77 / 130
77
しおりを挟むタカミのこと困らせてる。それは分かってるんだけど…タカミの心までほしいと思ってしまう気持ちは抑えきれない。タカミが僕のことを沢山考えてくれるのは嬉しいし、タカミの頭の中が僕のことでいっぱいになればいいと思ってる。
僕達は上級の魔物を倒せるし、その討伐報酬や素材の売却金は相当の額出る。だからお金に困ってるわけじゃないし、お金を払えば飛空艇に乗ることもできた。けれど乗客は上流階級及び上級冒険者や富裕層なんかの金持ちばかり。上級冒険者が乗ればお抱えにならないか、とか声をかけられるだろう。僕はそんな面倒事に巻き込まれたくない。
僕達は自由でいたい。そのためには気を付けなくてはならない事が沢山ある。今回のもその一つ。Sランクというのは特権も得られるが、国や貴族、商人に目をつけられる事になる。
砂漠を通ることで、タカミにも大変な思いをさせるけど、絶対に守る。それに周りに人が居るより、二人っきりがいい。タカミと二人っきり!なんていい響き!
「ねぇ、タカミ暑いの大丈夫?」
「おう、お前が魔法使ってくれてるからな。ってかこの砂漠、リザードが出るんだっけ?」
「うん、あとでかいサソリだね。」
「なるほどね。熱感知器持ち、厄介だな。」
「うん、でも大丈夫。僕が守るからね。」
「ふはは!デカイこと言うようになったな。」
「えへへ!だってそのために頑張ってきたんだもん。」
「良い子だなぁコクヨウ。ヨシヨシ」
「んふふ!」
タカミに撫でられるの好き。昔からずっと優しい手、暖かい手。僕の気持ちいいところをくすぐるように撫でていく。僕のことを思って、見て、そうしてこの撫で方になったんだもんね。僕が一番落ち着く撫で方。
こんなふうに撫でられたらもっと触って欲しくなっちゃう。獣型になったら全身撫で回してくれるんだけどなぁ。もふもふ?とかが好きみたいだし。僕が獣型になることは殆ど無いけどね。コミュニケーション取りにくいし。
「ん、来た…」
「あぁ、そうみたいだな!リザードか」
「うん、魔法で先制する。氷結!」
「……倒した…な?」
「うん、そうだね。ああいう類の魔物は体温変化に弱いからね。倒せて良かった」
「んで、素材は回収するか?」
「んー、そのまま収納魔法に放り込んでおくよ。」
「おう。」
呆気ないな、というのが戦闘の感想だった。この魔物が強い、というのは氷属性の魔法を使える人が極端に少ないからこそ、なんだろうな。それにしても思ったよりも魔物が少ない。んー…誰か通ったのかな。
「なんか危険な道って感じしねぇわ。」
「うん、魔物が少ないよね。」
「いや、それもそうだけど。お前があっという間に倒しちまうからさ。次は俺が倒すからな。」
「うん、わかった。タカミも身体鈍っちゃうよね。」
「おう。ん、早速来たな!」
剣を構えるタカミに突っ込んでいくサソリ。尾での攻撃とハサミでの攻撃がある。特に尾での攻撃は毒持ちで厄介。攻撃を避けたタカミが甲殻に覆われて硬い尾を簡単に切り落とす。
「ふっ!」
「格好良いタカミー!」
尾を落とされたサソリはバランスを崩し、あっという間に切り刻まれていく。一応Bランクの魔物なんだけど、早かったな。やっぱりAランクでも上位だと思うんだよね、タカミって。僕が見てたAランクはもっと弱かったし。
「ふぅ…よし、素材回収しとくか。」
「僕も手伝うよ。」
「ありがとな。」
タカミは自分に自信なさ過ぎるんだと思う。もっと自信持っていいのに。辺境に居たから、自分の実力わかんないのかな?比べにくいもんね。まぁ、これから色んなところ行けば、わかるようになるかな。
それにしても…本当にカッコよかったなぁ。こんなに近くでタカミの格好良いところ見れるなんて控えめに言って最高。
17
お気に入りに追加
1,262
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
獅子王と後宮の白虎
三国華子
BL
#2020男子後宮BL 参加作品
間違えて獅子王のハーレムに入ってしまった白虎のお話です。
オメガバースです。
受けがゴリマッチョから細マッチョに変化します。
ムーンライトノベルズ様にて先行公開しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
オメガな王子は孕みたい。
紫藤なゆ
BL
産む性オメガであるクリス王子は王家の一員として期待されず、離宮で明るく愉快に暮らしている。
ほとんど同居の獣人ヴィーは護衛と言いつついい仲で、今日も寝起きから一緒である。
