Words of love 〜αとΩ番の誓い〜

浅葱

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トラブル発生

講義の準備

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菱沼教授からメール連絡の翌日には、病院長と理先生宛、そして僕宛に正式な講義招致の依頼文章が届いた。
届いたのは、FAXで正式な文章は後日郵送されて来るが、依頼された日程では、1週間後から1週間の予定と比較的準備時間も限られていることから日程調整の為にとFAXで早急に送って下さった様だった。

連絡をもらって2日後には講義で使用する予定のスライドはほぼ完成したが、反して僕の睡眠時間が削られる結果となった。
講義の内容は、キャロライン教授の下に居た時に用いたものを一部改変して日本語に訳し、先日行った3D-MICSのオペについてを取り入れて作成すればほぼ問題ないものが出来上がると考えた。
自己紹介のスライドに、ここの病院の写真を使いたい為、理先生に使用許可と写真の提供を受ける必要がありお伺いをたてると、総務に必要書類があるとのことで名刺の増印も必要な為、総務課へと足を運び無事に使用許可と画像を幾つか借用する事が出来た。
業務の合間を縫って、スライド作成を行いながら救命からのコールに対応していれば1日はあっという間に過ぎる。
今日は、薬物中毒の様な症状を呈した女の子が搬送されて来た。
血液解析を行うと、案件的に麻取関連の様で、血液の一部を麻取の仕事に興味のある妹の花音かのんの元に解析依頼をしに大学の研究室まで赴いた。
麻取の仕事に役立つかもしれないと、意気込んで解析を始めた花音。(この話はまた別の機会に…)

菱沼教授から、講義に必要なものや事前に資料などがあれば送付して欲しいと連絡があり、仕上がったスライドを理先生にチェックしてもらう為に、ノートパソコンを片手に少し眠い眼を擦りながら帰宅後に隣室へお邪魔した。
一応、チャイムを鳴らせば、いつもの様に無言でガチャっとオートロックが外れた。

「お邪魔しまーす。」

いつもの様に声をかけて玄関を上がれば、リビングからいい匂いが漂って来た。

「晩飯まだだろ?序でに食べていくか?」

理さんが声をかけてくれる。お腹がペコペコ状態だった僕は

「御馳走になります!あ、食べながらでいいんで、今度の講義で使おうと思うスライドが出来たのでチェックお願い出来ますか?」

と、お願いすれば、

「食べてからゆっくり確認させてもらうよ。」

と言いながら、ダイニングテーブルに夕食のキーマカレーとサラダを並べてくれた。
理さんが作ってくれた美味しい夕食で満たされた僕は、食後に後片付けをかって出た。
その間に、スライドチェックをお願いした。
洗い物をする間にサイフォンにコーヒーを入れる準備をしてビームヒーターの電源を入れた。食洗機に食器やカラトリーを入れてセットしている間にサイフォンのお湯が沸きセットしていたロートをフラスコにセットした。撹拌をして抽出が終わったのを確認して、サイフォンの処理をしてからマグカップにコーヒーを注ぎ理さんがいるソファーに向かった。
スライドには、大まかに話す内容についてノートを作成していたので、1枚1枚のスライドを丁寧にチェックしてくれていた理さん。机にマグカップをおいたら、

「専門的な内容については、ざっくりしかチェックしていないが概ね問題ないと思う。自己紹介の所でもう少しうちの病院やうちの科や救命について触れてくれると俺的には嬉しいけどな…。」

と、折角の機会なので同業者に聖心大学付属病院外科と救命救急のアピールをする事を提案して来た。

「流石に、他大学の講義ですからちょっと遠慮してみたんですが、そう言われるなら少し変更します。」

と言い、その場で所属している外科と救命救急について触れるスライドを増やした。
総務から借用した写真の中に、念の為使用許可をもらっていた理さんと奏先生の写真もスライドに組み込んだ。

「俺の写真は使わなくっていいだろ?真琴の講義だし。」

と理さんは照れたが、

「上司の紹介って事で、使わせて下さいね。」

と言えば、仕方なさそうに承諾してくれた。奏先生には内緒にしていたが、講義を聞いていた人の中に同期の医師がいたらしく、講義の日の夜に連絡が来たのは後の話…。
理さんからも、資料のスライドについてOKが出たので、スライド部分のみを翌朝メールに添付し東部医科大学に送信した。
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