聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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オマケは御使い様になりました

【賢王様はチョコレートに夢中】

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 チョコレートを作って1週間。
 最近のカグウのお茶のお供は専らチョコレート菓子である。
 相当に気に入ったらしい。

 なので今日のコキョウもチョコ菓子を作る。

「コキョウさん、今日は何を作りますか?」

「まだ作ってないレシピが良い。ナルミは良い提案あるか?」

「ん~それならふーちゃんに聞いた方が良いかも。ふ―ちゃんチョコレート大好きだから」

「ならばフカミを連行するとしよう」

 アドバイスを聞こうではなく”連行しよう”と言う辺りがコキョウらしい。

 そして深海は見事コキョウに捕まった。
 この数日、深海は漢方薬作りに時間を割いていたためすぐに居場所は見つかった。
 コキョウにドナドナされて行く深海をミホクたちがハンカチを振りながら見送ってくれた。
 人間関係何て儚いものである。

 :::

「個人的に意表をつけるならフォンダン・オ・ショコラとかどうですかね?
ちょうど俺も濃厚なチョコ菓子を食べたい気分ですし。
フォンダン・オ・ショコラは「チョコレートが溶ける」という意味のフランス産チョコレートケーキです。
チョコレートケーキの中まで完全に焼かないので、チョコレートケーキが中から溶けだすのが特徴で、割ったら溶けたチョコが出るチョコレートケーキ、それがフォンダン・オ・ショコラです」

 流石の知識量である。
 淀みなく深海はすらすらと蘊蓄を口にする。

「ふーちゃん、レシピの材料の分量分かる?」

「材料(直径18㎝の丸型1台分で、
ク―べルチュール・スイート(55%)120g
ク―べルチュール・スイート(80%)69g
塩バター108g
カカオパウダ39g
卵198g
グラニュー糖135g)
だな。

①ボウルに刻んだ2種類のチョコレートとバターを入れ、湯せんにかけて溶かす。

②別のボウルに卵を溶いてグラニュー糖を入れ湯せんにかけ、人肌くらいになるまで泡立てる。

③②をハンドミクサーの高速で回し(魔術で代用する)、持ちあげるとリボン状に落ちるまで泡立てて、低速に回し、キメを整える。

④①のチョコレートの温度を32~36℃まで冷まし、カカオパウダーを加え混ぜる。

⑤③に④を一度に加え、混ぜ合わせる。ツヤが出るまでしっかり混ぜ合わせる。

⑥型に流し、160℃の予熱を入れたオーブンに入れ20分~25分焼く。

型に入れたまま網にとって冷まし、完全に冷めたらラップフィルムを軽くかけて冷蔵庫に入れ、休ませる」

「地味な見た目だな」

「生クリームでトッピングしたら美味しそうになりますよ」

「ではそうしよう」

 黙々とコキョウが生クリームを泡立て初めた。

「コキョウ様、本当にカグウ様好きだねー♡」

「どう言う感情なのか気になるけど、カグウ様命なのは見ていれば分かるな。んじゃ、俺は研究室に戻るわ。茶の時間には呼んでくれ」

「りょーかい♡」

 そして去っていく深海の背中に手を振りながら、鳴海はケーキに生クリームで飾りつけしているコキョウの手元を見つめていた。

 :::

「さぁカグウ愛を込めて作ったフォンダン・オ・ショコラだ。是非食べてくれ!」

 そして並べられる鮮やかなチョコレートケーキ。

 サクッ

 生地にフォークが突き立てられる。
 切り目から出て来るのは濃厚なチョコレートソースだ。

「「「「「(゚д゚)ウマ―――――――――――!!!!」」」」」

「ナニコレ!?オレは今までチョコレートケーキはスッゴイ美味しいと思った事があんまりなかったけどさ、すんげぇ~旨い~♫チョコレートケーキってこんなに美味しいんだ~~~♪♪♪」

「成程な、薄力粉を一切使わず、熱をギリギリのところで加える事で、外面はサクっ、中はとろけるよな濃厚なショコラに仕上がる、てとこか?」

「すごーいふーちゃん、まさか薄力粉を使っていないのを見破られるとは思わなかったよ」

「チョコレートソースが濃厚なのに後味が爽やかなのは隠し味にオレンジマーマレード使ったか?」

「マーマレードとリキュールを少々だ」

「うん、旨いな。今日のケーキが今までで1番だコキョウ」

「カ、カグウ………♡」

 コキョウがマナーモードになって感激している。

「良かったねふーちゃん」

「ナルの手加えも良かったな。食べたいものが出来たら又ナルに強請るとしよう」

「ふーちゃんのオネダリだったら何でもきくからね♡」

 仲良し双子を見て、カグウも親衛隊たちも温かい目で見つめるのだった。
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