私は貴方から逃げたかっただけ

jun

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閑話 麻美が寝た後

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*会話が入り乱れますが、何となく誰が話しているのかは分かるとは思います。
読みにくければ、飛ばして下さっても構いません。


…………………………………………………………………

「いやあ、とにかく良かった良かった~」

「俺は意外と姉ちゃん、籍入れなくても良いけどって言いそうで心配だった。」

「俺は“嫌です”って言われそうで、もうここ何日か眠れませんでした…もう寝たいです…麻美と。」

「ダメだ!雅彦くんは俺と陸が寝るまで飲まなあかん!」

「俺、新幹線でも寝てないんすよ~寝かせて下さいよ~」

「そういや、雅彦くんはどこでプロポーズしたん?ここ来るまでにどっか寄ったん?」

「コンビニ。」

「「は⁉︎」」

「話ししたいから停めてって言ったら、コンビニの駐車場に停めたから。」

「「はあ⁉︎もっとあるやろ!」」

「いやいや、そこのコンビニまで来て、別の場所に行くのもどうかと…」

「それにしたって・・・」

「で、姉ちゃんは喜んだ?」

「喜ん・・だのか?」

「いやいや、聞かれても。」

「でも、お嫁さんにして下さいって言ってくれた!」

「何ィー⁉︎麻美がプロポーズしたのか⁉︎」

「いや、俺ちゃんといいましたよ!でも、コンビニで?って言われて…そっから、ちょっとごちゃごちゃしちゃって…。
その後、麻美が逆プロポーズしてくれました…それで俺、泣いちゃって…。」

「お前はホントによう泣くな~。ここに来た時の顔はダメだった時の顔やったから、焦ったわ。」

「そうそう、あ~あかんかったかぁ~って思ったもん。」

「だってーーーー嬉しかったからーーーー」

「あーあ、泣くなってー!母さん、ビール、ビール!」

「私も寝ますよ。勝手にやって下さい。アテは足らんかったら乾き物でもつまんで下さい。」

「「「おやすみ~(なさい)」」」



「さて、雅彦くん、君は大事な事を忘れているぞ!」

「大事な事…」

「そうだ、一番大事な事だ。それを完結させて始めて、我が家の家族の一員と認めよう。さあ、どうぞ!」

「大事な・・・事?家族の一員…え?俺、てっきりもう家族の一員だと思ってたんですけど!」

「お前はまだ居候だ!大事な事をしていない!」

「大事なこと・・・」

「ちょいちょい、何回おんなじことしてんの!雅彦くん、アレだよ、アレ!
今日そこまでやるつもりだったでしょ?」

「ああ!そうだった!」

「そう、それそれ!」

「んっんーー、えー、お義父さん。
先程、麻美さんにプロポーズを受けて頂きました!ですので、
麻美さんとの結婚をお許し下さい!
麻美さんを俺に下さい!
幸せにしますからーーー!」

「許さん、あげない。」

「ええーーなんで⁉︎」

「一回はやらんと!」

「絶対幸せにします!子供も大事にします!俺は麻美さんと結婚します!」

「うーーん、もう一声!」

「絶対浮気なんかしません!子供は三人作ります!出世もします!結婚させて下さい!」

「なんかさっきの方が良かった。」



「うるさーーーーーい!いつまでやってんねん!寝られへんわ!
早く返事したれや、ボケが!気になって眠れん!」

「「「すみません…」」」

「よし、結婚を認めよう!娘を頼む、雅彦くん!」

「ありがとうございます、お義父さん!」



麻美が寝ている間にこんなやり取りがあったのを麻美が知るのは、次の週末だった。

「なんか、仲間はずれ感が半端ない・・」

と不機嫌になった麻美を雅彦が必死に謝っているのをニヤニヤしながら見ていた父。
それを見た麻美が、

「結婚式に読む感謝の手紙は、お母さんと陸だけにする。」と言われて、今度は父が必死に謝っていた。

賑やかな谷川家の週末のお話。













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