上 下
61 / 161
オマケは御使い様になりました

【御使い様は強くなりたい】

しおりを挟む
「あ~強くなりたい……」

「ふーちゃん、それ以上強くなってどうするの?」

「いやだって、俺より強い人間、この王宮だけで何人いると思う?」

「え~と、ラキザさん、フィルドさん、コキョウさん、クリムゾンさん、魔術師団の副団長さん4人くらい?」

「あ~うん、そんなもん」

「十分じゃない?」

「男は幾つになっても世界最強目指したいもんなの!」

「ふ―ちゃん女の子じゃない」

「女の心は母の胎内に捨てて来た」

「じゃぁ私がそれ持ってきちゃったのかな?」

「ありえそうで怖い…」

「はいはい、変な事言ってないで朝ごはん行くよー。カグウ様待たせる訳にはいかないでしょう?」

「ん、行く」

 朝から馬鹿な会話を少しして、2人はカグウと親衛隊たちがつかう食堂へ足を向けた。

 :::

「お前らが1番でないとは珍しいな」

 チノシスが驚いた顔をした。
 珍しく眠気も飛んだだろうか?
 いや、駄目だ。
 すでに舟をこぎつつある。

「ホントだねー逸も1番にくるもんねー」

「ふーちゃんが何かボヤいていたので…」

「あ、喋るなよナル!」

「何々ナルちゃん!是非その話し、宮廷魔術師長さんに教えて~」

「立場持ってくるなんてズルい!」

「大人は使えるものは何でも使うんだよフカミちゃん♪」

「大したことじゃ無いんですが…ふーちゃんが強くなりたいとか言い出して」

「フカミちゃん、今の強さに満足して無いの?」

「出来れば親衛隊の皆さんの足を引っ張らない程度になりたいです。俺カグウ様の小姓でもありますし、俺が弱点になるのは嫌ですから」

「ふーちゃん、そんな真面目な事考えてたの?」

「お前は俺を何と思っているんだナル?」

「だったら今日から聖騎士団と魔術師団の特訓に混じってもいいぞフカミ」

 甘く腰にクル声が響いた。

「「カグウ様!」」

「カグウ様、ふ―ちゃん甘やかしたら駄目ですよ!今でもいっぱいヤル事あるのにソコに特訓何て!遊ぶ時間は復興に当てるべきです」

「ナルミは厳しいな」

 カグウがクツクツと笑う。
 やけに色気があって、鳴海が頬を赤くする。
 コキョウも嬉しそうにうっとりとカグウの笑いを凝視している。
 男も女も誑かす、まさに魔性の微笑である。

「フカミ、ナルミの言う事も勿論だが、俺はココまで尽くしてくれたお前に褒美をやりたい。で、今ソレを出来るのは特訓の許可だけだ。正直体力的にしんどいと思うがどうなんだ?」

「や・り・た・い・です!!」

「ククク、フィルド、ラキザ、お前らが相手してやれ。ただし1日1時間だ」

「カグウ様有難うございます!!」

「んじゃ、今日は俺としよーかフカミちゃん。た~っぷり可愛がってあげるからね♡」

「お前、フカミに変なことするなよフィルド。顔と声がいやらしいぞ。じゃぁ明日は俺が付き合う。手は抜かないから心して臨めよ」

「お2人共有難うございます!!」

 深海がキラキラした目でフィルドとラキザを見る。

「も~皆さん、ふーちゃんに甘すぎです!」

「1番甘いのはお前だろうナルミ、わざわざ遅くなった内容を話さなくても良かったろうに」

「だって、ふ―ちゃんオネダリなんてしてくれないんですもん。たまには力になってあげたくて、回りくどい事してすみませんカグウ様」

「フカミもお前の為にもっと強くなりたいんだろうな。本当仲の良い兄妹だ…少し羨ましくもあるな」

「カグウ、お前には俺がいるぞ」

「クク、分かっているさコキョウ。今日も旨い菓子を期待して良いんだろう?」

「カグウが幸せになる物を作って見せる!ナルミ、今日も頼んだぞ!!」

「は、はいコキョウ様!」

「ふぁ~皆ホントに仲良いね」

 眠そうな目を擦りながら、チノシスは優しい目で幼馴染達と幼い双子の兄妹を見つめた。
しおりを挟む
感想 209

あなたにおすすめの小説

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

処理中です...