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その後

【番外】オウマside12

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 噓でしょ!?
 ケンキさん異常に強いんだけど!
 俺スラムでは負けなしだったんだよ?
 爺ちゃんに剣術習ってたから。
 大人に複数人で囲まれても勝てたのに、かすり傷1つ与えられない。
 コレがミヤハル様の執事の戦闘能力。
 つまりミヤハル様は俺を将来の魔国の穴埋めに使うと言ったから、執事のケンキさんに負けてる場合じゃないのよね俺。

 多分ミヤハル様は俺を武官にしたいんだと思う。
 正直頭使うのは嫌いだし、戦うのは好きだし。
 スラムで負け知らずだった俺はちょっと頑張ればイケると思ったんだよね。

 天狗になってましたスミマセン。

 でもさ、かすり傷の1つぐらい負わせたい。
 でないと俺に剣術教えてくれてた爺ちゃんの剣がばったもんになる気がしたから。
 必死で剣を振る。

 でも爺ちゃんに言われたことは忘れないで意識して。

 肩を下げない。
 足運びを雑にしない。
 1振りしてる間に次の手順を考える。
 相手の殺気を感知して何処狙われてるか気付く。
 避ける時も体勢性を崩さない。

 て、ちゃんとしてるのに!
 まず基礎的なスピードが違う。
 体捌き足運びの問題じゃない。
 動きが見えない。
 殺気もしない。
 狙いが読めない。
 
 これが1流かぁ。

 悔しいよ爺ちゃん。
 俺、爺ちゃんに教わった事何も活かせてねーわ。
 泣けてくる。
 でもここで泣いたら本当の負けだから絶対泣かない。
 俺と爺ちゃんの沽券にかかわる。

「少し休憩しましょうか」

 一刻ほど打ち合って、ようやく水分補給の休憩時間。

「オウマ殿は何処で剣術を?」

「俺を育ててくれた爺ちゃん」

「随分腕の立つ御仁だったのでしょうね。オウマ殿がその年でココまで完成しているのは素晴らしい導き手の手腕です。動きも無駄がなく、剣捌きも基礎がちゃんとなっている。私などすぐ超えられてしまうでしょう」

 え、今俺褒められた?
 ボコボコに負けたのに?
 俺そん慰め欲しくなかった。
 悔しい。
 まだ罵倒された方がマシだった。
 熱い液体が頬っぺたを伝うのが分かった。

「どうなされたオウマ殿!?」

「俺、慰め何て欲しくないし…俺が弱いせいで、爺ちゃんが本当に強い事、示せなくて、悔しい!悔しいよ!!」

「あぁ、貴方は本当にお爺様が誇りだったのですね。でも私は無駄な慰めなどしないですよ?オウマ殿の資質があまりに高かったから本当の事を言ったまでです」

「でも俺、ケンキさんに1発も当てられなかった……」

「オウマ殿は何歳ですか?」

「多分8歳位…」

「私が8歳の頃にはオウマ殿ほどの腕はありませんでした。15歳の時にミヤハル様に引き取られてもう15万年になりますが…いまだにミヤハル様に1発も当てられませんよ?
でもオウマ殿なら当てるのは無理でもお褒めの言葉を頂けるくらいの実力者になると私は確信しています。
ご自分とお爺様が残してくれた剣技を誇りとして、これからも鍛錬に励んで下さい」

 にっこりケンキさんが笑って俺の頭を撫でてくれた。
 ハンカチも貸してくれたよ。
 鼻水付けちゃったけど笑って許してくれた。
 大物だなぁケンキさん。

 ………て?

 え、15歳の時に拾われて15万年!?
 ちょっと待って! 
 ミヤハル様って何歳!?
 見かけ12~3歳くらいだよね?
 ケンキさんより年上!?
 しかもケンキさんが1発も当てれない!?

 情報量が凄くて頭が回んない。
 分からん。
 分からねば…。

 つーか俺、もしかして物凄い人に買われたんじゃぁ……?

 この後、様子を見に来たミヤハル様がデモンストレーションでケンキさんと手合わせ見せてくれたんだけど、本当にケンキさん1発も当てられ無かった…。
 つーかミヤハル様、1歩も動いてないし!
 触れるだけで相手吹っ飛ばすのって何!?
 後で聞いたら”アイキドウ”て言う神話時代の格闘技の技だって教えてくれたけど。
 何で神話時代の格闘技使えるのミヤハル様……?

 俺、本当にこの人が認めてくれる人材になれるんだろうか?

 ここに来て俺もさすがに心配になってきた。
 この後、吐かない程度にケンキさんに修業付けて貰ったよ。

 夕食もバクバク食べたし。
 子供の体って凄い。
 体力使った分食事が入る。
 今日はもういいわ~、みたいにならない。

 食べた後眠いけど、美形兄弟の兄と一緒にお風呂。
 頭洗ってあげて、体洗ってあけて、一緒に湯船に浸かって。
 これ俺の仕事だからちゃんとしないとね。
 この美形兄弟ももう少し大きくなったら俺みたいに扱かれるんだろうなぁ。
 湯上り、兄の方の髪の水気をタオルで拭ってやりながらそんな事考えた。

 あ~眠い。
 ぐらりぐらりと頭が舟をこぐ。

 駄目だ、兄の髪乾かさないと…。
 俺の仕事なんだから……………。

 気づいたら自室のベッドの上だった。
 俺、寝落ちしちゃったみたい。
 奴隷なのに余計な仕事増やしちゃった。
 カーテン越しの窓を見るともう外が明るいのが分かる。
 
 お腹がくぅ~と鳴る。

 正直だねお腹の虫。
 でも今日はご飯抜きかな?
 仕事ちゃんと出来なかったからね。
 ご飯の後片付け位はちゃんとしよう。
 俺は階段を下りてダイニングへ向かう。
 そこには食卓に着いたミヤハル様と兄の姿。
 赤ちゃんはメイドさんの腕の中でもうミルクを飲んでる。
 ミヤハル様と兄はまだ食事に手を付けていないみたいだ。

「ケンキに呼びに行かせようと思うたんやけど、自分でおきたんやな。偉い偉い、ほら、ご飯食べるから座りぃ」

 え、俺ご飯食べて良いの?
 仕事ちゃんとできなかったのに?
 しかも俺の事、ご主人様が待っててくれたの?

「何で………?」

「おかしい事あらへんよ、家族やろ?」

 ボタボタボタッ

 水が床に落ちた。

「あんまり泣いたら目ぇ溶けるでぇ」

 ミヤハル様がクスクス笑う。
 泣いてる俺を揶揄っているようで、それでいて優しい声。

「家族?」

「そうですよオウマ殿。貴方はこの家の子なんですから、そんなに気を張らなくても良いんですよ」

 あ~駄目だ。
 皆が優し過ぎて涙が止まらない。
 でもお腹空いてるから涙拭いながら朝食を食べた。
 すっごく美味しかぅた。
 ちょっとしょっぱかったけど。
 爺ちゃん俺、家族できたよ。
 爺ちゃんも天国で安心してくれてる?

 んで俺、爺ちゃんが教えてくれた剣術を磨いてちゃんとミヤハル様が求めるだけの技量身に着けてみせるから!

 この日から、俺の本当の新しい人生が始まったんだ。
 
 今日はココまでね。
 バレンタインなのに俺の話しでゴメンね~。
 リコリスちゃんと魔王さんのバレンタイン小話読みたい人居たかな?
 書き手が頑張れれば夜書くかも知れないけど期待しないでね。
 すぐぶっ倒れる書き手だからね~。
 ミヤハル様と宰相さんのバレンタイン小話とかは需要あるのかな?
 まぁ来年のバレンタインまで続いてたらちゃんと書くよ!

 それより俺にチョコレートくれる可愛いお嬢さんは居ないのかな?
 絶賛募集中だよ♡

 それじゃぁ、またね(^^♪
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