婚約者の王子に聖女など国に必要ないと言われました~では私を信じてくれる方だけ加護を与えますね~

高井繭来

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《40話》

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「か、会場が、広いで、すぅぅぅ」

 ディノートは魔術国家なので、法力国家のフォクウン程神殿に力は入れていない。
 それでも大国のディノートの神殿はそこいらでは見られない見事な神殿だった。
 そしてサラはそこで5年も暮らしていたのだ。
 大きな神殿は見慣れていたはずだった。

 だが天界の神殿は、その5倍以上ある。

 しかも参列席はすべて埋まっており、神殿の外でもパレードで新たな全能神とその伴侶を一目見ようと、天界中の天人が集まっているのだ。

 サラが目を回すのも仕方がない。

 さらにサラ達の席は花嫁側、つまりサイヒ側の最前列。
 サイヒの美しい姿を間近で見れるのは嬉しいが、緊張で泡を噴きそうだ。

「おいアラ、倒れるなよ?」

「は、はひぃ、セブン、さん」

「サラちゃんお姉さんの胸に頭埋めてて良いわよ♡」

「お前は黙れエロナース」

 駆除される心配がないと分かったナナの調子がもう元に戻っている。
 元々神経が図太いのだ。
 楽しめる時は全力で楽しむ。
 それがナナのモットーである。

 そしてセブンもやけに場慣れして見える。
 緊張しているのはサラくらいだ。

「セブン、さん。緊張、しない、です、か?」

「まぁ場数は踏んでいるからな」

「無駄に年を取ってる分ね♡」

「駆除されたいかエロナース?俺はまだ若い」

「天界で血を流すなんてご法度じゃないドクター?」

「サイヒ様に頼んで駆除して貰おう。きっと1滴の血も流さずに駆除してくれるだろう」

「ちょ、そこで全能神様の名前出すの卑怯よドクター」

「中々に話が分かりそうな人物だったからな。お前のアラへのセクハラを伝えたら見事駆除してくれるだろう。どうもサイヒ様はアラを気に入っているようだったからな」

「え、私セクハラ?されてた、ですか?」

「サラちゃん…バ可愛い………♡」

「式場汚すなよエロナース」

「あら何で汚れるのかしらドクター?私のナニがナンでどうやって会場が汚れると~?」

「ぐっ!」

 とてもじゃないがこんな場面で言いたくない。
 神殿は聖なる場所だ。
 まぁソレを言ったら天界自体が聖なる場所なのだが。
 その聖なる場所で如何わしい言葉など発したくない。
 何よりサラにそう言った知識は植え付けたくない。
 セブンは言葉に詰まった。

「セブンさん、ナナさん、何、話してるです、か?」

 やはりサラには2人の会話の内容は分かってなかったみたいだ。

「アラ、世の中には知らないで良い事もある」

「サラちゃん、お姉さんが後で手取り足取り腰取り教えてあげるわね♡」

「ナナさん、目、怖い、です……」

 流石に欲望にぎらついたナナの目が怖かったサラがセブンの服の袖をギュッと掴んだ。

「!?」

 セブンの目が驚きに見開かれる。

「おい、アラ………」

「うふふふふ、ご馳走様~ドクター♡」

「???」

 サラは何が何か分かっていない。
 愚鈍な少女ではないが、無垢すぎて分からないことが多いためサラは人の会話に付いていけないことがある。
 アコロ王子などはサラのその態度が”サラは愚鈍だ”と思い込んでいたのだが。
 ちゃんとサラの事を分かっている者が見れば、愛らしい事この上ない。

 そして神殿の扉が開くまでサラはセブンの服の裾を掴んでいた。
 
 セブンは自分から言い出せ無かったらしい。
 悪い気がしないのも口に出せなかった理由の一環だろう。

(俺は女に引っ付かれるのは嫌いだったはずだが…アラは女として見れていない、と言う事か………)

 全く逆の結論を出すセブンを誰かどうにかして欲しいものである。
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