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《41話》
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「サイヒ、様が!サイヒ様が、美し、過ぎて涙が止まらない、ですぅぅぅぅっ!!」
「落ち着けアラ!確かにアレは凄かったけどメイクが崩れてるお前の顔も反対の意味で凄い事になりそうだぞ!!」
サイヒのウェディングドレスのあまりの美しさにサラは先程から号泣している。
サイヒ命のサラだ。
あの美しさに魅了されないはずがない。
と言うか魅了されていない者の方が少ない。
その希少な少ないに入っているのがセブンである。
「セブン、さん。サイヒ様見て、何も思わない、ですか?」
「サイヒ様の美しさより今にも顔面が崩壊しそうなお前が気になるぞ俺は…」
「確かにメイクが殆ど取れてるわねサラちゃん♡」
「ナナさん!どこ行ってた、ですか?」
「ん~体のお洗濯?」
「意味が、分からない、です」
「お前は一生意味が分からなくていいアラ」
セブンがサラの腕を引き、獣(と書いてナナと読む)から距離を取らせた。
(はぅ!今、わたし、セブンさんに抱き締め、られて、る、ですか!?)
「~~~~~~~~~っ!!!!」
サラがセブンの腕の中で真っ赤になって固まった。
それにセブンは気付いていない。
むしろセブンは今の状況に気付いていない。
自分がサラを抱きしめいる事に気付いていないのだ。
鈍感此処に極めり。
「あらあら酷い言われようね~、で、ドクター。腕の中のサラちゃん貸してくれないかしら?崩れたメイク直すわ♡心配しないでも後でちゃんと返してあげるわよ♡」
「はっ?……なっアラ!?」
自分の腕の中で真っ赤になって体カチコチになっているサラを発見した。
「お前赤いし熱いぞ!熱があるのか!?」
「はうぅぅぅぅぅぅぅ……」
もうサラのめはぐるぐるだ。
眼鏡を外したセブンがサラの額に己の額を当てて熱を測っているのだ。
(眼鏡、外し、たセブンさん、初めて、見まし、た)
眼鏡を外すとセブンの顔が整っている事が良く分かる。
普段目つきが悪いと思われている眼付きも、良く言えば涼やかな切れ長の目だ。
態度が悪いから目つきが悪いと感じるのだろう。
実際今、サラの心配をしているセブンの目は真剣だが目つきが悪いとは感じられない。
(あ、また、目が…綺麗な、水色、です………)
ポ~ッ、と潤んだ目でサラがセブンの瞳を覗き込む。
(やっぱり、綺麗、で、す)
ガクン
サラが意識を失った。
「おい、アラ!大丈夫か!?サイヒ様に言って休める場所を!!」
「ドクターが離せばすぐ復活すると思うけど……」
「???」
(あ、駄目だわこの童貞……)
「大丈夫ですか?」
鈴を転がすような可憐な声がかけられた。
声の方を向けば亜麻色の髪に茶色の瞳の愛らしい少女。
鮮やかなオレンジ色のドレスを着ている。
「お前は?」
初対面の相手にも憮然とした態度のセブンである。
心配して声をかけてくれた者にする態度ではない。
だが少女は気を悪くした様子はない。
「私”マロン・スクワラル”です。お兄…絶対神のサイヒ様の侍女をしております」
ドレスの裾を掴んで綺麗な礼をしてみせる。
流石は第3皇太子妃だっただけあり所作は完璧だ。
「スクワラル?あのスクワラル商会の関係者か!?」
「はい、父の会社のポーションの製造担当をしております。セブン医師ですよね?父から噂は聞いております。法術やポーションに頼らず、自己免疫で体の回復を促すのを心情とされている立派なお医者様がいらっしゃると」
「流石スクワラル会長、見る目がある。それにしてもポーション製造担当とは…あのポーションシリーズは5年前から出されていると思ったが?」
「10歳の子供のレシピが世界中に広がると思いませんでしたわ。今は天界でエリクサーに近いポーションの作成に励んでいるところですの」
「ほう、エリクサーとはまた凄い言葉が出て来たな。でもアンタならやれそうだ」
ニヤリとセブンが笑う。
悪役が良く似合う笑みだ。
それにマロンは気にした様子はない。
「久しぶりに本業の会話が出来て良かったですわ。またお話しできるのを楽しみにしております。お連れの気を失っている方は王宮の方でお預かりしますわ。緊張しすぎて気を失っただけのようですから、元気になればセブン医師にお返ししますわ」
「あら、ではお頼みするわ美味しそうなお嬢さん♡サラちゃんをお願いね♡」
「はい、クオンさん。運んであげてくれますか?」
「了承しましたマロンさん」
クオンがマロンの横に姿を現す。
どうやら事の成り行きを1歩下がって見ていたらしい。
クオンのオレンジ色の髪を見て、ナナはマロンがクオンの色を纏っているのだと気付いた。
勿論拗らせているセブンにはそんな事が分かるはずがない。
「いや、案内してくれたら俺が抱えるからいい」
(あらあらドクターってば独占欲?嫉妬心?ちょ~っと成長してきたのかしら♡)
「ではお連れの方を運んで貰って良いでしょいうか?こちらになります」
マロンはセブンの無意識の意図に気付いたらしい。
大した女子力である。
これでサラより年下だと言うのだから驚きだ。
こうしてサラは、王宮の医務室で休むことになった。
サラがウェディングドレス姿のサイヒよりも、眼鏡を外したセブンに心を持ってかれていた事に気付くのはまだまだ先の話しである。
「落ち着けアラ!確かにアレは凄かったけどメイクが崩れてるお前の顔も反対の意味で凄い事になりそうだぞ!!」
サイヒのウェディングドレスのあまりの美しさにサラは先程から号泣している。
サイヒ命のサラだ。
あの美しさに魅了されないはずがない。
と言うか魅了されていない者の方が少ない。
その希少な少ないに入っているのがセブンである。
「セブン、さん。サイヒ様見て、何も思わない、ですか?」
「サイヒ様の美しさより今にも顔面が崩壊しそうなお前が気になるぞ俺は…」
「確かにメイクが殆ど取れてるわねサラちゃん♡」
「ナナさん!どこ行ってた、ですか?」
「ん~体のお洗濯?」
「意味が、分からない、です」
「お前は一生意味が分からなくていいアラ」
セブンがサラの腕を引き、獣(と書いてナナと読む)から距離を取らせた。
(はぅ!今、わたし、セブンさんに抱き締め、られて、る、ですか!?)
「~~~~~~~~~っ!!!!」
サラがセブンの腕の中で真っ赤になって固まった。
それにセブンは気付いていない。
むしろセブンは今の状況に気付いていない。
自分がサラを抱きしめいる事に気付いていないのだ。
鈍感此処に極めり。
「あらあら酷い言われようね~、で、ドクター。腕の中のサラちゃん貸してくれないかしら?崩れたメイク直すわ♡心配しないでも後でちゃんと返してあげるわよ♡」
「はっ?……なっアラ!?」
自分の腕の中で真っ赤になって体カチコチになっているサラを発見した。
「お前赤いし熱いぞ!熱があるのか!?」
「はうぅぅぅぅぅぅぅ……」
もうサラのめはぐるぐるだ。
眼鏡を外したセブンがサラの額に己の額を当てて熱を測っているのだ。
(眼鏡、外し、たセブンさん、初めて、見まし、た)
眼鏡を外すとセブンの顔が整っている事が良く分かる。
普段目つきが悪いと思われている眼付きも、良く言えば涼やかな切れ長の目だ。
態度が悪いから目つきが悪いと感じるのだろう。
実際今、サラの心配をしているセブンの目は真剣だが目つきが悪いとは感じられない。
(あ、また、目が…綺麗な、水色、です………)
ポ~ッ、と潤んだ目でサラがセブンの瞳を覗き込む。
(やっぱり、綺麗、で、す)
ガクン
サラが意識を失った。
「おい、アラ!大丈夫か!?サイヒ様に言って休める場所を!!」
「ドクターが離せばすぐ復活すると思うけど……」
「???」
(あ、駄目だわこの童貞……)
「大丈夫ですか?」
鈴を転がすような可憐な声がかけられた。
声の方を向けば亜麻色の髪に茶色の瞳の愛らしい少女。
鮮やかなオレンジ色のドレスを着ている。
「お前は?」
初対面の相手にも憮然とした態度のセブンである。
心配して声をかけてくれた者にする態度ではない。
だが少女は気を悪くした様子はない。
「私”マロン・スクワラル”です。お兄…絶対神のサイヒ様の侍女をしております」
ドレスの裾を掴んで綺麗な礼をしてみせる。
流石は第3皇太子妃だっただけあり所作は完璧だ。
「スクワラル?あのスクワラル商会の関係者か!?」
「はい、父の会社のポーションの製造担当をしております。セブン医師ですよね?父から噂は聞いております。法術やポーションに頼らず、自己免疫で体の回復を促すのを心情とされている立派なお医者様がいらっしゃると」
「流石スクワラル会長、見る目がある。それにしてもポーション製造担当とは…あのポーションシリーズは5年前から出されていると思ったが?」
「10歳の子供のレシピが世界中に広がると思いませんでしたわ。今は天界でエリクサーに近いポーションの作成に励んでいるところですの」
「ほう、エリクサーとはまた凄い言葉が出て来たな。でもアンタならやれそうだ」
ニヤリとセブンが笑う。
悪役が良く似合う笑みだ。
それにマロンは気にした様子はない。
「久しぶりに本業の会話が出来て良かったですわ。またお話しできるのを楽しみにしております。お連れの気を失っている方は王宮の方でお預かりしますわ。緊張しすぎて気を失っただけのようですから、元気になればセブン医師にお返ししますわ」
「あら、ではお頼みするわ美味しそうなお嬢さん♡サラちゃんをお願いね♡」
「はい、クオンさん。運んであげてくれますか?」
「了承しましたマロンさん」
クオンがマロンの横に姿を現す。
どうやら事の成り行きを1歩下がって見ていたらしい。
クオンのオレンジ色の髪を見て、ナナはマロンがクオンの色を纏っているのだと気付いた。
勿論拗らせているセブンにはそんな事が分かるはずがない。
「いや、案内してくれたら俺が抱えるからいい」
(あらあらドクターってば独占欲?嫉妬心?ちょ~っと成長してきたのかしら♡)
「ではお連れの方を運んで貰って良いでしょいうか?こちらになります」
マロンはセブンの無意識の意図に気付いたらしい。
大した女子力である。
これでサラより年下だと言うのだから驚きだ。
こうしてサラは、王宮の医務室で休むことになった。
サラがウェディングドレス姿のサイヒよりも、眼鏡を外したセブンに心を持ってかれていた事に気付くのはまだまだ先の話しである。
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