聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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【オマケの王都散策事情③】

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 次に深海はフィルドにイエロータッグの収容所の2つ目に案内して貰う。
 イエロータッグの収容所はグリーンに比べて大きく、中にはベッドが幾つも置かれている。
 正しく入院施設と言う感じだ。
 それなりの重傷者が集まっているはずだが誰も悲壮な表情をしたものは居ない。

「御使い様!皆、御使い様が来て下さったぞ!!」

「御使い様の薬のお陰で痛みが随分引きました!」

「私も傷が化膿していたのが随分綺麗になったんです!」

 ここでも深海は大歓迎を受けた。

「ヒーラーの方に体が完治まで治してもらうまではしっかり療養して下さい。その後はしっかり働いてもらわなければいけませんが、その分食事内容も良くなりますので」

「勿論です!ここで出てくる食事だけでも腹一杯食べれて満足ですが女子供が炊き出しが美味しいって自慢してくるんですよ!早く体治して美味い物腹一杯食べたいです!
まさか働きたくなる日が来るなんてつい先日まで思いもしませんでした。働いたら金も溜められるし、今までみたいに兵士が作業をして俺らが金を取られていたことを思えば本当、今の環境は幸せですよ!」

 この収容所も想像以上に機能がうまくいっているようだった。

「次の収容所案内お願いします」

「はいな、りょ~かい」

 次に連れて来られたのは同じイエロータッグの収容所。
 しかしこちらは先ほどのイエロータッグの収容所と色は一緒でも治す方向性が違う。
 所謂感染病棟だ。
 軽い疫病の者が収容されている。

「お邪魔するね~」

 フィルドが扉を開ける。
 こちらの収容所は今までで1番大きかった。
 それだけ疫病が流行っていたと言うことだろう。

 病原微生物ないし病原体(マイコプラズマやクラミジアといった細菌、スピロヘータ、リケッチア、ウイルス、真菌、原虫、寄生虫)がヒトや動物のからだや体液に侵入し、定着・増殖して感染をおこすと組織を破壊したり、病原体が毒素を出したりしてからだに害をあたえると、一定の潜伏期間を経たのちに病気となる。

 これを感染症という。
 類義語として伝染病があるが、これは伝染性をもつ感染症をさしている。
 また、伝染性をもつ感染症の流行を疫病と呼んでいる。

 この収容所の疫病患者はしっかり療養すれば治る病気の者たちだ。
 病気の内容はコレラや腸チフス・パラチフス・赤痢などだ。

 どれもしっかりと水分補給をし、栄養を取らせて抗生物質を体に入れてやれば時間はかかるが治るものだ。
 経口補液と呼ばれる方法によって治療する国もある。
 経口補液とは、ORSと呼ばれる電解質液(水1リットルに対して、ブドウ糖 20g、塩化ナトリウム3・5g、炭酸水素ナトリウム2・5g、塩化カリウム1・5gの割合で溶解したもの)を与え、下痢などで体外に排泄した水分を補給するために飲ませるものである。

 症状が苦しいのか先2つの収容所に比べて活気はなかった。
 それでも深海の姿を見ると入院患者は「御使い様が来て下さった」と手を合わせて深海を拝む。

「御使い様、貴方のお陰で私の子供が死なずにすみそうなんです。本当に有難うございます!!」
 
 深海の前に来た介護をしているのであろう妙齢の女性が膝をついて手を合わせた。

「顔を上げて下さい。俺は施設を作る案を考えただけです。皆の生きる力が強くなったならそれはあなた方の献身な介護の賜物です」

「いいえ、御使い様がこの施設を立てて下さらなかったら親子ともども行き倒れていました。ようやくこの国で幸せだと思えたのです。どうぞこれからも私たちをお導き下さい!」

 女性の瞳からは止めどなく涙が流れていた。
 心の底から深海に感謝していることが分かる。

「気持ち受け入れてあげなよフカミちゃん」

 フィルドが優しく口元を緩めていた。
 おそらく前髪の下に隠れた目も優しい眼差しであろうことが雰囲気から感じ取られた。
 フィルドがそんな優しい顔をするので深海も”御使い様”でも何でも自分の存在が人の生きる気力に繋がるのならそれで良いと思えた。

「最初に聞いていると思いますがこちらは感染病の収容所です。皆さんしっかり清潔を保って介護者に感染しないようエプロンとマスクは忘れないようにして下さい。
患者に使ったものは何であれ熱湯で消毒をしっかりして下さい。処置をした後もアルコールで手を消毒することも忘れずにして下さいね」

「はい、御使い様」

「私たち全員でこの場を元気になって出ますから!」

 本来なら感染病の看病などしたくないだろう。
 だが先ほどの女性の様に身内なら自分の身を削ってでも助けたいと願う。
 おそらくあの収容所に居た介護者たちは病人の身内たちだろう。
 でなければ知らない人間のために自分を犠牲にして介護できると思わなかった。
 まぁ中にはそう言った人材もいるのだろうが。

「レッドタッグでは常にヒーラーたちが動いてるし見学は無理かな?黒は見て行かなくて良いよね?」

「その2つは俺ではどうしようもできないでしょうから……でも」

 双眸を伏せて深海は思考を深く落とした。
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