俺たちの××

怜悧(サトシ)

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三学期編

卒業式予行 →side T

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卒業式の予行のために、久々に登校したのだが、周りは俺の髪が黒くなったことに驚いていた。

まあ、確かにずっと長いこと色を変えていたしな。

「やっぱり、先生は信じていたよ。君がちゃんとした格好で卒業式に臨んでくれると!」

担任の松谷先生が突然駆け寄ってきて、がんがんと俺の肩を掴んで揺らす。
いつもイヤミなので、頭にくるし俺は嫌いな先生だ。
人を外見でしか判断しない奴である。どんな髪色でも構わないだろうに。

「っか、髪の毛染めただけだろ。俺の人間性は変わってねえ」
胸を張って言い切り睨み付けると、松谷先生は何を思ったのか、俺から手を離してブルブルと震える。
「先生は馴れ馴れしかっただろうか?…………暴力はいかんぞ、暴力は、な」
俺が殴るとでも思ってんのかな。
「別に。暴力とか、あまり好きじゃねえし」
ギャラリーが集まってきてうざいな。
と、思いながら自分の席に座る。
こうやって、教室の席に座るのも、これが最期なのかな。
「東流、久しぶり。元気してたか?髪の色、似合うな」
ハツラツとした様子で東山がやってくる。
「久しぶり、ヒガシ。そんなかわんねーだろ」
「灰色より、なんかワイルドだと思う」
「そか。まあ、俺の職場は髪色自由だし、また、変えるかもしれねーけど」
東山の言葉に気を良くして、女子に囲まれて撮影大会をしている康史を横目で見やる。
「相変わらず、日高はモテモテだな。妬ける?」
「いつものことだしな。どうせ、最後だしアレは俺のだから、別にやけない」
俺の言葉に東山は、おかしそうに笑いを浮かべる。
「イイね、その勝者の感覚」
「たまには、女たちに顔くらいは貸してやるくらいはいいよ」
撮影大会は、続いていて時折心配そうな顔をして俺をみる康史は、可愛い。
「まあ、学年トップの日高が答辞読むんだろ」
「ああ。そんなこと言ってたな。ヒガシは近い大学にいくのか?」
「いや、私立の体育大だから遠くなるな」
「そうか。就職は俺くらいだしなー」
「東流のトラック、乗ってみたいなあ」
東山は、素直な気持ちでそう言うので、俺はいいぜと頷いた。

「久しぶりだね、トウル」

振り返ると、ポニーテールを揺らしながら、背中に腕を組んで、波砂が俺の背後にたっていた。
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