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8.透明化の指輪②
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エリーゼたちが利用している宿は、街の中心から離れてはいるものの、街を走る大通りに面している。
その為、宿のすぐ外には、多くの人々が行き交っていた。
(今からこの中に出ていくのね……)
エリーゼは宿屋の扉の影から覗いていた。
透明になり、他人からは見えないとはいえ、全裸で行き交う人々の中に身を踊らせる。
その光景を想像するだけで、下腹部が疼くのを感じた。
呼吸を整えたエリーゼは、尖った胸の頂や、蜜液を垂れ流す秘部を一切隠すことなく、通りに出た。
皆が服を着ているというのに、エリーゼだけがなにも纏っていない。
産まれたままの姿をさらしてしまっている。
たとえそれが誰にも見られていないのだとしても、沸き上がる羞恥は耐えがたいものだった。
人々の間を縫うようにして歩く。
エリーゼの姿は誰にも見えていないため、エリーゼ自身が気をつけないと、すぐにぶつかってしまいそうになる。
少し歩くと、大きな広場についた。
広場には屋台が並び、駆け回る子供たちや、余暇を過ごす冒険者などで溢れている。
エリーゼは広場の中心にある舞台に目を付けた。
この舞台は祭りの際などに、出し物をする場として利用されている。
今日はとくに利用する者がいないのか、誰かが使っている様子はない。
エリーゼは人にぶつからないように舞台へと上ると、そこから広場を見渡した。
屋台で買った串焼きを食べる人。
広場に設置されているベンチに座り込んで、談笑に花を咲かせている人。
エリーゼからはその全てが見えていた。
それはつまり、向こうからもこちらが見えるということだ。
一段高い舞台の上は、広場のどこにいてもよく見えるようになっている。
もしここで、透明化を解除したら……。
四方八方から、ここにいる全ての人に、エリーゼのあられもない姿を見られてしまうことになるだろう。
これだけ人がいて、中には屈強な冒険者もいるのだ。
逃げ出そうとしても、簡単に捕らえられてしまうに違いない。
冒険者に組み伏せられ、抵抗することもままならない状況で、至近距離から視姦される。
それだけではない。
両の膨らみを弄ばれ、口には一物を咥えさせられ、前後の穴を貫かれる。
屈辱で涙を流しながらも、きっとエリーゼは快楽に身を委ねてしまうのだろう。
身体中を白濁で汚され、広場に打ち捨てられたエリーゼ。
そんな光景を、あってはならない光景を脳裏に思い描く。
もう、我慢の限界だった。
エリーゼは舞台に座り込むと、膝を立てたまま足を大きく開いた。
さらけ出された秘唇はパックリと口を開け、コクコクと蜜液を垂らしている。
雌の香りが漂い、日の光に当てられた股ぐらが、テラテラと輝いた。
左手を胸に伸ばし、痛いほどに屹立した尖頭をクリッとつまみ上げる。
「はあぁぁぁんふっ……!」
抑えきれない、官能の声が漏れる。
その声の大きさにエリーゼは慌てて周囲を確認するが、どうやら人々の喧騒に掻き消されて、誰の耳にも届いた様子はない。
それならば、とエリーゼは胸を揉む手に力を込めた。
柔らかい塊を握りつぶすように揉む。
それだけではない。
右手は下半身へと這い、雄を求めてパクパクと口を開いて涎を垂らす、エリーゼの女を虐めた。
腫れ上がった肉豆を、親指と人差し指で包皮ごと揉み込む。
中指と薬指は肉壺へと潜り込ませると、肉豆のちょうど裏側を擦るように動かす。
「はぁ、はぁっ、いいっ……!
いいわっ……!」
ジュポジュポと、卑猥な水音を掻き鳴らしながら、性感を高めていく。
日が高く上り、多くの人が過ごすのどかな広場の中心で、女の全てをさらけ出し、浅ましく自慰にふける。
その非日常的な状況が、エリーゼの羞恥に拍車をかける。
「ああっ、くるっ!
来ちゃうぅっ!
