婚約者の王子に聖女など国に必要ないと言われました~では私を信じてくれる方だけ加護を与えますね~

高井繭来

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《4話》

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 銅貨1枚均一は素晴らしかった。
 下着や歯ブラシや石鹸や、と生活に必要な細々したものを揃える事が出来た。
 食器屋の店員に感謝である。
 自宅に戻ったサラは、今日は食器屋の店員メインに祈ろうと思った。
 私欲?
 良くしてくれる者に多く祈りたいと思うのは当然である。

 自分の家族と知らない誰かじゃ祈りに込められる思いも違う。
 聖女は博愛主義者でなくてはならないが、サラはもう聖女ではないので知った事ではない。

 ついでに言うなら”博愛主義であれ”と言う神殿が、王家や上流階級の者に強く加護を与えろというのだから支離滅裂だ。
 お布施の魔力は凄まじい。
 金は聖職者の心まで買えてしまうのである。
 
 800年前に神殿を飛び出して第3王子と駆け落ちした聖女が居たと言うが、サラも気持ちが分かる。
 毎日毎日、人の薄汚い所を見せられれば聖女など辞めてしまいたくなる。
 行く当てもないのでサラは聖女を続けたが…。

 他国では王族のような扱いを受ける聖女も多数いるのだとか。
 ならばサラは外れを引いたのだろう。
 街に降り、美味しいものを食べて、人に優しくされて、サラは久しぶりに思考と言うものを行った気がする。
 あの生活はサラから思考さえも奪っていたのだ。
 そう考えるとゾッとする。

 神殿を追い出されたのはサラにとって幸せなことだったに違いない。
 あのままアコロ王子と婚姻して王家に入っても”スラム街出身の女”として碌でもない待遇を受けていた事だろう。

 そう思うとサラは狭いながら自分の手で見つけた我が家を愛おしく感じる。

「明日は古着で良いからお洋服を見に、行きましょう」

 ローブは目立つ。
 ソレにサラだって出来るなりのお洒落はしたい。
 リボン1つで良い。
 装飾品を身に纏ってみたい。

「さて、晩御飯にしましょう」

 白いパンを手に入れた。
 何と銅貨1枚だ。
 明日の朝の分も買おうと思ったが、パン屋に焼きたてのパンの方が美味しいと聞き晩御飯用に2つだけ購入した。
 明日は焼きたてのパンを食べれるのかと思うとワクワクする。

 それに見切り品の野菜と鶏肉を買った。
 両方合わせて銅貨4枚。
 本日の夕食は白いパンと具沢山のスープだ。
 味付けは塩だけだが。
 素材の旨味が出るまで煮込んだら、神殿の塩スープとは段違いに美味しいスープが出来るだろう。

 中古品屋で買った1口ガスコンロに水を張った鍋を置き、切り分けた材料をドボドボ入れる。
 中火でクツクツ煮込んでいると野菜や肉の匂いが部屋に充満する。
 それだけで涎が出そうである。

「明日は古着のほかに古本屋で料理の本、も買いましょう。流石に毎日スープは飽きるかも、しれませんし」

 スラム街で育ったサラが作れるのはスープ位だ。
 もっと他の食事も食べてみたい。
 昼に定食で食事をとってからサラはすっかり食に目覚めてしまった。

 料理を食べ終わり、今日は清拭ですます。
 昨日に風呂には入ったので体はそれ程汚れていない。
 入浴したと言っても10分程度だが…。

 サラはベッドの上で膝立ちになり、太陽が昇る方へ向き、両手を合わせれ祈りを捧げる。

「心清らかな人に神のご加護を…」

 祈りの言葉などそれで十分だ。
 サラの祈りは天に通じ、天から祝福の加護が人々に降る。
 それを感じれるのは聖女であるサラだけである。

「3分の2、ですか……」

 思っていたよりはこの国は清い心の持ち主が多かったようだ。
 サラの想像では2分の1居れば良い方だと思っていたが。
 そして上流階級の者に信仰心を持つ者は殆ど存在しないらしい。
 どうりでわざわざ高い金額を払いサラに祈祷を頼む訳である。
 普通の加護は受け取れないのであろう。

「本当に上層部って腐ってるん、ですねぇ…」

 思わず溜息が出る。
 まぁ、そんな腐った輩にはこれから不幸が降りかかるだろう。
 何せ加護が無いのだから。

「さて、寝ましょう、か。明日は公衆浴場に行って、綺麗にして、服を買って…それから、これからどうやってお金を稼ぐか、考えましょう」

 神殿の藁のベッドより微かに柔らかいベッドに横になり、サラは明日に想いを馳せた。

 :::

「痛いっ!!」

 その頃、アコロ王子は廊下を歩いていると突然倒れて来た絵画に頭を打たれた。

「おい使用人!絵ぐらいしっかり飾っておけ!首をはねるぞ!!」

 神を信じぬ者。
 傲慢な者。
 欲に溺れた者。

 そう言った腐った人々に徐々に加護の力が消え、小さな不幸が起こり始めていた。
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