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交易都市にて?
精神世界のHはダイレクト過ぎた?
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「スノウどういう事!、なにが起きてるの!?」
目を覚ましたルナリアは、スノウに問うた。
「わかりません、エムさんとの繋がりが途切れました。彼女の意識が感知できません」
ー
ルナリアの目の前に横たわる全裸の男女、を見た。
一人は少年と言って良いほどの若者が眠っている。
「これは誰?」
「フィロドロさんです」
「へ?」
間抜けた声を出してしまったルナリア、己の知る大人びた美丈夫男性ではない。あどけなさの残る成人まもない少年にしか見えない。
「まとわりついていた闇が霧散して彼が現れました。彼が本当のフィロドロだと思います」
そして横たわるもう一人はエムだった。
定まらない視点で、天を仰ぎ見たまま微動だにしない。
そんな彼女の姿を横目にスノウがルナリアに聞く。
「ルナリアさんは、大丈夫ですか?」
「私は……なんか妙に頭がスッキリしていると言うか……モヤが晴れたというか」
「エムさんの推測は正しかったみたいですね」
「推測?」
……少し刻を遡る。
ルナリアは意識が戻ったと同時に、エムに犯されている状況に困惑した。ケダモノのように一心不乱に腰を突き上げてくるエム、使用されていたのが呪具だったため、ルナリアはそのまま激しい快楽に呑み込まれた。
呪具から吹き出す淫液、絶え間ない絶頂。
すぐそばではスノウが黙って見ていた。
「あ、ああっ!!、え、エム!、こ、これ以上されると、こ、壊れちゃう!!」
そんな訴えも、エムには届いていなかった。彼女もまた呪具に飲み込まれているようだった。
「ひっ!、あっ、ま、また、い、イクっ!!……」
ビュル、ビュルルル。
何度目かの淫液の放出、だけどその直後、突然エムの動きが止まった。
ガクリと力なく、ルナリアの胸の上に倒れ込んだ。
呪具は脈打ち、硬く張ったままに。
ルナリアは、エムを引き剥がす。
ズルズルと抜け出る呪具は、真っ黒い粘液を纏い吐き出された。溢れ出るその粘液にゾッとする。
青ざめた顔をしてスノウに視線を向けたルナリア
「??、私、何をされたの?」
「闇の魔物の駆除です。無事ルナさんから排除されましたね」
「こんなモノが私の中に……エム?」
ルナリアは起き上がると、動かないエムを仰向けに寝かせた。
目は見開いたまま全く反応がない、しかし息はしている。
ルナリアは、途端に不安に苛まれた。
「スノウどういう事!、なにが起きてるの!?」
「わかりません、エムさんとの繋がりが断たれました。彼女の意識が感知できません」
「!?」
……
「あっ!、ああっ!、いっ!、ああん!!」
正常位で抱き合う、ワタシとフィロ君、久々のだいしゅきホールド。
彼のチンPは凄く良い。
でもワタシ、ショタ趣味じゃないんだけど……
ショタ趣味は、衛士隊寄宿舎での出来事を聞く限り、たぶんスノウよねー
初めの内はワタシがお姉さまっぽく、フィロ君をリードしつつ、絶頂に耐えていると、突然スーパーフィロ君に覚醒し、絶倫少年に変貌したわ。
いつのまにやら逆転され、主導権を握られるしまつ。
ああ、ワタシこういうのに弱い。
鍛治師ボーイの時といい、ルウ様の時といい、ワタシって殿方をH覚醒させるスキルとか持ってんのかしら?
ここが、フィロ君の精神世界というアウェイな場所であるせいかもしれない。
「あ、いっ!、は、はひっ!!」
みっともなくよがるワタシ。フィロ君は漢らしく自信に満ちて、ワタシを突き上げる。
「フッフッフッフッ、ウッ!」
彼は出そうになるのを我慢して、一度抜くと、ワタシの身体をうつ伏せにして、背中にのし掛かって来た、両乳房を回すように揉み上げられ、首筋をキスされまくり。
「ああん、んあっあっ」
「ああ、君の身体はなんてイヤラシイいんだ、や、柔らかくて、こ、こんなに、す、吸い付いて…」
バックからの秘穴の入口をチンPの先っちょでなじって来る
「い、イヤァん」
嫌がるワタシの反応に、フィロ君はグッと腰を入れてきた。ズブリと彼の太いのが中に収まった。
「んあっ!」
そのままズンズンズンズンと突き上げられる。
「んああ、あ、あああっ!、んなぁあああああっ!!」
ワタシは声を張り上げて悶えてる。
芯まで貫かれてる。肉体的にではなく精神的に。
フィロ君の腰使いが段々と激しさを増して来る。
「ああっ!、んあああっ!!」
激しすぎる、こんな!、キモチイイ!!
ダメェ!
