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霧の魔

要塞機とヴィニア

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「だそうですよ。フウアさん」
「この忙しい時にいい度胸ですね。あ・な・た」

 建物の陰に隠れていたフウアさんが詰所の中に入ってきた。実は会議室から一緒に来ていたのだ。
シフさんの物言いに激怒した彼女の表情はまるで般若、頭には鬼の角が見える。
それを見たシフさんは酷く狼狽している。


「フウア!違うんだ!話を聞いてくれ」
「言い訳は結構です!」

 隊員たちは見て見ぬ振りをしているが、それは許されなかった。
彼を匿っていた彼らも同罪だからだ。怒りの矛先は彼らにも向いた。


 全員から助けを求める視線を感じたが、巻き込まれるのは御免。
無視して、詰所の外に出た。
 女の人って怒ったら怖いよね。
僕のお母さんもお婆ちゃんも怒ったらとても怖い。それはユラさんも同じ。
危険な実験をして何度も怒られている。


 フウアさんの怒りは心配の気持ちから出ている怒りだから、彼らは甘んじて受け入れるべきだ。
その後、シフさん達怪我人は医務室に縛り付けられ、脱走に協力していた隊員は二度と協力出来ないように、医務室から離れた場所に配置されることになった。自業自得だ。
 
 
 シフさんのことを済ませたから、次はマカラさんに会いに行く。
そろそろデータの解析が終わっているだろう。
 研究員たちがいる建物を訪れたが、マカラさんはいなかった。
席を外しているようだ。


 研究員は他にもいるので、手が空いてそうな人を捕まえて話を聞いた。
データの分析は終了しており、今はそれをまとめる作業をしているそうだ。
結果を軽く聞いてみると、事態の打開の目処が立ったらしい。
 作業の邪魔しちゃ悪い。大人しく報告を待とう。


 そろそろガーディフォースで最前線に向かうことにした。
霧の侵食によって、最前線は港の近くまで下がっているため、到着に時間は掛からなかった。
 最前線には多くのファルシュがいた。
飛行不能のためどの機体も砲戦仕様に変更されており、霧の中から飛び出してくるモンスターを討伐している。


 レーダーを頼りに紅霞がいる場所まで行く。
ユラさんたちがいるのは、砲戦仕様の機体よりも霧に近い場所。
 そこに行くと、ユラさんは戦闘中だった。
敵はオークだ。一人で三体のオークを同時に相手していた。
斧持ちが二体と棍棒と盾持ちが一体だ。


 多対一でも心配はない。
ユラさんはオークを完全に翻弄している。
 ユラさんは斧の一撃を紙一重で躱すと、一体のオークの片足を斬り落とした。
片足を失ったオークは地面に倒れた。あとはトドメを刺すだけだった。


 残りの二体のオークがそれを妨害しようと、紅霞の前に立ち塞がった。
彼女一人でも大丈夫だけど、援護する。
 援護を試みようとしたら、盾持ちのオークが吹き飛んだ。
盾は大穴が開き、盾としてはもう使えそうになかった。オークはまだ辛うじて生きているが、瀕死だ。
紅霞の武装にそんなことが出来る物はない。


 射線を辿るとそこにはシルフフォートレスがいた。
あれの砲撃だろう。

「援護は必要ないかな?」

 あの二機ならこの状況を簡単に切り抜けれるだろう。
でも、何もしないのは気が引ける。
 シザーアームズを射出し、ダメージが少ないオークを攻撃する。
首を狙ったが、逸れてしまい、ハサミが肩に掠った。
 シザーアームズは掠っただけだが、肩に大きな裂傷できた。
オークは悲鳴を上げると、斧を落とした。


 その隙をユラさんは見逃さない。
背後から近づき、オークの首を落とした。
後は手負いのオークだけ。一体はユラさんが、もう一体はフォートレスが倒した。


『ありがとう。助かったよ』
「二人でも大丈夫だったでしょ」
『当たり前だもん』

 ユラさんと通信していると、ヴィニアさんが割り込んできた。

『ヴィニアちゃん。そんなこと言ったら駄目よ』
『だって、事実だもん』
『怒るよ。謝りなさい』
『……ごめんなさい』

 ユラさんとヴィニアさんがいつの間にか仲良くなっていた。
さっきの戦闘の連携は中々様になっていた 何度も共闘してそれで仲良くなったんだろう。
 生命力レーダーに反応。新しい敵だ。

「気にしてないからいいよ。それより敵だよ。多いから気を付けて」
『ラジャー』
『こっちには反応がないけど』
「この機体のレーダーは特別なんだ。早く態勢を整えて」

 ヴィニアさんは異議を唱えたが、ユラさんの説得によって、彼女も態勢を整えた。


 僕もアシュラの中から可変アサルトユニットを取り出し、大剣に変形させた。
これだけなのはガンユニットは残弾に、シールドは強度に不安があるからだ。
 霧の中から現れたのはゴブリンだった。
雑魚だけど、数は多く、30体以上いる。
ちゃんとした武装をしているタイプで、ボロボロだが剣や斧などを持っていた。


 霧から現れた瞬間、フォートレスが先制攻撃が仕掛けた。
それにより先頭にいたゴブリンは全滅。後ろにいたゴブリンの一部にも被害が出ている。
 紅霞と共に突撃。
残ったゴブリンたちを始末していった。
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