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第2章
【番外】魔王side5~デート編後編~
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食事をとって、原画展に行って、プレゼントを渡した。
好きな漫画のキャラクターがモチーフのプレゼントにリコリスはほくほくだ。
今のところデートは上手くいっている。
が、ここまでのプランはほぼ義姉が立てたものだ。
だから魔王は自分が考えたデートプランでここからは動かなければならない。
メイドに聞き込みをしてリコリスの嗜好を探った。
聞き込み後のメイド達の9割が魔王が去った後、腰を抜かしてしばし放心状態となったのは致し方あるまい。
魔王の色気は半端ない。
仕事中は”絶対零度の君主”などと呼ばれているが、誰にでも威圧感を払っている訳ではない。
特別フェミニストと言うわけでもないが基本、女子供には優しい方だ。
優しさを発揮する機会が無いので知られていないだけだ。
それに加えて今回の聞きまわり中、魔王はリコリスの事を考えていたから色気が5割増しになっていた。
宰相である兄からメイドへの聞き込みを中止された。
解せぬ。
そして魔王は男の使用人にも探りを入れた。
リコリスの事に詳しい者は魔王の危険リストに入るわけだが、そんなものは存在しなかった。
だが魔王に迫られて新しい扉を開けた者は少なくない。
すぐに宰相に男の使用人に探りを入れるのも止められてた。
解せぬ。
そして聞き込みを終えた後、マル秘情報をくれたのは司書と料理長だ。
最終的に司書からは好みの漫画の傾向とお気に入りの飲茶と言う食べ物。
調理長からは外で食事をとりたいと言っていたことを聞けた。
後はこの2つを合わせて自分なりにオリジナリティを入れれば良いでだろう。
デート迄の1週間、魔王は世界1可愛いパンダを抱きしめながらベッドの上で考えた。
それにしても可愛いパンダだ。
早く中身を召し上がりたい。
今度のデートで少しでも前に進みたい魔王は必死であった。
:::
「魔王、あの店見てみたいです」
リコリスが指さすのは水晶を使った装飾品の露店だ。
リコリスが装飾品に興味を示すのは珍しい。
正直こんなプチプラでなくリコリスの価値に見合った、国宝級の装飾品を贈りたいのだが。
Tシャツとぬいぐるみのプレゼントだけよりは色気がある。
何より自分が贈ったものをリコリスが始終身に着けていて貰えると言うのは魅力的だ。
「覗いてみるか」
「はいっ!」
リコリスが魔王の手を引く。
珍しくリコリスの方が装飾品にノリノリだ。
露店を除くと様々な装飾品が並べられていた。
指輪
ブレスレット
ピアス
ネックレス
どれも始終身に付けれるものである。
露店で販売しているモノにしては中々洗礼されたデザインだった。
「気に入ったのはあるか?」
「これ、これが気になります!」
リコリスが手に取ったのはシンプルなイヤーカフであった。
銀細工で花のモチーフが刻まれており、花弁は水晶で出来ていた。
だが2つの花の種類で悩んでいる様だ。
「どちらも買って良いのだぞ?」
「違います。私が魔王にプレゼントしたいんです!」
「!」
魔王が目を見開く。
ここ千何百年でこれ程驚いたのは初めてだ。
「だが持ち合わせがないだろう?特に小遣いを渡したこともないぞ?」
「厨房で皿洗いのバイトさせて貰ってたので1つなら手が出るんです。でもどっちも気に入ってしましました…どうしましょう……」
健気すぎる。
抱きしめたい!
抱きしめてキスしたい!!
頑張れ理性。
今魔王の理性は本能を逆エビ固めで動けないように組み伏せている。
「どれどれ、薔薇とヒマワリか。正反対なデザインだな」
「そうなんです。でもやっぱり魔王にはバラの方が似合いますね!オジサン、薔薇の方下さい!」
「ほいほい。それじゃこのイヤーカフ握って魔力を込めてみてごらん」
「こうですか?————あ、赤くなりました!」
「その水晶は封水晶っていって魔力を閉じ込めるんだ。嬢ちゃんの魔力は赤か。兄ちゃん愛されているな」
「え、え、何ですか!?何で私が魔王を好きって分かったんですか!?」
「うちの商品は全部花モチーフで花弁に封水晶が使ったある。そして花が呼ぶんだよ、この気持ちを伝えてってな。そして赤の薔薇の花言葉は「あなたを愛してます」「愛情」「美」「情熱」「熱烈な恋」だ」
「ふわぁ、恥ずかしくて死ねます!!」
「では主人、ヒマワリの方を我にくれ」
「へっ?」
リコリスが呆けた声を上げる。
「ほい、兄ちゃんも魔力込めてくれよ」
「うむ」
魔王が魔力を注ぐとヒマワリの花が黄色に染まる。
「リコリス、これは我の気持ちだ」
「ひゅー兄ちゃん情熱的だな!嬢ちゃんも愛されて大変だろう!オジサンが照れちゃうな!!」
「ち、ちなみにヒマワリの花言葉は?」
「「私はあなただけを見つめる」「愛慕」だ」
魔王がヒマワリのイヤーカフをリコリスに着ける。
「似合っているぞ」
魔王がこれ以上無いくらい甘く微笑む。
周囲の女性がふらりと倒れ、オバちゃんたちが腰を砕けさす。
何やら男たち迄顔を赤くしている。
まさに歩く猥褻物。
「我には着けてくれぬのかリコリス?」
「ひゃ、ひゃぃ」
顔を真っ赤にして手を震わせながらリコリスが薔薇のモチーフのイヤーカフを魔王に着ける。
「お前の魔力が宿っているモノを身に着けていられる。良い商品に巡り合えた」
「わ、私も魔王の色の花を身に着けれて嬉しいです!」
2人の周囲からピンクのオーラが見える。
しかもオーラを出しているのが絶世の美貌の2人である。
その雰囲気に周囲の者ものまれる。
「おっちゃん俺にもアクセサリー売ってくれ!」
「ねぇ、私指輪が欲しいわ」
「たまには妻に土産でも買って帰るか」
老若男女問わず露店に人が集まりだす。
「おー2人のおかげで大繁盛だ!ありがとな兄ちゃん嬢ちゃん。お幸せにな!」
「はいっ!」
「そちらも良き時を」
手を取って2人は露店を離れた。
2人の耳には互いの瞳の色を宿した水晶が光っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
後編で終われませんでした(;^ω^)
エピローグに続きます。
好きな漫画のキャラクターがモチーフのプレゼントにリコリスはほくほくだ。
今のところデートは上手くいっている。
が、ここまでのプランはほぼ義姉が立てたものだ。
だから魔王は自分が考えたデートプランでここからは動かなければならない。
メイドに聞き込みをしてリコリスの嗜好を探った。
聞き込み後のメイド達の9割が魔王が去った後、腰を抜かしてしばし放心状態となったのは致し方あるまい。
魔王の色気は半端ない。
仕事中は”絶対零度の君主”などと呼ばれているが、誰にでも威圧感を払っている訳ではない。
特別フェミニストと言うわけでもないが基本、女子供には優しい方だ。
優しさを発揮する機会が無いので知られていないだけだ。
それに加えて今回の聞きまわり中、魔王はリコリスの事を考えていたから色気が5割増しになっていた。
宰相である兄からメイドへの聞き込みを中止された。
解せぬ。
そして魔王は男の使用人にも探りを入れた。
リコリスの事に詳しい者は魔王の危険リストに入るわけだが、そんなものは存在しなかった。
だが魔王に迫られて新しい扉を開けた者は少なくない。
すぐに宰相に男の使用人に探りを入れるのも止められてた。
解せぬ。
そして聞き込みを終えた後、マル秘情報をくれたのは司書と料理長だ。
最終的に司書からは好みの漫画の傾向とお気に入りの飲茶と言う食べ物。
調理長からは外で食事をとりたいと言っていたことを聞けた。
後はこの2つを合わせて自分なりにオリジナリティを入れれば良いでだろう。
デート迄の1週間、魔王は世界1可愛いパンダを抱きしめながらベッドの上で考えた。
それにしても可愛いパンダだ。
早く中身を召し上がりたい。
今度のデートで少しでも前に進みたい魔王は必死であった。
:::
「魔王、あの店見てみたいです」
リコリスが指さすのは水晶を使った装飾品の露店だ。
リコリスが装飾品に興味を示すのは珍しい。
正直こんなプチプラでなくリコリスの価値に見合った、国宝級の装飾品を贈りたいのだが。
Tシャツとぬいぐるみのプレゼントだけよりは色気がある。
何より自分が贈ったものをリコリスが始終身に着けていて貰えると言うのは魅力的だ。
「覗いてみるか」
「はいっ!」
リコリスが魔王の手を引く。
珍しくリコリスの方が装飾品にノリノリだ。
露店を除くと様々な装飾品が並べられていた。
指輪
ブレスレット
ピアス
ネックレス
どれも始終身に付けれるものである。
露店で販売しているモノにしては中々洗礼されたデザインだった。
「気に入ったのはあるか?」
「これ、これが気になります!」
リコリスが手に取ったのはシンプルなイヤーカフであった。
銀細工で花のモチーフが刻まれており、花弁は水晶で出来ていた。
だが2つの花の種類で悩んでいる様だ。
「どちらも買って良いのだぞ?」
「違います。私が魔王にプレゼントしたいんです!」
「!」
魔王が目を見開く。
ここ千何百年でこれ程驚いたのは初めてだ。
「だが持ち合わせがないだろう?特に小遣いを渡したこともないぞ?」
「厨房で皿洗いのバイトさせて貰ってたので1つなら手が出るんです。でもどっちも気に入ってしましました…どうしましょう……」
健気すぎる。
抱きしめたい!
抱きしめてキスしたい!!
頑張れ理性。
今魔王の理性は本能を逆エビ固めで動けないように組み伏せている。
「どれどれ、薔薇とヒマワリか。正反対なデザインだな」
「そうなんです。でもやっぱり魔王にはバラの方が似合いますね!オジサン、薔薇の方下さい!」
「ほいほい。それじゃこのイヤーカフ握って魔力を込めてみてごらん」
「こうですか?————あ、赤くなりました!」
「その水晶は封水晶っていって魔力を閉じ込めるんだ。嬢ちゃんの魔力は赤か。兄ちゃん愛されているな」
「え、え、何ですか!?何で私が魔王を好きって分かったんですか!?」
「うちの商品は全部花モチーフで花弁に封水晶が使ったある。そして花が呼ぶんだよ、この気持ちを伝えてってな。そして赤の薔薇の花言葉は「あなたを愛してます」「愛情」「美」「情熱」「熱烈な恋」だ」
「ふわぁ、恥ずかしくて死ねます!!」
「では主人、ヒマワリの方を我にくれ」
「へっ?」
リコリスが呆けた声を上げる。
「ほい、兄ちゃんも魔力込めてくれよ」
「うむ」
魔王が魔力を注ぐとヒマワリの花が黄色に染まる。
「リコリス、これは我の気持ちだ」
「ひゅー兄ちゃん情熱的だな!嬢ちゃんも愛されて大変だろう!オジサンが照れちゃうな!!」
「ち、ちなみにヒマワリの花言葉は?」
「「私はあなただけを見つめる」「愛慕」だ」
魔王がヒマワリのイヤーカフをリコリスに着ける。
「似合っているぞ」
魔王がこれ以上無いくらい甘く微笑む。
周囲の女性がふらりと倒れ、オバちゃんたちが腰を砕けさす。
何やら男たち迄顔を赤くしている。
まさに歩く猥褻物。
「我には着けてくれぬのかリコリス?」
「ひゃ、ひゃぃ」
顔を真っ赤にして手を震わせながらリコリスが薔薇のモチーフのイヤーカフを魔王に着ける。
「お前の魔力が宿っているモノを身に着けていられる。良い商品に巡り合えた」
「わ、私も魔王の色の花を身に着けれて嬉しいです!」
2人の周囲からピンクのオーラが見える。
しかもオーラを出しているのが絶世の美貌の2人である。
その雰囲気に周囲の者ものまれる。
「おっちゃん俺にもアクセサリー売ってくれ!」
「ねぇ、私指輪が欲しいわ」
「たまには妻に土産でも買って帰るか」
老若男女問わず露店に人が集まりだす。
「おー2人のおかげで大繁盛だ!ありがとな兄ちゃん嬢ちゃん。お幸せにな!」
「はいっ!」
「そちらも良き時を」
手を取って2人は露店を離れた。
2人の耳には互いの瞳の色を宿した水晶が光っていた。
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後編で終われませんでした(;^ω^)
エピローグに続きます。
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