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三食昼寝、家族付き

第1037話

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 ピクニックの日からずっとイネスがトウモロコシを抱えている。
 しかもただのトウモロコシではない、一粒一粒が金色に輝く聖なるトウモロコシだ。

 聖属性が強過ぎてラーシャが火傷したので、今は一時的に実家(めいふ)に里帰り中です。
 尻尾の炎で焼く加減調節も上達し、たまにつく焦げ目を楽しみつつ一日数本は食べている。

 聖なるさつま芋や黄金のリンゴ、イネスの好物は伴侶のラーシャの命を確実に削っている気がする。
 でも騎士様曰く、ラーシャは冥府の息子なので確かに聖属性には弱いけれど、この世界基準の上級聖属性ならダメージ耐性で耐えられるはずらしい。
 つまりまぁ、うちの子によって改良された聖属性の作物が強すぎるってことみたい。

「はぁ美味しいです、涼ちゃんありがと」
「聖属性シリーズ増えたよなー、ゴブリンじいちゃんの畑とは別に土地広げて育ててもらうか!」
「いいですねー、労働者選び大変そうですけど、ママとダンジョン行って解決するです」
『アテナちゃんもトウモロコシ食べますか?』
「だぅー」

 シャムスが食べやすいように切り分けたトウモロコシ片手にアテナに話しかけていたのを、子守スラが間に滑り込んで体全体を使用したジェスチャーで何かを訴えている。
 多分食べさせようとしたんだろうなぁ、ダメだよー、赤ちゃんは普通は食べれないよー。

 そんな感じでいつものようにまったり過ごしていたら、アー君に神社まで来てほしいとお願いされた。

「おかえりアー君、おやつは?」
「食べる! じゃなくて、その前にちょっといいか?」
「はいはい」

 おやつを食べだしたら重要なこともスポッと忘れちゃうもんね、知ってて言ってみた。

「すぐ戻るから!」
「大丈夫、にいちゃの分食べない! 自信ないけど」
「聖なるコーンスープ飲みながら待ってます」
『聖なるポップコーン作ってもらおっか』
「ぎゃーー、俺も食べたいーー!」

 早く用事を終わらせるぞ!と鼻息荒いアー君に連れられ、やってきました神薙神社の食事処。
 最近は色っぽい新妻と、癒し系の看板幼児が歓迎してくれると評判です。

 いつから夫婦経営になったんだろう、冒険者家業はいいんですか?

 本日は店内ではなく、庭にある出入り自由な飲食コーナーだった。
 店でお弁当を注文して食べてよし、予約で貸し切ってパーティーをするのもよし、境内で買ったものを景色を見ながら食べてもよしの、基本学生狙いのデートスポットだって、色々やっていますね。

「ごのだびは」

 そこで待っていたのは顔面を包帯でぐるぐるに巻いた人だった。
 人だよね?
 ゾンビ系に転職してないよね?

「部位破壊はなかったけど、一部精神破壊しちゃったみたいなんだ。まぁ目覚めたら邪神一族が周囲をぐるぐるしてたんだから、仕方ないよな!」
「悲惨」
「話を聞いたら刀雲パパの推察通り、魔物に追われて荷物もギルドカードも装備もなくしたみたいでな、正真正銘の一文無し、しかも集団!」
「ご愁傷様です」
「い゙いえ」
「ギルドカードの再発行は可能だけどさすがに無料じゃないしな、とても都合のいいことに三食付きで労働者を受け入れてくれる領地があるから送ることにした」
「ありがだいごとでず」

 深々と頭を下げられたけど、行くのは邪神の姫様の領地だからね?
 こんな状態で送って労働力になるのかな?

「それでな、ママに来てもらったのはリーダーの精神を安定させて、スッキリした頭で判断してもらうためなんだ」

 ホラ、と言われて相手の人を見たら、死んだ目だったそれが若干理性が戻りつつあるようだ。
 謎能力すっごいね。
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