【R18】転生?した先は、リアルよりもHな世界でした。

N.M.V

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交易都市にて?

そりゃまあHは好きですけど?

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「スノウ!」

エムの部屋の前まできたマティとケティ、しかし、その場の異常とも言うべき雰囲気に足が止まった。

ルナリアが廊下の隅でうずくまり、スノウは一点を見つめ立ち尽くしていた。

スノウの視線の先きに、エムの部屋がある。その部屋の戸口から流れ出る黒いモヤ

何アレ……」

マティがそれを確認しようと前に出ようとするが、スノウが後ろ向きで手で制止した。

「これ以上進めません、ルナさんの様になりますよ、。、彼女の手当てをお願いします」

「う、くっ……」

ルナリアが苦痛の表情で青ざめ、右手を押さえていた。

その右手は血まみれで、ズタズタに裂けている。

「ルナっち!?」

ケティがしゃがみ込んで、癒しの神聖魔法を唱えた。本職の神聖術程ではないが、それでも回復補助にはなる。

痛みが和らぎ、落ち着いた表情を取り戻すルナリア。

「あ、ありがとうケティ」

マティはルナリアにポーションを渡しながらスノウに聞く。

「なんでこんな事に?」

「戸口にかなり強力な防壁が張られています」

「結界じゃなくて?」

「違います、近づくだけで攻撃される攻性の防壁です」

「一体誰がこんな…まさかエム姉が?」

スノウが奥歯をギリっと噛み締めた。

「……闇の魔物だと思います」

「え?、アレは滅ぼしたんじゃないの?」

「ワタシはコレを恐れてたんです。闇の魔物がどこかで生き延び、再びエムさんを襲うのではないかと、1人になる機会を伺っていたのかも知れません……」

スノウはギロリとルナリアを睨みつけた

「なぜエムさんを1人にしたのですか?」

「私達はエムの食事を取りに…それに、しばらく静かに寝かせてあげようと思って…」

「それでこの状況ですか。ルナリアさん、あなたはどこまで愚かで浅はかなのですか」

「何ですって?」

「私は言ったはずです。闇の魔物はまだ消滅していないかも知れないと、まだ何処かに潜んでいるかもしれないと」

「スノウ、エム姉が食事に行って来てって言ったんだよ?」

ケティがそう答えた。

「だからなんです?、交代で行くとか考えなかったのですか?」

「それは、そうかもしれないけど……」

「スノウ、落ち着いて、貴方らしくないわよ?」

そう言ったのはマティ、しかしスノウは明らかに憎悪の念を皆に飛ばしていた。

「私らしいとはなんですか?、エムさんがこんな目にあっているのに、貴方がたは何を平気な顔をしているのですか?」

ルナリアがスノウの言葉に肩を震わせた。

「いい加減にして!、平気なわけないじゃない!、言葉が過ぎるわよスノウ!!、あなただって留守だったじゃない!」

「私が出かける事は、ルナさんが許可したんですが?、あなたがエムさんを見るから行ってこいと、そんな事も忘れてるんですか?」

4人の間で険悪な雰囲気になる。


「おやおや、仲間割れですか?」

「オキシドのオジ様…」

そこに現れたオキシドとルウ

ルウはその有様に目を見開いた。

「コレはなんだ、エムは?」

ルウもオキシドも、目の前の得体の知れない状況に警戒した。いつでも抜剣できるように剣の柄に手を添えている。

「エム姉は、おそらく中です」

オキシドはおもむろに腰のダガーを手に取ると、モヤに向かって投げ入れた。

バキンっ!

触れた途端、ダガーが砕け散った。

オキシドは顎髭に手を添え、ふむと考え込んだ。

「コレは厄介ですな、結界…いや攻性防壁ですか」

「エムがやっているのか?」

ルウはマティに問うたが、答えたのはスノウだった。

「いいえ、明らかに闇の魔物の仕業です」

「君は?……」

ルウとオキシドはスノウを初めて見る。可憐で美しい容姿ではあるが、彼女の放つ気配に、この娼館の従業員ではないと悟った。

では何者なのか?

覇気と言うべきか、殺気というべきか、とにかく彼女から鬼気迫る物をルウとオキシドは感じ取っていた。

そんなスノウはルウ達を無視し、彼らに背を向ける。

「彼女もエムの徒党なのかい?」

ルウはあらためてマティに囁いた

「ええ、まあ…」

口籠もるマティ

スノウは、先の事件でこの街の衛士隊を八つ裂きにした。しかし衛士隊のドルガーには口裏を合わせてもらい、スノウの存在は伏せてある。騎士団には当然ながら報告していない。

「皆さん下がってください」

『え?』

スノウが突然に魔法を唱え始めた。

風の魔法、そして土の魔法、防壁にぶつけるつもりだ。

「複合詠唱だと!?」

オキシドが驚く

「や、やめなさい!、スノウ!!」

「こんな苦しい思いをするなら、何もかも消してあげます!!」

ルナリアは、詠唱するスノウの前に立つと、痛めた右手を振り上げた。

パアンっ!

頬を叩かれたスノウ、その衝撃で脳震盪を起こし、その場に倒れ込んだ。

激痛に右手を抑えるルナリア。

「ルナっちは、なんで怪我してる方の手で叩くかなー」

ケティがボソリと呟いた。

「エムみたいな事しないで!!」

身体を起こしてしゃがみ込み、呆然とするスノウ

「エムさん?、みたいな?」

「しっかりしなさいよ!、貴方が暴走してどうするのよ!!」

「ルナさん?、私……何を…」

「…スノウ?」

スノウはルナリアの顔を見て、ポロポロと泣き出してしまった。

突然の事に狼狽えるルナリア

「私、私は……」

両手で顔を覆うスノウ

「スノウ……」

ルナリアはため息をついて、しゃがみ込むとスノウの頭を抱き寄せた。

ルナリアの胸の中で嗚咽するスノウ。

マティとケティはそれを見て、ヤレヤレと苦笑した。

……


今、ワタシの目の前には、筋骨逞しい褐色肌の男性がいる。

年を重ねた妙齢で、渋くてイケメン、こう言っちゃ何だけど…

めっちゃ好みなオジ様系

これはズルいわ。

そんなオジ様の頭がワタシの股の間に収まってる。

濡れそぼる秘穴の口を、絶妙な舌使いでクンニされてる。

「あっ、ひっ、んなぁ」

ペチャちゅば、じゅルルっと、イヤラシイ音が奏でられて、クリPさんを舌で転がされ、ヒダを一枚一枚なめられてる。

「あ、ああっ!!」

腰が浮いてしまう。

こんな、すごい、イイ

オジ様が顔を上げた。

『気持ちいいかい?』

「は、はひ、とても、も、もっと…」

『君はスケベだねぇ』

「はい、スケベですぅ、オジ様ぁ」

『…この姿になった途端の君の変わり様には、さすがにちょっと引くなぁ』

「いやん、やめないでぇ」

『はいはい』

再びオジ様は、ワタシの股間に顔を埋めた。

舌が伸び、ワタシの秘穴の中に入ってきた。

「あひっ!!、んなぁっ!!」

なんて長い舌なの。

変幻自在。

こんなの普通じゃ考えられない。

舌というより、触手だわ。

「あ、こんな、ダメ、あ、い、イクっ!」

するとオジ様は舌を引っ込めた。

「あ、いやん」

『ダメダメぇ、まだ早いよ?』

「もう、イジワルぅ」

『君は感度が良過ぎるなぁ』

無茶言わないでよ、こんなの耐えられる女人がいるわけないじゃん。

ワタシ、ぐったり。

そう、このオジ様、実はカスティアさん。

幽体だけに自在に姿を変えられる。

ワタシ?、ワタシも幽体らしいけど、肉体を持っているので、ちょっと幽体の定義が違うみたい。

うーん、よくわからん。

今ワタシは、闇ドロの残滓を引き剥がす際にズタズタにされたワタシ自身の幽体を、修復させる施術を受けてるわけだけど

それがこのH行為。

マジっすか?って話

性欲を掻き立て、絶頂を維持させる事で、幽体が自己修復するそうな。

ううーん、なにその方法。

で、より効率よくワタシをキモチ良くさせるためとかで、カスティアさんので、ワタシ好みのオジ様に変身していただきました。

ワタシじゃないわよ?、カスティアさんの

だけど、超どストライクです。

シチュエーションも、甘く優しく、しっとりと、艶かしく。

ワタシも負けじと、カスティアオジ様のご立派すぎるチンPをナメナメ、シャブシャブします。

凄い太い、口に収まらない。

しゃぶって吸って、高めであげます。

『エムちゃん、君も凄いねぇ、ウチの店に入って貰いたいなぁ』

うん、それもありかも。

『あ、ちょっと出していいかな?』

「だーめ」

キュッと根元を指で締めてあげた。

『あ、お、それはズルいなぁ』

「命の液も出せるのね」

『ウフフぅ、なんちゃってだけどねぇ』

「ちょっと、その姿で女の声は止めて」

『こだわるなぁ』

「萎えるわよ」

『でもフタナリ君は、こんな感じでしょぉ?』

この人、どこまで知ってるんだか…

ワタシは指を緩めてやる

『お、あっ』

コシをひくつかせるカスティアオジ様。

すかさず、チンPを口に含み、出てきた命の液を飲み干した。

でも無味無臭……なんだコレ

ワタシが訝しげな顔をしていると

『そこまでは再現できないよ』

「そんな事言ってないし」

『でも、気持ちよくさせるには十分だよねぇ?』

ガバッと起き上がったカスティアオジ様は、ワタシをコロンと押し倒した。

「あん」

そして一言

「優しくしてぇ」

カスティアオジ様が呆れ顔、でも直ぐにクククっと苦笑した

『君は凄いねぇ』

ワタシ達は唇を重ねた。




「おいおいおいおいおいおいおいおい、マティ!、このクソったれの状況は、なんなんだよ!」

「うるさい、黙れ、ハゲチビ」

「ハゲでもチビでもねーっ!!」

報告を受けたマキュロンと、ゲドーまでやってきた。ドルガーとフィロドロは、部屋に戻ったオキシドの監視の下、待機中。

スノウはルナリアに付き添われ、彼らが来る前にその場を離れていた。

「説明しろマティ」

マキュロンが、マティを睨みつけた。

マティはため息をつくと、仕方がないとばかりに説明する。

「エム姉の居る部屋に、闇の魔物が防壁を張っていて、近づけないのよ」

「闇の魔物は、お前らが退治したんじゃねーのか」

「退治したのは衛士隊でしょ」

「ああ、そうだったな…じゃあアレが闇属性ってーなら、光属性でなんとかならねーか?、ここに光属性を使える奴は?」

しかし、皆一様に首を横に振る。

そもそも、光も闇も、使える者は稀有な存在だ。その希少性から、使い手は王都の管理下に置かれたりするので、そうそう自分から公言したりしない。

両方使えてしまうエムは、言ってしまえば国宝級な存在だ。

「ならば我がビチーク隊が、ギルドと衛士隊に声をかけてこよう」

そう言ったのはゲドー

「ありがとうございます、ゲドー隊長」

マティが会釈した。

「俺にはねーのか」

「ふんっ」

「……クソが…ったく、テメぇらのあるじは次から次へと、面倒ばかり起こしやがるな、ああ?」

「エム姉のせいじゃないわよ!」

「おんなじこったろうが!」

マティとマキュロンのガンの飛ばしあい。

それを見てルウがボソリと一言

「……仲が良いな」

「あ、そう思います?」

ルウの呟きを聞いたケティも、2人に聞こえないように、そう返した。

……

さて、外の世界ではそんなゴタゴタが起きてるとカスティアさんが教えてくれました。

あの子達、一体何してのよって、感じだけど、その原因はワタシ。

そして、現在ワタシはくんずほぐれつ中。

H真っ只中です。

「ひあっ!!、いっ!!、んあっ!」

男性版カスティアさんに押さえつけられ、バックからご立派チンPで秘穴を貫かれ、激しくズンズンと突かれてる。

「ひグっ!、いっ!、イッタの、やぁ、やめっ」

甘かった、宵闇人、優しくない。

コッチは絶頂に達してるのに、ファックをやめない、それどころか尻の穴に親指突っ込んで嬲って来た

「ひいやぁっ!!」

ワタシは悶絶した。

優しくしてって言ったのに、全くの真逆、一方的で、問答無用のH

絶頂に絶頂が重なる。

『ほんと感度がいいわねぇ』

「そ、こんなちがっ、ひ、いっ!!」

もうレイプでしかない。

「お、お願いひぃ、も、もうやめへぇ!!」

ワタシは泣き叫んだ、ダメ、こんなのマジで死ぬ。

『コレも幽体を安定させるための施術なのぉ、我慢我慢』

絶対に嘘だ、だってスケベ顔で笑ってるもん。

「壊れちゃう、壊れちゃう、こわれちゃううよぉ!!」

ずちゃぬちょぷぢゅぐちゅと、イヤラシイ音を立てて、大洪水の秘穴を男性版カスティア製の極太チンPで容赦なく抉られてる。

「ひいぃっ!、アヒィっ!!!」

頭が麻痺して来た、全身が痙攣して震えが止まらない。

ワタシは耐えきれなくなって、口から泡を吹いて、失神をしてしまった。

『ふふ、まだまだよぉ?』

その後も、カスティアの施術という名の凌辱が続く

目を覚ますと、待ってましたとばかりに。股を割ってチンPをブッ刺して来る

「…ひっ、いっ!」

ここまでされると、ゲイロード事件がフラッシュバックする。アレはH恐怖症に陥ったワタシを、トラウマから克服させるために、ルナリアが仕組んだことだった。

あの時は、ルナリアのクソ兄貴がその部下達と、自分たちの罪悪感を消すために、魔薬でキメて、ケダモノのようにヤリやがったという点。

違いはあれど、状況は似てる。

「もう、いやぁ!」

ワタシは腰を引き、泣きじゃくり拒絶するために男性カスティアの厚い胸板を押し返そうとした。

『もうちょっとだからぁ、我慢我慢よぉ?』

声は女性版、身体はオジ様系

シチュエーションギャップが酷い。

「いやぁ、ヤダぁっ!」

カスティアが腰に力を入れた。ズンっと奥まで突き入った。

「んああああっ!!」

ビリビリっと全身が痺れる。

ワタシはヒクついた。

でもそこからはちょっと感覚が違った。

腰をゆっくりと使い、首筋を舐めるようにキスして来た。そして耳元で囁いてくる、それは男性版の声。

『頑張ったからねぇ、ご褒美をあげよう』

ワタシはゾクゾクっとした。

「あ、あん、あ、ひぁ」

優しく腰をついてくる、ああ、それもダメぇ

「んあっ、あ、ん」

ワタシは思わずギュッとだいしゅきホールドしてしまった。

『ふふ、カワイイ』

カスティアが腰使いを少し高め、ワタシは喘ぐ。

「んっ!、あっ、ああっ!!、も、もっと!、ああっ!!」

ワタシはこうして見事にカスティア嬢の術中に嵌められた。

コレもう調教よね?

……

最後は気持ちえがった。

最初はハメ殺されるのかと思ったけど。

絶頂に次ぐ絶頂で感覚麻痺、股間の両穴に今も何かハマってるんじゃないかってぐらいおかしい。

ヒクヒクビクビクと痙攣するワタシのそばで、女性に戻ったカスティアさんが、満足そうに座っていやがります。

『コレでエムちゃんのぉ、アストラルはぁ
安定したわぁ』

そう言いなが、ワタシの乳房を揉んでくる。

「はひっ…」

ワタシたぶんスゲーアヘ顔してるんだろうなー

『さて外がだいぶ騒がしくなって来たみたいねぇ』

「はへ?」

……


「マキュロン、2階のお客様達は全員外に出てもらったわよ」

「おう、お前にしちゃ上出来だ」

「…なんでアンタはいつも上から目線なのよ」

「テメェより偉いからな」

不敵にニヤリと笑いを見せるマキュロン

「バっカじゃないの?」

「あぁっ!?」

部屋の前に陣取る、マティとケティ、そしてマキュロンとゲドー、ゲドーが2人のやり取りに苦笑してる。

ルウは光属性魔法の術士を探しにギルドへ向かい、フィロドロは衛士隊員に付き従われ屋敷に帰された。

オキシドはマキュロンの別命でその場を一旦離れ、ルナリアは精神が不安定になったスノウに付き添い、同じくその場を離れている。



しばらくしてオキシドが戻って来た。

「マキュロン隊長、戻りました」

「いたか?、女主人は」

「いいえ、従業員にも心当たりを捜させていますが、建屋内の何処にもいません」

「こんな騒ぎで姿くらますか?」

「従業員に話を聞くと、ふらっと居なくなることはよくあるそうですな」

「カスティアさんは、娼館経営を従業員に任せてて、殆ど口出しはしていないみたいよ?、せいぜい重要顧客の相手をする程度だって」

マティが聞き及んだことをマキュロンに説明した。

「高級娼婦って奴か」

するとケティも口を開いた。

「厨房の人達が言ってたね、ここのところずっと娼館に居るから珍しいって」

「は?、ここが居住場所じゃねーのか?」

「?、違うみたいだよ?」

「……」

「何よマキュロン?」

「……マティ、あの女主人には気をつけとけ」

「なんなの?」

「この街で影響力の高い連中を片っ端から調べた、あの女主人もな、だが調査始めてこの3年間、外を出歩いている形跡がほぼねーんだよ」

「だってほとんど宿に居ないって……」

マティは報告をしたオキシドを見た。彼も眉根を寄せている。

「迂闊でしたな、もっと良く調べるべきでした」

「ああ、あの女主人はそこまで重要視してなかったからな、娼館に出入りする重要人物も調査したが、そちらも特段重視する奴らはいなかったな」

「カスティアさんは、確かに娼婦ではあるけど、いい人だよ?、困っていた私達を保護してくれたし、今だって…」

「テメェは人を信用しすぎだ。そんなんだから王都であんな目にあったんじゃねーか」

「それは関係ないでしょ!?」

「まあ聞けよ、監視対象からは外してたが、あの女主人の出自だけは追えてねーんだよ、要は正体がわからねーんだ」

「どう言うことよ?」

「すずめの涙亭ってのはな、老舗の娼館なんだ、ドンデルダルトトロリアーナが、小さな宿場町だった頃から存在してる」

「何十年前の話よ…」

「何百年だ、だが娼館の歴代の主人については全く記録が残ってねーんだ」

「え?」

「娼館だからってーのもあるかも知れねーが、カスティアとか言う、あの女の名前以外、誰も歴代の主人を知らねーんだよ」

「昔から働いてる人もいるでしょ?」

「いや、平均5年、長くて7年で皆辞めていやがる」

ケティがポンと手を叩いた。

「あー、そんなこと厨房の人達も言ってた。なんでも『すずめの涙亭』は、職業の修行場みたいな所で、ある程度仕事を覚えると、他所の街に斡旋されるんだって」

「そうなの?」

「…そりゃ聞こえは良いがな、長く自分の周りに人を置きたくねーともとれるぜ」

「ちょ、ちょっと待ってよ、まさかカスティアさんは、エルフと同じ『長命種』だとか言いたいわけ!?」

「可能性はあるわな」

「カスティアさんはエルフじゃないわよ?」

「他にもいるだろ?、龍人族とか」

「滅んでしまった種族じゃない!」

マキュロンは目を細めた。

「……テメェは、本当に滅んだとか思ってんのか?」

「え?」

「まあいい、とにかくあの女主人が今一番胡散くさくなりやがった。マティ、用心しとけ……!?」

『!!?』

マキュロンとマティ、そしてケティとオキシドは、何かを察して同時に後ろへ振り返り、それぞれが身構えた。

『あらぁん、誰がぁ、胡散くいのかしらぁ?』

カスティアだった。

そこに居るのはまごう事なき、すずめの涙亭女主人、カスティアの姿、しかし今ここにいる誰一人として、目の前にいる彼女を認識できない。

「クソ、なんだこれは……」

マキュロンは前方を睨んだ、しかし目が泳いでしまう。

マティ達も警戒するが、同じような状態

何かが目の前にいる、視点を動かすが、見えるようで見えない。

そこに存在するのかさえ、怪しいほどに……

「……こんなのあり得ないわ」

何か得体の知れないモノと対峙しているようだった。不快極まりない、それはマキュロンも同じだった。

「なんだコレは、気色悪い」

マキュロンは、鎖鎌の鎖を持つ手を緩め、ゆっくりと分銅を地面に落とす。

『存在確率を無にしてるのにぃ、私をかろうじて察知できる貴方達は凄いわぁ』

「!?」

マキュロンは、いきなり分銅を前方に振り投げた。

鎌と分銅が交互に飛び交い、周囲の壁や床天井を切り裂き、粉砕した。

しかし、そのどれもがカスティアには届いていない。

「ちょっと!!、メチャクチャしないでよ!」

マティが苦情を漏らした。

「クソ、手応えがねー」

マキュロンは分銅を引き戻す。

「今何か見えたの?」

「わかんねー、わかんねーが、第四軍団の連中がこんな技を使う、気配を消して相手の認識を阻害するんだ。だが第四の連中のは対処しようがあるが、コイツは違う」

『へー』

「そこに居るんだろクソがぁっ!、姿を見せやがれ!!」

『人はそこにモノがあるって情報を得て、初めて認識できるでしょぉ?、だからぁその五感で得られる情報を遮断するのぉ、その方法は2つ、一つは相手の五感を全て潰す。もう一つは、ウフフ。と説明しても聞こえてないわよねぇ?』

「ケティ、『地走り』をぶっ放せ、それも全方位だ」

「はぁ?、こんな狭いとこでやる技じゃないよー?」

「んなこったぁわかってる!、いいからさっさとヤリやがれ!!」

「もう、責任とってよね」

そこまで広くない廊下で4人がケティの元に集まり固まった。

ケティが槍先を木の床に突き刺した。

紫電雷走トールリニアー!!」

チリリ、バチっ

槍先から床を青紫の電撃が四方に放たれた、床から壁、天井へと伝い、廊下を前後に突き抜け走って行く。

「どうだ!!」

ドヤ顔のマキュロン

バターンっ!!

何かが倒れる音が廊下に響き渡った。

「後ろ!?」

マティが振り返る…そして青ざめた。

部屋の戸口から上半身だけ出して、うつ伏せに倒れている女性。

「え?、エム姉!?」

それはエムだった。

今の攻撃をモロに喰らい、感電していたのだ。身体にバチバチと放電がまとわりついていた。

ギギギっと首を上げ、マティ達を睨むエム

「こ……ころしゅき、きゃあ!!」

……
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