あの音になりたい！ 北浜高校吹奏楽部へようこそ！

それぞれの恋愛事情

天才の帰還

「ありがとね。今日は楽しかった！」

「おう。あー、、そうだ。ちょっと寄り道してこうぜ。」

「ん？」

若菜は雨宮についていく。
少し街から出たところに神社の鳥居が見える。そこから長い階段がある。
頂上は見えない。

「ここ？」

「そう。ここ。」

そして2人は一生懸命登り始め上につくと
街を一望できる見晴らしの良い展望台に辿り着いた。

「いい眺め。」

「だろ？俺ここ好きなんだよね。」

「なんかわかるかも。いいところだね。」

気持ちいい風が入る。
若菜の長い髪が風になびく。

「私、もっともっと上手くなりたい。
練習していっぱい経験積んで最高のサックス奏者になりたい。
でもその前に先輩たちと全国へ行きたい。」

「そうだな。俺も頑張るわ。」

「洸。なんか変わったよね。」

「そうか？」

「うん。トゲがなくなった感じ。」

「なんじゃそりゃ？」

「あはは。」

雨宮と若菜は景色を見ながらゆっくり話す。
なんかここだと素直に喋れるような気がする。

「あれ？雨宮？」

すると声をかけられたようながしたので振り向く。

「たいち、、？」

「久しぶり。」

「久しぶりってお前アメリカから戻ってきたのか？」

「うん。戻ってきた。
あ、、そっちは雨宮の、、。
初めまして宮園太一です。」

「は、始めまして。」

若菜は軽く頭を下げる。
全く状況を飲み込めてないが洸の友達？
らしい？

「今年からここの近くの学校に編入するんだ。吹奏楽にも入るつもり。」

「ふーん。そうか。」

「じゃあまた夏の大会で！」

「、、おう。」

宮園太一はそのまま階段を下りていってしまった。

「悪い。」

「別にいいけど。
友達なんでしょ？いいの？」

「友達じゃない。」

「、、、なんかあったんだね。」

「小学校のときのまぁ友達で。」

「あんだけ友達嫌いな洸が友達って認めてるくらいなんだから凄いね。」

「余計なお世話だが、。」

「だけど急に海外に引っ越してしまって。
連絡も取れなかったんだ。」

「そうだったんだ。
私も知ってる。有名だよね。」

「え？まじか？」

「うん。宮園太一。
アメリカで何度か小学生の部門で賞を沢山取ってた。確かメインはピアノ。
けど中学から一切名前を聞かなくなったんだまさか日本に戻ってたのか、、。」

「、、、、。」

「同じ地区気をつけないとね。」

「、、ああ。」

「そろそろ帰ろっか？」

「そうだな！よし練習するか。」

「うん、その息だ！」

こうして北浜高校は別れそして新体制。
チームが変わっても目指すべき場所はただ一つ。

雨宮は新しい4月に期待をしていた。