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トラブル発生
講義と検査
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あっという間に、講義の前日になり昼から東部医科大学に向けて出発する為に業務を午前中で切り上げて、持って来ていたスーツケースの荷物と共に聖心大学付属病院を後にした。
空港から東部医科大学のある大阪の最寄りの空港までのフライトを楽しめば、最寄りの空港には出迎えの東部医科大学からのスタッフが到着を待っていてくれた。
手厚い出迎えに恐縮するばかりだった。
病院の最寄りのホテルにチェックインの手続きだけし、荷物を預かってもらって一度東部医科大学へ顔を出して菱沼教授にご挨拶を…と、思って病院に出向くと、菱沼教授以外に医大の学長さんに、医大附属病院の院長、循環器外科と心臓血管外科の教授陣が待ち構える学長室に通され、驚きを隠せなかった僕。
キャロライン教授の偉大さを、改めて痛感した瞬間だった。
講義について、学長から医学部の大学生向けに学年を分けて3回と研修医や専門医など現場の医師向けに2回同じ講義をして欲しいとの要望を事前に頂いていたので、学生向けと現場で働く医師向けに少し話す内容を変える事について説明し了承を得た。
学生にあまり専門的なことを話しても、ピンと来ず話に飽きられてしまうことを懸念しての配慮だ。
当日、幾つか、オペなどの動画なども取り入れて話をしたら、学生のなかに興味が湧いた様子で食い入る様に講義を聞いてくれている人が何人か見受けられた。
質疑応答でも積極的に質問が飛んできて、驚いた。
講義の合間に、学内や院内を見学させてもらった。僕は、日本の医大を卒業していない為環境の違いに少し驚いた。
お国柄?とでも言うのだろうか、やはり日本の大学には日本の大学の手厚さもあって、国内で進学していたら今どうなっていただろうか?と考えたりもした。アメリカに留学していなければ、きっとキャロライン教授に出会う事も無かっただろうし、憧れていた理先生の下で働く事も叶っていなかったハズだ…。
僕は、本当に恵まれた環境にいる事に感謝しかない…。
菱沼教授に指示された時間に、菱沼教授を訪ねれば必要な検査を極秘で行ってくださる手筈を整えて待っていてくれた。
造影剤を使ったMRIを撮影すれば、アメリカで撮影した時よりもはるかに大きくなった腫瘍がモニターに映し出された。
「摘出手術が出来る大きさの限界までは来ていない様だけど、かなり周辺を圧迫している。この短期間でここまで成長をしているならそう遠くない時間で限界がくるだろう。かなり奥まった場所で、リスクもあると君自身が判断したからこそ、今までオペに踏み切らなかったのだと思うが…」
と菱沼教授に言われた。
「先生の仰る通り、リスクは承知しているつもりです。正直、この短期間でここまで大きくなっているとは思いませんでしたが…。僕は日本に帰って来てやりたい事があったので、そちらを優先する事の方をオペより選んだ結果がこの状況です。」
苦笑いをして答えた。
取り敢えず、ホルモン剤の服用を減量すれば少しでも腫瘍の成長を遅らせる事が出来るはずと言われ、限界まで現場で働く事を希望した僕は、菱沼教授の
「ホルモン剤の服用を減量もしくは中止する事で、発情が起こっても抑制剤が効かなかったり、突然の発情が起こるリスクが高くなる。」
と言うΩにとってハイリスクとなる説明を受けたが、今は少しでも現場で働いていたかった、理先生たちの側にいたい思いが強くて了承した。
この時の僕は、後々選択を間違っていた事に気付いていなかった。
手術を受けても、理先生たちの側にいる事ができると言う選択肢がある事は、今しか見えていない僕にとっては欠落していたのだ。
キャロライン教授とも連絡を取ってくれていた菱沼教授は、ホルモン剤の服用量の調整も迅速に計算して指示をくれた。そして、今後のフォローの事もあり、今回の講義が学生から好評だった事もあり定期的に講師として講義に来てもらいたいと言う名目で受診のフォローまで手配して下さった。
医師向けの講義では、専門分野外の先生達まで参加してくれていた様で、医師向けの講義をした日の夜滅多に連絡をよこさない奏先生から連絡があった。
「真琴先生、そっちにいる同期から連絡貰ったんけど、今日の講義のスライドに俺の写真使ったんだって?」
少しだけ不機嫌な声で、本人に無断で写真を使った事に対して連絡が入った。
「ちゃんと、総務には許可もらってますよ!僕の上司として紹介するのに奏先生の写真を使わせて貰いました。女子の医大生からはカッコいい!って好評でしたよ。それと、キャロライン教授の論文、日本語訳にしていた物をメールで添付して送りますから、それでチャラにして下さい。」
奏先生へのフォローは、予め理先生から対応のアドバイスを聞いていたのでその通りにしたらあっさりとチャラにしてもらえて、僕は理先生には敵わないと思った。
無事に講義の日程と検査の日程を終えた僕は、次のフォローの日程を菱沼教授にお任せして帰路についた。
空港から東部医科大学のある大阪の最寄りの空港までのフライトを楽しめば、最寄りの空港には出迎えの東部医科大学からのスタッフが到着を待っていてくれた。
手厚い出迎えに恐縮するばかりだった。
病院の最寄りのホテルにチェックインの手続きだけし、荷物を預かってもらって一度東部医科大学へ顔を出して菱沼教授にご挨拶を…と、思って病院に出向くと、菱沼教授以外に医大の学長さんに、医大附属病院の院長、循環器外科と心臓血管外科の教授陣が待ち構える学長室に通され、驚きを隠せなかった僕。
キャロライン教授の偉大さを、改めて痛感した瞬間だった。
講義について、学長から医学部の大学生向けに学年を分けて3回と研修医や専門医など現場の医師向けに2回同じ講義をして欲しいとの要望を事前に頂いていたので、学生向けと現場で働く医師向けに少し話す内容を変える事について説明し了承を得た。
学生にあまり専門的なことを話しても、ピンと来ず話に飽きられてしまうことを懸念しての配慮だ。
当日、幾つか、オペなどの動画なども取り入れて話をしたら、学生のなかに興味が湧いた様子で食い入る様に講義を聞いてくれている人が何人か見受けられた。
質疑応答でも積極的に質問が飛んできて、驚いた。
講義の合間に、学内や院内を見学させてもらった。僕は、日本の医大を卒業していない為環境の違いに少し驚いた。
お国柄?とでも言うのだろうか、やはり日本の大学には日本の大学の手厚さもあって、国内で進学していたら今どうなっていただろうか?と考えたりもした。アメリカに留学していなければ、きっとキャロライン教授に出会う事も無かっただろうし、憧れていた理先生の下で働く事も叶っていなかったハズだ…。
僕は、本当に恵まれた環境にいる事に感謝しかない…。
菱沼教授に指示された時間に、菱沼教授を訪ねれば必要な検査を極秘で行ってくださる手筈を整えて待っていてくれた。
造影剤を使ったMRIを撮影すれば、アメリカで撮影した時よりもはるかに大きくなった腫瘍がモニターに映し出された。
「摘出手術が出来る大きさの限界までは来ていない様だけど、かなり周辺を圧迫している。この短期間でここまで成長をしているならそう遠くない時間で限界がくるだろう。かなり奥まった場所で、リスクもあると君自身が判断したからこそ、今までオペに踏み切らなかったのだと思うが…」
と菱沼教授に言われた。
「先生の仰る通り、リスクは承知しているつもりです。正直、この短期間でここまで大きくなっているとは思いませんでしたが…。僕は日本に帰って来てやりたい事があったので、そちらを優先する事の方をオペより選んだ結果がこの状況です。」
苦笑いをして答えた。
取り敢えず、ホルモン剤の服用を減量すれば少しでも腫瘍の成長を遅らせる事が出来るはずと言われ、限界まで現場で働く事を希望した僕は、菱沼教授の
「ホルモン剤の服用を減量もしくは中止する事で、発情が起こっても抑制剤が効かなかったり、突然の発情が起こるリスクが高くなる。」
と言うΩにとってハイリスクとなる説明を受けたが、今は少しでも現場で働いていたかった、理先生たちの側にいたい思いが強くて了承した。
この時の僕は、後々選択を間違っていた事に気付いていなかった。
手術を受けても、理先生たちの側にいる事ができると言う選択肢がある事は、今しか見えていない僕にとっては欠落していたのだ。
キャロライン教授とも連絡を取ってくれていた菱沼教授は、ホルモン剤の服用量の調整も迅速に計算して指示をくれた。そして、今後のフォローの事もあり、今回の講義が学生から好評だった事もあり定期的に講師として講義に来てもらいたいと言う名目で受診のフォローまで手配して下さった。
医師向けの講義では、専門分野外の先生達まで参加してくれていた様で、医師向けの講義をした日の夜滅多に連絡をよこさない奏先生から連絡があった。
「真琴先生、そっちにいる同期から連絡貰ったんけど、今日の講義のスライドに俺の写真使ったんだって?」
少しだけ不機嫌な声で、本人に無断で写真を使った事に対して連絡が入った。
「ちゃんと、総務には許可もらってますよ!僕の上司として紹介するのに奏先生の写真を使わせて貰いました。女子の医大生からはカッコいい!って好評でしたよ。それと、キャロライン教授の論文、日本語訳にしていた物をメールで添付して送りますから、それでチャラにして下さい。」
奏先生へのフォローは、予め理先生から対応のアドバイスを聞いていたのでその通りにしたらあっさりとチャラにしてもらえて、僕は理先生には敵わないと思った。
無事に講義の日程と検査の日程を終えた僕は、次のフォローの日程を菱沼教授にお任せして帰路についた。
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