皆の前でイッちゃウゥぅぅッ……!!」
止めを刺すように、肉壺の中を強く押し込むと、鋭い快感に全身を貫かれた。
目は上転し、口の端からは涎が垂れ、足の指はピンと伸ばされている。
股ぐらからは、おびただしい量の潮が噴き上げ、舞台の下を濡らしていた。
ガクン、ガクンと震える体に心を委ね、心地よい快楽に浸る。
「はぁっ……、はぁっ……」
舞台に転がるように倒れこんだエリーゼは、肩で息をしながら、肉壺から指を抜いた。
(今日は少しやり過ぎちゃったかもしれないわね……。
そろそろ戻らないと、魔力が切れちゃいそう)
魔力が切れるということは即ち、エリーゼの透明化が解除されてしまうということである。
そうなれば、妄想ではなく、実際にその裸体を晒すことになってしまうのだ。
しかも魔力切れの状態では、万が一襲われでもしたら、全く抵抗できないだろう。
さすがにそんなことになってしまうのは不味い、ということくらいは理解している。
快楽に流されてこんなことまでしてしまっているが、本当の破滅だけは避けなければならない。
ようやく落ち着いてきたエリーゼは、帰るために体を起こした。
そして目があった。
「えっ……」
いつの間に近づいてきていたのだろうか。
エリーゼの足元には、一人の女がいた。
黒を基調とした、修道服に身を包んでいる。
おそらく、この街の修道女なのだろう。
その修道女のマリンブルーの瞳が、確かにエリーゼの方を見ているのだ。
エリーゼは慌てて透明化の指輪を確認するが、確かにまだ魔力は流れている。
実際、回りを見ても、この修道女の他に舞台へ注意を払っている人はいない。
「……えっと、もしかして私のこと見えてる?」
エリーゼは恐る恐る尋ねた。
「はい」
淡々としたその返事を聞いた瞬間、エリーゼは両手で体を隠した。
もう既に遅いかもしれないが。
「いったい、いつから気がついて……」
「広場にいらっしゃったときからです。
全裸で歩いているというのに、誰も気がついた様子はない。
かといって、悪霊のような気配でもない。
いったい、どなたなのだろうと興味が湧いてしまって」
エリーゼは天を仰いだ。
広場に来たときから見られていたということは、エリーゼが舞台の上で浅ましく自分を慰め、果てたところまで見られていたということだ。
せめてもの救いは、見られたのが同性であったことだが、それはそれで異性に見られるのとは異なる羞恥があった。
「あの、これにはわけが……」
「ええ、わかっています。
女性でも性欲は溜まるものですからね。
その発散の仕方は人それぞれです。
他人に迷惑をかけないのであれば、私が口を挟むようなことではありません。
まあ、舞台の下を水浸しにするほど、野外で乱れるというのは、あまり勧められた行為ではないかもしれませんが」
修道女の視線を追うように舞台の下を覗き込むと、そこにはエリーゼの潮でできた水溜まりがあった。
快感で思考が昂っているときならともかく、一度発散して冷静になっている状態で、己の痴態の証をまじまじと見られるというのは、悶えたくなるような羞恥だった。
「……そ、それじゃあ私はもう行くわ」
逃げるようにエリーゼが舞台から下りる。
幸い、こちらの素性はばれていない。
このまま立ち去れば、二度と会うこともないだろう。
だが、修道女はそんなエリーゼの手を掴んで引き留めた。
「まあ、お待ちください。
実は私、この近くの教会で修道女をしておりまして。
時々、依頼をするために、冒険者ギルドに行くんです」
「へ、へえ……。
そうなのね……」
エリーゼの背中に冷や汗が伝う。
「冒険者ギルドですから、もちろんたくさんの冒険者の方々がいらっしゃるわけですが、最近そこである冒険者を見かけたことを思い出したんです」
「ど、どんな冒険者かしら?」
「二人組の冒険者でした。
一人は黒髪のヒトの男性。
そしてもう一人は、金髪のエルフの女性。
確かお名前は……、そうそう、エリーゼさんだったかしら」
エリーゼは膝から崩れ落ちそうになる。
(ガッツリ素性がばれてる……)
それはもう、今のエリーゼにとって、首元に剣を突きつけられているのと同義だった。
「そのエリーゼさんと貴方が、どうにも似ているような気がして。
もしかして、貴方はエリーゼさんですか?」
(……あれ、まさかまだばれてない?)
