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第五章 それは日々の話
128 青葉の宝物入れ 成人
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じいちゃんとは玄関でお別れして、急いで仕事の片付けをした。慌てなくていいと言われても、ちょっと焦る。
大きな紙袋を下げた青葉が、なるちゃん、焦らない焦らない、と声を掛けながら付いてきてくれる。
「時間見てごらん。私がうっかり早かっただけで、なるちゃんはいつも通りだよ」
うん。分かった。
時計を見たら、少しほっとした。自分で、時間をしっかりと区切って行動していないから、こうなるんだな。そろそろ昼だよ、とかおやつの時間だよ、と誰や彼やが声を掛けてくれるものだから、時計も見ずに動くことが多い。
そうだ。自分でもう少し時計を気にしてみよう。
よし、と思いながら、青葉とそれぞれのお茶を持って階段を上がる。勉強の時に飲めるように淹れておいたんだ。水分をしっかり摂りなさいって、生松がいつも言ってるからね。
「よろしくお願いします」
「はい。お願いします」
挨拶をして絨毯に座ると、座卓を挟んで青葉も座った。
「ふふふ。持ってきたよー。子ども達の絵」
青葉が楽しそうに、手に下げていた大きな紙袋から、箱を取り出す。何か色々書いてあって、何かが入っていた空き箱だなって感じの箱だ。でも、大切そう。
あ、あれかな?
宝物入れ。
皆、大事なものを入れる箱とか持ってるって力丸が言ってたもんね。それで、俺の箱を探す手伝いをしてくれた。その時に、買い物のことも教えてもらったなあ。力丸は本当に色々教えてくれるから、大好きだ。
蓋を開けると、何枚もの紙が入っていた。母の絵は、そんなにたくさん描くのか。青葉の子どもが二人だからって二枚じゃないんだな。
「小さい頃のを見ようか」
下の方から出てきたのは、俺がいつも使ってる白い紙より大きな紙に描かれた笑ってる人の顔。大きな紙いっぱいに元気に描いてあって、髪の毛が描ききれずにはみ出している。きっと机に描いちゃってるな、これは。ひたちまるって右下に名前が書いてある。常陸丸が描いたんだな。うん、上手!目や鼻や口が全部大きいけど、青葉が笑ってる顔だな、って分かる。
「青葉だ」
「あら、分かる?」
「うん。上手」
青葉は、嬉しそうににこにこと笑った。
次に出てきたのは、すっごく上手に描けている、やっぱり青葉の顔。これって。
「緋色の!上手!」
「ねえ。殿下は子どもの時から本当に絵が上手だったんだよ」
「青葉だ」
「私だね。誰がどう見ても」
母の絵。緋色は、青葉を描いたのか。だから、母さまは自分じゃなかったって言ってたのか。
次に出てきてのは、常陸丸の絵と似てて、でもはみ出さないように気を付けて描いてある青葉の顔だった。
「力丸は、殿下みたいに綺麗に描きたいとよく言ってたから、丁寧に頑張ってるね」
うんうん。
皆、色々で面白い。
でも、全部青葉だ。青葉の顔って分かる!
最後に出てきたのは。
「んー?」
俺が昨日描いてた絵と似てる。歪んだ丸で、何とか顔にしようとした絵。まだ、青葉かも分からない。
「乙羽ちゃんの絵も、なるちゃんと似てるねえ」
ほんとだ。
俺の描いた、母さまっぽい絵とよく似てる。
大きな紙袋を下げた青葉が、なるちゃん、焦らない焦らない、と声を掛けながら付いてきてくれる。
「時間見てごらん。私がうっかり早かっただけで、なるちゃんはいつも通りだよ」
うん。分かった。
時計を見たら、少しほっとした。自分で、時間をしっかりと区切って行動していないから、こうなるんだな。そろそろ昼だよ、とかおやつの時間だよ、と誰や彼やが声を掛けてくれるものだから、時計も見ずに動くことが多い。
そうだ。自分でもう少し時計を気にしてみよう。
よし、と思いながら、青葉とそれぞれのお茶を持って階段を上がる。勉強の時に飲めるように淹れておいたんだ。水分をしっかり摂りなさいって、生松がいつも言ってるからね。
「よろしくお願いします」
「はい。お願いします」
挨拶をして絨毯に座ると、座卓を挟んで青葉も座った。
「ふふふ。持ってきたよー。子ども達の絵」
青葉が楽しそうに、手に下げていた大きな紙袋から、箱を取り出す。何か色々書いてあって、何かが入っていた空き箱だなって感じの箱だ。でも、大切そう。
あ、あれかな?
宝物入れ。
皆、大事なものを入れる箱とか持ってるって力丸が言ってたもんね。それで、俺の箱を探す手伝いをしてくれた。その時に、買い物のことも教えてもらったなあ。力丸は本当に色々教えてくれるから、大好きだ。
蓋を開けると、何枚もの紙が入っていた。母の絵は、そんなにたくさん描くのか。青葉の子どもが二人だからって二枚じゃないんだな。
「小さい頃のを見ようか」
下の方から出てきたのは、俺がいつも使ってる白い紙より大きな紙に描かれた笑ってる人の顔。大きな紙いっぱいに元気に描いてあって、髪の毛が描ききれずにはみ出している。きっと机に描いちゃってるな、これは。ひたちまるって右下に名前が書いてある。常陸丸が描いたんだな。うん、上手!目や鼻や口が全部大きいけど、青葉が笑ってる顔だな、って分かる。
「青葉だ」
「あら、分かる?」
「うん。上手」
青葉は、嬉しそうににこにこと笑った。
次に出てきたのは、すっごく上手に描けている、やっぱり青葉の顔。これって。
「緋色の!上手!」
「ねえ。殿下は子どもの時から本当に絵が上手だったんだよ」
「青葉だ」
「私だね。誰がどう見ても」
母の絵。緋色は、青葉を描いたのか。だから、母さまは自分じゃなかったって言ってたのか。
次に出てきてのは、常陸丸の絵と似てて、でもはみ出さないように気を付けて描いてある青葉の顔だった。
「力丸は、殿下みたいに綺麗に描きたいとよく言ってたから、丁寧に頑張ってるね」
うんうん。
皆、色々で面白い。
でも、全部青葉だ。青葉の顔って分かる!
最後に出てきたのは。
「んー?」
俺が昨日描いてた絵と似てる。歪んだ丸で、何とか顔にしようとした絵。まだ、青葉かも分からない。
「乙羽ちゃんの絵も、なるちゃんと似てるねえ」
ほんとだ。
俺の描いた、母さまっぽい絵とよく似てる。
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