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《140話》

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「コレが、懐石料理………」

「ほぉ~綺麗なもんだな」

 テーブルの上に並べられたご馳走を見てサラが目を輝かせている。
 本来なら懐石料理はコースで来るが、セブン1人で調理をし、一緒に食べるのでメニューが全部テーブルの上に並べられている。

「さぁドンと食え!クックックッ」

 相変わらず悪役みたいな笑い方である。
 でも料理の腕は超一流。

 先付には、金時草と翡翠茄子の養老掛け。上には雲丹を乗せ、さらに山葵を添えた逸品。

 お造りは、甘海老に甘鯛昆布締め。甘鯛の鱗はカリカリに揚げて添えられている。
 弾力ある甘鯛と、カリカリの鱗の食感の違いも楽しい。

 鱧とじゅんさいのお吸い物。
 鰹節からとったお出汁に、味付けは塩だけというシンプルなつくりだからこそ、鱧の深い味わいが感じられる。
 柚子の香りもアクセントに。

 焼物八寸は、色鮮やかで見た目も華やか。
 思わず笑顔になってしまいそうな盛り合わせ。
 若鮎はうるか焼きにし、中骨は唐揚げでいただく。その他、天豆艶煮、冬瓜摺り流し、鯛の煮凝り、白だつ旨煮、原木椎茸には白和えと車海老を添えて。
 鱧は湯引きにして梅肉と合わせて、中央のヤングコーンは塩でいただく。

 白醤油で丁寧に炊いた穴子。
 ふんわりとした滑らかな穴子は、とても上品で優しい味の仕上がり。
 ミニオクラで鮮やかなグリーンを添えて。

 お食事では、土鍋で炊き上げたお米の登場。
 土鍋も1組に1つ用意しているので、自分たちだけのために炊かれた、極上のごはんが味わえる。
 あえての白ご飯。
 炊き込みご飯は本日のメニューには加えられていない。
 おかずと同時にご飯が食べれるので、白ご飯が良く進む。
 本来の懐石料理なら最後はご飯と汁物、香の物で〆なので物足りなくなる人も多い。
 ゆえのおかずがなくても進む炊き込みご飯を作るが、今回はおかずとご飯を楽しんで欲しいので白ご飯な訳である。

 そんな極上のごはんのお供は、牛のすき焼き仕立て。
 程よい甘さのタレがちょうどよく、お肉の甘味をさらに引き出してくれる。

「おししいれす~~~~♡」

「そうだろそうだろ、クックックッ」

 サラの土鍋が他の3人よりでかい事に突っ込んではならない。
 筋肉が多いため代謝が良すぎて体がエネルギーを求めているのだ。
 立ってるだけでマラソンする人間より高い基礎代謝。
 太る心配がなくて羨ましいばかりである。

 デザートは、レモンソルベと蓬豆腐のあんこ添え、白いマカロンを。
 レモンソルベは綺麗に口の中をさっぱりとさせてくれ、白いマカロンは上品な甘さが口の中に綺麗な余韻を残してくれる、風味豊かな味わい。

「甘い、のにさっぱり、してて、美味しいです」

「お代わりもあるから好きなだけ食べろクックックッ」

 もうセブンは診療所を畳んでも何時でも食っていけるであろう。
 だが作ってあげたい相手が限られているので性格的に料理人に向いていない。
 ただサラの専属シェフとしては最高の相手である。
 
 専属シェフが専属主夫になるのも良いのではないだろうか?

 まぁ診療所はセブンの生き甲斐なので畳むことは無いが。
 料理を作る事が苦にならないセブンは、仕事の後でもしっかり自炊する。
 そしてサラに食べさせるのが大好きだ。
 胃袋を掴むたび喜びが増す。
 なのでセブンは何かと言葉巧みにサラを家に泊めている。 

 はよ一緒に暮らせ。

 ナナとレオンハルトは2人揃ってそう思いながらも、恋愛初心者の2人のために今は口を噤んでやるのだった。
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