられたように吹っ飛ばされた魔犬が、ズダーン!と後方の木へ強かに打ちつけられた。
凄い。
思わず魔犬よりもミアのことを見てしまう。
彼女はパン切り包丁を振り抜いた姿勢のままで別方向へ視線を転じた。
「ヤソガミくん!まだだよ!」
即座にハッとして周囲を見る。
「魔犬が、さらに三頭?」
新たな魔犬が左右と後方から、グルルル...と一頭ずつ現れた。
今度は一気に三頭。
次こそは特待生の俺が...と思った矢先。
またまた意外な人物が一歩先に行動を起こす。
「〔牽牛花〕」
フェエルの緑魔法によって発生した巨大な朝顔のツルが三方向へむくむくと一挙に伸びていき、魔犬たちの身体にグルグルッと絡まった。
「ヤソみん!」
剪定バサミと朝顔のツタをその手に掴んだままで、フェエルが俺に鋭く視線を投げてきた。
お前が決めろ!という目だ。
すでに俺の右手の指は左手にある御神札へ神の名を走らせていた。
「〔建御雷神〕」
神名を読み上げ、俺の前に現れたのは...剣を携えた武将のような姿の雄々しい男神。
神は閉じられていた瞼を開き、抜刀する。
転瞬、ピカァッ!と眩いばかりの閃光が瞬いた。
ズガァァァンッ!!
雄々しき神の御姿に皆が驚く間もなく、神によって抜かれた剣から四頭の魔犬に向かって落雷の如き雷撃が放たれた。
「ギャァァァッ!!」
凄まじい電撃に歪んだ魔犬たちは断末魔の叫びとともに、黒い塵となってサァーッと滅失した。
「よし!やったぞ!」
我ながら上出来じゃないか?
力の制御もうまくいった。
教室に洪水を起こしたあの日から、俺だって成長したんだ。
「どうだ?みんな!」
ここぞとばかりにドヤ顔を決め込んだ。
雷を行使する建御雷神にはとりわけ自信があったから、それも顔に出てしまっているかもしれない。
なぜ自信があったのか。
その根拠は、ヤソミとして魔法犯罪組織エトケテラと戦った時まで遡る。
あの時、俺はロテスコとかいう奴の雷魔法を全身に浴び続けた。
つまり、雷撃について俺は自らの体で経験しているんだ。
「体で知っている」というのは、魔術における「イメージと集中」に大きく貢献する。
すなわち、魔法の精度を大きく向上させるってことだ!
「......あれ??」
ところがなぜだ?
みんなの反応が芳しくない。
「ええと、ヤソみん......」
「ヤソガミくん......」
フェエルとミアがゆっくりと俺のほうを向き、大きく息を吸った。
俺への賞賛を叫ぶのか?と期待したのも束の間。
「やりすぎだよぉぉぉ!!」
この後、俺はフェエルとミアからこんこんと説明を受けた。
即座に俺たちはアルマを構えて臨戦態勢をとる。
黒い影の正体。
言うまでもない。
「ガブリエル先生の〔仮想ゼノ〕だ!」
黒ずんだ魔犬は、やや距離を空けて足を止めた。
口には魔法のチョウチョを咥えている。
はからずも、仮想ゼノをおびき出すためのエサになったかのよう。
「ああ!余の蝶々が!」
ライマスの声むなしく、魔法のチョウチョは魔犬の口の中で砕けて消えた。
グルルル...と唸りながらこちらを窺う魔犬。
ここは特待生の俺が率先して、と思った矢先。
「〔一陣の風〕」
意外なことに、誰よりも先にミアが行動を起こした。
ブワァァァッ!
ミアによって起こされた突風が魔犬をドンッと突き飛ばす。
「ギャウゥッ!!」
まるで車にはねられたように吹っ飛ばされた魔犬が、ズダーン!と後方の木へ強かに打ちつけられた。
凄い。
思わず魔犬よりもミアのことを見てしまう。
彼女はパン切り包丁を振り抜いた姿勢のままで別方向へ視線を転じた。
「ヤソガミくん!まだだよ!」
即座にハッとして周囲を見る。
「魔犬が、さらに三頭?」
新たな魔犬が左右と後方から、グルルル...と一頭ずつ現れた。
今度は一気に三頭。
次こそは特待生の俺が...と思った矢先。
またまた意外な人物が一歩先に行動を起こす。
「〔牽牛花〕」
フェエルの緑魔法によって発生した巨大な朝顔のツルが三方向へむくむくと一挙に伸びていき、魔犬たちの身体にグルグルッと絡まった。
「ヤソみん!」
剪定バサミと朝顔のツタをその手に掴んだままで、フェエルが俺に鋭く視線を投げてきた。
お前が決めろ!という目だ。
すでに俺の右手の指は左手にある御神札へ神の名を走らせていた。
「〔建御雷神〕」
神名を読み上げ、俺の前に現れたのは...剣を携えた武将のような姿の雄々しい男神。
神は閉じられていた瞼を開き、抜刀する。
転瞬、ピカァッ!と眩いばかりの閃光が瞬いた。
ズガァァァンッ!!
雄々しき神の御姿に皆が驚く間もなく、神によって抜かれた剣から四頭の魔犬に向かって落雷の如き雷撃が放たれた。
「ギャァァァッ!!」
凄まじい電撃に歪んだ魔犬たちは断末魔の叫びとともに、黒い塵となってサァーッと滅失した。
「よし!やったぞ!」
我ながら上出来じゃないか?
力の制御もうまくいった。
教室に洪水を起こしたあの日から、俺だって成長したんだ。
「どうだ?みんな!」
ここぞとばかりにドヤ顔を決め込んだ。
雷を行使する建御雷神にはとりわけ自信があったから、それも顔に出てしまっているかもしれない。
なぜ自信があったのか。
その根拠は、ヤソミとして魔法犯罪組織エトケテラと戦った時まで遡る。
あの時、俺はロテスコとかいう奴の雷魔法を全身に浴び続けた。
つまり、雷撃について俺は自らの体で経験しているんだ。
「体で知っている」というのは、魔術における「イメージと集中」に大きく貢献する。
すなわち、魔法の精度を大きく向上させるってことだ!
「......あれ??」
ところがなぜだ?
みんなの反応が芳しくない。
「ええと、ヤソみん......」
「ヤソガミくん......」
フェエルとミアがゆっくりと俺のほうを向き、大きく息を吸った。
俺への賞賛を叫ぶのか?と期待したのも束の間。
「やりすぎだよぉぉぉ!!」
この後、俺はフェエルとミアからこんこんと説明を受けた。
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