聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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オマケは御使い様になりました

【カグウ様の身体事情】

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※月の物発言あり
 特殊性別あり
 若干BL風味に見えるかも?
 苦手な方はバックをお願い致します。


「フカミ、何か匂いを誤魔化せる香は無いだろうか?」

「香水でなく?」

「出来るだけ効果が長く続く方が良い。それと匂いも強い方が良い。匂いのキツイ香水は傍に居るものが苦痛だろう?もう少し優しい香りの匂い消しになる物が欲しい」
 
 それは珍しいカグウからのお願いだった。

 現在深海は専用のラボを1室貰っている。
 4畳半ほどの小さなラボだが何か物を作る事前の準備などに役に立つ。
 トイレがあるのも大助かりだ。
 大きいテーブルになんやかんやの資材。
 散乱している紙。

 部屋の隅にあ3人掛けのソファ。
 枕になるクッションと、上布団替わりのブランケットが置いてある。
 何時でも仮眠が取れて深海は満足である。

 偶に籠り過ぎて鳴海に浴場へとドナドナされた上、ラキザの消化に良い手料理が待っていたりするが。
 クロイツから取り寄せている栄養ゼリーだけで食事を済ますからである。
 普段は食べる事が好きな深海だが、一端物事に没頭し始めると駄目だ。
 満足いくまで3代欲望を削りに削って研究に明け暮れる。
 最近では法術国家フォクウンのポーションに興味津々だ。
 何時か自分で作れるようになりたいらしい。
 現在カカンで医療に使われてるのは専ら漢方薬なので、外からの傷に強いポーションは是非とも欲しい物なのだ。

 まぁそんな色気のないラボにカグウが尋ねて来た訳で。
 ビーカーでお茶を出そうか出すまいか悩んでいた深海に言ったのが最初の発言である。

「防臭の魔石は使わないのでしょうか?」

「普段はそうしていたのだがな…疲れている時に安らぐ匂いがすると少し癒される……」

「分かりました。そう言う事なら匂い袋を作ります。顔色も悪いですし、あちらのソファで横になってブランケット被ってて下さい」

「すまないな。小一時間休ませて貰う」

 カグウはソファにソコになるとすぐにスヤスヤと寝始めた。
 流石はお値段以上ニ〇リを真似て作ったソファだ。
 寝心地も最高である。

「さて、匂い袋。日本は奈良時代化ら使ってる1000年以上物のアイテムだからな。あるもんで出来るだろう」

 :::

 〇匂い袋の作り方

 匂い袋に使用する香原料は『刻み』で、袋につめる香原料の割合(調合)によってさまざまな香りが作れる。
 製作に必要な材料・道具
 ・香原料(刻み)
 ・布袋
 ・乳鉢またはボウル
 ・スプーン

 ①「材料を入れる」
  香原料を混ぜるための器を準備する。
  調理用のボウルなど、混ぜやすいものであればなんでもOK。
  まずは白檀を入れる。
 ②「香りを確かめる」
  白檀の香りそのものを確かめる。
 ③「単体の匂いを確かめながら、次の香原料を選ぶ」
  白檀の香りを確かめたら、次に入れる香原料を選ぶ。
  器に入れる前に、必ず香原料単体の香りを確かめて覚えていく。
  入れる順番は決まってはいないが、龍脳は香りを全体的に持ち上げる効果があるため最後に入れる。
 ④「よく混ぜる」
  香りを確かめたら器に入れ、色が均等になるまでよく混ぜる。
  上から香原料をさらさら落とすように混ぜると香原料が均一によく混ざる。
 ⑤「龍脳を入れる」
  最後に龍脳を入れる。
  龍脳の清涼感のある香りを確かめた後に、器に入れ混ぜる。
 ⑥「混ぜ合わせた香原料を布袋につめる」
  全てを混ぜ終えたら、できあがったものを布袋に詰める。
  布袋の角まで原料が入るようにスプーンなどで少し押し込むといい。
 ⑦「布袋の口を折る」
  口部分を写真の様にW 形にして折る。
 ⑧「紐で縛る」
  W の形を保ったまま、布袋の口から1~1.5cm下の所を紐で縛る。
 ⑨「布袋の形を整えて完成」
  最後に全体の形を整え直し、ふっくらとした巾着型にしたら完成。

 :::

「うん、まぁまぁの出来だな。香木伽羅(きゃら)と香木沈香(じんこう)ならリラックス効果もあるだろう」

 深海はカグウを起こすべくソファに近づいた。
 そして薄っすら香る鉄の臭いに気付いた。
 腹部を温めるようにカグウは手を当てている。
 顔は紙のように真っ白で、額に汗をかいている。

 深海はその汗をハンカチで拭う。

 そしてカグウが何故自分の所に来たかを理解した。
 カカンに来て1年と少し経つが自分はかなりカグウに信頼されているらしい。

「カグウ様、起きれますか?」

「ん、どれくらい寝ていた?」

「20分ほどです。で、この香袋はどうですか?」

 カグウに作りたての香袋を渡す。

「アロマと違う落ち着く香りだな」

「それとコレを」

「?」

「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、漢方薬です。体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴りに効きます」

「気付いたか…」

「気付かれるのが分かっていて来て下さったのでしょう?期待に応えられるように頑張ります。親衛隊の皆様はご存知なんですか?」

「コキョウだけな。あれは生まれた時から一緒に居るから。あとはスティルグマの姉様だけだ」

「成程、コキョウ様の今までの行動も理解できますね。カグウ様に過保護な所、その体の事を知られると政略に使われかねませんからね。これからは俺が未熟ながらも主治医代わりに診させて貰います。今までソチラ方面で医師にかかわった事は無いのですよね?」

「あぁ、全部姉様頼りだ」

「ではこれからは漢方と鍼で体質の改善を促しましょう。下手に人に見られたくないのでラボで見る事になりますが構いませんか?」

「構わない、が、お前受け入れるの速すぎないか?気持ち悪くないのか?」

「両方の性を持っているなんて天使のようで素敵だとは思いますが?」

「時代の差か………?」

「いえ、俺が少々特殊です。でも本当に素敵だと思いますよ?恋する相手が普通の人の倍なんですから。まぁ俺としたらコキョウ様とくっ付いて欲しいです。コキョウ様、本当にカグウ様の事好きですから」

「………あまりコキョウを煽るなよ?調子に乗る」

「ふふ、口外しません。医師として当然です。俺は医師見習いですけどね」

「いや、十分お前は医師として働いてくれている。これからも頑張ってくれ」

「美味しいご飯とお菓子さえあれば」

「安い奴だな。金や宝石は望まんのか?普通の女はそう言ったものが好きだろう?」

「俺は美味しいものが食べれて大好きな皆様の傍において下さるだけで幸せですよ。愛しの半身も居ますしね」

「俺が普通の男だったらお前を口説いていたかもな」

「お褒めの言葉有難うございます。でもそれ、遠回しに女として伴侶を娶ると言っているのと変わりませんよ?」

 ニコッ、と笑う深海の発言を聞いて。
 珍しくも美貌の賢王はポーカーフェイスを忘れて頬を赤く染めるのだった。
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