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《58話》
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旅も終わりクロイツへ到着。
セブンにとっては長い旅であった。
学生時代より公式を唱えていたかもしれない。
ご子息のせいで…。
毎朝パンツを【消臭】の魔術をかけて捨てる日々もこれで終わるはず。
なにせ夢精したパンツをナナに嗅ぎ取られる訳にはいけないのだ。
獣が本気で獣になる。
最近ではサキュバスのプライドを捨てて、インキュバスになって尻迄狙って来る始末だ。
迷惑な事この上ない。
人間ドックでしっかり診てもらおう。
そしてご子息が反応しない日々に戻るのだ。
セブンはEDである事に後ろめたさはない。
ソレ所か便利だと思っている。
性欲に振り回される男どもを卑下た目で見ていた。
女のに一喜一憂して馬鹿々々しいと。
それが自分の身に降りかかるとは…。
人生何が起こるか分からないものだ。
おそらくサラが変な【魅了】のような能力でも持っているのかもしれない。
たまたまソレがセブンと相性が良かったのだろう。
神の加護を失ってまだ聖女であるサラだ。
普通の人間と少々違っていても納得できる。
取り合えずソレさえ分かれば対処法は何とかなるはずだ。
セブンは本当にこの生理的現象が迷惑なのである。
普通の男ならEDになったら再起不能になるくらい落ち込みそうだが。
頭の構造が違うのだろう。
馬鹿と天才が紙一重と一緒だ。
頭が良し過ぎて、脳が性欲に対して一切機能していないのだろう。
「くっくっくっ、俺の平和な生活返してもらうぞ」
本日のセブンはご機嫌だった。
:::
「クロイツ着いちゃったわね~後半はずっと1人部屋3つだった面白味がなかったわ~」
むぅ、と唇を尖らせているのはナナである。
ぽってりした唇を突き出すとキスを強請っているようである。
気怠げなナナの雰囲気と相まって、男たちはなにやら色々妄想してしまう。
”あぁこの女神との旅も今日までか…”
一緒に獣車に乗っていた男たちは心から残念がっていた。
だが中には妻と距離が縮まった夫婦もいる様だ。
最近ご無沙汰だった男がナナの色気に当てられて、夜は妻相手に励んだらしい。
奥さんの顔がツヤツヤだ。
さぞや搾り取れた事だろう。
獣車の中でベビーラッシュが起きていたかもしれない。
「1人部屋、少し寂しい、です。でも命には、代えられない、です」
サラの中ではナナはすっかり人肉を食べる物だと思い込んでいる。
これまでの”食べたい”発言はそう言う事だったのかと。
ジャガイモで育った自分は美味しくない事を必死にナナにアピールしていた。
そこがまたバ可愛いとナナの劣情をさそうのだが。
そんなおバカなサラだが今回の旅の功労者であった。
サラが聖職者だと知った御者が提案を持ちかけて来たのだ。
”獣車に結界を張って貰う代わりに部屋代を提供する”と。
サラにとっては獣車に結界を張るのなど訳も無い。
セブンが喜んでその提案を飲んだ。
宿泊代がただになるのは美味し過ぎる。
御者にとっても安全が1番美味しいのである。
そして残りの10日間、サラは獣車に結界を張った。
さらに加護まで付けた。
これに喜んだ御者はクロイツの3つ星ホテルのディナー券迄プレゼントしてくれた。
サラはそれは喜んだ。
聖女の加護がディナー券…何とも安い聖女である……。
こうしてwinwinな関係でクロイツ迄無事来たのである。
そして王都の壁を越えて、サラは開いた口が塞ぐらなくなった。
クロイツ、科学の発展が凄まじい。
魔力や法力を使わない唯一の国だ。
科学が発展するのも当然だ。
それでも20世紀半ばほどの発展だが。
魔術や法力を主として治めている国とは根本から違う。
