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9章 あの日本一の誠実系ナンパ師、子凛が逮捕!?

9-4 超絶ロリコンの末吉がパパ活で捕まった。

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「乾杯!」
 一笑いした後のビールは格別にうまかった。乳ローはへそを曲げているガリさんの機嫌を戻そうとしているのか、隣に座ってお酌に集中している。
「お前らがワイのことをどう思っているのか、嫌というほどわかったわ」
 と言うと、右手で股間を抑えた。それなりに痛かったようで……。
「本当はワイのことなんか誰も尊敬してないんやろ」
「俺、心の底からリスペクトしてますから」
 珍しく乳ローが気を使っているようだ。
「ええねんええねん。ワイ、皆のことを思って結構頑張ってきたんやけどな。どうせ、ワイのことなんて所詮、この程度にしか思われてなかったってことやろ」
 と言いながら、割り箸で畳をつついている。
 四十を超えたおっさんがいじけている姿はちょっとどうかなと……。
「そんなことないっすよ。皆リスペクトしてますよ。だから、これだけの人間が集まるわけですから。いじけないでくださいよぉ。皆、ガリさんに感謝してますって」
「ホンマかぁ?」
「当たり前じゃないっすか」
「ホンマやろなぁ?」
 と言うとニヤっと笑った。ただ単に褒め言葉を言わしたかっただけではないだろうか……。
「ガリさんが日本一、いや世界一のナンパ師に決まってるじゃないっすか」
 ガリさんは満更まんざらでもない表情を浮かべて日本酒を飲んでいる。乳ローが近づいてきて囁いた。「ほんと、ガリは単純だよな。クククッ。ま、そこがガリのいいところなんだけどさ」と言ったが特に返答はしなかった。
 ガリさんの機嫌が戻り「やっと、ガッツリお酒が飲める」と乳ローは言うと、持っているテキーラを一気に飲み干した。
「飲んで飲んで飲みまくるぜ。なぁ、ガリ。俺は女よりアルコールの方が好きかもしれねぇなぁ」
「そうかもしれへんな、このアル中が。おっ、来た来た、ワイの大好きなホッケちゃん」
「あの……、ガリさん」
「んあっ?」
「ホッケにまっしぐらのところ大変申し訳ないんすけど……、子凛のことなんですが」
「えっ、何々? あ、淫行の件ね」
 少し思案した表情を見せた後、大きなホッケを箸でいじりながら喋り始めた。
「その前に、と。おい、末吉。こっち来いや」
 すえきちって誰だろ。
「ガリさん。今日は大祭に呼んで頂きありがとうございます」
「かまへんかまへん。噂で末吉が死にそうやって聞いたからさ。グリーン。こいつ、覚えてるやろ」
「えっ、誰ですか」
「忘れたんか? グリーンが初めて祭に参加した時に会ってるで」
 あっ……、指名ナンパが終わった後にCとかKとかJRとか言ってた奴か。確か、ガリさんが破門にしたって言ってたよな。
「思い出しました。あの時と比べると、随分やつれちゃってるのでわかりませんでした」 
 ガリさんは気遣いながら口を開いた。
「まだ傷が癒やされたという感じではなさそうやな」
「そうですね」
「何かあったのですか?」
 末吉は俺の顔を見るとばつが悪そうな顔をして目を伏せ、すぐに助けを求めるようにガリさんに視線を送った。その視線を受け取るとガリさんの唇が動いた。
「末吉はパパ活で捕まったんや」
「えっ」
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