10 / 23
前編
LANDYという男
しおりを挟む
LANDYの本名は道明寺智弘と言った。
元々由緒正しい家系で両親は警察官だった。どちらも厳しく、幼少期から他人に勝つことを教えられた。常に誰かと比べられて、心休まる時がなかった。
生まれ持った感性が人と違った為か、人とのコミユニケーションが上手くいかずに、虐められたり馬鹿にされる事が多かった。しかしそれは、相手の気持ちを考えたり、思いやりを持つことが出来ない生まれ持った性格に起因することも少なくなかった。何の為に生きているのか?自分なんていてもいなくてもいい…そんな自己肯定感の低さが幼少期より彼をオーバードーズに走らせた。被害者妄想は子供の頃よりかなり強く、子供らしさのない老成したものの考え方をする息子に両親は困惑していた。
そんなぐちゃぐちゃな中身に対して、彼の外見は悪くない方だった。高校くらいになると、人気俳優HとKを足して2で割ったような感じとか、人気タレントの誰々に似てるとか言われるようになった。LANDYは整った顔立ちをしていたが、顔の左半分に全体的にホクロが多く全体的にすっきりした印象ではないのが残念だった。それに対して右半分は綺麗なままだったので、それはまるでかれの内面の二重人格を現しているようでもあった。
オーバードーズは15の年まで続いたが、作曲をするようになってからは薬の多量服用はなくなっていった。彼にとって音楽は単なる趣味ではなく、生命そのものだった。高校時代には有名な音楽事務所のオーディションの最終選考まで残ったが、グランプリを逃したため、デビューには至らなかった。
比較的恵まれた家庭だった為、彼は苦学生ではなく、生活費を入れる必要もなかったので、音楽の為の投資を若い頃より充分に出来た。大学時代に音楽理論を学び、たまにはライブハウスで演奏するようになっていたが、歌はヴォーカルレッスンを受けても上達しなかった。
大学を卒業し、大手企業に就職したが、タイミングが悪かったのか、人事に嫌われたのかはわからないが、事務職のはずが蓋を開けてみれば、夜勤交代制の技能職の部署に回された。仕事はきつく、上司とも折り合いが悪かった為、デパスが手放せなくなり、度々過呼吸を起こすようになった。仕事がきつい分、給料は同年代と比べたら、比較的貰っている方だったが、(自分はこんな所でくすぶっている人間じゃない!ほんとの自分は凄いんだ!)無駄に高いプライドで内心では人を見下していた。
だが、実際は身体も心も弱い彼は、周りから面倒臭くて使えない奴だと思われていた。
自己評価と他人からの評価が著しく違うことに本人は全く気付いていなかった。
折しも新型ウイルス蔓延でライブ活動もままならない時期だったので、彼のストレスは溜まる一方だった。
舞花と知り合ったのはちょうどその頃である。
元々由緒正しい家系で両親は警察官だった。どちらも厳しく、幼少期から他人に勝つことを教えられた。常に誰かと比べられて、心休まる時がなかった。
生まれ持った感性が人と違った為か、人とのコミユニケーションが上手くいかずに、虐められたり馬鹿にされる事が多かった。しかしそれは、相手の気持ちを考えたり、思いやりを持つことが出来ない生まれ持った性格に起因することも少なくなかった。何の為に生きているのか?自分なんていてもいなくてもいい…そんな自己肯定感の低さが幼少期より彼をオーバードーズに走らせた。被害者妄想は子供の頃よりかなり強く、子供らしさのない老成したものの考え方をする息子に両親は困惑していた。
そんなぐちゃぐちゃな中身に対して、彼の外見は悪くない方だった。高校くらいになると、人気俳優HとKを足して2で割ったような感じとか、人気タレントの誰々に似てるとか言われるようになった。LANDYは整った顔立ちをしていたが、顔の左半分に全体的にホクロが多く全体的にすっきりした印象ではないのが残念だった。それに対して右半分は綺麗なままだったので、それはまるでかれの内面の二重人格を現しているようでもあった。
オーバードーズは15の年まで続いたが、作曲をするようになってからは薬の多量服用はなくなっていった。彼にとって音楽は単なる趣味ではなく、生命そのものだった。高校時代には有名な音楽事務所のオーディションの最終選考まで残ったが、グランプリを逃したため、デビューには至らなかった。
比較的恵まれた家庭だった為、彼は苦学生ではなく、生活費を入れる必要もなかったので、音楽の為の投資を若い頃より充分に出来た。大学時代に音楽理論を学び、たまにはライブハウスで演奏するようになっていたが、歌はヴォーカルレッスンを受けても上達しなかった。
大学を卒業し、大手企業に就職したが、タイミングが悪かったのか、人事に嫌われたのかはわからないが、事務職のはずが蓋を開けてみれば、夜勤交代制の技能職の部署に回された。仕事はきつく、上司とも折り合いが悪かった為、デパスが手放せなくなり、度々過呼吸を起こすようになった。仕事がきつい分、給料は同年代と比べたら、比較的貰っている方だったが、(自分はこんな所でくすぶっている人間じゃない!ほんとの自分は凄いんだ!)無駄に高いプライドで内心では人を見下していた。
だが、実際は身体も心も弱い彼は、周りから面倒臭くて使えない奴だと思われていた。
自己評価と他人からの評価が著しく違うことに本人は全く気付いていなかった。
折しも新型ウイルス蔓延でライブ活動もままならない時期だったので、彼のストレスは溜まる一方だった。
舞花と知り合ったのはちょうどその頃である。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
3
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる