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【46話】

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 浴室で磨きに磨かれた私は現在青のイブニングドレスを着ています。
 胸元と背中がこんなに空いてるドレスなんて初めてです。
 いつもドレスでも社交界のどの人よりも地味で露出の無いドレスを着ていましたから。
 しかもばっちりヘアメイクされるのも初めてです。
 鏡に映った自分を見て私は驚きました。

 鏡の中には戸惑った顔の、青のドレスを着た美女が居ました。

 私はどうやら自分で想像していたより美人だったようです。
 地上に居たころから母親に似て綺麗だとは言われていましたが、私は家族に鏡を見るのを止められていますした。
 なので唯一残っていた小さな母の肖像画を見て、私も何時かこんな風に美しくなれるのかと心に思っていたのです。
 そして今、その肖像画の美女が鏡の中に移り込んでいます。

「綺麗よカノン」

「カンタービレさん」

 私が天界に居た頃に1番お世話になったメイドさんです。
 少しそばかすがありますが、それもチャーミングな同年代の女性です。
 明るくて、天界についたばかりの神様しか信じられなかった心を解きほぐしてくれたのは、カンタービレさんと言っても過言ではありません。
 一緒に甘味巡りに連れて行ってくれたり、私に楽しい生き方と言うのを教えてくれました。
 そのお陰で私の心も解きほぐされ、楽しむ生き方も見いだせました。

 カンタービレさんの存在が無ければ、私は復讐鬼となって、家族に拷問と言う拷問をあたえ、最後に惨たらしく殺していたでしょう。

 私が家族であった人たちにした事も平和的解決ではありませんが、血を見る事態にはなりませんでした。

 だからこうして後ろめたさが無く皇太子様の隣に立つことが出来るのです。
 カンタービレさんには感謝してもし足りないです。

「カノンはこれから皇太子妃になっちゃうねぇ、はぁ、ポリフォニー様が勿体ない………」

 そしてカンタービレさんはポリフォニーのファンでもあります。
 なんでも一目惚れだとか。
 皇太子様と結ばれず、ポリフォニーとして天界に戻って来ていればカンタービレさんと家族になった未来があったかもしれません。
 あくまで”かも”ですが。
 それくらいにはカンタービレさんに私は好意を抱いています。
 これも皇太子様的にはアウトでしょうか?
 あまり話題にしない様にしましょう。

「時々遊びに来ますよ。神様が何時でも遊びに来てよいと仰ってくれましたから」

「じゃぁその時はポリフォニーで来てね!デートしましょう!!」

「皇太子様を上手く撒ければですねぇ」

「やーん楽しみ♡じゃぁ、今日のカノンは皇太子様に譲ってあげるわ仕方ないから」

 何と言うか、”ポリフォニー”はモテすぎじゃないでしょうか?
 ちょっと複雑であります。

「ちゃんとカノンの恋バナも聞いてあげるから、今日は皇太子様をメロメロに篭絡してきなさい!私が磨いただけあって上出来なんだから♫」

「はい、頑張ってきます」

 笑顔で見送ってくれるカンタービレさん。
 本当に私は人に恵まれています。
 そして皇太子様にエスコートしていただくため、私は部屋を出たのでした。
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