38 / 91
第32話 野営
しおりを挟む
彼女の腕の中のワタアメは焚火の近くに私を見つけるや否や、ニャルラの腕から飛び降りてこちらへ走ってくる。
「もきゅ!!」
ずっと荷物の中で気配を消していたらしいワタアメは、お肉のにおいにお腹が空いて出てくるか迷っていたようだ。
私の膝の上にピョンと飛び乗ったワタアメは私が手に持っていたお肉をパクっと食べる。
「5人一組になってしまったな、魔王妃殿」
もきゅもきゅ言ってるワタアメを見たシグマは「こいつも魔王妃殿の力になりたいらしい」と私に言う。
ワタアメに「魔王城に帰れ」というわけにもいかないので、私は野営の抱き枕代わりに使わせてもらうことにした。
移動中も、私が抱っこしていれば問題ないでしょう。
それにしても、私の力になりたいからとこっそりついてきちゃうあたり、ワタアメはめんこい奴である。
----
山越えを翌日に控えた私たちは、食事を終えた後就寝準備に入ることになった。
今回の任務中は長期の野営に慣れているシグマが「火の番」と「周辺警戒」を担当することになる。
野営に不慣れな私とガウェイン、ニャルラはキャンプの見張りを彼らに任せ、早々に寝ることにした。
私がテントに入ろうとすると、ガウェインが「テントは一つですか……?」と足を止める。
それに対してニャルラが「そうだニャ。狭いのは仕方ないニャ」と答えた。
私は生前から川の字になって寝ることには慣れているので、特に躊躇することなくテントに入る。
「あら、ちゃんと寝袋をもってきてたのね」
ニャルラの巨大な荷物の中に入っていたらしきシュラフがテント内に並べてあった。
この寝袋たちの隙間にワタアメが入っていたということである。
よく見ると一つだけ何者かが入っていたらしき痕跡があるので、これが彼女が隠れていたものだろう。
飼い主である私は、ワタアメが入っていたらしき真ん中の寝袋に入った。
「それじゃあ寝ましょうか」
そそくさと自分の布団に入り込んだ私とワタアメに続き、ニャルラも空いている寝袋に入り込む。
未だテントに入るのを躊躇していたガウェインに「ここ、早く」と隣の布団を指さして命令を出す私。
それを受けたガウェインは「ええ……」と戸惑った声を出してキョロキョロしながら布団に入った。
私の反対隣りの布団にいるニャルラは「おやすみニャ~」と言った後、すぐにスヤスヤと寝息を立てる。
優秀な隊員ほど野営時にすぐに眠れるものらしい。
「私についてきてくれてありがとね、ガウェイン」
私は寝っ転がったままガウェインに感謝の意を伝える。
シャルロットの結婚式典で誘拐された時に彼は私についてきてくれたのだった。
魔王城でも色々お世話になっていることや、今回の任務にもついてきてくれていることは非常に有難いことである。
私の感謝の言葉に対し、照れ臭そうに「お嬢様をお守りするのが役目ですから」と答えるガウェイン。
そんな彼の忠誠心に、私はとても嬉しくなった。
「そうね、ガウェインは私のモノなんだから他の姫様に仕えたりしちゃだめよ?」
ニコニコと笑いながら冗談めかして私が言うと、ガウェインは顔を真っ赤にして「お嬢様が自分にとっての姫様ですよ」と答える。
それに対して「あら、嬉しいわ」と私はほほ笑んだ。
その様子を見ていた腕の中のワタアメも「もきゅもきゅ!」と意思表示している。
私が「女の子なのに勇敢なのね」とワタアメの頭を撫でていると、ガウェインが「お嬢様ほどではありませんよ」と冗談を言う。
彼の意見には「たしかに、そうだよなあ」と同意せざるを得なかった。
----
テントの外からシグマ達の声が聞こえる。
ワタアメを抱っこしたまま寝ていた私は、彼女を一旦布団の上に置いて起き上った。
「ガウェインも一緒に訓練でもしてるのかしら……」
私は、まだお眠のワタアメをテントに残して外に出ることにした。
テントの外ではシグマ、ニャルラ、ガウェインの3人がなにやら訓練のようなことをしていた。
外に出てきた私に気づいた3人は、訓練を切り上げてこちらへと歩いてくる。
「魔王妃殿も起きたことだし、朝食の準備としよう」
ニャルラになにやら指示を出したシグマは、森の中へと駆けて行った。
その様子にポカーンとする私とガウェイン。
なにやら指示を受けていたニャルラが荷物を漁りながら「パパは木の実を取りに行ったニャ」と言う。
それから少しすると両手に「リンゴ」のような赤い実を大量に抱えたシグマが帰ってきた。
ようやく目覚めたワタアメも「もきゅもきゅ」言いながら食卓につく。
「今日は山を越える」
シグマの一言によって、私たちは食事をとりながら「グレイナル山脈」を超える予定について話し合うこととなった。
「もきゅ!!」
ずっと荷物の中で気配を消していたらしいワタアメは、お肉のにおいにお腹が空いて出てくるか迷っていたようだ。
私の膝の上にピョンと飛び乗ったワタアメは私が手に持っていたお肉をパクっと食べる。
「5人一組になってしまったな、魔王妃殿」
もきゅもきゅ言ってるワタアメを見たシグマは「こいつも魔王妃殿の力になりたいらしい」と私に言う。
ワタアメに「魔王城に帰れ」というわけにもいかないので、私は野営の抱き枕代わりに使わせてもらうことにした。
移動中も、私が抱っこしていれば問題ないでしょう。
それにしても、私の力になりたいからとこっそりついてきちゃうあたり、ワタアメはめんこい奴である。
----
山越えを翌日に控えた私たちは、食事を終えた後就寝準備に入ることになった。
今回の任務中は長期の野営に慣れているシグマが「火の番」と「周辺警戒」を担当することになる。
野営に不慣れな私とガウェイン、ニャルラはキャンプの見張りを彼らに任せ、早々に寝ることにした。
私がテントに入ろうとすると、ガウェインが「テントは一つですか……?」と足を止める。
それに対してニャルラが「そうだニャ。狭いのは仕方ないニャ」と答えた。
私は生前から川の字になって寝ることには慣れているので、特に躊躇することなくテントに入る。
「あら、ちゃんと寝袋をもってきてたのね」
ニャルラの巨大な荷物の中に入っていたらしきシュラフがテント内に並べてあった。
この寝袋たちの隙間にワタアメが入っていたということである。
よく見ると一つだけ何者かが入っていたらしき痕跡があるので、これが彼女が隠れていたものだろう。
飼い主である私は、ワタアメが入っていたらしき真ん中の寝袋に入った。
「それじゃあ寝ましょうか」
そそくさと自分の布団に入り込んだ私とワタアメに続き、ニャルラも空いている寝袋に入り込む。
未だテントに入るのを躊躇していたガウェインに「ここ、早く」と隣の布団を指さして命令を出す私。
それを受けたガウェインは「ええ……」と戸惑った声を出してキョロキョロしながら布団に入った。
私の反対隣りの布団にいるニャルラは「おやすみニャ~」と言った後、すぐにスヤスヤと寝息を立てる。
優秀な隊員ほど野営時にすぐに眠れるものらしい。
「私についてきてくれてありがとね、ガウェイン」
私は寝っ転がったままガウェインに感謝の意を伝える。
シャルロットの結婚式典で誘拐された時に彼は私についてきてくれたのだった。
魔王城でも色々お世話になっていることや、今回の任務にもついてきてくれていることは非常に有難いことである。
私の感謝の言葉に対し、照れ臭そうに「お嬢様をお守りするのが役目ですから」と答えるガウェイン。
そんな彼の忠誠心に、私はとても嬉しくなった。
「そうね、ガウェインは私のモノなんだから他の姫様に仕えたりしちゃだめよ?」
ニコニコと笑いながら冗談めかして私が言うと、ガウェインは顔を真っ赤にして「お嬢様が自分にとっての姫様ですよ」と答える。
それに対して「あら、嬉しいわ」と私はほほ笑んだ。
その様子を見ていた腕の中のワタアメも「もきゅもきゅ!」と意思表示している。
私が「女の子なのに勇敢なのね」とワタアメの頭を撫でていると、ガウェインが「お嬢様ほどではありませんよ」と冗談を言う。
彼の意見には「たしかに、そうだよなあ」と同意せざるを得なかった。
----
テントの外からシグマ達の声が聞こえる。
ワタアメを抱っこしたまま寝ていた私は、彼女を一旦布団の上に置いて起き上った。
「ガウェインも一緒に訓練でもしてるのかしら……」
私は、まだお眠のワタアメをテントに残して外に出ることにした。
テントの外ではシグマ、ニャルラ、ガウェインの3人がなにやら訓練のようなことをしていた。
外に出てきた私に気づいた3人は、訓練を切り上げてこちらへと歩いてくる。
「魔王妃殿も起きたことだし、朝食の準備としよう」
ニャルラになにやら指示を出したシグマは、森の中へと駆けて行った。
その様子にポカーンとする私とガウェイン。
なにやら指示を受けていたニャルラが荷物を漁りながら「パパは木の実を取りに行ったニャ」と言う。
それから少しすると両手に「リンゴ」のような赤い実を大量に抱えたシグマが帰ってきた。
ようやく目覚めたワタアメも「もきゅもきゅ」言いながら食卓につく。
「今日は山を越える」
シグマの一言によって、私たちは食事をとりながら「グレイナル山脈」を超える予定について話し合うこととなった。
0
あなたにおすすめの小説
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする
葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。
そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった!
ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――?
意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる