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霧の魔
脱走
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学校から帰宅すると、いつものようにコスモス・リバイブにログインした。
ログインして、すぐにデバイスから呼び出し音が鳴った。
確認すると、デバイスにメッセージが届いていた。ユラさんからだ。
ユラさんはすでにログインしているそうで、紅霞に乗って最前線に向かうと書かれていた。
ガーディフォースの整備は終わっているので、僕も前線に行こう。
その前に島の状況の確認。これをしないとどう動いていいか分からない。
外に出ると、治安維持隊の人がいた。
この人の事はよく知らない。普段は港に駐在している隊員で、二回ぐらいしか顔を合わせたことがない。
丁度いいので、彼に援軍の到着などの今の状況を聞いた。
それによると、プレイヤーはまだ到着していないそうだ。
機体の積み込みが予想以上に時間が掛かってしまい、ルドフィーからの出発が遅れているそうで、今日の朝、ようやく出発したらしい。
船は増設ブースターを取り付けたFA4より遙かに遅いため、今日中に到着することはない。
明日の朝から昼ぐらいの間に到着するはずだ。
彼と別れ、シフさんの様子を見に医務室へ。
「まったく、あの男どもは!」
医務室の扉の前で男性が激怒していた。
彼はシフさん達の治療をしていたお医者さんだ。
「どうしたんですか?」
「おお!スワロさんか。聞いてくれ。治安維持隊の男共が脱走したんだ!」
「はあ?」
お医者さんに詳しいことを聞くとシフさんはもう目覚めていた。
ただし彼は医務室にはいない。目覚めた直後から働き始めているらしい。
まだ安静にしてなきゃ駄目なのに、医務室から脱走したそうだ。
そして、それはシフさんだけじゃない。
治療中だったカージスさんとグーリさんも一緒に脱走している。
この二人もまだ安静してなきゃならない。
「もし見つけたら、無理矢理にでも連れ戻してくれ。特にシフ様は絶対安静だ!」
「分かりました」
あの人は一体何をやってるんだろう。
前線に行く前に、見つけ出してベッドに縛り付けよう。怪我人にうろちょろされたら色んな人の迷惑になる。
でも、港は広く、闇雲に探してもおそらく見つからない。
こういう時は聞き込みだ。
まずはフウアさんかライザさんを探そう。
彼女たちなら何か知っているかもしれない。
フウアさんは会議室、ライザさんはファルシュの下で整備をしているだろう。
ここから近いのは会議室だから、まずはそちらに向かう。
「援軍の受け入れの準備はどうなってますか?」
「仮設のテントを設営済みです。間に合わせですが、ないよりましでしょう。宿泊場所などの数に不安があります」
「では、使えそうな民間の建物は全て接収してください」
「すでに多くの物は接収してますが?」
「まだあります。例外なく全て接収しなさい。私が許可します」
会議室に入ると、フウアさんは忙しなく仕事をしていた。
多くの人が彼女の指示を聞きに来ており、話しかけれそうにない。
諦めて、ライザさんの方に行こう。
会議室を後にしようとしたら、フウアさんがこちらに気付き、向こうから話しかけてもらえた。
「どうかしたんですか?」
「シフさんの居場所を知りませんか?」
「医務室のはずですが」
「脱走したんです」
「何ですって?」
あっ。滅茶苦茶怒っている。
「あの人は散々人に迷惑を掛けておいて」
凄く怖い。怒りのオーラを見た会議室にいる全ての人間が、彼女から一歩距離取った。
「どこにいるかは私も分かりません。少なくとも私の目の届く範囲には来てませんよ」
「そうですか」
「ですが、場所は分かります」
「本当ですか?」
「ええ。今の港で私の目の届かない場所なんて限られてますから」
フウアさんに教えられたのは治安維持隊の詰所だ。
仮眠を取っている隊員がいるはずなのに、なぜか鍵が掛かっているようで、扉が開かない。
でも、確かに中から人の気配がする。
「シフさん!いるんですか!」
扉をロックしても、声を掛けても返事がなかった。よし蹴破ろう。大丈夫、許可は貰っている。
僅かに助走を付けて、思いっきり扉を蹴った。
扉は金属製で頑丈に作られていたため、一撃では壊れず、扉は少し歪むだった。
もう一度、今度はさっきよりも助走を付けてから攻撃をした。
二発目は受けた扉はくの字に折れ曲がる。
トドメの三発目で扉は完全に壊れた。
中には唖然とした顔のシフさん達怪我人三人衆と、休憩中の隊員がいた。
テーブルの上には島の地図が広げられている。地図には矢印や文字を書き込まれていた。
たぶん、森への進軍ルートを決めていたんだろう。
「見つけましたよ。何をやっているんですか」
「作戦会議中だよ」
「医務室に戻ってください。お医者さんが怒ってましたよ」
「皆が働いている時に休んでなどいられない。あの人には上手く伝えておいてくれないか」
「大人しく言うことを聞いておいた方が自分の為ですよ」
「くどい!私はやることがあるんだ!帰りなさい!」
他の隊員もシフさんを支持しているようで、僕を詰所からつまみ出そうと動き始めた。
あーあ。素直に戻れば良かったのに。
ログインして、すぐにデバイスから呼び出し音が鳴った。
確認すると、デバイスにメッセージが届いていた。ユラさんからだ。
ユラさんはすでにログインしているそうで、紅霞に乗って最前線に向かうと書かれていた。
ガーディフォースの整備は終わっているので、僕も前線に行こう。
その前に島の状況の確認。これをしないとどう動いていいか分からない。
外に出ると、治安維持隊の人がいた。
この人の事はよく知らない。普段は港に駐在している隊員で、二回ぐらいしか顔を合わせたことがない。
丁度いいので、彼に援軍の到着などの今の状況を聞いた。
それによると、プレイヤーはまだ到着していないそうだ。
機体の積み込みが予想以上に時間が掛かってしまい、ルドフィーからの出発が遅れているそうで、今日の朝、ようやく出発したらしい。
船は増設ブースターを取り付けたFA4より遙かに遅いため、今日中に到着することはない。
明日の朝から昼ぐらいの間に到着するはずだ。
彼と別れ、シフさんの様子を見に医務室へ。
「まったく、あの男どもは!」
医務室の扉の前で男性が激怒していた。
彼はシフさん達の治療をしていたお医者さんだ。
「どうしたんですか?」
「おお!スワロさんか。聞いてくれ。治安維持隊の男共が脱走したんだ!」
「はあ?」
お医者さんに詳しいことを聞くとシフさんはもう目覚めていた。
ただし彼は医務室にはいない。目覚めた直後から働き始めているらしい。
まだ安静にしてなきゃ駄目なのに、医務室から脱走したそうだ。
そして、それはシフさんだけじゃない。
治療中だったカージスさんとグーリさんも一緒に脱走している。
この二人もまだ安静してなきゃならない。
「もし見つけたら、無理矢理にでも連れ戻してくれ。特にシフ様は絶対安静だ!」
「分かりました」
あの人は一体何をやってるんだろう。
前線に行く前に、見つけ出してベッドに縛り付けよう。怪我人にうろちょろされたら色んな人の迷惑になる。
でも、港は広く、闇雲に探してもおそらく見つからない。
こういう時は聞き込みだ。
まずはフウアさんかライザさんを探そう。
彼女たちなら何か知っているかもしれない。
フウアさんは会議室、ライザさんはファルシュの下で整備をしているだろう。
ここから近いのは会議室だから、まずはそちらに向かう。
「援軍の受け入れの準備はどうなってますか?」
「仮設のテントを設営済みです。間に合わせですが、ないよりましでしょう。宿泊場所などの数に不安があります」
「では、使えそうな民間の建物は全て接収してください」
「すでに多くの物は接収してますが?」
「まだあります。例外なく全て接収しなさい。私が許可します」
会議室に入ると、フウアさんは忙しなく仕事をしていた。
多くの人が彼女の指示を聞きに来ており、話しかけれそうにない。
諦めて、ライザさんの方に行こう。
会議室を後にしようとしたら、フウアさんがこちらに気付き、向こうから話しかけてもらえた。
「どうかしたんですか?」
「シフさんの居場所を知りませんか?」
「医務室のはずですが」
「脱走したんです」
「何ですって?」
あっ。滅茶苦茶怒っている。
「あの人は散々人に迷惑を掛けておいて」
凄く怖い。怒りのオーラを見た会議室にいる全ての人間が、彼女から一歩距離取った。
「どこにいるかは私も分かりません。少なくとも私の目の届く範囲には来てませんよ」
「そうですか」
「ですが、場所は分かります」
「本当ですか?」
「ええ。今の港で私の目の届かない場所なんて限られてますから」
フウアさんに教えられたのは治安維持隊の詰所だ。
仮眠を取っている隊員がいるはずなのに、なぜか鍵が掛かっているようで、扉が開かない。
でも、確かに中から人の気配がする。
「シフさん!いるんですか!」
扉をロックしても、声を掛けても返事がなかった。よし蹴破ろう。大丈夫、許可は貰っている。
僅かに助走を付けて、思いっきり扉を蹴った。
扉は金属製で頑丈に作られていたため、一撃では壊れず、扉は少し歪むだった。
もう一度、今度はさっきよりも助走を付けてから攻撃をした。
二発目は受けた扉はくの字に折れ曲がる。
トドメの三発目で扉は完全に壊れた。
中には唖然とした顔のシフさん達怪我人三人衆と、休憩中の隊員がいた。
テーブルの上には島の地図が広げられている。地図には矢印や文字を書き込まれていた。
たぶん、森への進軍ルートを決めていたんだろう。
「見つけましたよ。何をやっているんですか」
「作戦会議中だよ」
「医務室に戻ってください。お医者さんが怒ってましたよ」
「皆が働いている時に休んでなどいられない。あの人には上手く伝えておいてくれないか」
「大人しく言うことを聞いておいた方が自分の為ですよ」
「くどい!私はやることがあるんだ!帰りなさい!」
他の隊員もシフさんを支持しているようで、僕を詰所からつまみ出そうと動き始めた。
あーあ。素直に戻れば良かったのに。
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