それならまだ、チャンスはあるかもしれない。
「ち、違うわ!」
どうにかシラを切るエリーゼ。
「そうでしたか、人違いでしたらすみません。
ただ、冒険者かもしれない方が公共の場である広場を汚していたことについて、街の一員としてギルドに報告した方がいいかな、と。
でも、もし報告したときに、広場を汚したのがエリーゼさんでなかったら、逆に本物のエリーゼさんに迷惑をかけてしまいますし。
どうにかして、貴方がエリーゼさんかどうか確かめたいのですが、口ではなんとでも言えますしね」
まるで何かを演じるかのように、身振り手振りを交えながら話す修道女。
その様子に、エリーゼは嫌な予感が止まらなかった。
「……あら、こんなところに、貴方の体液があるじゃないですか。
それも、こんなにたくさん。
これをギルドに持ち込んで、成分を確認してもらえば、貴方がエリーゼさんかどうかわかるかもしれないですね。
よかった。
ああ、引き留めてごめんなさい」
修道女はエリーゼの手を離し、微笑んだ。
その微笑みは、エリーゼにはまるで悪魔のように見えた。
体液、つまりエリーゼから噴き出した潮をギルドの職員に提出される。
そしてそれがエリーゼのものだとばれてしまったら、いったいこれからどんな顔で職員と話せばいいのだろう。
表面では普通に接していても、内心では「広場で潮を噴くほど激しく自慰にふける痴女」と思われてしまうかもしれない。
いや、それは間違いではないのだが。
さらに、職員から冒険者にその情報が漏れれば、ギルドは針のむしろ、となってしまうだろう。
エリーゼだけであれば自業自得だが、それではシンにまで迷惑をかけてしまう。
「あの、その、どうかギルドには伝えるのだけは……」
「あら、どうしてですか?
貴方が冒険者のエリーゼさんではないのなら、ギルドに報告したところで私の無駄足になるだけですし、貴方は困らないですよね?」
「それは、その……。
私がエリーゼです……」
「あら、さっきは違うと仰っていたような」
「……すみません、嘘をつきました」
「まあ、嘘を!
嘘をついて私を騙そうとしただけではなく、ギルドに報告するな、だなんて。
いくら私が神に仕える修道女だとしても、どこまでも寛大にはなれませんよ」
修道女はわざとらしく振る舞う。
エリーゼは、こんな腹黒が修道女だなんて、世も末だと思った。
「……ギルドに報告されたら、仲間にも迷惑がかかってしまうんです。
私にできることでしたら、何でもしますから、どうか……」
その言葉を聞いた修道女の目が光った。
「あら、何でもしてくださるのですか?」
「は、はい……」
エリーゼは早まったと思ったが、時は既に遅かった。
「そうですか。
それでしたらまず、その言葉が本当であることを証明していただきましょうか。
そうですね、では、そこで立ったまま、放尿をしてください」
「えっ、そんな……」
そんなこと、できるわけがない。
「広場の真ん中で、白昼堂々自慰にふけっていたエリーゼさんなら簡単でしょう?
それとも、何でもするというのも嘘なんですか?」
悪魔のような笑みで見つめる修道女。
(絶対、こいつは聖職者じゃない……)
内心ではそう思っても、エリーゼに逆らうという選択肢は残されていなかった。
「……わかりました」
エリーゼは肩幅に足を開いた。
「ああ、そうそう。
よく見えるように、両手でひだを大きく広げて下さいね」
「っ!」
エリーゼは指示通りに、震える手で秘唇を左右に割り開いた。
固く尖った肉豆も、淡い桃色をした秘唇の内側も、小さな尿道も、息づく肉穴も、その全てが太陽の下にさらけ出される。
「……まあ、こんなに愛液を垂らして。
よっぽど人に見られるのが好きなのですね」
修道女の言葉に、耳の先までカッと熱くなる。
エリーゼは大きく息を吐くと、固く目を閉じ、下腹部に力を入れた。
シャアァァァァァ……
先ほどの潮とは違う、黄金色の液体が、激しく地面を打つ。
昼間の広場。
大勢の人が過ごすこの場所で、エリーゼは放尿をしていた。
それも、男のように立ったまま。
一糸纏わぬ姿。
極限の羞恥で、全身がほんのり桃色に染まっている。
先ほどの自慰の時とは違う。
今は透明化していても、なぜかエリーゼのことが見える修道女に、間近で痴態を見られてしまっている。
自分でも見たことのない、尿道を押し開き、黄金の水が噴き出すその様子を、だ。
「エリーゼさん、目は開けてくださいね」