王子らしからぬ彼の仕事は町の案内。今回も満足して帰ってもらえるよう全力を尽くすクリス王子だが、急なヒートを妻帯者のアルファに気づかれてしまった。まあそれはそれでしょうがないので抑制剤を飲み、ヴィーには気づかれないよう仕事を続けるクリス王子である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
異世界転移した先は陰間茶屋でした
四季織
BL
気が付いたら、見たこともない部屋にいた。そこは和洋折衷の異世界で、俺を拾ってくれたのは陰間茶屋のオーナーだった。以来、俺は陰間として働いている。全くお客がつかない人気のない陰間だけど。
※「異世界に来た俺の話」と同じ世界です。
※謎解き要素はありません。
※ミステリー小説のネタバレのようなものがありますので、ご注意ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】《BL》溺愛しないで下さい!僕はあなたの弟殿下ではありません!
白雨 音
BL
早くに両親を亡くし、孤児院で育ったテオは、勉強が好きだった為、修道院に入った。
現在二十歳、修道士となり、修道院で静かに暮らしていたが、
ある時、強制的に、第三王子クリストフの影武者にされてしまう。
クリストフは、テオに全てを丸投げし、「世界を見て来る!」と旅に出てしまった。
正体がバレたら、処刑されるかもしれない…必死でクリストフを演じるテオ。
そんなテオに、何かと構って来る、兄殿下の王太子ランベール。
どうやら、兄殿下と弟殿下は、密な関係の様で…??
BL異世界恋愛:短編(全24話) ※魔法要素ありません。※一部18禁(☆印です)
《完結しました》
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
女神の間違いで落とされた、乙女ゲームの世界でオレは愛を手に入れる。
にのまえ
BL
バイト帰り、事故現場の近くを通ったオレは見知らぬ場所と女神に出会った。その女神は間違いだと気付かずオレを異世界へと落とす。
オレが落ちた異世界は、改変された獣人の世界が主体の乙女ゲーム。
獣人?
ウサギ族?
性別がオメガ?
訳のわからない異世界。
いきなり森に落とされ、さまよった。
はじめは、こんな世界に落としやがって! と女神を恨んでいたが。
この異世界でオレは。
熊クマ食堂のシンギとマヤ。
調合屋のサロンナばあさん。
公爵令嬢で、この世界に転生したロッサお嬢。
運命の番、フォルテに出会えた。
お読みいただきありがとうございます。
タイトル変更いたしまして。
改稿した物語に変更いたしました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】元騎士は相棒の元剣闘士となんでも屋さん営業中
きよひ
BL
ここはドラゴンや魔獣が住み、冒険者や魔術師が職業として存在する世界。
カズユキはある国のある領のある街で「なんでも屋」を営んでいた。
家庭教師に家業の手伝い、貴族の護衛に魔獣退治もなんでもござれ。
そんなある日、相棒のコウが気絶したオッドアイの少年、ミナトを連れて帰ってくる。
この話は、お互い想い合いながらも10年間硬直状態だったふたりが、純真な少年との関わりや事件によって動き出す物語。
※コウ(黒髪長髪/褐色肌/青目/超高身長/無口美形)×カズユキ(金髪短髪/色白/赤目/高身長/美形)←ミナト(赤髪ベリーショート/金と黒のオッドアイ/細身で元気な15歳)
※受けのカズユキは性に奔放な設定のため、攻めのコウ以外との体の関係を仄めかす表現があります。
※同性婚が認められている世界観です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。
やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。
昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと?
前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。
*ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。
*フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。
*男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる