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第1章:レオポルトの悪夢
1-4.甘い悪夢 ※
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自分が虫にでもなってしまったみたいだ。
レオポルトは頭の片隅で思った。
甘い蜜に誘き寄せられる……虫。
その夜は一晩中、女と絡み合った。
空が白みはじめるまで、一睡もすることなく。
まさに精魂が尽き果てるまで……。
おかしい。
身体のどこを触られても、狂おしいほどに感じてしまう。それがたとえ髪の毛の先であっても――女の触れたところから、さざ波のような快感が広がっていく。そしてその快感はやがて大きな波となって、レオポルトの身体を呑み込んでしまうのだ。
おかしい。
そう思うのに、止められなかった。
何度、精を吐き出しても……。
夢うつつの間に、いつのまにか、女の胎内に咥え込まれてしまうのだ。
胎内では何万もの触手がレオポルトの肉棒に纏わりついてきて離れない。それはウヨウヨと蠢いて、彼の精を一滴残らず搾り取ろうとするかのごとく蠕動を繰り返すのだ。
腰が蕩けてしまうかと思った。そして、そのまま液体と成り果てて、最後にはこの女に飲み干されてしまうのではないか……と。
そんな風にして、森での長い一夜が明けた。
夢のような夜だった。
ずっとここに留まっていたいと思うほど魅惑的な――悪夢だ。
レオポルトが目を覚ました時には、すでに太陽が高く昇っていて、鬱蒼とした木立の間から夏の眩しい光が差しこんでいた。光の中に埃が舞っている。
女の姿はなかった。
レオポルトは寝台から身を起こして小屋の中を見回す。粗末な作りだ。やはり女の他に住んでいる者はいないらしく、必要最低限の物しか置かれていないようだった。
「あれは……?」
部屋の隅にひっそりと置かれていた書物が目に入る。
レオポルトは立ち上がると、全裸のまま、そこまで行って、その書物を手に取った。ずっしりとした量感。表紙を覆っていた埃を軽く払うと、黒ずんだ深紅色の地と金縁の装飾が現れた。
「聖書……か?」
書物は貴重だ。
しかも、こんな高級な装丁が施されたものなんて、なかなか手に入るものではない。
この簡素な小屋の中で明らかに違和感を放つそれをレオポルトが眺めていると――
「お目覚めですか?」
思いがけず声をかけられ、レオポルトは手に持っていた書物を落とした。ドサリ、と大きな音がして埃が飛び散る。
「あらあら」
戸口の脇に立っていた女が小走りにやって来た。落ちた書物を無造作に拾い上げると、元の場所へと戻す。
「すまない。勝手に触って……」
レオポルトが女に謝罪すると、
「いいえ、気になさらないでください。大したものではありませんから」
「大したものではない? こんな立派な聖書が」
レオポルトの驚きに、女は黙って微笑む。
女は薄布一枚を身体に巻き付けただけの格好で、昼の光の下ではその艶めかしい身体の曲線がよくわかった。
レオポルトの脳裏に女が昨夜見せた痴態がありありと思い浮かぶ。
吸いつくような白い肌――あの肌が布の下に隠れていることを、レオポルトは知っている。
一夜の夢?
忘れる?
そんなこと……出来るわけがなかった。
「あら」
レオポルトの股間の変化に気づいた女が面白そうに笑った。そのまま笑いながら彼の前までやって来ると、その場に跪いて、勃ちあがった彼の分身をパクっと咥え込んでしまう。
「ぁあ……」
レオポルトの口から恍惚の声が漏れる。
裏筋をツツー……と、舐め上げられれば、レオポルトの頭の中はもう靄がかかったように、何も考えられなくなる。
女が立ち上がって、身体を隠していた薄布を取り払った。昨夜、レオポルトが夢中になった裸身が再び目の前に晒される。
「あぁ……!」
堪えきれなくなったレオポルトは女を力ずくで押し倒した。
勢いあまって固い床に打ちつけた膝が痛い。
女の背中も冷たかろうとは思うものの、もはや理性の及ばぬ次元で暴走する身体を止める術はなかった。
レオポルトは上体を折り曲げて女の上に覆い被さると、その白い胸にしゃぶりついた。ひんやりと冷たい胸の先を口に含んで舌先を動かすと、
「んっ……あ、あぁ……もっと」
女がねだるようにレオポルトの顔を見つめた。
彼が大きく膨らんだその蕾を強く吸い上げると、
「はぁ……っ、んん!」
女が声を上げて身悶えてみせる。
その可愛らしい反応に興奮して、レオポルトの分身もこれ以上ないほど固く膨張していく。
「……もう一度、君を味わってもいいか?」
女は返事をする代わりに自ら脚を大きく開いた。トロトロに潤った蜜壺がヒクヒクと生き物のように息づいている。
強烈に匂い立つ甘い蜜の香りにレオポルトの本能が刺激される――。
女がレオポルトに向かって微笑んだ。
レオポルトは吸い寄せられるように女の洞穴へと自身の肉杭を穿った。
床に縫い止められた女は四肢を開いた。まるで花が開くように開かれた手脚が、蜜に群がる虫を閉じ込めんと絡みついてくる。
レオポルトの汗が飛び散っては床に染み込んでいく。
男の呻きと女の喘ぎが合わさって小屋の外にまで響いているはずだが、その声を耳にする人間はいなかった。ただ、深い森の中に呑み込まれていくのみだ。
「……もう少し、ここにいてもいいか?」
「……えぇ。今夜もお泊りになってください。いえ、今夜と言わず、明日も明後日も……いつまでも貴方様の気の済むまで」
