6 / 264
《4話》
しおりを挟む
銅貨1枚均一は素晴らしかった。
下着や歯ブラシや石鹸や、と生活に必要な細々したものを揃える事が出来た。
食器屋の店員に感謝である。
自宅に戻ったサラは、今日は食器屋の店員メインに祈ろうと思った。
私欲?
良くしてくれる者に多く祈りたいと思うのは当然である。
自分の家族と知らない誰かじゃ祈りに込められる思いも違う。
聖女は博愛主義者でなくてはならないが、サラはもう聖女ではないので知った事ではない。
ついでに言うなら”博愛主義であれ”と言う神殿が、王家や上流階級の者に強く加護を与えろというのだから支離滅裂だ。
お布施の魔力は凄まじい。
金は聖職者の心まで買えてしまうのである。
800年前に神殿を飛び出して第3王子と駆け落ちした聖女が居たと言うが、サラも気持ちが分かる。
毎日毎日、人の薄汚い所を見せられれば聖女など辞めてしまいたくなる。
行く当てもないのでサラは聖女を続けたが…。
他国では王族のような扱いを受ける聖女も多数いるのだとか。
ならばサラは外れを引いたのだろう。
街に降り、美味しいものを食べて、人に優しくされて、サラは久しぶりに思考と言うものを行った気がする。
あの生活はサラから思考さえも奪っていたのだ。
そう考えるとゾッとする。
神殿を追い出されたのはサラにとって幸せなことだったに違いない。
あのままアコロ王子と婚姻して王家に入っても”スラム街出身の女”として碌でもない待遇を受けていた事だろう。
そう思うとサラは狭いながら自分の手で見つけた我が家を愛おしく感じる。
「明日は古着で良いからお洋服を見に、行きましょう」
ローブは目立つ。
ソレにサラだって出来るなりのお洒落はしたい。
リボン1つで良い。
装飾品を身に纏ってみたい。
「さて、晩御飯にしましょう」
白いパンを手に入れた。
何と銅貨1枚だ。
明日の朝の分も買おうと思ったが、パン屋に焼きたてのパンの方が美味しいと聞き晩御飯用に2つだけ購入した。
明日は焼きたてのパンを食べれるのかと思うとワクワクする。
それに見切り品の野菜と鶏肉を買った。
両方合わせて銅貨4枚。
本日の夕食は白いパンと具沢山のスープだ。
味付けは塩だけだが。
素材の旨味が出るまで煮込んだら、神殿の塩スープとは段違いに美味しいスープが出来るだろう。
中古品屋で買った1口ガスコンロに水を張った鍋を置き、切り分けた材料をドボドボ入れる。
中火でクツクツ煮込んでいると野菜や肉の匂いが部屋に充満する。
それだけで涎が出そうである。
「明日は古着のほかに古本屋で料理の本、も買いましょう。流石に毎日スープは飽きるかも、しれませんし」
スラム街で育ったサラが作れるのはスープ位だ。
もっと他の食事も食べてみたい。
昼に定食で食事をとってからサラはすっかり食に目覚めてしまった。
料理を食べ終わり、今日は清拭ですます。
昨日に風呂には入ったので体はそれ程汚れていない。
入浴したと言っても10分程度だが…。
サラはベッドの上で膝立ちになり、太陽が昇る方へ向き、両手を合わせれ祈りを捧げる。
「心清らかな人に神のご加護を…」
祈りの言葉などそれで十分だ。
サラの祈りは天に通じ、天から祝福の加護が人々に降る。
それを感じれるのは聖女であるサラだけである。
「3分の2、ですか……」
思っていたよりはこの国は清い心の持ち主が多かったようだ。
サラの想像では2分の1居れば良い方だと思っていたが。
そして上流階級の者に信仰心を持つ者は殆ど存在しないらしい。
どうりでわざわざ高い金額を払いサラに祈祷を頼む訳である。
普通の加護は受け取れないのであろう。
「本当に上層部って腐ってるん、ですねぇ…」
思わず溜息が出る。
まぁ、そんな腐った輩にはこれから不幸が降りかかるだろう。
何せ加護が無いのだから。
「さて、寝ましょう、か。明日は公衆浴場に行って、綺麗にして、服を買って…それから、これからどうやってお金を稼ぐか、考えましょう」
神殿の藁のベッドより微かに柔らかいベッドに横になり、サラは明日に想いを馳せた。
:::
「痛いっ!!」
その頃、アコロ王子は廊下を歩いていると突然倒れて来た絵画に頭を打たれた。
「おい使用人!絵ぐらいしっかり飾っておけ!首をはねるぞ!!」
神を信じぬ者。
傲慢な者。
欲に溺れた者。
そう言った腐った人々に徐々に加護の力が消え、小さな不幸が起こり始めていた。
下着や歯ブラシや石鹸や、と生活に必要な細々したものを揃える事が出来た。
食器屋の店員に感謝である。
自宅に戻ったサラは、今日は食器屋の店員メインに祈ろうと思った。
私欲?
良くしてくれる者に多く祈りたいと思うのは当然である。
自分の家族と知らない誰かじゃ祈りに込められる思いも違う。
聖女は博愛主義者でなくてはならないが、サラはもう聖女ではないので知った事ではない。
ついでに言うなら”博愛主義であれ”と言う神殿が、王家や上流階級の者に強く加護を与えろというのだから支離滅裂だ。
お布施の魔力は凄まじい。
金は聖職者の心まで買えてしまうのである。
800年前に神殿を飛び出して第3王子と駆け落ちした聖女が居たと言うが、サラも気持ちが分かる。
毎日毎日、人の薄汚い所を見せられれば聖女など辞めてしまいたくなる。
行く当てもないのでサラは聖女を続けたが…。
他国では王族のような扱いを受ける聖女も多数いるのだとか。
ならばサラは外れを引いたのだろう。
街に降り、美味しいものを食べて、人に優しくされて、サラは久しぶりに思考と言うものを行った気がする。
あの生活はサラから思考さえも奪っていたのだ。
そう考えるとゾッとする。
神殿を追い出されたのはサラにとって幸せなことだったに違いない。
あのままアコロ王子と婚姻して王家に入っても”スラム街出身の女”として碌でもない待遇を受けていた事だろう。
そう思うとサラは狭いながら自分の手で見つけた我が家を愛おしく感じる。
「明日は古着で良いからお洋服を見に、行きましょう」
ローブは目立つ。
ソレにサラだって出来るなりのお洒落はしたい。
リボン1つで良い。
装飾品を身に纏ってみたい。
「さて、晩御飯にしましょう」
白いパンを手に入れた。
何と銅貨1枚だ。
明日の朝の分も買おうと思ったが、パン屋に焼きたてのパンの方が美味しいと聞き晩御飯用に2つだけ購入した。
明日は焼きたてのパンを食べれるのかと思うとワクワクする。
それに見切り品の野菜と鶏肉を買った。
両方合わせて銅貨4枚。
本日の夕食は白いパンと具沢山のスープだ。
味付けは塩だけだが。
素材の旨味が出るまで煮込んだら、神殿の塩スープとは段違いに美味しいスープが出来るだろう。
中古品屋で買った1口ガスコンロに水を張った鍋を置き、切り分けた材料をドボドボ入れる。
中火でクツクツ煮込んでいると野菜や肉の匂いが部屋に充満する。
それだけで涎が出そうである。
「明日は古着のほかに古本屋で料理の本、も買いましょう。流石に毎日スープは飽きるかも、しれませんし」
スラム街で育ったサラが作れるのはスープ位だ。
もっと他の食事も食べてみたい。
昼に定食で食事をとってからサラはすっかり食に目覚めてしまった。
料理を食べ終わり、今日は清拭ですます。
昨日に風呂には入ったので体はそれ程汚れていない。
入浴したと言っても10分程度だが…。
サラはベッドの上で膝立ちになり、太陽が昇る方へ向き、両手を合わせれ祈りを捧げる。
「心清らかな人に神のご加護を…」
祈りの言葉などそれで十分だ。
サラの祈りは天に通じ、天から祝福の加護が人々に降る。
それを感じれるのは聖女であるサラだけである。
「3分の2、ですか……」
思っていたよりはこの国は清い心の持ち主が多かったようだ。
サラの想像では2分の1居れば良い方だと思っていたが。
そして上流階級の者に信仰心を持つ者は殆ど存在しないらしい。
どうりでわざわざ高い金額を払いサラに祈祷を頼む訳である。
普通の加護は受け取れないのであろう。
「本当に上層部って腐ってるん、ですねぇ…」
思わず溜息が出る。
まぁ、そんな腐った輩にはこれから不幸が降りかかるだろう。
何せ加護が無いのだから。
「さて、寝ましょう、か。明日は公衆浴場に行って、綺麗にして、服を買って…それから、これからどうやってお金を稼ぐか、考えましょう」
神殿の藁のベッドより微かに柔らかいベッドに横になり、サラは明日に想いを馳せた。
:::
「痛いっ!!」
その頃、アコロ王子は廊下を歩いていると突然倒れて来た絵画に頭を打たれた。
「おい使用人!絵ぐらいしっかり飾っておけ!首をはねるぞ!!」
神を信じぬ者。
傲慢な者。
欲に溺れた者。
そう言った腐った人々に徐々に加護の力が消え、小さな不幸が起こり始めていた。
14
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
王子よ、貴方が責任取りなさい
天冨 七緒
恋愛
「聖女の補佐をしてくれないか?」
王子自ら辺境まで訪れ、頭を下げる。
それほど国は、切羽詰まった状況なのだろう。
だけど、私の答えは……
皆さんに知ってほしい。
今代の聖女がどんな人物なのか。
それを知った上で、私の決断は間違いだったのか判断してほしい。
お父様、お母様、わたくしが妖精姫だとお忘れですか?
サイコちゃん
恋愛
リジューレ伯爵家のリリウムは養女を理由に家を追い出されることになった。姉リリウムの婚約者は妹ロサへ譲り、家督もロサが継ぐらしい。
「お父様も、お母様も、わたくしが妖精姫だとすっかりお忘れなのですね? 今まで莫大な幸運を与えてきたことに気づいていなかったのですね? それなら、もういいです。わたくしはわたくしで自由に生きますから」
リリウムは家を出て、新たな人生を歩む。一方、リジューレ伯爵家は幸運を失い、急速に傾いていった。
【完結】何でも奪っていく妹が、どこまで奪っていくのか実験してみた
東堂大稀(旧:To-do)
恋愛
「リシェンヌとの婚約は破棄だ!」
その言葉が響いた瞬間、公爵令嬢リシェンヌと第三王子ヴィクトルとの十年続いた婚約が終わりを告げた。
「新たな婚約者は貴様の妹のロレッタだ!良いな!」
リシェンヌがめまいを覚える中、第三王子はさらに宣言する。
宣言する彼の横には、リシェンヌの二歳下の妹であるロレッタの嬉しそうな姿があった。
「お姉さま。私、ヴィクトル様のことが好きになってしまったの。ごめんなさいね」
まったく悪びれもしないロレッタの声がリシェンヌには呪いのように聞こえた。実の姉の婚約者を奪ったにもかかわらず、歪んだ喜びの表情を隠そうとしない。
その醜い笑みを、リシェンヌは呆然と見つめていた。
まただ……。
リシェンヌは絶望の中で思う。
彼女は妹が生まれた瞬間から、妹に奪われ続けてきたのだった……。
※全八話 一週間ほどで完結します。
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~
猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」
王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。
王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。
しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。
迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。
かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。
故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり──
“冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。
皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。
冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」
一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。
追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、
ようやく正当に愛され、報われる物語。
※「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる