人形と皇子

かずえ

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こぼれ話

幸せ  成人

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 俺は緋色ひいろと結婚したと思ってたけど、違うんだろうか。家。家って何だろう?子どもは、結婚しても俺と緋色ひいろにはできないってのは聞いた。

「いらないだろ、そんなもん。俺はお前の世話で忙しい。」

 緋色ひいろはそう言った。
 俺は末良すえよしと違って、自分でトイレ行けるしご飯も食べられるから、お世話はいらないよ、と言ったけど、けらけら笑われた。何だよー。
 それなら、やっぱり俺は、俺たちはこれでいいのか……。
 気付いたら緋色ひいろに抱っこされて、背中をゆっくり、とん、とん、と叩かれていた。

「あれ?」
「落ち着いたか?」
「あれ?」

 赤璃あかりさまは?
 きょろきょろしたが、誰もいない。

「昼寝するか?」
「んー?」

 ぺったりと緋色ひいろにくっつく。これがとても好きだ。ソファに座った緋色ひいろの上にうつ伏せで抱きついて、緋色ひいろの心臓の音を聞いて。誰よりも何よりも近くにいることができるこの体勢が好き。このまま、寝てしまうのも気持ちいい。

「大好き。」
「知ってる。」
「昨日より好き。」
「そうか。」

 何かを考えていたんだけど……何だったっけ?

「俺は緋色ひいろと結婚してる?」
「誓いをしただろう?」
「一番好きの気持ちだけでいい?」
「他に何かいるか?」
「んーん。」

 いらないな。

「ジュース飲むか?」
「お腹空いてない。」
「じゃ、水飲んどけ。」

 緋色ひいろの上から起きて、机に置いてあったコップを持つ。
 冷たくなーい。
 一口飲んで戻す。
 くくっと緋色ひいろが笑った。

「冷たくなかったか?」

 なんで分かったの?

「分かるさ。」

 緋色ひいろがコップを持って水を口に含んだ。近付いてくる唇を自分で迎えにいく。触れた口から水が流れ込んできて飲んだ。これなら、冷たくなくても美味しい、ような気がする。
 そのまま、ちゅーをしてるうちにすっかり力が抜けて寝てしまった。
 俺は、やっぱり毎日幸せ。






◇◇◇

 こぼれ話、新婚旅行編終わります。お付き合いくださって、ありがとうございました。
 また何かお話がこぼれたら、お付き合いください(^-^)
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