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オマケは御使い様になりました
【御使い様のバレンタイン事情】
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カカンの名産は数あれど。
その中で変わり種は紙だろう。
羊皮紙が中心な技術レベルのこの時代で紙の存在は珍しい。
羊皮紙より書きやすいし軽くて柔らかくて持ち歩きやすい。
そして紙は分厚く作ることも出来る。
でもって今回できたのが紙の箱である。
箱にはちゃんと仕切りが入っており、それぞれのスペースに様々な形の茶色の粒が入っている。
そう、チョコレートだ。
カカンはチョコレートを商品化して久しい。
主に王族貴族の献上用などに購入されることが多いが、最近ではカカオとその他の材料の配合率などを変えて、安価なチョコレートも売り出し始めている。
それでも庶民には4人家族の1日の食費くらいはかかる。
まさに今現在カカンで最強のプレゼントの座を勝ち取っているのがチョコレートである。
”女と子供を手懐けるならチョコレートを渡せ”なんて格言が何時の間にか出来たくらいだ。
我らがカカンの美貌の賢王、カグウ様の好物だと言う事も格付けの1つに入っているだろう。
皆が大好きカグウ様。
傍に寄れなくても好きな物を共有したい、そんな気持ちが年頃の女心を擽るのだ。
なので市民勢にも中々にチョコレートは売れているのである。
そして今日。
2月14日。
そうバレンタインだ。
皆にとったら普通の日。
しかし深海や鳴海にとったらバレンタイン牧師撲殺…ではなく愛を告げる日バレンタインデーだ。
当然チョコの用意は完璧だ。
紙の箱に入ったチョコは見てるだけで美しい。
紙も良い紙なのだ。
こじゃれた柄なんかも入っている。
そして1箱5粒のチョコレート。
成人男性の給料1日分とほぼ同額。
だが跳ぶ様に売れる。
男も女も金貨を握り締めてショコラティエに雪崩れ込む雪崩れ込む。
聖女様の時代の愛を語る聖なる日とバレンタインはやたらドラマチックに新年の初めから雇った吟遊詩人たちに、世界各国で歌って来て貰ったのだ。
予算はかなりかかったが、想像以上のハイリターンであった。
まさか大陸の端から端までの国でチョコレートの注文が殺到するとは思わなかったのだ。
カグウ様、大笑いである。
笑いが止まらなくて困るほどだ。
笑う姿も淫靡なもので、その色香に当てられてフラフラと犯罪者予備軍が出現して大変であった。
騎士団の懸命な仕事ぶりが発揮されたおかげで、犯罪にはならなかった。
王宮内で犯罪者が生まれなくて良かった。
1番心配されていたコキョウは犯罪者にはならなかった。
良かった側近が犯罪者にならなくて…。
コキョウはカグウの為に最高のチョコレートを作ると厨房に籠っていたのが功をそうしたらしい。
ちゃんとカグウに献上され、お褒めの言葉を頂いた様だ。
無表情でほわほわしているコキョウを発見して、双子はプレゼントがちゃんと受け取って貰えたことを察してほっとした。
受け取って貰えなければコキョウは首を括っていたかもしれない。
それ程コキョウはバレンタインデーに懸けていたのだ。
何せ堂々と愛を囁いてよい日だ。
コキョウにとってこれ程喜ばしい日も無いだろう。
その日の夕食は何時もより豪華だった。
コキョウが材料費を持ってくれたらしい。
お肉が美味しい。モキュノキュ。
バレンタインは素晴らしい。
双子はそう思った。
これを機に、深海と鳴海は令和時代のイベントをカカンで流行らせていく事になるのだが、それは又別の話しである。
その中で変わり種は紙だろう。
羊皮紙が中心な技術レベルのこの時代で紙の存在は珍しい。
羊皮紙より書きやすいし軽くて柔らかくて持ち歩きやすい。
そして紙は分厚く作ることも出来る。
でもって今回できたのが紙の箱である。
箱にはちゃんと仕切りが入っており、それぞれのスペースに様々な形の茶色の粒が入っている。
そう、チョコレートだ。
カカンはチョコレートを商品化して久しい。
主に王族貴族の献上用などに購入されることが多いが、最近ではカカオとその他の材料の配合率などを変えて、安価なチョコレートも売り出し始めている。
それでも庶民には4人家族の1日の食費くらいはかかる。
まさに今現在カカンで最強のプレゼントの座を勝ち取っているのがチョコレートである。
”女と子供を手懐けるならチョコレートを渡せ”なんて格言が何時の間にか出来たくらいだ。
我らがカカンの美貌の賢王、カグウ様の好物だと言う事も格付けの1つに入っているだろう。
皆が大好きカグウ様。
傍に寄れなくても好きな物を共有したい、そんな気持ちが年頃の女心を擽るのだ。
なので市民勢にも中々にチョコレートは売れているのである。
そして今日。
2月14日。
そうバレンタインだ。
皆にとったら普通の日。
しかし深海や鳴海にとったらバレンタイン牧師撲殺…ではなく愛を告げる日バレンタインデーだ。
当然チョコの用意は完璧だ。
紙の箱に入ったチョコは見てるだけで美しい。
紙も良い紙なのだ。
こじゃれた柄なんかも入っている。
そして1箱5粒のチョコレート。
成人男性の給料1日分とほぼ同額。
だが跳ぶ様に売れる。
男も女も金貨を握り締めてショコラティエに雪崩れ込む雪崩れ込む。
聖女様の時代の愛を語る聖なる日とバレンタインはやたらドラマチックに新年の初めから雇った吟遊詩人たちに、世界各国で歌って来て貰ったのだ。
予算はかなりかかったが、想像以上のハイリターンであった。
まさか大陸の端から端までの国でチョコレートの注文が殺到するとは思わなかったのだ。
カグウ様、大笑いである。
笑いが止まらなくて困るほどだ。
笑う姿も淫靡なもので、その色香に当てられてフラフラと犯罪者予備軍が出現して大変であった。
騎士団の懸命な仕事ぶりが発揮されたおかげで、犯罪にはならなかった。
王宮内で犯罪者が生まれなくて良かった。
1番心配されていたコキョウは犯罪者にはならなかった。
良かった側近が犯罪者にならなくて…。
コキョウはカグウの為に最高のチョコレートを作ると厨房に籠っていたのが功をそうしたらしい。
ちゃんとカグウに献上され、お褒めの言葉を頂いた様だ。
無表情でほわほわしているコキョウを発見して、双子はプレゼントがちゃんと受け取って貰えたことを察してほっとした。
受け取って貰えなければコキョウは首を括っていたかもしれない。
それ程コキョウはバレンタインデーに懸けていたのだ。
何せ堂々と愛を囁いてよい日だ。
コキョウにとってこれ程喜ばしい日も無いだろう。
その日の夕食は何時もより豪華だった。
コキョウが材料費を持ってくれたらしい。
お肉が美味しい。モキュノキュ。
バレンタインは素晴らしい。
双子はそう思った。
これを機に、深海と鳴海は令和時代のイベントをカカンで流行らせていく事になるのだが、それは又別の話しである。
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