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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年
第58話 ヨトゥナのナイト
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「あれ? 着替えたのか?」
着ていたのは白いローブのような服だ。
「うむ。世界観に合わせて着替えてみたのじゃ」
「ふーん」
確かにルカも同じような服を着ている。
「なんだか布が多くて動きづらそうだな」
「はるか遠くの銀河に存在するヨトゥナのナイトはこれが正装なのじゃ」
「そうなの? じゃあ俺もそれを着たほうがいいかな?」
「ハバンはそのままでよい。それを脱いで顔を晒すと目立ってしまうからの」
「そう?」
この格好のほうが目立つと思うけど。しかしまあいい。このアーマーは見た目より軽くて動きやすく、着心地は悪くないので気に入っている。
空飛ぶデュロリアンを運転し、やがてルカの宇宙船がある場所へと着陸する。
その場には鳥のように羽を広げた妙な物体があった。
「なんだあれ?」
「あっ、あれが私の船です」
「あれが?」
羽がついてるから飛びそうではあるが、機械的なので羽ばたきそうには見えない。
「まあ正確には船ではなくて戦闘機ですけどね」
「セントウキ?」
って、なんだろう? 戦闘機? 戦う機械?
「うむ。飛行機に近い形じゃな」
「ヒコウキって?」
「空を飛ぶ乗り物じゃ。まあ、あれは惑星間移動もできるものじゃから、飛行機と言うよりは宇宙船と言うのが適当じゃろうな」
「ふーん。そういえば他の仲間は?」
見渡してみたところ他に機体は無く、この場にあるのはルカのものだけだった。
軍隊と戦っていたのだ。まさかひとりで来たわけではないだろう。
「他の者は撤退しました」
「君ひとりを置いてか? それはひどいな」
「ロキシニアス連合の兵は私の指示で撤退をさせました。相手があのデズター・デルガモットでは勝ち目は薄かったでしょうし……」
「だからと言って、攻撃を受けている国を見捨てて逃げるか?」
「ロキシニアス連合はオーディアヌ帝国に対抗するため、25の国が連なったものです。連合を組んでいる国とはいえ、他国を救うために命は懸けられないでしょう」
「うん……」
ルカの言葉は真実だ。自分の国を守るためならば、例え決死でも兵は死力を尽くして戦うだろう。
本来ならば国王になるはずだった俺にはよくわかることだった。
「なら、君以外のナイトはどうしたんだ?」
「あ、えっと、ここへ来たナイトは私だけです」
「君だけ?」
ヨトゥナのナイトがどれほどの人数いるのかは知らないが、戦場にひとりだけとは違和感だ。
「他のナイトは?」
「他のナイトは……その、ハバンさんたちはヨトゥナのナイトなのですよね? ならば内部の事情はご存じと思うのですが」
「あ、その、俺たちはヨトゥナと距離を置いていて、こっちの事情にはくわしくないんだ」
「そうなのですか? では今までどちらで活動を?」
「それはその……」」
なんと答えたらいいか。俺が言葉に詰まっていると、
「話はもういいじゃろう。早く出発するのじゃ」
「あ、そ、そうですね。お待たせして申し訳ありませんでした。偉大なサミオン」
頭を下げたルカが慌てた様子で機体へと歩いて行く。
答えに窮していた俺はホッと胸を撫で下ろしつつ、ツクナのほうへ目をやる。
「ヨトゥナの本部なんて行って大丈夫なのか? 俺たちはそこのナイトじゃないのに」
争いになったりしないだろうかと、俺はそれが心配だった。
「ちゃんと考えてある。ツクナに任せるのじゃ」
「うん」
ツクナがそう言うなら大丈夫だろう。
ルカが宇宙船……戦闘機に乗り込み、離陸するそれに続いて俺はデュロリアンを発進させた。
着ていたのは白いローブのような服だ。
「うむ。世界観に合わせて着替えてみたのじゃ」
「ふーん」
確かにルカも同じような服を着ている。
「なんだか布が多くて動きづらそうだな」
「はるか遠くの銀河に存在するヨトゥナのナイトはこれが正装なのじゃ」
「そうなの? じゃあ俺もそれを着たほうがいいかな?」
「ハバンはそのままでよい。それを脱いで顔を晒すと目立ってしまうからの」
「そう?」
この格好のほうが目立つと思うけど。しかしまあいい。このアーマーは見た目より軽くて動きやすく、着心地は悪くないので気に入っている。
空飛ぶデュロリアンを運転し、やがてルカの宇宙船がある場所へと着陸する。
その場には鳥のように羽を広げた妙な物体があった。
「なんだあれ?」
「あっ、あれが私の船です」
「あれが?」
羽がついてるから飛びそうではあるが、機械的なので羽ばたきそうには見えない。
「まあ正確には船ではなくて戦闘機ですけどね」
「セントウキ?」
って、なんだろう? 戦闘機? 戦う機械?
「うむ。飛行機に近い形じゃな」
「ヒコウキって?」
「空を飛ぶ乗り物じゃ。まあ、あれは惑星間移動もできるものじゃから、飛行機と言うよりは宇宙船と言うのが適当じゃろうな」
「ふーん。そういえば他の仲間は?」
見渡してみたところ他に機体は無く、この場にあるのはルカのものだけだった。
軍隊と戦っていたのだ。まさかひとりで来たわけではないだろう。
「他の者は撤退しました」
「君ひとりを置いてか? それはひどいな」
「ロキシニアス連合の兵は私の指示で撤退をさせました。相手があのデズター・デルガモットでは勝ち目は薄かったでしょうし……」
「だからと言って、攻撃を受けている国を見捨てて逃げるか?」
「ロキシニアス連合はオーディアヌ帝国に対抗するため、25の国が連なったものです。連合を組んでいる国とはいえ、他国を救うために命は懸けられないでしょう」
「うん……」
ルカの言葉は真実だ。自分の国を守るためならば、例え決死でも兵は死力を尽くして戦うだろう。
本来ならば国王になるはずだった俺にはよくわかることだった。
「なら、君以外のナイトはどうしたんだ?」
「あ、えっと、ここへ来たナイトは私だけです」
「君だけ?」
ヨトゥナのナイトがどれほどの人数いるのかは知らないが、戦場にひとりだけとは違和感だ。
「他のナイトは?」
「他のナイトは……その、ハバンさんたちはヨトゥナのナイトなのですよね? ならば内部の事情はご存じと思うのですが」
「あ、その、俺たちはヨトゥナと距離を置いていて、こっちの事情にはくわしくないんだ」
「そうなのですか? では今までどちらで活動を?」
「それはその……」」
なんと答えたらいいか。俺が言葉に詰まっていると、
「話はもういいじゃろう。早く出発するのじゃ」
「あ、そ、そうですね。お待たせして申し訳ありませんでした。偉大なサミオン」
頭を下げたルカが慌てた様子で機体へと歩いて行く。
答えに窮していた俺はホッと胸を撫で下ろしつつ、ツクナのほうへ目をやる。
「ヨトゥナの本部なんて行って大丈夫なのか? 俺たちはそこのナイトじゃないのに」
争いになったりしないだろうかと、俺はそれが心配だった。
「ちゃんと考えてある。ツクナに任せるのじゃ」
「うん」
ツクナがそう言うなら大丈夫だろう。
ルカが宇宙船……戦闘機に乗り込み、離陸するそれに続いて俺はデュロリアンを発進させた。
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