こうしてファンタジーの匂いの無いクロイツ王国で3人は暫く過ごす事となった。
セブンにとっては長い旅であった。
学生時代より公式を唱えていたかもしれない。
ご子息のせいで…。
毎朝パンツを【消臭】の魔術をかけて捨てる日々もこれで終わるはず。
なにせ夢精したパンツをナナに嗅ぎ取られる訳にはいけないのだ。
獣が本気で獣になる。
最近ではサキュバスのプライドを捨てて、インキュバスになって尻迄狙って来る始末だ。
迷惑な事この上ない。
人間ドックでしっかり診てもらおう。
そしてご子息が反応しない日々に戻るのだ。
セブンはEDである事に後ろめたさはない。
ソレ所か便利だと思っている。
性欲に振り回される男どもを卑下た目で見ていた。
女のに一喜一憂して馬鹿々々しいと。
それが自分の身に降りかかるとは…。
人生何が起こるか分からないものだ。
おそらくサラが変な【魅了】のような能力でも持っているのかもしれない。
たまたまソレがセブンと相性が良かったのだろう。
神の加護を失ってまだ聖女であるサラだ。
普通の人間と少々違っていても納得できる。
取り合えずソレさえ分かれば対処法は何とかなるはずだ。
セブンは本当にこの生理的現象が迷惑なのである。
普通の男ならEDになったら再起不能になるくらい落ち込みそうだが。
頭の構造が違うのだろう。
馬鹿と天才が紙一重と一緒だ。
頭が良し過ぎて、脳が性欲に対して一切機能していないのだろう。
「くっくっくっ、俺の平和な生活返してもらうぞ」
本日のセブンはご機嫌だった。
:::
「クロイツ着いちゃったわね~後半はずっと1人部屋3つだった面白味がなかったわ~」
むぅ、と唇を尖らせているのはナナである。
ぽってりした唇を突き出すとキスを強請っているようである。
気怠げなナナの雰囲気と相まって、男たちはなにやら色々妄想してしまう。
”あぁこの女神との旅も今日までか…”
一緒に獣車に乗っていた男たちは心から残念がっていた。
だが中には妻と距離が縮まった夫婦もいる様だ。
最近ご無沙汰だった男がナナの色気に当てられて、夜は妻相手に励んだらしい。
奥さんの顔がツヤツヤだ。
さぞや搾り取れた事だろう。
獣車の中でベビーラッシュが起きていたかもしれない。
「1人部屋、少し寂しい、です。でも命には、代えられない、です」
サラの中ではナナはすっかり人肉を食べる物だと思い込んでいる。
これまでの”食べたい”発言はそう言う事だったのかと。
ジャガイモで育った自分は美味しくない事を必死にナナにアピールしていた。
そこがまたバ可愛いとナナの劣情をさそうのだが。
そんなおバカなサラだが今回の旅の功労者であった。
サラが聖職者だと知った御者が提案を持ちかけて来たのだ。
”獣車に結界を張って貰う代わりに部屋代を提供する”と。
サラにとっては獣車に結界を張るのなど訳も無い。
セブンが喜んでその提案を飲んだ。
宿泊代がただになるのは美味し過ぎる。
御者にとっても安全が1番美味しいのである。
そして残りの10日間、サラは獣車に結界を張った。
さらに加護まで付けた。
これに喜んだ御者はクロイツの3つ星ホテルのディナー券迄プレゼントしてくれた。
サラはそれは喜んだ。
聖女の加護がディナー券…何とも安い聖女である……。
こうしてwinwinな関係でクロイツ迄無事来たのである。
そして王都の壁を越えて、サラは開いた口が塞ぐらなくなった。
クロイツ、科学の発展が凄まじい。
魔力や法力を使わない唯一の国だ。
科学が発展するのも当然だ。
それでも20世紀半ばほどの発展だが。
魔術や法力を主として治めている国とは根本から違う。
こうしてファンタジーの匂いの無いクロイツ王国で3人は暫く過ごす事となった。
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