最弱の悪役貴族に転生した俺、進化する魔剣を育てていたら規格外の魔力も発覚したのですべてのフラグをぶっ壊す

菊池 快晴

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第26話 課外授業

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「綺麗ですわ。課外授業で一泊なんて、さすがソードマジック学園ですわね」
「ルビィ様、グルツア街には美味しい魚料理がいっぱいあるみたいですよ!」

 ゴオオオと轟音が鳴り響く。
 青空の下、甲板の下、俺たちは船の上に乗っていた。

 頬に流れていく風が気持ちいい。

 周囲に目を向けると、原作の三人組・・・も実に女の子らしい笑顔を見せていた。

「こんなに青いのか。船は初めてだ」
「え、じゃあオリはいつも何で移動してるの?」
「馬車か徒歩だな。海を渡るときは手漕ぎボートだ」
「エヴィルちゃん……どう思う?」
「ルナ……彼女は規格外だからね」

 主人公オリヴィアとルナとエヴィルだ。
 原作では当たり前だったので、なんだか懐かしい気持ちになった。

 といっても、この時点ではまだ仲良くなっていない。

 それを作り上げたのは俺だが、おかげでグループ模擬戦ではメキメキと頭角を現している。
 必死に頑張らないと追いつかれるどころか、一瞬で追い抜かれてしまうだろう。

 ある意味では自分で蒔いた種みたいなもんだが、ライバルが強くなるのは面白くもある。

 ただそれよりもやらないといけないことはある。

 それは、能力スキル集めだ。

 魔物は生物と同じで、その地域でしか生息していない個体がいる。

 課外授業が終わった後は自由行動だ。

 普通なら観光を楽しんだり、見分を広めるだろうが、のんびりしてる暇はない。

「デルクス、どうしたのですか?」
「デルクス様、何を食べるか考えましょうよ!」
「ああ、――そうだな」

 まあでも、楽しむ気持ちも忘れないでおこう。

   ◇

「これで授業は終わりです。レポートは後日提出してもらいますので」

 俺たちを引率してくれていたのは、クラス担任であるティング先生だ。
 金髪のショートカット。
 眼鏡の知的な風貌でリミットさんを思わせるが、戦闘スタイル魔法に重力を付与する怪力タイプ。
 性格は少し似ている……かもしれない。

 ちなみに今回の授業は民間魔法についてだった。

 戦闘を目的としたものではなく、生活に付随する魔法のことだ。
 海水から塩を抜き出し水に変える魔法や、太陽熱を遮断する日よけ魔法など。

 そこからオリジナル魔法が生まれることもめずらしくはない。
 だからこそソードマジックでは万遍なく学んでいく。

 原作ではオリヴィアがこの街で覚えた魔法で砂漠の窮地を乗り越えるのだが、それはまだ別の話である。

「デルクス、まずはアクアパッツァにしましょう! 凄く美味しいらしいですわ!」
「ああ、わかったよ。お、おい、引っ張りすぎだ」
「ほらほら、行きましょうよ!」

 それから夕方過ぎまで食事と観光と楽しんだあと、ルビィとエマにやることがあると伝えた。
 二人から何をするのか教えてほしいと強く訊ねられたが、魔物を狩りたいとはいいづらい。

 来てもらってもいいが、俺が多くダメージを与えないとスキルは習得できないのだ。
 手伝うといってくれるだろうが、二人の時間を邪魔するのは心苦しい。

 丁寧にお断りしたあと、あらかじめ購入していた地図を見ながら沼地へ向かう。

 この辺りは魚の魔物が多い。
 王都の付近や魔の森ではいないような種類ばかり。

 つまりその分、新スキルがゲットできるということだ。
 魔剣を出現させ、気合を入れる。

 ここからは遊びじゃない。
 さっきまでの気持ちを切り替えておかないと――死ぬ。

「ハァアッ!」

 そのとき、少し離れた場所でオリヴィアの声が聞こえた。
 沼地で魔物を狩っている。

 どうやら俺と同じ考えのようだ。
 あいつの聖剣はスキルをゲットできるわけじゃないが、鍛えているのだろう。

 ったく、いつまでも研鑽を忘れないヤツだ。

 すこし離れた場所に移動し、突然に現れた魚の魔物を叩き切る。

 すると驚いたことに、歓迎ボーナスなのか知らないが一体目でスキル習得の文字が出た。

 New:『水呼吸』
 水中で10分間の間、酸素を吸わなくても過ごすことができる。

「ハッ、おもしろい」

 すぐには使えないだろうが、あって損はないスキルだ。

 そして俺は沼地へ足へ進めていった。
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