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みなに集まってもらったのは他でもない。我の許嫁が元居た国イグラン王国だが、現状調査をした結果、リオンをこっちに連れ出す時に交わした契約とは違う箇所が発見された。よって契約違反として王国を消す。」

会議にはサタンが中心となって話が進められた。
そしてあの日、リオンがいない時に、国王とある契約を結んでいたのだ。


「それは構いませんが、我々は交わした契約とやらを存じ上げないので、まずは契約内容を教えてくれませんか?」

この会議には3名の幹部が出席していた。
今話したのは第1部隊隊長 エルビノ。エルビノは紺の瞳に金色の髪をしている。主に頭脳系である。
無言で話を聞いているのが、第2部隊隊長シャルカ。黄色の瞳で綺麗な銀髪をしている。
そしてもう1人、第3部隊隊長フェル。紫の瞳に明るい茶色の髪をしている。
2人はじっとサタンとエルビノの話を聞いている。

「わかった。まずは契約内容を皆に伝える。伝えたうえで考えてほしい。」

サタンはそう言うと、当時の契約を話し始めた。



時は遡り、魔王襲来の日。
サタンと国王は椅子に座り、生贄(リオン)について話をしていた。
「この度は我がイグラン王国にお越しいただき誠にありがとうございます。」
国王はサタンに媚を売るように、手をすりすりしながら声をかけた。
「あぁ、構わん。」
サタンはそう言うと、周りに目をやった。

この国は活気に満ち溢れているようだな・・・だが、なんだろう。何か違和感を覚える。
この時サタンは何かを感じていたが、リオンが来たことで違和感が何なのかわかることになる。

サタンは生贄(リオン)を連れていくにあたって、国王と契約を結んだ。

ーーーーーーリオンの専属使用人および友人や姉上に手を出さないこと。ーーーーーー

これは今後リオンと暮らしていく上でリオンが気にすることだろうと思ったから提示した。
その言葉を聞いた国王は一瞬苦い顔をした後、また媚を売る表情をして条件を快諾した。




「・・・・・・・ということだ。だが、現在リオンの専属使用人だった者は国王の下で奴隷のように働かされている。それをリオンが知ったらきっと悲しむに違いない。だからお願いだ。我に力を貸してほしい。」
サタンはそう言うと、幹部に向かって頭を下げた。その姿を見た幹部たちは、目を丸くして驚いた表情をしていた。

「サタン様が我々に頭を下げるなんて・・・よっぽどリオン様に惚れているんですね。わかりました。力になりましょう。」
「同じく力になりましょう。」
「あぁ、サタン様の惚れた女が悲しまない為だ。力になろう。」
3人は話を聞いたうえで、サタンの力になることを決めた。

「礼を言う。ではさっそく作戦を立てたいのだが、エルビノ。お前に作戦を考えてほしい。頼めるか?」
サタンは頭脳系第1部隊隊長に作戦を立てるよう指示すると「御意」と快諾した。

「うむ。では今回はこれにて解散。各自作業に戻ってくれ。」
サタンがそう言うと、各自作業に戻っていった。


そしてサタンは、再び王国について調べ物を始めた。
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