「い!、イクゥっ!!」
……
小刻みに喘ぎ悶えるフィロドロ少年を冷めた目で見てるスノウ。
ボソリとつぶやいた
「憎たらしい」
「え?、なにが?」
「なんでもありません、それよりも撤収しましょう」
「撤収って2人はどうするの?」
「衛士隊に説明して、フィロドロは引き取ってもらいます。エムさんは宿へ」
「……スノウ、怒ってる?」
「ええ、それはもう腑が煮えくり返る思いです」
「???」
……
衛士隊ドルガーは、スノウの説明に理解が追いつかなかった。
闇の魔物がこの街で行なっていた事、その闇の魔物の消滅、少年になってしまったフィロドロ、彼の意識が未だ戻らない理由、そして今後の事。
「衛士隊審議会に報告せねば…」
「審議会は無駄だと思います。あそこは今や正しく機能していません。あなたが判断した方が良いですよ」
「判断と言われましても……」
脳筋め、スノウはそう思った。
「スノウ、その辺は大丈夫よ……」
そう言ったのはマティだ、しかしなんとも歯切れの悪い言い方だった。
「王都の騎士団が動いてるからね……はぁ」
ケティも何故かため息をついている。
『え?』
マティ、ケティ以外の面々が驚く。
そういえば、エムに面会を求めてきた王都騎士団員がいるとスノウは聞いていた。
「なぜ王都騎士団がこの街に?」
「詳しくは聞けてないけど、この街に不穏な動きありと、だいぶ前から調べていたらしいわ」
「それがどうしてエムさんの所に?」
「監視中の”魔犬の匙”に絡んでいたからだそうよ。話を聞きに宿に来たけど、問答無用に追い払われて困っていたらしいわ」
「そうですか」
驚きに固まっていたドルガーがハッと我に返る。
「ま、まっていただきたい!、王都騎士団!?、そんな報告は受けてないぞ!」
「宿に張っていた衛士隊には、騎士団長直令で口止めされていたそうです」
「騎士団長令……」
騎士団は衛士隊の上位組織だ。その命令順位は衛士隊よりも優先される。
更に団長クラスの命令ともなると、侯爵さえ従わざるを得ない。それだけの権限を国より与えられている。地方の一衛士が逆らう事など到底できない。
「侯爵家と衛士隊、それからギルドの動きは監視されていたんですよ」
と、マティが説明した。
「今回の騒動、私達が動かなくても、遅かれ早かれ、騎士団が行動を起こしていたという事です。ドルガーさん」
ドルガーはガックリと両膝をついた。
そんな彼を見てマティが不敵に笑う。
「エム姉がもし暴れていなければ、侯爵家はお取り潰し、加担した衛士隊も厳罰が課されていたかもしれませんね」
「それはどう言う意味ですか?」
「だって、衛士隊の皆様方が、黒き魔物を討伐し、フィロドロ様を救出、そして事件を解決したんですから」
「は?」
……
精神世界という場所は、疲れが来ないのかしら?
フィロ君とのHは、今なお続いてます。
抜きつ刺されつ、テールトゥノーズ、いやいや違う違う。
絶頂に達して脱力してもすぐ元に戻る。
フィロ君の命の液の排出量が減りもしない。
コレってヤバくない?
止まらないわ。
一瞬そんな事を考えるけど、直ぐにHに没頭してしまう。
……どれだけ時間が経ってるんだろ?
精神世界では時間の流れがないって聞いたことがある。
誰の話だっけ?
うーん、思い出せない。
それよりもこれ以上突っ込まれるのもヤバいわね。
「……ストップ!」
絶頂に達した後、インターバルをとって、もう一度刺そうとしてきたフィロ君の硬く張ったチンPをギュッと握った。
「ギャっ!、な、なにを!?」
「タイムアウトよ」
「た、たいむ、え?」
ワタシは体を起こし、フィロ君の前に正座した。
「これ以上Hすると、馬鹿になるわよ」
「だって…」
「だってじゃない」
フィロドロ君がワタシをジッと見てる
「なによ」
「ところで君は誰?」
ぶっ!
ここまでHしといて今更!???
ワタシは一つ咳払いをする。
「んん、ワタシはランクD冒険者のエム、騒動に巻き込まれて、犯罪奴隷にされて、貴方に一晩中強姦された者よ」
「え?、ぼ、僕が!?」
「ルナリア・スガーって知ってる?」
「南方領主スガー家の、ブンター殿のご令嬢だったかと……」
「貴方は、その人も強姦したわ」
「ええ!?」
「他にも余罪はありそうよね」
「し、知らないよ!、覚えてないよ!!」
フィロドロが顔を赤くして目を逸らした。
コヤツ……
「闇の魔物に操られてたって言いたいわけ?」
「……」
黙秘ですか?
「まあいいわ、闇の魔物の奥底に、貴方の意識を少し感じたんだけど?」
「ご、ごめん……」
顔を赤らめるフィロドロ君、知性高そうなモノクルイケメン男子の面影が全然ないわ。
ぷっ
ワタシは思わず噴き出した。フィロドロ君は再びポカンとしてる。
「君は嘘つきね、知らないふりして逃げようとしたわけ?」
「あ、アレが、だ、誰かはわからなかったんだ」
「キモチ良かった?」
フィロ君がコクリと頷いた。その仕草にゾクゾクする。
んー、もうちょっとHしたいところだけど……
いかんいかん
「ここでHしすぎると、馬鹿になるどころか死ぬわね」
「え?」
「ここは精神世界、時間が止まってる。恐らく現実世界では凄い速さで時間が流れてるはずよ」
「それって……」
「下手したら肉体が衰弱死とか?」
「衰弱死!?」
「もうそうなったら笑っちゃうわよねー」
アハハーと笑ってみた、そうなるとこの魂はどこへ行くのかしら?
「笑い事じゃないよ!!」
おっとー、フィロ君に怒鳴られた。
「は、早く戻らないと!」
「それなんだけどさ、どうもワタシは肉体と離れちゃってるのよね」
「え?」
ここに来る時は、ルナリアの中にいた闇ドロの分体を経由したけど、今はそれが消滅してルートが断たれてる。ワタシはフィロ君の中に囚われた状態にあると言うことを説明した。
ようするに帰り道がない。
「そんな、じゃあどうすれば……」
「君は目覚めるだけだから安心して。ワタシはこのまま君の中でも良いかな?」
「良くないよ!」
「そお?、君は毎日キモチイイことできるよ?」
フィロ君が何を言ってるんだって顔してる。
「あれ?、もうおねーさんのこの身体(魂)に飽きた?、いいのよ減るもんじゃないし、煮るなり焼くなり好きにして貰って」
「嘘だ、僕にはわかる……」
鋭いなー、うんそうね、たぶん減る。
ワタシがここに来た目的の一つ、『並列思考』とはなんぞや、と言う疑問。
ここに来て、それがハッキリとわかった。
魂の数=並列思考……ではない。
魂1つ、分裂出来ない。
並列思考は単なるスキル。『魂の分裂数』ではなく、同時に複数の思考を展開できるだけと帰結した。
要するに、メインフレームのワタシがここにいるということは、今肉体は完全に抜け殻。
肉体は魂があって維持される。
切り離されたら朽ち果てる。
そして魂も同じ、肉体と言う器を失えば、遅かれ早かれすり減って消滅する。
フィロ君とHして、絶頂に達する度に、魂が何処かにモレ出ていくのを感じてた。
「でも、どうやって君を肉体に戻せば……」
「あー、それはね簡単な話しよ」
……
ワタシの説明に、フィロ君の顔がみるみる赤くなった
「そ、そそそそそ、そんなことをするの!?」
「ええそうよ」
「え?、いや、でもそれは……」
フィロくんが両手で顔を覆った。
今さら何が恥ずかしいっちゃねん
「スノウって子が近くにいると思うから、彼女に説明をして指示を受けてね」
「う、うう、わかった」
「じゃあヨロシクね」
「うん」
フィロ君に軽くキスをして、彼の魂を肉体に戻すべく、ワタシは彼のオデコに魔力を込めて強めにデコピンした。
ギャって顔をして、魂が霧散して、現実へと帰って行く。
もうちょっとこのままでも良いかな?、って思ったけど。外の世界の時間がどれだけ流れたのかわからないし、フィロ君の肉体も心配だからね。
まあ、彼が現実世界で行動を起こせるのか微妙な感じだけど、フィロ君を信じるしかない。それまではこの他人の精神世界に残って待機。
こんな何もない真っ白な空間で1人でいるとか、精神が病むわよね。彼があの歳からずっと闇の魔物に取り憑かれていたのだとしたら、どれだけ長い間閉じ込められていたのか、考えただけでも気が変になる。
……
スズメの涙亭
騒動から1週間になる。
ルナリアはエムの部屋に入れずにいた。
一言の説明もなくスノウがエムと共にずっと部屋から出てこない。扉の前にはスノウに命じられたマティとケティが交代で、誰も部屋に入らないように陣取っていた。
痺れを切らしたルナリアは、遂に部屋へと押し入った。
パァン!と、勢いよく扉が開かれルナリアが飛び込んで来た。
「スノウ!!」
「ごめんスノウ、ルナちんが凄い剣幕でさー」
ケティが平謝り。
「いいえ、そろそろお呼びしようと思っていたところですから」
ルナリアの視界に入る、エムの姿
魔法陣が描かれたシーツを下に敷き、床に全裸で寝かされている。
「なんなのよコレ!どう言う事なの!?、一体なにをしてるの!」
横たわるエムを前に、スノウを睨みつけるルナリア。
対して冷めた目でスンとしているスノウ。
「見た通りです。私の出来うることを色々試しましたが、エムさんを目覚めさせるに至っていません」
「目覚めない?」
スノウがここで初めてルナリアに、エムが行った事について説明した。
「スノウは、エムがこうなる事を始めからわかってたのね」
「ええ」
ルナリアがスノウの胸ぐらを掴んだ。
「だったらなんで止めなかったのよ!!」
「貴方を救うために決まっているじゃないですか、そんな事もわからないんですか?」
「私はエムに酷いことをしたのよ、犯罪奴隷にまでして苦しめた、助けてもらう義理なんてなかったのよ!!」
「ええ、そのように具申しました。愚かな人のために犠牲になる必要はないと」
「だったらちゃんと引き止めなさいよ!」
「でも決めたのはエムさんです」
ルナリアは両手で顔を覆った
「なんで、なんでなのよエム……」
「でも、エムさんの選択は意外でした」
「え?」
「エムさんは、怠惰で高慢で自分勝手で、どんな殿方にも股を開くアバズレです。相手を殺する事には躊躇せず。自信の生への執着が薄い。彼女の思考から読み取れるのは、『世の中どうでも良い』と思っています。だからワタシはルナさんを見捨てると思ったんです」
スノウのそんな言葉にルナリアは怒りに顔を歪めた。
「……あなた、エムをそんな目で見てたの?」
「ええ、人族の言葉で表すなら、エムさんはは『クズ』です」
パシっ!!
ルナリアは、思わずスノウの頬を平手打ちした。
マティとケティは微動だにせず黙ってそれを見ていた。
「え、エムはそんな人じゃないわ!!、エムは……それはやり過ぎな所もあるし、いつも私に酷いことするけど、いつだって助けてくれた!、誰にだって優しく気を配ってくれてるのよ!、あの砦の時だって……」
ハッとするルナリア、スノウは微笑んでいた。
「ほら、あなただってエムさんを信じてる。自分を悪者にしないでください。ルナさんを助けると言ったエムさんを、私達に止める権利なんてないんですよ」
スノウの意図を知って顔を真っ赤にするルナリア
「ず、ズルいわ、スノウ!」
黙って聞いていたケティが肩をすくめると
「ちょろいなー、ルナちん」
そう言ってケティが笑う。
「ほんとチョロいですね」
マティも肩をすくめた。
「なによ!、2人まで!!」
マティ、ケティ、スノウが苦笑する。ルナリアだけが頬を膨らませて怒ったままに……
「なによもう!」
……
「それでスノウ、エム姉の魂は今どうなってるの?」
マティが真顔に戻りスノウに問う。
「これは推測なんですが、エムさんの魂は、いまフィロドロさんの中にいるのではと考えました」
『え?』
「すなわち、魂と肉体が分離している状態です」
「それって魂魄離脱だよね?、精霊と対話したりする時なんかに魔法士が良くやる……」
そう言ったのはケティ
「その場合、普通は肉体と魂は繋がったままなんです。でも、エムさんの今の状態は、完全に断ち切れています」
「断ち切れてるって…え?」
「ハイ、分離状態が長引けば、肉体は朽ち、魂は消滅します」
「それってまさか……」
「死んでいるのと同じという事です」
『!?』
場が騒然となる。
ルナリアはパニックになりかけた。目眩を起こし倒れそうになる。それをマティが支えるが、彼女もまた青ざめていた。
「やっぱり私の所為だわ、私がエムを……」
「皆さん落ち着いて、同じなだけで死んだわけではありません。魂の在処はわかっているんです。要は肉体に呼び戻せばいいんです」
「そんなのどうやって?」
ルナリアの声が震えてる。『魂魄離脱』は揺り動かして起こしてやればいい。でも『完全離脱』した人間は揺り動かしたところでなにも起きない。
死んでいるのだから。
「その為にも、ここにフィロドロさんを連れてくる必要があります」
スノウの説明では、エムの身体は魔力維持する為に動かせない。
「肉体は、私が維持します。マティさんとケティさんは、フィロドロさんを連れてきてもらえませんか?」
「彼は今騎士団に拘束されているわ、事情を話して連れ出せるか……」
マティが戸惑う。
「手段は問わねば、どうですか?」
「騎士団とやり合えと?、本気?」
「時間がありません」
「…わかったわ了解よ、ケティ、行こう」
「はーい」
「私も行くわ」
ルナリアがそう申し出たが、スノウは手で制した。
「ルナさんはダメです」
「どうして!?」
「あなたは状況を正しく認識してください」
「状況?」
「ルナさんは、結果的に有耶無耶になっていますが、本来ならフィロドロと一緒に騎士団に拘束されている立場なんです、そんなところにノコノコと出て行ってどうするおつもりですか?」
「わ、私は……」
スノウがため息をついた。
「いいですかルナさん、私はエムさんの身体を魔力で維持しなければなりません。闇の魔物が完全に滅んだとも言い切れません。更にはフィロドロさんへの対応次第によっては、ここで戦闘になるかもしれないんです。故に、誰かに護って貰う必要があるんです」
パッとルナリアの顔が明るくなる。
「私が護る?……わかったわスノウ、私に任せて。マティ、ケティそちらをよろしくね」
マティ達はお互い顔を見合わせて苦笑しつつ肩をすくめた。
「もう、ほんとちょろいなー」
ケティがボソッとつぶやいた。
……
目を覚ましたルナリアは、スノウに問うた。
「わかりません、エムさんとの繋がりが途切れました。彼女の意識が感知できません」
ー
ルナリアの目の前に横たわる全裸の男女、を見た。
一人は少年と言って良いほどの若者が眠っている。
「これは誰?」
「フィロドロさんです」
「へ?」
間抜けた声を出してしまったルナリア、己の知る大人びた美丈夫男性ではない。あどけなさの残る成人まもない少年にしか見えない。
「まとわりついていた闇が霧散して彼が現れました。彼が本当のフィロドロだと思います」
そして横たわるもう一人はエムだった。
定まらない視点で、天を仰ぎ見たまま微動だにしない。
そんな彼女の姿を横目にスノウがルナリアに聞く。
「ルナリアさんは、大丈夫ですか?」
「私は……なんか妙に頭がスッキリしていると言うか……モヤが晴れたというか」
「エムさんの推測は正しかったみたいですね」
「推測?」
……少し刻を遡る。
ルナリアは意識が戻ったと同時に、エムに犯されている状況に困惑した。ケダモノのように一心不乱に腰を突き上げてくるエム、使用されていたのが呪具だったため、ルナリアはそのまま激しい快楽に呑み込まれた。
呪具から吹き出す淫液、絶え間ない絶頂。
すぐそばではスノウが黙って見ていた。
「あ、ああっ!!、え、エム!、こ、これ以上されると、こ、壊れちゃう!!」
そんな訴えも、エムには届いていなかった。彼女もまた呪具に飲み込まれているようだった。
「ひっ!、あっ、ま、また、い、イクっ!!……」
ビュル、ビュルルル。
何度目かの淫液の放出、だけどその直後、突然エムの動きが止まった。
ガクリと力なく、ルナリアの胸の上に倒れ込んだ。
呪具は脈打ち、硬く張ったままに。
ルナリアは、エムを引き剥がす。
ズルズルと抜け出る呪具は、真っ黒い粘液を纏い吐き出された。溢れ出るその粘液にゾッとする。
青ざめた顔をしてスノウに視線を向けたルナリア
「??、私、何をされたの?」
「闇の魔物の駆除です。無事ルナさんから排除されましたね」
「こんなモノが私の中に……エム?」
ルナリアは起き上がると、動かないエムを仰向けに寝かせた。
目は見開いたまま全く反応がない、しかし息はしている。
ルナリアは、途端に不安に苛まれた。
「スノウどういう事!、なにが起きてるの!?」
「わかりません、エムさんとの繋がりが断たれました。彼女の意識が感知できません」
「!?」
……
「あっ!、ああっ!、いっ!、ああん!!」
正常位で抱き合う、ワタシとフィロ君、久々のだいしゅきホールド。
彼のチンPは凄く良い。
でもワタシ、ショタ趣味じゃないんだけど……
ショタ趣味は、衛士隊寄宿舎での出来事を聞く限り、たぶんスノウよねー
初めの内はワタシがお姉さまっぽく、フィロ君をリードしつつ、絶頂に耐えていると、突然スーパーフィロ君に覚醒し、絶倫少年に変貌したわ。
いつのまにやら逆転され、主導権を握られるしまつ。
ああ、ワタシこういうのに弱い。
鍛治師ボーイの時といい、ルウ様の時といい、ワタシって殿方をH覚醒させるスキルとか持ってんのかしら?
ここが、フィロ君の精神世界というアウェイな場所であるせいかもしれない。
「あ、いっ!、は、はひっ!!」
みっともなくよがるワタシ。フィロ君は漢らしく自信に満ちて、ワタシを突き上げる。
「フッフッフッフッ、ウッ!」
彼は出そうになるのを我慢して、一度抜くと、ワタシの身体をうつ伏せにして、背中にのし掛かって来た、両乳房を回すように揉み上げられ、首筋をキスされまくり。
「ああん、んあっあっ」
「ああ、君の身体はなんてイヤラシイいんだ、や、柔らかくて、こ、こんなに、す、吸い付いて…」
バックからの秘穴の入口をチンPの先っちょでなじって来る
「い、イヤァん」
嫌がるワタシの反応に、フィロ君はグッと腰を入れてきた。ズブリと彼の太いのが中に収まった。
「んあっ!」
そのままズンズンズンズンと突き上げられる。
「んああ、あ、あああっ!、んなぁあああああっ!!」
ワタシは声を張り上げて悶えてる。
芯まで貫かれてる。肉体的にではなく精神的に。
フィロ君の腰使いが段々と激しさを増して来る。
「ああっ!、んあああっ!!」
激しすぎる、こんな!、キモチイイ!!
ダメェ!
「い!、イクゥっ!!」
……
小刻みに喘ぎ悶えるフィロドロ少年を冷めた目で見てるスノウ。
ボソリとつぶやいた
「憎たらしい」
「え?、なにが?」
「なんでもありません、それよりも撤収しましょう」
「撤収って2人はどうするの?」
「衛士隊に説明して、フィロドロは引き取ってもらいます。エムさんは宿へ」
「……スノウ、怒ってる?」
「ええ、それはもう腑が煮えくり返る思いです」
「???」
……
衛士隊ドルガーは、スノウの説明に理解が追いつかなかった。
闇の魔物がこの街で行なっていた事、その闇の魔物の消滅、少年になってしまったフィロドロ、彼の意識が未だ戻らない理由、そして今後の事。
「衛士隊審議会に報告せねば…」
「審議会は無駄だと思います。あそこは今や正しく機能していません。あなたが判断した方が良いですよ」
「判断と言われましても……」
脳筋め、スノウはそう思った。
「スノウ、その辺は大丈夫よ……」
そう言ったのはマティだ、しかしなんとも歯切れの悪い言い方だった。
「王都の騎士団が動いてるからね……はぁ」
ケティも何故かため息をついている。
『え?』
マティ、ケティ以外の面々が驚く。
そういえば、エムに面会を求めてきた王都騎士団員がいるとスノウは聞いていた。
「なぜ王都騎士団がこの街に?」
「詳しくは聞けてないけど、この街に不穏な動きありと、だいぶ前から調べていたらしいわ」
「それがどうしてエムさんの所に?」
「監視中の”魔犬の匙”に絡んでいたからだそうよ。話を聞きに宿に来たけど、問答無用に追い払われて困っていたらしいわ」
「そうですか」
驚きに固まっていたドルガーがハッと我に返る。
「ま、まっていただきたい!、王都騎士団!?、そんな報告は受けてないぞ!」
「宿に張っていた衛士隊には、騎士団長直令で口止めされていたそうです」
「騎士団長令……」
騎士団は衛士隊の上位組織だ。その命令順位は衛士隊よりも優先される。
更に団長クラスの命令ともなると、侯爵さえ従わざるを得ない。それだけの権限を国より与えられている。地方の一衛士が逆らう事など到底できない。
「侯爵家と衛士隊、それからギルドの動きは監視されていたんですよ」
と、マティが説明した。
「今回の騒動、私達が動かなくても、遅かれ早かれ、騎士団が行動を起こしていたという事です。ドルガーさん」
ドルガーはガックリと両膝をついた。
そんな彼を見てマティが不敵に笑う。
「エム姉がもし暴れていなければ、侯爵家はお取り潰し、加担した衛士隊も厳罰が課されていたかもしれませんね」
「それはどう言う意味ですか?」
「だって、衛士隊の皆様方が、黒き魔物を討伐し、フィロドロ様を救出、そして事件を解決したんですから」
「は?」
……
精神世界という場所は、疲れが来ないのかしら?
フィロ君とのHは、今なお続いてます。
抜きつ刺されつ、テールトゥノーズ、いやいや違う違う。
絶頂に達して脱力してもすぐ元に戻る。
フィロ君の命の液の排出量が減りもしない。
コレってヤバくない?
止まらないわ。
一瞬そんな事を考えるけど、直ぐにHに没頭してしまう。
……どれだけ時間が経ってるんだろ?
精神世界では時間の流れがないって聞いたことがある。
誰の話だっけ?
うーん、思い出せない。
それよりもこれ以上突っ込まれるのもヤバいわね。
「……ストップ!」
絶頂に達した後、インターバルをとって、もう一度刺そうとしてきたフィロ君の硬く張ったチンPをギュッと握った。
「ギャっ!、な、なにを!?」
「タイムアウトよ」
「た、たいむ、え?」
ワタシは体を起こし、フィロ君の前に正座した。
「これ以上Hすると、馬鹿になるわよ」
「だって…」
「だってじゃない」
フィロドロ君がワタシをジッと見てる
「なによ」
「ところで君は誰?」
ぶっ!
ここまでHしといて今更!???
ワタシは一つ咳払いをする。
「んん、ワタシはランクD冒険者のエム、騒動に巻き込まれて、犯罪奴隷にされて、貴方に一晩中強姦された者よ」
「え?、ぼ、僕が!?」
「ルナリア・スガーって知ってる?」
「南方領主スガー家の、ブンター殿のご令嬢だったかと……」
「貴方は、その人も強姦したわ」
「ええ!?」
「他にも余罪はありそうよね」
「し、知らないよ!、覚えてないよ!!」
フィロドロが顔を赤くして目を逸らした。
コヤツ……
「闇の魔物に操られてたって言いたいわけ?」
「……」
黙秘ですか?
「まあいいわ、闇の魔物の奥底に、貴方の意識を少し感じたんだけど?」
「ご、ごめん……」
顔を赤らめるフィロドロ君、知性高そうなモノクルイケメン男子の面影が全然ないわ。
ぷっ
ワタシは思わず噴き出した。フィロドロ君は再びポカンとしてる。
「君は嘘つきね、知らないふりして逃げようとしたわけ?」
「あ、アレが、だ、誰かはわからなかったんだ」
「キモチ良かった?」
フィロ君がコクリと頷いた。その仕草にゾクゾクする。
んー、もうちょっとHしたいところだけど……
いかんいかん
「ここでHしすぎると、馬鹿になるどころか死ぬわね」
「え?」
「ここは精神世界、時間が止まってる。恐らく現実世界では凄い速さで時間が流れてるはずよ」
「それって……」
「下手したら肉体が衰弱死とか?」
「衰弱死!?」
「もうそうなったら笑っちゃうわよねー」
アハハーと笑ってみた、そうなるとこの魂はどこへ行くのかしら?
「笑い事じゃないよ!!」
おっとー、フィロ君に怒鳴られた。
「は、早く戻らないと!」
「それなんだけどさ、どうもワタシは肉体と離れちゃってるのよね」
「え?」
ここに来る時は、ルナリアの中にいた闇ドロの分体を経由したけど、今はそれが消滅してルートが断たれてる。ワタシはフィロ君の中に囚われた状態にあると言うことを説明した。
ようするに帰り道がない。
「そんな、じゃあどうすれば……」
「君は目覚めるだけだから安心して。ワタシはこのまま君の中でも良いかな?」
「良くないよ!」
「そお?、君は毎日キモチイイことできるよ?」
フィロ君が何を言ってるんだって顔してる。
「あれ?、もうおねーさんのこの身体(魂)に飽きた?、いいのよ減るもんじゃないし、煮るなり焼くなり好きにして貰って」
「嘘だ、僕にはわかる……」
鋭いなー、うんそうね、たぶん減る。
ワタシがここに来た目的の一つ、『並列思考』とはなんぞや、と言う疑問。
ここに来て、それがハッキリとわかった。
魂の数=並列思考……ではない。
魂1つ、分裂出来ない。
並列思考は単なるスキル。『魂の分裂数』ではなく、同時に複数の思考を展開できるだけと帰結した。
要するに、メインフレームのワタシがここにいるということは、今肉体は完全に抜け殻。
肉体は魂があって維持される。
切り離されたら朽ち果てる。
そして魂も同じ、肉体と言う器を失えば、遅かれ早かれすり減って消滅する。
フィロ君とHして、絶頂に達する度に、魂が何処かにモレ出ていくのを感じてた。
「でも、どうやって君を肉体に戻せば……」
「あー、それはね簡単な話しよ」
……
ワタシの説明に、フィロ君の顔がみるみる赤くなった
「そ、そそそそそ、そんなことをするの!?」
「ええそうよ」
「え?、いや、でもそれは……」
フィロくんが両手で顔を覆った。
今さら何が恥ずかしいっちゃねん
「スノウって子が近くにいると思うから、彼女に説明をして指示を受けてね」
「う、うう、わかった」
「じゃあヨロシクね」
「うん」
フィロ君に軽くキスをして、彼の魂を肉体に戻すべく、ワタシは彼のオデコに魔力を込めて強めにデコピンした。
ギャって顔をして、魂が霧散して、現実へと帰って行く。
もうちょっとこのままでも良いかな?、って思ったけど。外の世界の時間がどれだけ流れたのかわからないし、フィロ君の肉体も心配だからね。
まあ、彼が現実世界で行動を起こせるのか微妙な感じだけど、フィロ君を信じるしかない。それまではこの他人の精神世界に残って待機。
こんな何もない真っ白な空間で1人でいるとか、精神が病むわよね。彼があの歳からずっと闇の魔物に取り憑かれていたのだとしたら、どれだけ長い間閉じ込められていたのか、考えただけでも気が変になる。
……
スズメの涙亭
騒動から1週間になる。
ルナリアはエムの部屋に入れずにいた。
一言の説明もなくスノウがエムと共にずっと部屋から出てこない。扉の前にはスノウに命じられたマティとケティが交代で、誰も部屋に入らないように陣取っていた。
痺れを切らしたルナリアは、遂に部屋へと押し入った。
パァン!と、勢いよく扉が開かれルナリアが飛び込んで来た。
「スノウ!!」
「ごめんスノウ、ルナちんが凄い剣幕でさー」
ケティが平謝り。
「いいえ、そろそろお呼びしようと思っていたところですから」
ルナリアの視界に入る、エムの姿
魔法陣が描かれたシーツを下に敷き、床に全裸で寝かされている。
「なんなのよコレ!どう言う事なの!?、一体なにをしてるの!」
横たわるエムを前に、スノウを睨みつけるルナリア。
対して冷めた目でスンとしているスノウ。
「見た通りです。私の出来うることを色々試しましたが、エムさんを目覚めさせるに至っていません」
「目覚めない?」
スノウがここで初めてルナリアに、エムが行った事について説明した。
「スノウは、エムがこうなる事を始めからわかってたのね」
「ええ」
ルナリアがスノウの胸ぐらを掴んだ。
「だったらなんで止めなかったのよ!!」
「貴方を救うために決まっているじゃないですか、そんな事もわからないんですか?」
「私はエムに酷いことをしたのよ、犯罪奴隷にまでして苦しめた、助けてもらう義理なんてなかったのよ!!」
「ええ、そのように具申しました。愚かな人のために犠牲になる必要はないと」
「だったらちゃんと引き止めなさいよ!」
「でも決めたのはエムさんです」
ルナリアは両手で顔を覆った
「なんで、なんでなのよエム……」
「でも、エムさんの選択は意外でした」
「え?」
「エムさんは、怠惰で高慢で自分勝手で、どんな殿方にも股を開くアバズレです。相手を殺する事には躊躇せず。自信の生への執着が薄い。彼女の思考から読み取れるのは、『世の中どうでも良い』と思っています。だからワタシはルナさんを見捨てると思ったんです」
スノウのそんな言葉にルナリアは怒りに顔を歪めた。
「……あなた、エムをそんな目で見てたの?」
「ええ、人族の言葉で表すなら、エムさんはは『クズ』です」
パシっ!!
ルナリアは、思わずスノウの頬を平手打ちした。
マティとケティは微動だにせず黙ってそれを見ていた。
「え、エムはそんな人じゃないわ!!、エムは……それはやり過ぎな所もあるし、いつも私に酷いことするけど、いつだって助けてくれた!、誰にだって優しく気を配ってくれてるのよ!、あの砦の時だって……」
ハッとするルナリア、スノウは微笑んでいた。
「ほら、あなただってエムさんを信じてる。自分を悪者にしないでください。ルナさんを助けると言ったエムさんを、私達に止める権利なんてないんですよ」
スノウの意図を知って顔を真っ赤にするルナリア
「ず、ズルいわ、スノウ!」
黙って聞いていたケティが肩をすくめると
「ちょろいなー、ルナちん」
そう言ってケティが笑う。
「ほんとチョロいですね」
マティも肩をすくめた。
「なによ!、2人まで!!」
マティ、ケティ、スノウが苦笑する。ルナリアだけが頬を膨らませて怒ったままに……
「なによもう!」
……
「それでスノウ、エム姉の魂は今どうなってるの?」
マティが真顔に戻りスノウに問う。
「これは推測なんですが、エムさんの魂は、いまフィロドロさんの中にいるのではと考えました」
『え?』
「すなわち、魂と肉体が分離している状態です」
「それって魂魄離脱だよね?、精霊と対話したりする時なんかに魔法士が良くやる……」
そう言ったのはケティ
「その場合、普通は肉体と魂は繋がったままなんです。でも、エムさんの今の状態は、完全に断ち切れています」
「断ち切れてるって…え?」
「ハイ、分離状態が長引けば、肉体は朽ち、魂は消滅します」
「それってまさか……」
「死んでいるのと同じという事です」
『!?』
場が騒然となる。
ルナリアはパニックになりかけた。目眩を起こし倒れそうになる。それをマティが支えるが、彼女もまた青ざめていた。
「やっぱり私の所為だわ、私がエムを……」
「皆さん落ち着いて、同じなだけで死んだわけではありません。魂の在処はわかっているんです。要は肉体に呼び戻せばいいんです」
「そんなのどうやって?」
ルナリアの声が震えてる。『魂魄離脱』は揺り動かして起こしてやればいい。でも『完全離脱』した人間は揺り動かしたところでなにも起きない。
死んでいるのだから。
「その為にも、ここにフィロドロさんを連れてくる必要があります」
スノウの説明では、エムの身体は魔力維持する為に動かせない。
「肉体は、私が維持します。マティさんとケティさんは、フィロドロさんを連れてきてもらえませんか?」
「彼は今騎士団に拘束されているわ、事情を話して連れ出せるか……」
マティが戸惑う。
「手段は問わねば、どうですか?」
「騎士団とやり合えと?、本気?」
「時間がありません」
「…わかったわ了解よ、ケティ、行こう」
「はーい」
「私も行くわ」
ルナリアがそう申し出たが、スノウは手で制した。
「ルナさんはダメです」
「どうして!?」
「あなたは状況を正しく認識してください」
「状況?」
「ルナさんは、結果的に有耶無耶になっていますが、本来ならフィロドロと一緒に騎士団に拘束されている立場なんです、そんなところにノコノコと出て行ってどうするおつもりですか?」
「わ、私は……」
スノウがため息をついた。
「いいですかルナさん、私はエムさんの身体を魔力で維持しなければなりません。闇の魔物が完全に滅んだとも言い切れません。更にはフィロドロさんへの対応次第によっては、ここで戦闘になるかもしれないんです。故に、誰かに護って貰う必要があるんです」
パッとルナリアの顔が明るくなる。
「私が護る?……わかったわスノウ、私に任せて。マティ、ケティそちらをよろしくね」
マティ達はお互い顔を見合わせて苦笑しつつ肩をすくめた。
「もう、ほんとちょろいなー」
ケティがボソッとつぶやいた。
……
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