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三食昼寝、家族付き

第1036話

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 その日、アー君の話は聞けなかった。
 なぜなら水遊びで限界まで体力を使い切り、最後に飛び込んだ時に体力が切れて水の中で寝てしまったらしいです。
 白熊さんが即回収してくれたので何事もなかったけど、危ないよアー君。

 そんな感じで子供達の体力も切れ、獣人団が飲み食いする物も終わり、邪神一家による魔物の間引きも本日分は終了したので帰宅しました。
 あれ?
 セティとカイちゃんってテントから出てきたっけ?
 ハイダル君も来てるって聞いたけど、気のせいか結局一度も姿見てない気がする。

 まぁいいや、とりあえずうちの子にボコボコにされた冒険者の身柄は……えーっとどうしたんだっけ?
 最後に見た時は確か……邪神兄弟が拘束された冒険者の周囲をぐるぐる回っていたような。

 あっ、そのまま放置してきた!?

「くぁぁぁ」
『ママおはよ』

 大あくびをしながら現れたアー君は白熊さんに抱えられていた。
 翌日まで疲労が残るなんて、昨日どれだけ全力で遊んでいたんだろうか。

「アー君、まだ寝てていいんだよ」
「ごはん食べる」
「シャムスもおはよう、シャムスは元気だね」
『アー君ほど無茶してないの』

 配膳された朝食を綺麗に平らげていくので、食欲は普通にあるようだ。
 ただ食べさせているのは白熊さんだけどね!

「刀雲、今日ってお休みじゃないの?」
「普通に仕事だ、次からは連休を取っておくべきだな」
「そんなぁぁ」

 寝間着姿の騎士様を連れて刀雲が朝食の場に現れたんだけど、仕事に行きたくないと駄々をこねているのは何を隠そうアー君のパパです。

「おはよう、寝坊した」

 アカーシャが慌てて座敷に入ってきた。
 本人も言う通り寝坊したらしく、髪がまだボサボサです。

「アカーシャ、こっちに座って。髪は僕がやってあげるからご飯食べて」
「うんありがと」

 この惨状を予期していたかのように、本日の朝食はパンとスープ、ポテトサラダという簡単な組み合わせ。
 さすがドリちゃん、うちの一家を熟知しているね!

「ママ、今日は僕もお弁当ください! 朱とアスレチック行ってきます!」
「あれネヴォラはいいの?」
「山小屋でお勉強です、終わったら合流予定ですけど、先に行きます」
「自分の想定している体力と幼児の体の持つ体力の差が辛い、あーもー成長しちゃおっかなー!」

 白熊さんの腕の中で盛大にグダグダするアー君、もし相手が騎士様だったら甘噛みの一つでもしてたんだろうなぁ。

「あれ、でもアー君が山小屋に行くとなると、昨日保護した冒険者はどうするの?」
「小屋が終わったら行ってくる。えーっと、どこに今いるっけ?」

 アー君の問いに一瞬座敷に沈黙が下りた。
 多分みんな忘れてたんだろうな、似た者同士です。家族だからね。

「最後に見た時は白ちゃんが涎垂らしながら冒険者を吟味してました」
「確かラミアが「労働力」って呟いていた気がする」

 最初に答えたのはイネス、次にアカーシャが答えアー君が「うあー」と唸り声上げた。

「どう転んでも邪神一族の手に渡るの確定かぁ」

 ラミアちゃんの所は港街が栄えて労働力が足りなくなってきているらしい、たまにイグちゃんが奴隷商人狩りをして奴隷を無料で仕入れてくれているみたいだけど、豆を始めとした作物の収穫に加え、お茶も始めたので人手はいくらあってもいいみたい。
 その人手の集め方はどうなんだろうと思うけど、邪神だしなぁ。
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