修道女の無慈悲な命令に、エリーゼは目を開ける。
そこには、バシャバシャと広場の地面を打ちながら水溜まりをつくっていく自分の放尿姿と、しゃがんでその様子を覗き込んでいる修道女の姿があった。
「エリーゼさん。
私に見られながら、昼間の広場で、全裸で、立ったまま放尿する気分はいかがですか?」
「はっ、恥ずかしすぎて死にそうよ、うぅ……」
顔を真っ赤にしながら、それでも律儀に修道女の質問に答える。
「気持ちいいですか?」
「そっ、それは……」
「答えてくれないんですか?」
悪魔の笑みを向けてくる修道女。
「……気持ちいいわ」
エリーゼはこの極限の羞恥の中に、確かな快感を覚えていた。
無視しようと、気がつかないようにしようと目を背けていた部分に、遠慮なく踏み込まれる。
自身の内面をさらけ出させられることに、エリーゼは羞恥と、確かな快楽を感じていた。
「こんなところで放尿するのが気持ちいいだなんて。
エリーゼさんは本当に変態なんですね」
修道女の容赦のない言葉が胸を抉るが、今はそれすらも快楽のスパイスでしかない。
「はあっ……、はあっ……」
放尿をしているだけだというのに、熱い呼吸が止まらない。
ピュッ、ピュッと最後の飛沫を噴き出したところで、ようやくエリーゼの放尿が終わった。
体の力が抜け、エリーゼはその場にへたりこんでしまう。
「見事な放尿でしたね。
わかりました、エリーゼさんの言葉を信用しましょう。
約束ですし、ギルドへの報告もしません」
その言葉に、エリーゼは胸を撫で下ろした。
これだけの辱しめにあったのだ。
約束を守ってくれなくては、割に合わない。
「それでは、私は帰りますね。
エリーゼさん、また会いましょう」
もう二度と会うものかと、立ち去る修道女の背中にエリーゼは舌を出した。
◇
「今日はやけに甘えん坊だな」
シンは抱きついているエリーゼの頭を優しく撫でた。
「今日はちょっと大変なことがあったから、いいの……」
シンの胸に顔を擦り付けてくるエリーゼ。
普段の凛々しいエリーゼをしっているだけに、このギャップはグッとくる。
「大変なこと?
大丈夫だったのか?」
「まあ、一応……。
ほら、撫でる手が止まっているわよ」
「はいはい」
いつになく可愛い相棒に、シンは苦笑するのだった。
その為、宿のすぐ外には、多くの人々が行き交っていた。
(今からこの中に出ていくのね……)
エリーゼは宿屋の扉の影から覗いていた。
透明になり、他人からは見えないとはいえ、全裸で行き交う人々の中に身を踊らせる。
その光景を想像するだけで、下腹部が疼くのを感じた。
呼吸を整えたエリーゼは、尖った胸の頂や、蜜液を垂れ流す秘部を一切隠すことなく、通りに出た。
皆が服を着ているというのに、エリーゼだけがなにも纏っていない。
産まれたままの姿をさらしてしまっている。
たとえそれが誰にも見られていないのだとしても、沸き上がる羞恥は耐えがたいものだった。
人々の間を縫うようにして歩く。
エリーゼの姿は誰にも見えていないため、エリーゼ自身が気をつけないと、すぐにぶつかってしまいそうになる。
少し歩くと、大きな広場についた。
広場には屋台が並び、駆け回る子供たちや、余暇を過ごす冒険者などで溢れている。
エリーゼは広場の中心にある舞台に目を付けた。
この舞台は祭りの際などに、出し物をする場として利用されている。
今日はとくに利用する者がいないのか、誰かが使っている様子はない。
エリーゼは人にぶつからないように舞台へと上ると、そこから広場を見渡した。
屋台で買った串焼きを食べる人。
広場に設置されているベンチに座り込んで、談笑に花を咲かせている人。
エリーゼからはその全てが見えていた。
それはつまり、向こうからもこちらが見えるということだ。
一段高い舞台の上は、広場のどこにいてもよく見えるようになっている。
もしここで、透明化を解除したら……。
四方八方から、ここにいる全ての人に、エリーゼのあられもない姿を見られてしまうことになるだろう。
これだけ人がいて、中には屈強な冒険者もいるのだ。
逃げ出そうとしても、簡単に捕らえられてしまうに違いない。
冒険者に組み伏せられ、抵抗することもままならない状況で、至近距離から視姦される。
それだけではない。
両の膨らみを弄ばれ、口には一物を咥えさせられ、前後の穴を貫かれる。
屈辱で涙を流しながらも、きっとエリーゼは快楽に身を委ねてしまうのだろう。
身体中を白濁で汚され、広場に打ち捨てられたエリーゼ。
そんな光景を、あってはならない光景を脳裏に思い描く。
もう、我慢の限界だった。
エリーゼは舞台に座り込むと、膝を立てたまま足を大きく開いた。
さらけ出された秘唇はパックリと口を開け、コクコクと蜜液を垂らしている。
雌の香りが漂い、日の光に当てられた股ぐらが、テラテラと輝いた。
左手を胸に伸ばし、痛いほどに屹立した尖頭をクリッとつまみ上げる。
「はあぁぁぁんふっ……!」
抑えきれない、官能の声が漏れる。
その声の大きさにエリーゼは慌てて周囲を確認するが、どうやら人々の喧騒に掻き消されて、誰の耳にも届いた様子はない。
それならば、とエリーゼは胸を揉む手に力を込めた。
柔らかい塊を握りつぶすように揉む。
それだけではない。
右手は下半身へと這い、雄を求めてパクパクと口を開いて涎を垂らす、エリーゼの女を虐めた。
腫れ上がった肉豆を、親指と人差し指で包皮ごと揉み込む。
中指と薬指は肉壺へと潜り込ませると、肉豆のちょうど裏側を擦るように動かす。
「はぁ、はぁっ、いいっ……!
いいわっ……!」
ジュポジュポと、卑猥な水音を掻き鳴らしながら、性感を高めていく。
日が高く上り、多くの人が過ごすのどかな広場の中心で、女の全てをさらけ出し、浅ましく自慰にふける。
その非日常的な状況が、エリーゼの羞恥に拍車をかける。
「ああっ、くるっ!
来ちゃうぅっ!
皆の前でイッちゃウゥぅぅッ……!!」
止めを刺すように、肉壺の中を強く押し込むと、鋭い快感に全身を貫かれた。
目は上転し、口の端からは涎が垂れ、足の指はピンと伸ばされている。
股ぐらからは、おびただしい量の潮が噴き上げ、舞台の下を濡らしていた。
ガクン、ガクンと震える体に心を委ね、心地よい快楽に浸る。
「はぁっ……、はぁっ……」
舞台に転がるように倒れこんだエリーゼは、肩で息をしながら、肉壺から指を抜いた。
(今日は少しやり過ぎちゃったかもしれないわね……。
そろそろ戻らないと、魔力が切れちゃいそう)
魔力が切れるということは即ち、エリーゼの透明化が解除されてしまうということである。
そうなれば、妄想ではなく、実際にその裸体を晒すことになってしまうのだ。
しかも魔力切れの状態では、万が一襲われでもしたら、全く抵抗できないだろう。
さすがにそんなことになってしまうのは不味い、ということくらいは理解している。
快楽に流されてこんなことまでしてしまっているが、本当の破滅だけは避けなければならない。
ようやく落ち着いてきたエリーゼは、帰るために体を起こした。
そして目があった。
「えっ……」
いつの間に近づいてきていたのだろうか。
エリーゼの足元には、一人の女がいた。
黒を基調とした、修道服に身を包んでいる。
おそらく、この街の修道女なのだろう。
その修道女のマリンブルーの瞳が、確かにエリーゼの方を見ているのだ。
エリーゼは慌てて透明化の指輪を確認するが、確かにまだ魔力は流れている。
実際、回りを見ても、この修道女の他に舞台へ注意を払っている人はいない。
「……えっと、もしかして私のこと見えてる?」
エリーゼは恐る恐る尋ねた。
「はい」
淡々としたその返事を聞いた瞬間、エリーゼは両手で体を隠した。
もう既に遅いかもしれないが。
「いったい、いつから気がついて……」
「広場にいらっしゃったときからです。
全裸で歩いているというのに、誰も気がついた様子はない。
かといって、悪霊のような気配でもない。
いったい、どなたなのだろうと興味が湧いてしまって」
エリーゼは天を仰いだ。
広場に来たときから見られていたということは、エリーゼが舞台の上で浅ましく自分を慰め、果てたところまで見られていたということだ。
せめてもの救いは、見られたのが同性であったことだが、それはそれで異性に見られるのとは異なる羞恥があった。
「あの、これにはわけが……」
「ええ、わかっています。
女性でも性欲は溜まるものですからね。
その発散の仕方は人それぞれです。
他人に迷惑をかけないのであれば、私が口を挟むようなことではありません。
まあ、舞台の下を水浸しにするほど、野外で乱れるというのは、あまり勧められた行為ではないかもしれませんが」
修道女の視線を追うように舞台の下を覗き込むと、そこにはエリーゼの潮でできた水溜まりがあった。
快感で思考が昂っているときならともかく、一度発散して冷静になっている状態で、己の痴態の証をまじまじと見られるというのは、悶えたくなるような羞恥だった。
「……そ、それじゃあ私はもう行くわ」
逃げるようにエリーゼが舞台から下りる。
幸い、こちらの素性はばれていない。
このまま立ち去れば、二度と会うこともないだろう。
だが、修道女はそんなエリーゼの手を掴んで引き留めた。
「まあ、お待ちください。
実は私、この近くの教会で修道女をしておりまして。
時々、依頼をするために、冒険者ギルドに行くんです」
「へ、へえ……。
そうなのね……」
エリーゼの背中に冷や汗が伝う。
「冒険者ギルドですから、もちろんたくさんの冒険者の方々がいらっしゃるわけですが、最近そこである冒険者を見かけたことを思い出したんです」
「ど、どんな冒険者かしら?」
「二人組の冒険者でした。
一人は黒髪のヒトの男性。
そしてもう一人は、金髪のエルフの女性。
確かお名前は……、そうそう、エリーゼさんだったかしら」
エリーゼは膝から崩れ落ちそうになる。
(ガッツリ素性がばれてる……)
それはもう、今のエリーゼにとって、首元に剣を突きつけられているのと同義だった。
「そのエリーゼさんと貴方が、どうにも似ているような気がして。
もしかして、貴方はエリーゼさんですか?」
(……あれ、まさかまだばれてない?)
それならまだ、チャンスはあるかもしれない。
「ち、違うわ!」
どうにかシラを切るエリーゼ。
「そうでしたか、人違いでしたらすみません。
ただ、冒険者かもしれない方が公共の場である広場を汚していたことについて、街の一員としてギルドに報告した方がいいかな、と。
でも、もし報告したときに、広場を汚したのがエリーゼさんでなかったら、逆に本物のエリーゼさんに迷惑をかけてしまいますし。
どうにかして、貴方がエリーゼさんかどうか確かめたいのですが、口ではなんとでも言えますしね」
まるで何かを演じるかのように、身振り手振りを交えながら話す修道女。
その様子に、エリーゼは嫌な予感が止まらなかった。
「……あら、こんなところに、貴方の体液があるじゃないですか。
それも、こんなにたくさん。
これをギルドに持ち込んで、成分を確認してもらえば、貴方がエリーゼさんかどうかわかるかもしれないですね。
よかった。
ああ、引き留めてごめんなさい」
修道女はエリーゼの手を離し、微笑んだ。
その微笑みは、エリーゼにはまるで悪魔のように見えた。
体液、つまりエリーゼから噴き出した潮をギルドの職員に提出される。
そしてそれがエリーゼのものだとばれてしまったら、いったいこれからどんな顔で職員と話せばいいのだろう。
表面では普通に接していても、内心では「広場で潮を噴くほど激しく自慰にふける痴女」と思われてしまうかもしれない。
いや、それは間違いではないのだが。
さらに、職員から冒険者にその情報が漏れれば、ギルドは針のむしろ、となってしまうだろう。
エリーゼだけであれば自業自得だが、それではシンにまで迷惑をかけてしまう。
「あの、その、どうかギルドには伝えるのだけは……」
「あら、どうしてですか?
貴方が冒険者のエリーゼさんではないのなら、ギルドに報告したところで私の無駄足になるだけですし、貴方は困らないですよね?」
「それは、その……。
私がエリーゼです……」
「あら、さっきは違うと仰っていたような」
「……すみません、嘘をつきました」
「まあ、嘘を!
嘘をついて私を騙そうとしただけではなく、ギルドに報告するな、だなんて。
いくら私が神に仕える修道女だとしても、どこまでも寛大にはなれませんよ」
修道女はわざとらしく振る舞う。
エリーゼは、こんな腹黒が修道女だなんて、世も末だと思った。
「……ギルドに報告されたら、仲間にも迷惑がかかってしまうんです。
私にできることでしたら、何でもしますから、どうか……」
その言葉を聞いた修道女の目が光った。
「あら、何でもしてくださるのですか?」
「は、はい……」
エリーゼは早まったと思ったが、時は既に遅かった。
「そうですか。
それでしたらまず、その言葉が本当であることを証明していただきましょうか。
そうですね、では、そこで立ったまま、放尿をしてください」
「えっ、そんな……」
そんなこと、できるわけがない。
「広場の真ん中で、白昼堂々自慰にふけっていたエリーゼさんなら簡単でしょう?
それとも、何でもするというのも嘘なんですか?」
悪魔のような笑みで見つめる修道女。
(絶対、こいつは聖職者じゃない……)
内心ではそう思っても、エリーゼに逆らうという選択肢は残されていなかった。
「……わかりました」
エリーゼは肩幅に足を開いた。
「ああ、そうそう。
よく見えるように、両手でひだを大きく広げて下さいね」
「っ!」
エリーゼは指示通りに、震える手で秘唇を左右に割り開いた。
固く尖った肉豆も、淡い桃色をした秘唇の内側も、小さな尿道も、息づく肉穴も、その全てが太陽の下にさらけ出される。
「……まあ、こんなに愛液を垂らして。
よっぽど人に見られるのが好きなのですね」
修道女の言葉に、耳の先までカッと熱くなる。
エリーゼは大きく息を吐くと、固く目を閉じ、下腹部に力を入れた。
シャアァァァァァ……
先ほどの潮とは違う、黄金色の液体が、激しく地面を打つ。
昼間の広場。
大勢の人が過ごすこの場所で、エリーゼは放尿をしていた。
それも、男のように立ったまま。
一糸纏わぬ姿。
極限の羞恥で、全身がほんのり桃色に染まっている。
先ほどの自慰の時とは違う。
今は透明化していても、なぜかエリーゼのことが見える修道女に、間近で痴態を見られてしまっている。
自分でも見たことのない、尿道を押し開き、黄金の水が噴き出すその様子を、だ。
「エリーゼさん、目は開けてくださいね」
修道女の無慈悲な命令に、エリーゼは目を開ける。
そこには、バシャバシャと広場の地面を打ちながら水溜まりをつくっていく自分の放尿姿と、しゃがんでその様子を覗き込んでいる修道女の姿があった。
「エリーゼさん。
私に見られながら、昼間の広場で、全裸で、立ったまま放尿する気分はいかがですか?」
「はっ、恥ずかしすぎて死にそうよ、うぅ……」
顔を真っ赤にしながら、それでも律儀に修道女の質問に答える。
「気持ちいいですか?」
「そっ、それは……」
「答えてくれないんですか?」
悪魔の笑みを向けてくる修道女。
「……気持ちいいわ」
エリーゼはこの極限の羞恥の中に、確かな快感を覚えていた。
無視しようと、気がつかないようにしようと目を背けていた部分に、遠慮なく踏み込まれる。
自身の内面をさらけ出させられることに、エリーゼは羞恥と、確かな快楽を感じていた。
「こんなところで放尿するのが気持ちいいだなんて。
エリーゼさんは本当に変態なんですね」
修道女の容赦のない言葉が胸を抉るが、今はそれすらも快楽のスパイスでしかない。
「はあっ……、はあっ……」
放尿をしているだけだというのに、熱い呼吸が止まらない。
ピュッ、ピュッと最後の飛沫を噴き出したところで、ようやくエリーゼの放尿が終わった。
体の力が抜け、エリーゼはその場にへたりこんでしまう。
「見事な放尿でしたね。
わかりました、エリーゼさんの言葉を信用しましょう。
約束ですし、ギルドへの報告もしません」
その言葉に、エリーゼは胸を撫で下ろした。
これだけの辱しめにあったのだ。
約束を守ってくれなくては、割に合わない。
「それでは、私は帰りますね。
エリーゼさん、また会いましょう」
もう二度と会うものかと、立ち去る修道女の背中にエリーゼは舌を出した。
◇
「今日はやけに甘えん坊だな」
シンは抱きついているエリーゼの頭を優しく撫でた。
「今日はちょっと大変なことがあったから、いいの……」
シンの胸に顔を擦り付けてくるエリーゼ。
普段の凛々しいエリーゼをしっているだけに、このギャップはグッとくる。
「大変なこと?
大丈夫だったのか?」
「まあ、一応……。
ほら、撫でる手が止まっているわよ」
「はいはい」
いつになく可愛い相棒に、シンは苦笑するのだった。
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