女はレオポルトの首元に唇を寄せて囁いた。
レオポルトは頭の片隅で思った。
甘い蜜に誘き寄せられる……虫。
その夜は一晩中、女と絡み合った。
空が白みはじめるまで、一睡もすることなく。
まさに精魂が尽き果てるまで……。
おかしい。
身体のどこを触られても、狂おしいほどに感じてしまう。それがたとえ髪の毛の先であっても――女の触れたところから、さざ波のような快感が広がっていく。そしてその快感はやがて大きな波となって、レオポルトの身体を呑み込んでしまうのだ。
おかしい。
そう思うのに、止められなかった。
何度、精を吐き出しても……。
夢うつつの間に、いつのまにか、女の胎内に咥え込まれてしまうのだ。
胎内では何万もの触手がレオポルトの肉棒に纏わりついてきて離れない。それはウヨウヨと蠢いて、彼の精を一滴残らず搾り取ろうとするかのごとく蠕動を繰り返すのだ。
腰が蕩けてしまうかと思った。そして、そのまま液体と成り果てて、最後にはこの女に飲み干されてしまうのではないか……と。
そんな風にして、森での長い一夜が明けた。
夢のような夜だった。
ずっとここに留まっていたいと思うほど魅惑的な――悪夢だ。
レオポルトが目を覚ました時には、すでに太陽が高く昇っていて、鬱蒼とした木立の間から夏の眩しい光が差しこんでいた。光の中に埃が舞っている。
女の姿はなかった。
レオポルトは寝台から身を起こして小屋の中を見回す。粗末な作りだ。やはり女の他に住んでいる者はいないらしく、必要最低限の物しか置かれていないようだった。
「あれは……?」
部屋の隅にひっそりと置かれていた書物が目に入る。
レオポルトは立ち上がると、全裸のまま、そこまで行って、その書物を手に取った。ずっしりとした量感。表紙を覆っていた埃を軽く払うと、黒ずんだ深紅色の地と金縁の装飾が現れた。
「聖書……か?」
書物は貴重だ。
しかも、こんな高級な装丁が施されたものなんて、なかなか手に入るものではない。
この簡素な小屋の中で明らかに違和感を放つそれをレオポルトが眺めていると――
「お目覚めですか?」
思いがけず声をかけられ、レオポルトは手に持っていた書物を落とした。ドサリ、と大きな音がして埃が飛び散る。
「あらあら」
戸口の脇に立っていた女が小走りにやって来た。落ちた書物を無造作に拾い上げると、元の場所へと戻す。
「すまない。勝手に触って……」
レオポルトが女に謝罪すると、
「いいえ、気になさらないでください。大したものではありませんから」
「大したものではない? こんな立派な聖書が」
レオポルトの驚きに、女は黙って微笑む。
女は薄布一枚を身体に巻き付けただけの格好で、昼の光の下ではその艶めかしい身体の曲線がよくわかった。
レオポルトの脳裏に女が昨夜見せた痴態がありありと思い浮かぶ。
吸いつくような白い肌――あの肌が布の下に隠れていることを、レオポルトは知っている。
一夜の夢?
忘れる?
そんなこと……出来るわけがなかった。
「あら」
レオポルトの股間の変化に気づいた女が面白そうに笑った。そのまま笑いながら彼の前までやって来ると、その場に跪いて、勃ちあがった彼の分身をパクっと咥え込んでしまう。
「ぁあ……」
レオポルトの口から恍惚の声が漏れる。
裏筋をツツー……と、舐め上げられれば、レオポルトの頭の中はもう靄がかかったように、何も考えられなくなる。
女が立ち上がって、身体を隠していた薄布を取り払った。昨夜、レオポルトが夢中になった裸身が再び目の前に晒される。
「あぁ……!」
堪えきれなくなったレオポルトは女を力ずくで押し倒した。
勢いあまって固い床に打ちつけた膝が痛い。
女の背中も冷たかろうとは思うものの、もはや理性の及ばぬ次元で暴走する身体を止める術はなかった。
レオポルトは上体を折り曲げて女の上に覆い被さると、その白い胸にしゃぶりついた。ひんやりと冷たい胸の先を口に含んで舌先を動かすと、
「んっ……あ、あぁ……もっと」
女がねだるようにレオポルトの顔を見つめた。
彼が大きく膨らんだその蕾を強く吸い上げると、
「はぁ……っ、んん!」
女が声を上げて身悶えてみせる。
その可愛らしい反応に興奮して、レオポルトの分身もこれ以上ないほど固く膨張していく。
「……もう一度、君を味わってもいいか?」
女は返事をする代わりに自ら脚を大きく開いた。トロトロに潤った蜜壺がヒクヒクと生き物のように息づいている。
強烈に匂い立つ甘い蜜の香りにレオポルトの本能が刺激される――。
女がレオポルトに向かって微笑んだ。
レオポルトは吸い寄せられるように女の洞穴へと自身の肉杭を穿った。
床に縫い止められた女は四肢を開いた。まるで花が開くように開かれた手脚が、蜜に群がる虫を閉じ込めんと絡みついてくる。
レオポルトの汗が飛び散っては床に染み込んでいく。
男の呻きと女の喘ぎが合わさって小屋の外にまで響いているはずだが、その声を耳にする人間はいなかった。ただ、深い森の中に呑み込まれていくのみだ。
「……もう少し、ここにいてもいいか?」
「……えぇ。今夜もお泊りになってください。いえ、今夜と言わず、明日も明後日も……いつまでも貴方様の気の済むまで」
女はレオポルトの首元に唇を寄せて囁いた。
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