【完結】塔の悪魔の花嫁

かずえ

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 晴れた空の下、カナメヅカの四人とイズモとヤクモは城を出た。
 医師のワカヒコには、言葉を尽くして引き留められたが、寝起きのヤクモが、侍女服を借りて着ていたトキの姿を見てパニックを起こしたことで、城を出る許可をくれたのだ。
 離宮と城は違う、ここは、ヤクモが辛い目に合った場所ではないのだ、という理屈は通らなかった。
 どこを見ても、ヤクモを苦しめた者と同じお仕着せを着た女たちや、扉の前でただ無表情に立っていた護衛騎士がいるのだ。
 人が多いと身体中が強張るヤクモのために、カナメヅカの四人とイズモ、ワカヒコしかこの部屋には入らないよ、とヤクモに伝えてあった。実際そのようにしていた。だが、トキの侍女服が目に入った途端、ヤクモはうまく呼吸ができなくなって泣きわめき、恐怖に引きつったまま気を失った。この城にヤクモ様を置いておくことはできない、とワカヒコは判断せざるを得なかった。
 ヤクモの寝ている部屋の外には、その服の女性がたくさんいたからである。それは、ヤクモが動けるようになれば、いくらでも目にしてしまうことを意味していた。
 王都の、貸してもらった屋敷へとりあえず入る。大きすぎない家を、と希望したが、六人で暮らすにはかなり大きな屋敷であった。使用人を雇う予定はないので、できればもう少し小さいものが良かったが、ほんの少しの間だと我慢した。
 ヤクモの体調が戻ったら、帰ろう。塔の町へ。自分達の町へ。
 六人の家族は、ようやく自分達だけになって、ほっとしながら、しばらくその屋敷に滞在した。
 王都の店の服や下着は流石の品揃えで、トキとヌイはショッピングを満喫したようである。
 少し懐に余裕ができたので、カフェに入ってスイーツなども食べてみた。塔の町では見たこともない食べ物がたくさんあり、どれを注文しようかと悩んで大変だった。お土産に買って帰ったケーキは、ヤクモが気に入って、はしゃいではしゃいで大変だった。

「ぉうちて、つくう。ふたちゅたべゆ。」

 ヤクモの言葉に、本屋で料理の本を探した。流石は王都。様々なスイーツの作り方の載った本を見つけて買うことができた。材料を集めて試作をしたり、どうしても分からないものは実物を探して試食したり、と女性陣は忙しくも楽しい毎日を送る。
 ミカゲとヒカゲは、久々ののんびりとした時間に、どう過ごすか戸惑っていたが、手合わせしたり、武器屋に行ったりと次第に楽しみを見つけた。
 イズモは、動けないヤクモの世話をすることに没頭して、散々に甘やかした。寝ている時にうなされたり、急にぐずぐずとグズり出したりすることも全部可愛いと、抱きしめて、キスして、食べ物を食べさせて、尽くした。
 長い年月を孤独に生きてきた二人が、決して離れない存在がいる、と確認するために必要な時間だったのだろう。
 六人は、のんびりとした時間を満喫して、ヤクモが一人で歩けるようになった頃に、塔の町へと
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