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第五章:因果去来編
第四話「人形狂想曲」その六
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この部屋の主であるギヨームは、マイセルが想像していたよりも屈強な体の持ち主であるらしかった。
研究衣の上からでも分かるほど鍛え上げられた肉体は、軍人のそれと比較しても遜色はあるまい。
商学の教授ということで学者然とした容貌を思い浮かべていたマイセルは驚いて然るべきだったが、義兄という存在以上の驚きはなく、彼は淡々と希望申請書をギヨームに差し出すことができた。
「いやぁ、嬉しいな。君たちのような若い子が僕らの研究に興味を持ってくれるなんて」
「そんなに研究生がこないんですか?」
「あ、こら」
バーンツの失礼千万な物言いに対して焦るマイセルだが、言われた本人のいギヨームはまったく気に留めていないようだ。
「僕らのやっているこの商学っていうのは色々あってね、もっと分かりやすいお金の儲け方のような研究室は人気があるんだよ。でも、僕の研究は主に、世界の商業史だからねぇ」
現代に通じる一種の下敷きとして学ぶのはいいとしても、研究対象とするにはあまりにも学問然とし過ぎている――結局はそこに尽きた。
「僕みたいなのが第一人者って言われるくらいだからね。まあ、もともとこの国だと歴史関係の研究はあんまり日の目を見ないんだけれど」
「ははは……。そうでしょうね」
マイセルは愛想笑いを浮かべた。
皇国の歴史学は非常に危ういところにある。
これは外的要因による学術分野としての危機という意味ではなく、もっと単純な理由だ。
「歴史なんて、その時代に生きていた誰かに聞けばいい。そういわれると僕らはなんにも言えないね」
少なくとも皇国史については、学術としては細々と続いているだけだ。その目的も過去の研究ではなく、未来に可能な限り正確な歴史を残そうという試みであり、過去にあった様々な情報を整理し、分析するようなことはあまり行われていない。
ただ、世界という規模になるときちんと各地の情報を集め、研究を重ねていた。ギヨームもそのひとりだ。
「そうだ。今日陛下がいらっしゃったのもその関係でしたな」
「ええ、教授にお聞きしたいことがいくつかありまして」
「先生のご紹介となれば、精一杯お応えしたいところです。お役に立てなければ、先生にあとで何といわれるか……」
ギヨームはそう言って空虚な瞳で中空を眺めた。おそらくそこには、彼の歴史が浮かび上がっているのだろう。
「あ、では僕たちは失礼します」
「そうだそうだ、陛下がいらっしゃるなら邪魔してられないな!」
マイセルとバーンツがそういって部屋を出ようとする。
「そうかい? マティリエに土産話でもと思ったんだけど……」
「姉上なら、僕の話よりも陛下のお話の方が喜びますよ」
ひとつ間違えれば皮肉にも聞こえるマイセルの言葉だが、それが事実であるとレクティファールもマイセルも知っている。
マティリエが今一番懐いているのは、間違いなくレクティファールなのだ。
血族よりも家族。それが彼らの獣人の生存方法だった。
「あいや、少し待ってくれ。陛下、そちらのお嬢さんのような方を探しているとのことでしたが、今マイセル君を見て思い出しました。ええと……」
ギヨームはやおら立ち上がり、自分の机の背後にある書類棚を漁り始める。
研究生もそこに援護に入り、ふたりはレクティファールたちが見守っている中、大判の紙束を引っ張り出した。
「あったあった。これですよこれ、南精霊海の浮遊大陸」
「浮遊大陸? 浮かんでいるのですか?」
女性が首を傾げながら質問すると、ギヨームは大袈裟に頭を振った。
マイセルはただそれだけの仕草にも動揺してしまったが、義兄や友人の手前、それを必死に押し隠した。
「海流に乗って移動する地形でしてな。まあ、実際には大陸といっても、少し大きめの島ほどの大きさしかありません。ここには各地から落ち延びた罪人の子孫などが暮らしているのですが、この島には古い言い伝えがありまして、その中にお嬢さんのような人そっくりの機械の話があるんですよ」
ギヨームの指先、フリューゲル浮行島と記された地点をその場の全員が見詰める。
「ここの島は随分古い時代に、空から落ちてきた星船の残骸が寄り集まったものらしく、ごく稀に当時の品が出土するんです。ただ、ここいらは大国の勢力圏が重なり合う海域で、彼らのような小さな国はともかく、力のある国が介入しようとすると面倒になるでしょうな」
確かに地図で見てみれば、この場所は〈統一帝國エリュシオン〉と〈トラン大同盟〉が双方領有権を主張する島嶼帯を含んでいた。
どちらも軍事力を行使するには至っていないが、何かひとつ切っ掛けがあれば爆発しかねない危険性を孕んでいる。
「そういうわけでして、公的に調査をするのは難しいと思います。ですが、僕の古い知人がこのフリューゲルで引き揚げ屋の元締めをやってますので、適当な身分を用意して貰うことはできると思います」
「なるほど、では誰かを送って……」
「いえいえいえ、先ほどマイセル君たちを呼び止めたのはそのためなのです」
「というと、まさか彼を?」
「もちろん、彼だけではありません。僕も行きます。研究室の研究旅行ということにすれば、必要以上に大国を刺激することはないでしょう」
ギヨームの言葉に頷きつつも、マイセルはなぜ自分がこんな遥か遠い洋上の街に向かわなければならないのだろうかと考えた。
建前の研究旅行ならばマイセルが同行する必要はない。
しかし、ギヨームはマイセルを指定してまで同行させようとしているのだ。何か考えがあってのことだろう。
「――ふむ、突きたい場所があるのですね」
レクティファールがそう呟くと、ギヨームが我が意を得たりと満面の笑みを浮かべた。
「はい。実は一年ほどまえから、この辺りの海底に大きめの星船の反応が出てきまして、各国が秘密裏に調査を進めているのです。おそらく我国もそうしているでしょうが、目立った成果はどこの国も上げられていません」
「ええ、そうですね」
レクティファールは頷き、ギヨームはさらに楽しげに声を上げる。
「しかし、先ほど話した友人は、ある程度の成果を掴めそうなのです。しかし、このまま引き揚げても紛争の種にしかなりません」
「でしょうねぇ」
レクティファールは乾いた笑いを上げた。
心当たりなどいくらでもある。
「そこで、我々の登場です。各国の目は間違いなく我々に向けられるでしょうね。陛下はその筋では有名人ですから」
「望んだ高名ではありませんよ。むしろ悪名ですね」
「君主の悪名など、あとでどうとでも改竄できます。歴史にはそんな例など山のようにあります」
ギヨームの礼を厭わない物言いは、ルキーティの弟子であるなによりの証左かもしれない。
「まあ、とにかく我々はここに向かい、適当に各国の目を惹きます。その間に、先生が手配した大型輸送船に件のブツを仕舞い込みます」
「星船といえば、かなりの大きさですが……」
「正確にはその残骸ですからな。ええと、蒼龍公様のところの特大輸送船なら、おそらく積み込むなり曳航するなりできるでしょう」
より正確に言うならば、レヴィアタン造船が建造した海上輸送拠点型輸送船のことであろう。
何もない海上に港湾施設を作り上げるという思想のもと、各種機能をもった輸送船が作られた。その中には船渠としての機能を持つ船もあり、その船はもっぱら、機関故障などで漂流する船を回収する仕事に当たっていた。
「火事場泥棒にしては、目立ちすぎる気がしますが」
「いや、実は以前から打診があったのです。しかし先生は実入りが少ないし面白くないからいやだと……」
「彼女らしい言葉ですね。まったくもって」
「ええ、その通りです。しかし、そちらのお嬢さんの情報を得るならば、多少の無茶はお許し頂けるかと」
ギヨームはわざわざ皇王自身が自分を訪ねてきた意味を良く理解していた。
この同行者の正体は皇国の大事、この国の将来に関わってくると踏んだのだった。
「――いいでしょう。いろいろ面倒はありますが、ルキーティにはこちらから伝えておきます」
「よろしくお願いします。こちらの方でも、昔なじみに持ち船を遭難させるよう手配しておきますので……」
つまり、その遭難船を回収するために皇国から大型船が派遣されるということだ。
軍ではなく民間商会の船が行動するだけならば、各国は余計な動きをせず、静観するしかない。
「では、よろしくお願いいたします」
ギヨームは上機嫌にレクティファールに手を差し出し、レクティファールは愛想笑いのままその手を握った。
マイセルには義兄の心の内が透けて見えるようだった。
(ああ、義兄上が厄介ごとに悲鳴を上げておられる……)
自分もまたその厄介ごとに巻き込まれたという事実からは、目を逸らすことにした。
研究衣の上からでも分かるほど鍛え上げられた肉体は、軍人のそれと比較しても遜色はあるまい。
商学の教授ということで学者然とした容貌を思い浮かべていたマイセルは驚いて然るべきだったが、義兄という存在以上の驚きはなく、彼は淡々と希望申請書をギヨームに差し出すことができた。
「いやぁ、嬉しいな。君たちのような若い子が僕らの研究に興味を持ってくれるなんて」
「そんなに研究生がこないんですか?」
「あ、こら」
バーンツの失礼千万な物言いに対して焦るマイセルだが、言われた本人のいギヨームはまったく気に留めていないようだ。
「僕らのやっているこの商学っていうのは色々あってね、もっと分かりやすいお金の儲け方のような研究室は人気があるんだよ。でも、僕の研究は主に、世界の商業史だからねぇ」
現代に通じる一種の下敷きとして学ぶのはいいとしても、研究対象とするにはあまりにも学問然とし過ぎている――結局はそこに尽きた。
「僕みたいなのが第一人者って言われるくらいだからね。まあ、もともとこの国だと歴史関係の研究はあんまり日の目を見ないんだけれど」
「ははは……。そうでしょうね」
マイセルは愛想笑いを浮かべた。
皇国の歴史学は非常に危ういところにある。
これは外的要因による学術分野としての危機という意味ではなく、もっと単純な理由だ。
「歴史なんて、その時代に生きていた誰かに聞けばいい。そういわれると僕らはなんにも言えないね」
少なくとも皇国史については、学術としては細々と続いているだけだ。その目的も過去の研究ではなく、未来に可能な限り正確な歴史を残そうという試みであり、過去にあった様々な情報を整理し、分析するようなことはあまり行われていない。
ただ、世界という規模になるときちんと各地の情報を集め、研究を重ねていた。ギヨームもそのひとりだ。
「そうだ。今日陛下がいらっしゃったのもその関係でしたな」
「ええ、教授にお聞きしたいことがいくつかありまして」
「先生のご紹介となれば、精一杯お応えしたいところです。お役に立てなければ、先生にあとで何といわれるか……」
ギヨームはそう言って空虚な瞳で中空を眺めた。おそらくそこには、彼の歴史が浮かび上がっているのだろう。
「あ、では僕たちは失礼します」
「そうだそうだ、陛下がいらっしゃるなら邪魔してられないな!」
マイセルとバーンツがそういって部屋を出ようとする。
「そうかい? マティリエに土産話でもと思ったんだけど……」
「姉上なら、僕の話よりも陛下のお話の方が喜びますよ」
ひとつ間違えれば皮肉にも聞こえるマイセルの言葉だが、それが事実であるとレクティファールもマイセルも知っている。
マティリエが今一番懐いているのは、間違いなくレクティファールなのだ。
血族よりも家族。それが彼らの獣人の生存方法だった。
「あいや、少し待ってくれ。陛下、そちらのお嬢さんのような方を探しているとのことでしたが、今マイセル君を見て思い出しました。ええと……」
ギヨームはやおら立ち上がり、自分の机の背後にある書類棚を漁り始める。
研究生もそこに援護に入り、ふたりはレクティファールたちが見守っている中、大判の紙束を引っ張り出した。
「あったあった。これですよこれ、南精霊海の浮遊大陸」
「浮遊大陸? 浮かんでいるのですか?」
女性が首を傾げながら質問すると、ギヨームは大袈裟に頭を振った。
マイセルはただそれだけの仕草にも動揺してしまったが、義兄や友人の手前、それを必死に押し隠した。
「海流に乗って移動する地形でしてな。まあ、実際には大陸といっても、少し大きめの島ほどの大きさしかありません。ここには各地から落ち延びた罪人の子孫などが暮らしているのですが、この島には古い言い伝えがありまして、その中にお嬢さんのような人そっくりの機械の話があるんですよ」
ギヨームの指先、フリューゲル浮行島と記された地点をその場の全員が見詰める。
「ここの島は随分古い時代に、空から落ちてきた星船の残骸が寄り集まったものらしく、ごく稀に当時の品が出土するんです。ただ、ここいらは大国の勢力圏が重なり合う海域で、彼らのような小さな国はともかく、力のある国が介入しようとすると面倒になるでしょうな」
確かに地図で見てみれば、この場所は〈統一帝國エリュシオン〉と〈トラン大同盟〉が双方領有権を主張する島嶼帯を含んでいた。
どちらも軍事力を行使するには至っていないが、何かひとつ切っ掛けがあれば爆発しかねない危険性を孕んでいる。
「そういうわけでして、公的に調査をするのは難しいと思います。ですが、僕の古い知人がこのフリューゲルで引き揚げ屋の元締めをやってますので、適当な身分を用意して貰うことはできると思います」
「なるほど、では誰かを送って……」
「いえいえいえ、先ほどマイセル君たちを呼び止めたのはそのためなのです」
「というと、まさか彼を?」
「もちろん、彼だけではありません。僕も行きます。研究室の研究旅行ということにすれば、必要以上に大国を刺激することはないでしょう」
ギヨームの言葉に頷きつつも、マイセルはなぜ自分がこんな遥か遠い洋上の街に向かわなければならないのだろうかと考えた。
建前の研究旅行ならばマイセルが同行する必要はない。
しかし、ギヨームはマイセルを指定してまで同行させようとしているのだ。何か考えがあってのことだろう。
「――ふむ、突きたい場所があるのですね」
レクティファールがそう呟くと、ギヨームが我が意を得たりと満面の笑みを浮かべた。
「はい。実は一年ほどまえから、この辺りの海底に大きめの星船の反応が出てきまして、各国が秘密裏に調査を進めているのです。おそらく我国もそうしているでしょうが、目立った成果はどこの国も上げられていません」
「ええ、そうですね」
レクティファールは頷き、ギヨームはさらに楽しげに声を上げる。
「しかし、先ほど話した友人は、ある程度の成果を掴めそうなのです。しかし、このまま引き揚げても紛争の種にしかなりません」
「でしょうねぇ」
レクティファールは乾いた笑いを上げた。
心当たりなどいくらでもある。
「そこで、我々の登場です。各国の目は間違いなく我々に向けられるでしょうね。陛下はその筋では有名人ですから」
「望んだ高名ではありませんよ。むしろ悪名ですね」
「君主の悪名など、あとでどうとでも改竄できます。歴史にはそんな例など山のようにあります」
ギヨームの礼を厭わない物言いは、ルキーティの弟子であるなによりの証左かもしれない。
「まあ、とにかく我々はここに向かい、適当に各国の目を惹きます。その間に、先生が手配した大型輸送船に件のブツを仕舞い込みます」
「星船といえば、かなりの大きさですが……」
「正確にはその残骸ですからな。ええと、蒼龍公様のところの特大輸送船なら、おそらく積み込むなり曳航するなりできるでしょう」
より正確に言うならば、レヴィアタン造船が建造した海上輸送拠点型輸送船のことであろう。
何もない海上に港湾施設を作り上げるという思想のもと、各種機能をもった輸送船が作られた。その中には船渠としての機能を持つ船もあり、その船はもっぱら、機関故障などで漂流する船を回収する仕事に当たっていた。
「火事場泥棒にしては、目立ちすぎる気がしますが」
「いや、実は以前から打診があったのです。しかし先生は実入りが少ないし面白くないからいやだと……」
「彼女らしい言葉ですね。まったくもって」
「ええ、その通りです。しかし、そちらのお嬢さんの情報を得るならば、多少の無茶はお許し頂けるかと」
ギヨームはわざわざ皇王自身が自分を訪ねてきた意味を良く理解していた。
この同行者の正体は皇国の大事、この国の将来に関わってくると踏んだのだった。
「――いいでしょう。いろいろ面倒はありますが、ルキーティにはこちらから伝えておきます」
「よろしくお願いします。こちらの方でも、昔なじみに持ち船を遭難させるよう手配しておきますので……」
つまり、その遭難船を回収するために皇国から大型船が派遣されるということだ。
軍ではなく民間商会の船が行動するだけならば、各国は余計な動きをせず、静観するしかない。
「では、よろしくお願いいたします」
ギヨームは上機嫌にレクティファールに手を差し出し、レクティファールは愛想笑いのままその手を握った。
マイセルには義兄の心の内が透けて見えるようだった。
(ああ、義兄上が厄介ごとに悲鳴を上げておられる……)
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