7 / 127
ダンジョンH?
しおりを挟む
私を巡って、鍛治師親子同士の壮絶な殴り合い現場を脱したワタシ。
どちらが勝ったかって?
知らないわよ
素敵なカワイイお嫁さん候補を見つけたのに、お父様にNTRされるとか、そりゃ修羅るわよね。
私のせいじゃないわよ。
当面あの鍛冶ギルドには行けないわ…
…いや、レイピスト鍛冶工房なんか2度と行くもんか。
…あの工房吹き飛ばしておこうかしら。
ああ、武器貰い損ねた。
……
ワタシは一旦宿屋に戻って、風呂に入ってる。
今日2回目…ブクブクブク
浄化と洗浄魔法だけでは、どうも命の液のニオイって落ちない。
生命力が強いのかしら?
何千万単位で必死に泳いでるしね。
そんな事はさておき。
風呂を済ませ、冒険者ギルドに行くと、何やら騒ぎになっていた。
ん?
話を聞くと、ランクCの冒険者パーティーが、3日前から迷宮に行ったまま戻ってきてないとのこと。
どこかで迷ったのか、足止めされているのか、或いは全滅……そんなのは、よくある話。でもここはゲームじゃない、少なくともリアルな世界。
死は人生の終わり。
ワタシがここに来て初めて、その怖さを知った。あのゲーム世界とは違う、この世界は死んだら終わり、教会では生き返れない。神聖術はあるけれど、それは高レベルヒールにすぎない。
音信不通パーティーは、ランク”C”、それも女の子だけのチーム。ワタシがこの世界に来てから出会った数少ない知り合いの女子達、カワイイ子ばかりの花園チーム
その名も『ラ・ライラ』ワタシの元の世界の言葉で表すと、
『フラワーガーデン』
そのまんまかーい。
ちなみにパーティーメンバーは、リーダーを…『お姉さま』
と、呼んでいらっしゃいます。……名前からしてたぶん百合ちゃんズよね。
ひょっとして、ダンジョ奥にしけこんで、Hでもしてるんじゃないかしら?
……ごめんなさい、不遜な物言いよね。
なんとか無事でいてほしいわね…
「ウォーっ!!」
ビックリした!、何よ突然!?
依頼情報版の前に集まっていた、冒険者の男供が歓喜とも取れる雄叫びをあげてる。
なによそれ、引くわ
どうやら、ラライラ救助チームが編成されたみたい……でもなんか嫌な予感しかしない。
って男ばっかりじゃん。おい
どいつもこいつも、目を爛々とさせ、明らかに下心丸出し。
逆にやばくない?
組合さん、コレは不味いわよ。ラライラの逆危機なんじゃない?、追い込んでどーすんのよ。
かと言って、あの救助隊にワタシは混ざりたくないわ、間違いなく道中でヤられる。
うーん
ワタシはヤロー共の目を掻い潜り、受付カウンターへと行き、そこに居た受付嬢に小声で声をかけた。
「ネェ、ネイルちゃん」
彼女は数少ない女性冒険者出身、カワイイけどメッチャ腕が立つ、先日も言い寄ってきた、ランクBのオッサン冒険者をのしてた。そんな彼女が冒険者を引退した理由は、安定した収入と、婚活。ネイルちゃんは、いいとこのお嬢様という噂。
「エムさん、どうしました?」
「どうしましたじゃないわよ、ラライラの救援に野獣供を送り込んでどうする気よ」
「あー、そう思います?」
確信犯かい
「募集掛けたんですけど、男の人しか集まらなくって…」
「『アルラマージ』はなんでこないの?、彼女達なら適任でしょ?」
アルラマージも、女子だけの徒党で、ラライラよりもパーティーランクは上の『B』、ちなみに名前の意味は、『麗しの乙女達』……百合よね?
「うーん、アルラマージと、ラライラはあまり仲が良くないですからね、特にリーダー同士が」
「そうなの?」
「……それでも参加しようとしたんですけどねー、編成されたあの一団見たら怖気付いちゃって。さっき別の依頼に出発してしまいました」
ネイルは肩をすくめた。
おい、上位冒険者
「なにを言ってんのよ、アルラマージは」
「じゃあエムさんはどうなんですか?」
ネイルが目を細めてワタシを見た。ワタシは視線を逸らし騒いでるヤロー共を見る。
「……無理無理、ソロのワタシがあの中に入ったら、真っ先にヤられるわ」
「ですよねー」
正直、魔物より人の方が怖い、頭悪い男子でも、H知能だけは異常に高い。
アルラマージが怖気付くのもわからなくもない。
ネイルちゃんがため息をつく、ワタシもため息をついた。
「エムさん、特別報酬出しますから、見てきてくれませんか?」
は?、この娘さんは何をおっしゃってますか?、ワタシにアイツらにヤられてこいと?
でも特別報酬って単語に惹かれた
「……どのくらい?」
「このくらいですね、金で」
ネイルは右手で5、左手で3を出した
「本気?」
「マジです」
はい、ヨロコンデ
…
特別報酬が救助チームより良い、それだけギルドは、男供を信用していないという事よね。だったらクズ共を行かせるなって話なんだけど…
うん、募集出した時点で無理よね。
ギルドの特別報酬はどちらかといえば、ワタシに対する危険手当込み。
………
そんなこんなで、救助隊の後をコッソリとつけるワタシ。
ギルドには悪いけど、一緒になんて行けるかい。
一応、姿消し魔法『ステルス』で身を隠してます。
相手は曲がりなりにも冒険者、探知スキル持ちとかも当然いるし、ランクもそれなりに高いのもいる。
バカだけど、侮れないのよね。
……見つかったら、ナニされるか考えるだけでもゾッとする。
それに……遠目に見てもアイツら冒険者というより、盗賊とかそんな雰囲気。
近寄りがたし、アブナイ団体さんです。
そんな団体の中で、リーダーをかって出た人がいる。西の街冒険者組合の中でも1、2を争う上位ランカー
『トラン』
どのクランにもしておらず、パーティーにも所属していない、ワタシと同じで珍しいソロ冒険者。
やさぐれた連中の中にあって、清廉なイケメン、爽やか、歯が白い、言うことがいちいちカッコいい…
いわゆる勇者系ってやつかしら?
…だけど、ワタシの中では、一番イケスカない奴のパターンなのよね。ああいうのはたいてい腹黒い。近寄らないに越した事はない。
…
そして…
現地に到着したナンチャッテ救助隊が、迷宮入り口で拠点設営を始めた。ところが救助は明日にするみたい、救助というのは時間との勝負なのに悠長なモンだわ。
ワタシは彼らの見張りの目をすり抜け、コソリとダンジョンへと侵入した。
その時、ワタシは気づいていなかった。
何者かにつけられている事に…
…
ここは数日前に出現し、発見された地下系の自然発生ダンジョン。発見したのは、件のラライラ。
なので、彼女達に最初の探索権が与えられている。そう第一発見者が優先探索できる。
そう言うことで、ほとんどが未踏部分なので地図もないわ。手探りで進むしかないわけ。
ワタシも最近ランクDになったので、迷宮立入許可が貰えるようにはなりました。この世界のダンジョンに実際に入るのは今回が初めて。ちょっとワクワクしてます。
………
……
…
…うーん、あの子達、どこまで行ったんだろ。
途中、魔物と遭遇はしたけど、戦闘痕が見られない。
どういう事?
ゲームの時のダンジョンは、ダンジョンコアなる物があり、ダンジョン構成が管理されマップ改変や、倒した魔物はリセットされ、時間が来ると再ポップする仕様だったけど…
この世界のダンジョンは違う。
踏破されるまでは、内部情報は履歴として残る、倒された魔物も朽ちるもそのまま、冒険者の遺体も消えない。そして踏破されると全てを飲み込みダンジョン履歴がリセットされる。と冒険者組合談
神様、なんなのその仕様?
わかりやすくていいけど…
おかしい、ワタシが倒した以外の魔物の死体が全くない。
魔物は出るのに戦闘痕が見られないのは、踏破されて初期化されたか、未だに誰も入った事がないかのどちらかになる。
踏破したにしては早すぎる。そうすると、ラライラ達がここにはいない、来ていないという事になってしまう、だけど…
ワタシの直勘が囁く、あの子達はここに必ずいると
でも、嫌な予感がする。
「ん?」
ワタシは視線を感じ振り返った。
探知には反応がない、でも確かに何かに見られた気がした。
腰に装備したとりあえず的な装備剣の柄に手を添える。
ダンジョン用に短めで幅広の剣を持ってきた、切るというより、叩き切るといった感じの剣。
メイン武器は、いざという時まで温存。
キキインっ!!
突然、耳に聞こえた風切り音にワタシは即反応した。咄嗟に抜剣して何かを叩き落とした。地面に転がる黒い2本の針
「これに気づくとは、先の女共とは違うな」
ワタシの背筋がゾクっとした。
今、女共と言った。
「誰!?」
ワタシはサッと首元のスカーフで顔を隠した。顔を見られるのは不味い、口も閉じた。
ワタシは背を低くする。ワタシの探知に反応しないとか、ヤバイ奴だわ
だったら…
「姿を見せなさい!」
「クク、おま……」
ワタシは、相手の喋りかけで、手をサッと頭上にかざし、間髪入れず、バンっ!と、影が焼き付くんじゃないかという程の光を手から放った。
光属性の魔法『ストロボ』
「グアっ!!!、き、貴様ぁ!!」
ダンジョン内に太陽でも出現したかのように辺りが真っ白になる、襲撃者が怯んだ。
逃げっ!
ワタシは脱兎の如く走った。
誰だか知らないけど、正体不明、アドバンテージを取られている以上、相手にすべきじゃないわ。
ラライラは、このダンジョンで正体不明の奴らに捕まった?、あり得る。
やり口がクソエルフに似てる。あり得る。
でも違和感はある。
とにかくコレは遭難じゃない、事件だわ。
エルフならヤバい、一旦組合に報告しに行こう。外の連中は当てにならない。ワタシの身体強化させた足なら、2時間もあれば西の街まで戻れる。
もうすぐダンジョン出口が近い、ワタシは後ろを振り返った。気配は追ってこない。
ドンッ!
「わっ!」
出口近くの曲がり角、何かとぶつかって
ワタシはツンのめって尻餅をついた。
「アイタタタッ…」
視線をあげると、ぶつかったのは人だった。
うげっ、コイツはナンチャッテ救助隊!の1人、確か『モー』とか言う、ランクBのオッチャン、この間ネイルちゃんがのした奴だ。
ん?、でもなんか様子が……
身体をユラユラと左右に揺らしてる
ワタシの視線は、モーの下半身に向いた。
あれー?、なんで履いてないのかな?、暗くてわかりにくいけど、下半身はすっぽんポン
モーが周囲の臭いを嗅ぎ始めた。
な、なに?
「ゲゲゲ」
ワタシの背筋がゾクリとした。その笑い方って…
「お、オンナー!!」
うわあっ!!
モーが両手を上げ、襲ってきた。そのまま覆いかぶさってくる!
「オンナ、オンナ、オンナああああああ」
ギャー!
ワタシは押し倒された、モーは、ワタシのふくよかな胸元に顔を埋め、フガフガと鼻を擦り付けてくる、さらには凄い力で腕を押さえつけ羽交締めにした。
身体強化されてるわけでもないのに、コレ人の力じゃない!?
モーは器用に腰を動かして、ワタシの股を割り、腰を入れてきた。
下半身むき出しのモー、ワタシのタイツ越しにギンギンのチンPが股間に押し付けられて来た。
ちょ、ダメ…
次の瞬間、ズンッと股間に衝撃が走った。
あ、ああっ!!
タイツが破れ、ズズズっとワタシの中にソレが入ってきた。ワタシは腰を浮かし、身をのけぞらせた。
んなあっ!!
タイツ破るとかウソでしょ!?、どんだけ硬いチンPなのよ!!
ワタシの身体をあの時と同じモノが襲う
それはエルフの”催淫魔法”
まさか、そんな!
モーが激しく腰を突き上げ始めた。
「んああああっ!!ダメ、あ、ダメ、やめて!!」
ワタシは悲鳴を上げた。
魔力が吸われ、催淫効果が強まっていく。
このままだと、またあの時みたいに呑み込まれる。
ちょっと!並列思考、たまには働け!
ワタシは、別途覚えた限定的呪いで、エルフの卑猥な魔法を上書きした。催淫効果が薄まるも、完全には打ち消せない。
でも魔法は使える、身体強化!
モーの腕の拘束を強引に解き、足を曲げて蹴り上げた。
んく!
ズルっとモーのチンPがワタシの秘密の穴から抜けでた。
そのまま巴投げ。
しかし、モーは空中で翻ると、四足状態で着地し、再び襲いくる。
いや、もう人の動きじゃないし
何かに操られてる?、ってアレよね。
寄生チンP
興奮状態のモーが四つん這いで走り、飛びかかってきた。
キモっ!
催淫効果で、視界が定まらない、でも
ワタシは寝転がったまま剣を抜くと、体を回転させつつ、モーの股間のイチモツ君を切り落とした。
スパッ!
ブシュー、突然血が飛び散った。
「ぎゃあああああ」
ええっ!!?
ぼとりと落ちたのはまさにアレだった、エルフの寄生チンP
でもソレはモーのアレに被さっていたのだ。
ごめん、一緒に切っちゃった。
のたうち回るモー、でも正気に戻った?
ワタシはモーにパライズとスリープで黙らせ、とりあえず寄生チンPをモーのアレから剥がすと、急いでヒールでくっつけてやった。
あ、ちょっと歪んだけど、いいわよね?
…
とりあえずモーをそのままにダンジョンに置きざりにし、ワタシは外へと向かった。
…
…でもダメ、催淫効果が抜けない。身体が疼く。魔力が減っていくのがわかる。
ほんと、クソエルフのこの呪いは厄介だわ。
それに、なんかあの時とは質が違う。
もっと効果が強い気がする。ワタシの毒魔法が、かき消されつつあった。
ヤバイ、このままだと。ワタシは魔力が尽きて落とされる。さっきの謎の人物はエルフ?、たぶん今も見てる。ワタシが落ちるのを。
ラライラも既にアイツらの手に落ちてるとみた方がいいわね。
外だ
なんとか出口まできた、外は雨が降ってる。この状態で街までなんて戻れるのかしら…
…
って、うわぁ…マジですか
冒険者達が皆下半身剥き出しでゾンビのように徘徊してらっしゃいます。
全員?
クソエルフめっ!
その股間には、寄生チンP
いやいや、今襲われたら、KOです。
前門のチンPゾンビ、後門のクソエルフ
その時だった、ドンと誰かに後ろから突き飛ばされた。
え?
雨降る外に転がり出てしまったワタシ。
ダンジョンの入り口で、フードを深く被った人物の、一瞬ニヤリと笑う口元が見えた。でも誰だかわからない。
寄生チンPのゾンビ冒険者達が、一斉にワタシをみてる。
冗談でしょ。
………
どちらが勝ったかって?
知らないわよ
素敵なカワイイお嫁さん候補を見つけたのに、お父様にNTRされるとか、そりゃ修羅るわよね。
私のせいじゃないわよ。
当面あの鍛冶ギルドには行けないわ…
…いや、レイピスト鍛冶工房なんか2度と行くもんか。
…あの工房吹き飛ばしておこうかしら。
ああ、武器貰い損ねた。
……
ワタシは一旦宿屋に戻って、風呂に入ってる。
今日2回目…ブクブクブク
浄化と洗浄魔法だけでは、どうも命の液のニオイって落ちない。
生命力が強いのかしら?
何千万単位で必死に泳いでるしね。
そんな事はさておき。
風呂を済ませ、冒険者ギルドに行くと、何やら騒ぎになっていた。
ん?
話を聞くと、ランクCの冒険者パーティーが、3日前から迷宮に行ったまま戻ってきてないとのこと。
どこかで迷ったのか、足止めされているのか、或いは全滅……そんなのは、よくある話。でもここはゲームじゃない、少なくともリアルな世界。
死は人生の終わり。
ワタシがここに来て初めて、その怖さを知った。あのゲーム世界とは違う、この世界は死んだら終わり、教会では生き返れない。神聖術はあるけれど、それは高レベルヒールにすぎない。
音信不通パーティーは、ランク”C”、それも女の子だけのチーム。ワタシがこの世界に来てから出会った数少ない知り合いの女子達、カワイイ子ばかりの花園チーム
その名も『ラ・ライラ』ワタシの元の世界の言葉で表すと、
『フラワーガーデン』
そのまんまかーい。
ちなみにパーティーメンバーは、リーダーを…『お姉さま』
と、呼んでいらっしゃいます。……名前からしてたぶん百合ちゃんズよね。
ひょっとして、ダンジョ奥にしけこんで、Hでもしてるんじゃないかしら?
……ごめんなさい、不遜な物言いよね。
なんとか無事でいてほしいわね…
「ウォーっ!!」
ビックリした!、何よ突然!?
依頼情報版の前に集まっていた、冒険者の男供が歓喜とも取れる雄叫びをあげてる。
なによそれ、引くわ
どうやら、ラライラ救助チームが編成されたみたい……でもなんか嫌な予感しかしない。
って男ばっかりじゃん。おい
どいつもこいつも、目を爛々とさせ、明らかに下心丸出し。
逆にやばくない?
組合さん、コレは不味いわよ。ラライラの逆危機なんじゃない?、追い込んでどーすんのよ。
かと言って、あの救助隊にワタシは混ざりたくないわ、間違いなく道中でヤられる。
うーん
ワタシはヤロー共の目を掻い潜り、受付カウンターへと行き、そこに居た受付嬢に小声で声をかけた。
「ネェ、ネイルちゃん」
彼女は数少ない女性冒険者出身、カワイイけどメッチャ腕が立つ、先日も言い寄ってきた、ランクBのオッサン冒険者をのしてた。そんな彼女が冒険者を引退した理由は、安定した収入と、婚活。ネイルちゃんは、いいとこのお嬢様という噂。
「エムさん、どうしました?」
「どうしましたじゃないわよ、ラライラの救援に野獣供を送り込んでどうする気よ」
「あー、そう思います?」
確信犯かい
「募集掛けたんですけど、男の人しか集まらなくって…」
「『アルラマージ』はなんでこないの?、彼女達なら適任でしょ?」
アルラマージも、女子だけの徒党で、ラライラよりもパーティーランクは上の『B』、ちなみに名前の意味は、『麗しの乙女達』……百合よね?
「うーん、アルラマージと、ラライラはあまり仲が良くないですからね、特にリーダー同士が」
「そうなの?」
「……それでも参加しようとしたんですけどねー、編成されたあの一団見たら怖気付いちゃって。さっき別の依頼に出発してしまいました」
ネイルは肩をすくめた。
おい、上位冒険者
「なにを言ってんのよ、アルラマージは」
「じゃあエムさんはどうなんですか?」
ネイルが目を細めてワタシを見た。ワタシは視線を逸らし騒いでるヤロー共を見る。
「……無理無理、ソロのワタシがあの中に入ったら、真っ先にヤられるわ」
「ですよねー」
正直、魔物より人の方が怖い、頭悪い男子でも、H知能だけは異常に高い。
アルラマージが怖気付くのもわからなくもない。
ネイルちゃんがため息をつく、ワタシもため息をついた。
「エムさん、特別報酬出しますから、見てきてくれませんか?」
は?、この娘さんは何をおっしゃってますか?、ワタシにアイツらにヤられてこいと?
でも特別報酬って単語に惹かれた
「……どのくらい?」
「このくらいですね、金で」
ネイルは右手で5、左手で3を出した
「本気?」
「マジです」
はい、ヨロコンデ
…
特別報酬が救助チームより良い、それだけギルドは、男供を信用していないという事よね。だったらクズ共を行かせるなって話なんだけど…
うん、募集出した時点で無理よね。
ギルドの特別報酬はどちらかといえば、ワタシに対する危険手当込み。
………
そんなこんなで、救助隊の後をコッソリとつけるワタシ。
ギルドには悪いけど、一緒になんて行けるかい。
一応、姿消し魔法『ステルス』で身を隠してます。
相手は曲がりなりにも冒険者、探知スキル持ちとかも当然いるし、ランクもそれなりに高いのもいる。
バカだけど、侮れないのよね。
……見つかったら、ナニされるか考えるだけでもゾッとする。
それに……遠目に見てもアイツら冒険者というより、盗賊とかそんな雰囲気。
近寄りがたし、アブナイ団体さんです。
そんな団体の中で、リーダーをかって出た人がいる。西の街冒険者組合の中でも1、2を争う上位ランカー
『トラン』
どのクランにもしておらず、パーティーにも所属していない、ワタシと同じで珍しいソロ冒険者。
やさぐれた連中の中にあって、清廉なイケメン、爽やか、歯が白い、言うことがいちいちカッコいい…
いわゆる勇者系ってやつかしら?
…だけど、ワタシの中では、一番イケスカない奴のパターンなのよね。ああいうのはたいてい腹黒い。近寄らないに越した事はない。
…
そして…
現地に到着したナンチャッテ救助隊が、迷宮入り口で拠点設営を始めた。ところが救助は明日にするみたい、救助というのは時間との勝負なのに悠長なモンだわ。
ワタシは彼らの見張りの目をすり抜け、コソリとダンジョンへと侵入した。
その時、ワタシは気づいていなかった。
何者かにつけられている事に…
…
ここは数日前に出現し、発見された地下系の自然発生ダンジョン。発見したのは、件のラライラ。
なので、彼女達に最初の探索権が与えられている。そう第一発見者が優先探索できる。
そう言うことで、ほとんどが未踏部分なので地図もないわ。手探りで進むしかないわけ。
ワタシも最近ランクDになったので、迷宮立入許可が貰えるようにはなりました。この世界のダンジョンに実際に入るのは今回が初めて。ちょっとワクワクしてます。
………
……
…
…うーん、あの子達、どこまで行ったんだろ。
途中、魔物と遭遇はしたけど、戦闘痕が見られない。
どういう事?
ゲームの時のダンジョンは、ダンジョンコアなる物があり、ダンジョン構成が管理されマップ改変や、倒した魔物はリセットされ、時間が来ると再ポップする仕様だったけど…
この世界のダンジョンは違う。
踏破されるまでは、内部情報は履歴として残る、倒された魔物も朽ちるもそのまま、冒険者の遺体も消えない。そして踏破されると全てを飲み込みダンジョン履歴がリセットされる。と冒険者組合談
神様、なんなのその仕様?
わかりやすくていいけど…
おかしい、ワタシが倒した以外の魔物の死体が全くない。
魔物は出るのに戦闘痕が見られないのは、踏破されて初期化されたか、未だに誰も入った事がないかのどちらかになる。
踏破したにしては早すぎる。そうすると、ラライラ達がここにはいない、来ていないという事になってしまう、だけど…
ワタシの直勘が囁く、あの子達はここに必ずいると
でも、嫌な予感がする。
「ん?」
ワタシは視線を感じ振り返った。
探知には反応がない、でも確かに何かに見られた気がした。
腰に装備したとりあえず的な装備剣の柄に手を添える。
ダンジョン用に短めで幅広の剣を持ってきた、切るというより、叩き切るといった感じの剣。
メイン武器は、いざという時まで温存。
キキインっ!!
突然、耳に聞こえた風切り音にワタシは即反応した。咄嗟に抜剣して何かを叩き落とした。地面に転がる黒い2本の針
「これに気づくとは、先の女共とは違うな」
ワタシの背筋がゾクっとした。
今、女共と言った。
「誰!?」
ワタシはサッと首元のスカーフで顔を隠した。顔を見られるのは不味い、口も閉じた。
ワタシは背を低くする。ワタシの探知に反応しないとか、ヤバイ奴だわ
だったら…
「姿を見せなさい!」
「クク、おま……」
ワタシは、相手の喋りかけで、手をサッと頭上にかざし、間髪入れず、バンっ!と、影が焼き付くんじゃないかという程の光を手から放った。
光属性の魔法『ストロボ』
「グアっ!!!、き、貴様ぁ!!」
ダンジョン内に太陽でも出現したかのように辺りが真っ白になる、襲撃者が怯んだ。
逃げっ!
ワタシは脱兎の如く走った。
誰だか知らないけど、正体不明、アドバンテージを取られている以上、相手にすべきじゃないわ。
ラライラは、このダンジョンで正体不明の奴らに捕まった?、あり得る。
やり口がクソエルフに似てる。あり得る。
でも違和感はある。
とにかくコレは遭難じゃない、事件だわ。
エルフならヤバい、一旦組合に報告しに行こう。外の連中は当てにならない。ワタシの身体強化させた足なら、2時間もあれば西の街まで戻れる。
もうすぐダンジョン出口が近い、ワタシは後ろを振り返った。気配は追ってこない。
ドンッ!
「わっ!」
出口近くの曲がり角、何かとぶつかって
ワタシはツンのめって尻餅をついた。
「アイタタタッ…」
視線をあげると、ぶつかったのは人だった。
うげっ、コイツはナンチャッテ救助隊!の1人、確か『モー』とか言う、ランクBのオッチャン、この間ネイルちゃんがのした奴だ。
ん?、でもなんか様子が……
身体をユラユラと左右に揺らしてる
ワタシの視線は、モーの下半身に向いた。
あれー?、なんで履いてないのかな?、暗くてわかりにくいけど、下半身はすっぽんポン
モーが周囲の臭いを嗅ぎ始めた。
な、なに?
「ゲゲゲ」
ワタシの背筋がゾクリとした。その笑い方って…
「お、オンナー!!」
うわあっ!!
モーが両手を上げ、襲ってきた。そのまま覆いかぶさってくる!
「オンナ、オンナ、オンナああああああ」
ギャー!
ワタシは押し倒された、モーは、ワタシのふくよかな胸元に顔を埋め、フガフガと鼻を擦り付けてくる、さらには凄い力で腕を押さえつけ羽交締めにした。
身体強化されてるわけでもないのに、コレ人の力じゃない!?
モーは器用に腰を動かして、ワタシの股を割り、腰を入れてきた。
下半身むき出しのモー、ワタシのタイツ越しにギンギンのチンPが股間に押し付けられて来た。
ちょ、ダメ…
次の瞬間、ズンッと股間に衝撃が走った。
あ、ああっ!!
タイツが破れ、ズズズっとワタシの中にソレが入ってきた。ワタシは腰を浮かし、身をのけぞらせた。
んなあっ!!
タイツ破るとかウソでしょ!?、どんだけ硬いチンPなのよ!!
ワタシの身体をあの時と同じモノが襲う
それはエルフの”催淫魔法”
まさか、そんな!
モーが激しく腰を突き上げ始めた。
「んああああっ!!ダメ、あ、ダメ、やめて!!」
ワタシは悲鳴を上げた。
魔力が吸われ、催淫効果が強まっていく。
このままだと、またあの時みたいに呑み込まれる。
ちょっと!並列思考、たまには働け!
ワタシは、別途覚えた限定的呪いで、エルフの卑猥な魔法を上書きした。催淫効果が薄まるも、完全には打ち消せない。
でも魔法は使える、身体強化!
モーの腕の拘束を強引に解き、足を曲げて蹴り上げた。
んく!
ズルっとモーのチンPがワタシの秘密の穴から抜けでた。
そのまま巴投げ。
しかし、モーは空中で翻ると、四足状態で着地し、再び襲いくる。
いや、もう人の動きじゃないし
何かに操られてる?、ってアレよね。
寄生チンP
興奮状態のモーが四つん這いで走り、飛びかかってきた。
キモっ!
催淫効果で、視界が定まらない、でも
ワタシは寝転がったまま剣を抜くと、体を回転させつつ、モーの股間のイチモツ君を切り落とした。
スパッ!
ブシュー、突然血が飛び散った。
「ぎゃあああああ」
ええっ!!?
ぼとりと落ちたのはまさにアレだった、エルフの寄生チンP
でもソレはモーのアレに被さっていたのだ。
ごめん、一緒に切っちゃった。
のたうち回るモー、でも正気に戻った?
ワタシはモーにパライズとスリープで黙らせ、とりあえず寄生チンPをモーのアレから剥がすと、急いでヒールでくっつけてやった。
あ、ちょっと歪んだけど、いいわよね?
…
とりあえずモーをそのままにダンジョンに置きざりにし、ワタシは外へと向かった。
…
…でもダメ、催淫効果が抜けない。身体が疼く。魔力が減っていくのがわかる。
ほんと、クソエルフのこの呪いは厄介だわ。
それに、なんかあの時とは質が違う。
もっと効果が強い気がする。ワタシの毒魔法が、かき消されつつあった。
ヤバイ、このままだと。ワタシは魔力が尽きて落とされる。さっきの謎の人物はエルフ?、たぶん今も見てる。ワタシが落ちるのを。
ラライラも既にアイツらの手に落ちてるとみた方がいいわね。
外だ
なんとか出口まできた、外は雨が降ってる。この状態で街までなんて戻れるのかしら…
…
って、うわぁ…マジですか
冒険者達が皆下半身剥き出しでゾンビのように徘徊してらっしゃいます。
全員?
クソエルフめっ!
その股間には、寄生チンP
いやいや、今襲われたら、KOです。
前門のチンPゾンビ、後門のクソエルフ
その時だった、ドンと誰かに後ろから突き飛ばされた。
え?
雨降る外に転がり出てしまったワタシ。
ダンジョンの入り口で、フードを深く被った人物の、一瞬ニヤリと笑う口元が見えた。でも誰だかわからない。
寄生チンPのゾンビ冒険者達が、一斉にワタシをみてる。
冗談でしょ。
………
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

世界を越えたら貞操逆転
トモ治太郎
ファンタジー
愛車に乗ってトンネルを抜けた先は別世界だった。
その世界は女性だらけの世界だ。俺の愛車は骨董品レベル?
とは言え近未来的な話はありません。
よくある多数の女性とイチャイチャするお話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる