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第六章 寒芍薬
酒の肴
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庭園には六角形の大きな机に、志瑞也の希望通りの魚料理が並べられていた。席では既に観玄と朱音が酒を呑み始め、恐らく玄弥の両親と姉か妹らしき者がいるが、ろくな挨拶もしないまま観玄が志瑞也を呼んだ。
「志瑞也っ! 待っておったぞっ、早くこっちに座るのじゃっ」
「あっ、はい! みっ皆さんこんばんはっ、志瑞也ですっ 今日はご馳走になりますっ」
「志瑞也…」
「大丈夫だよ蒼万、失礼のないようにするよ」
「……」
志瑞也は観玄と朱音の間に座る。
「蒼万さんは私と姉上の間にお掛けください」
蒼万は頷き席につく。
「蒼万さん、し志瑞也ぁは、祖父上達に気に入られたみたいですね」
「皆志瑞也に惹きつけられる」
「あっ葵ちゃ…も…」
蒼万がじろっと横目で睨んだことで、玄弥は途中で言うのをやめた。
「蒼万もそのお一人では?」
右隣に座っている玄弥の姉がぽそっと言った。
蒼万は何も言わず酒を呑み始める。
既に少し酔った観玄が、志瑞也に絡み酒を呑ませる。
「どうじゃ? この酒は美味いであろうっ」
「はい! 凄く呑み易いです、まろやかで甘くてこんな美味しいお酒、呑んだことありません。何て名前のお酒ですか?」
観玄は朱音と目配せして、怪しげな笑みを浮かべて言う。
「亀甲縛酒じゃ!」
「ブーッ!」
志瑞也は酒を吹き出す。
「ゴッ…ゴホッ、なっ何て言いました?」
「あらあら志瑞也さん、衣が濡れてしまいましたわよ、んふっ」
「あっ、すみませんっ」
朱音が志瑞也の胸元についた酒を、手拭いでわざとらしく拭き取り、股の間を拭こうとしながら横目でちらっと蒼万を見る。
蒼万はぴくりと片眉を動かす。
「じっ、自分で拭けますからっ、だっ大丈夫ですっ」
志瑞也は慌てて朱音の手を止める。
「これっお前っ、若者を揶揄うでないわいっフハハハハ」
「まぁあなたったらぁ、んふふふふ」
ガタンッ
志瑞也は席から立ち上がる。
「もうっお二人共っ、揶揄わないで下さいよっ」
ガタンッ
「そうですよっ、祖父上に祖母上っ し志瑞也ぁにはちゃんと想い人がいるのですっ そんなことしたら相手に悪いですよ!」
「なんと! どのような女子じゃ志瑞也?」
「まあどのような方ですの?」
席を立ってまで出した玄弥の助け舟には、重い荷物が乗っていた。食い入るように見つめてくる二人は、まるでモモ爺一号二号とそっくりだ。だが、この二人はキャラメルで納得する訳がない。志瑞也が何も言わず黙っているのを見兼ねて、朱音がわざとらしく尋ねる。
「蒼万は、志瑞也さんの想い人はご存じ?」
志瑞也はドキッとして蒼万を見た。
蒼万は志瑞也を見つめながら言う。
「いいえ… 志瑞也、私にも教えてもらおうか?」
蒼万は助け舟ではなくこの二人のお仲間だった。
「ほれ志瑞也っ、蒼万も申しておるではないかっ」
「そうよぉ、どんな方なのぉ?」
朱音は手を伸ばし、志瑞也の鳥の尻尾を指でくるくる回し、蒼万は針を刺す様な眼差しで志瑞也を見つめる。誰も助けてくれず、口の中がカラカラになり、注がれたお酒をぐいっと呑み干した。蒼万の瞳に捉われながら、ゆっくり尋問に答える。
「やっ…優しくて…」
「優しいのは良いのう、ふむそれで?」
いつの間にか、全員の注目を浴びていた。
「あっ…温かくて…」
「あらっ温もりですか? まあ」
朱音が志瑞也の手に持つ空の盃に酒を注ぐ。
「ちっ…力強くて…」
「お主っ、強い女子が好みかっフハハハハ」
「いっいい匂いが…」
蒼万の瞳に耐えられず、目をぎゅっと瞑り酒を一気に口に含む。
「まあ、その方を抱いたことがありますの?」
「ブーッ! ゴホッ、えっ? そっそんなっ、ゴホッ、そんなことっ…」
二度目の酒を吹き出し、顔を横に振りながら慌てふためく。
「父上っ、母上っ、もうそれぐらいにして下さいっ」
「お二人共はしゃぎすぎですよ」
見兼ねた玄弥の両親が止めに入った。
「すまない志瑞也、私達では飽きてしまい揶揄い甲斐がなく、そなたに絡んでしまっただけだ、私からお詫びするよ」
真面目そうな玄弥の父が困った顔をした。
「いいえ、歓迎していた…だ…」
(…あれ?)
「もぉこれからでしたのよ、んふふふふ」
「これからじゃったのうフハハハハハ」
「らいじょぶ…れす…」
(皆が、いっぱい……)
「志瑞也ー!」
遠くで微かに、蒼万の声がした。
「私達は今夜はこれで下がらせてもらいます。夕餉まで頂き、ありがとうございました」
蒼万は志瑞也を横に抱えたまま、軽く会釈する。
「蒼万悪かったな、部屋に果実でも運ばせようか?」
「いいえ、今日はもうこのまま休みたいと存じます。お気遣い感謝いたします」
蒼万は志瑞也を連れて客室に戻って行く。
「父上っ、母上っ お戯が過ぎますぞっ! 客人を揶揄い酒を呑ませて潰すなどっ、恥ずかしいと思われないのですかっ‼︎ だから他神家の者達はこちらに来たがらないのですぞっ」
息子に叱られ、朱音は悲しい顔で観玄に体を擦り寄せて言う。
「清玄そんなに怒らなくたってぇ…だってねぇあなた、蒼万がとても大事にしているから…」
「そうじゃったか? 志瑞也は面白いのう…」
二人は見つめ合う。
「フッフハハハハ」
「んっんふふふふ」
清玄は呆れて何も言う気になれず、額に手をあて溜息を吐いた。
「し志瑞也ぁ、大丈夫かな? 私見てきますっ‼︎」
「やめときなさい玄弥」
小さな口でぽそっと言った。
「姉上…」
「行ったらあなた、馬に蹴られるわよ」
玄弥の姉は「クスッ」と笑いながらも、蒼万の席の盃に割れ目が入っているのを見ていた。玄弥はその意味が分からなかったが、姉が言うならと席に戻る。騒がしい玄武家の宴会は、観玄と朱音の酒の肴に、志瑞也がなっただけだった。
「志瑞也っ! 待っておったぞっ、早くこっちに座るのじゃっ」
「あっ、はい! みっ皆さんこんばんはっ、志瑞也ですっ 今日はご馳走になりますっ」
「志瑞也…」
「大丈夫だよ蒼万、失礼のないようにするよ」
「……」
志瑞也は観玄と朱音の間に座る。
「蒼万さんは私と姉上の間にお掛けください」
蒼万は頷き席につく。
「蒼万さん、し志瑞也ぁは、祖父上達に気に入られたみたいですね」
「皆志瑞也に惹きつけられる」
「あっ葵ちゃ…も…」
蒼万がじろっと横目で睨んだことで、玄弥は途中で言うのをやめた。
「蒼万もそのお一人では?」
右隣に座っている玄弥の姉がぽそっと言った。
蒼万は何も言わず酒を呑み始める。
既に少し酔った観玄が、志瑞也に絡み酒を呑ませる。
「どうじゃ? この酒は美味いであろうっ」
「はい! 凄く呑み易いです、まろやかで甘くてこんな美味しいお酒、呑んだことありません。何て名前のお酒ですか?」
観玄は朱音と目配せして、怪しげな笑みを浮かべて言う。
「亀甲縛酒じゃ!」
「ブーッ!」
志瑞也は酒を吹き出す。
「ゴッ…ゴホッ、なっ何て言いました?」
「あらあら志瑞也さん、衣が濡れてしまいましたわよ、んふっ」
「あっ、すみませんっ」
朱音が志瑞也の胸元についた酒を、手拭いでわざとらしく拭き取り、股の間を拭こうとしながら横目でちらっと蒼万を見る。
蒼万はぴくりと片眉を動かす。
「じっ、自分で拭けますからっ、だっ大丈夫ですっ」
志瑞也は慌てて朱音の手を止める。
「これっお前っ、若者を揶揄うでないわいっフハハハハ」
「まぁあなたったらぁ、んふふふふ」
ガタンッ
志瑞也は席から立ち上がる。
「もうっお二人共っ、揶揄わないで下さいよっ」
ガタンッ
「そうですよっ、祖父上に祖母上っ し志瑞也ぁにはちゃんと想い人がいるのですっ そんなことしたら相手に悪いですよ!」
「なんと! どのような女子じゃ志瑞也?」
「まあどのような方ですの?」
席を立ってまで出した玄弥の助け舟には、重い荷物が乗っていた。食い入るように見つめてくる二人は、まるでモモ爺一号二号とそっくりだ。だが、この二人はキャラメルで納得する訳がない。志瑞也が何も言わず黙っているのを見兼ねて、朱音がわざとらしく尋ねる。
「蒼万は、志瑞也さんの想い人はご存じ?」
志瑞也はドキッとして蒼万を見た。
蒼万は志瑞也を見つめながら言う。
「いいえ… 志瑞也、私にも教えてもらおうか?」
蒼万は助け舟ではなくこの二人のお仲間だった。
「ほれ志瑞也っ、蒼万も申しておるではないかっ」
「そうよぉ、どんな方なのぉ?」
朱音は手を伸ばし、志瑞也の鳥の尻尾を指でくるくる回し、蒼万は針を刺す様な眼差しで志瑞也を見つめる。誰も助けてくれず、口の中がカラカラになり、注がれたお酒をぐいっと呑み干した。蒼万の瞳に捉われながら、ゆっくり尋問に答える。
「やっ…優しくて…」
「優しいのは良いのう、ふむそれで?」
いつの間にか、全員の注目を浴びていた。
「あっ…温かくて…」
「あらっ温もりですか? まあ」
朱音が志瑞也の手に持つ空の盃に酒を注ぐ。
「ちっ…力強くて…」
「お主っ、強い女子が好みかっフハハハハ」
「いっいい匂いが…」
蒼万の瞳に耐えられず、目をぎゅっと瞑り酒を一気に口に含む。
「まあ、その方を抱いたことがありますの?」
「ブーッ! ゴホッ、えっ? そっそんなっ、ゴホッ、そんなことっ…」
二度目の酒を吹き出し、顔を横に振りながら慌てふためく。
「父上っ、母上っ、もうそれぐらいにして下さいっ」
「お二人共はしゃぎすぎですよ」
見兼ねた玄弥の両親が止めに入った。
「すまない志瑞也、私達では飽きてしまい揶揄い甲斐がなく、そなたに絡んでしまっただけだ、私からお詫びするよ」
真面目そうな玄弥の父が困った顔をした。
「いいえ、歓迎していた…だ…」
(…あれ?)
「もぉこれからでしたのよ、んふふふふ」
「これからじゃったのうフハハハハハ」
「らいじょぶ…れす…」
(皆が、いっぱい……)
「志瑞也ー!」
遠くで微かに、蒼万の声がした。
「私達は今夜はこれで下がらせてもらいます。夕餉まで頂き、ありがとうございました」
蒼万は志瑞也を横に抱えたまま、軽く会釈する。
「蒼万悪かったな、部屋に果実でも運ばせようか?」
「いいえ、今日はもうこのまま休みたいと存じます。お気遣い感謝いたします」
蒼万は志瑞也を連れて客室に戻って行く。
「父上っ、母上っ お戯が過ぎますぞっ! 客人を揶揄い酒を呑ませて潰すなどっ、恥ずかしいと思われないのですかっ‼︎ だから他神家の者達はこちらに来たがらないのですぞっ」
息子に叱られ、朱音は悲しい顔で観玄に体を擦り寄せて言う。
「清玄そんなに怒らなくたってぇ…だってねぇあなた、蒼万がとても大事にしているから…」
「そうじゃったか? 志瑞也は面白いのう…」
二人は見つめ合う。
「フッフハハハハ」
「んっんふふふふ」
清玄は呆れて何も言う気になれず、額に手をあて溜息を吐いた。
「し志瑞也ぁ、大丈夫かな? 私見てきますっ‼︎」
「やめときなさい玄弥」
小さな口でぽそっと言った。
「姉上…」
「行ったらあなた、馬に蹴られるわよ」
玄弥の姉は「クスッ」と笑いながらも、蒼万の席の盃に割れ目が入っているのを見ていた。玄弥はその意味が分からなかったが、姉が言うならと席に戻る。騒がしい玄武家の宴会は、観玄と朱音の酒の肴に、志瑞也がなっただけだった。
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