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三食昼寝、家族付き
第896話
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昨日も情報量の多い一日だったなぁ。
「いいママ、敷地から出ちゃ駄目! えっちゃんもよろしく!」
鼻息荒く言い聞かせてくるアー君は本日、少年ぐらいの背丈まで外見を成長させている。
服装もピシッとした感じの正装です。
「ギーギー!」
「えっちゃんが苦情を言っているよ」
「せめて俺が帰宅するまでは大人しくね! 行くぞ涼!」
「ぉぉぉぅ」
「涼玉様しっかり!」
緊張のあまり小刻みに震える涼玉を従えてアー君がお出掛けしていった。
「だっこ」
「はぁい」
本日の監視役はシャムス。
自力でお出掛けできないタイプの伏兵を置いていくとは卑怯な!
「でもシャムスは抱っこ出来るから、抱っこしたままお出掛け出来るよね?」
「っめ」
「はい」
可愛らしく駄目出しをされたので大人しく諦めるとしよう。
「お昼は何にしようか?」
「おにぎゅり」
「じゃあお味噌汁と漬物は必須だね、デザートは和風にしよう」
「あい!」
僕とシャムス、えっちゃんの三人でデザートを選びながらふと気付いた。
「様子見に行くのが駄目ならえっちゃんに実況してもらうのは?」
「おっけぇよ」
「!!」
任せろと言わんばかりに影が力こぶを作った。
えっちゃんって実は出羽亀なところあるよね、嫌いじゃない。
そして開幕された白黒実況、音無しだけど大体分かる。
デフォルトからリアルまで使い分けられるえっちゃんって凄いよなぁ。
「……門の所で足止めくらってる?」
「急ぎすぎよー」
お姉さん達の後ろには象ぐらい大きなチャウチャウ、もしやあれに乗ってここまで?
僕が思っている以上にガツガツしてます?
チャウチャウの横には戦士のお姉さんの腰を抱いた執事。
ああ、リア充が身近に発生して「私もぉぉぉ!!」ってなっているのか。
アー君がそこにやってきて、事情を説明してお姉さん達を通してもらった。
門番にも顔が利くのか、うちの子の顔の広さが凄いですね。
「転移したのかな、あそこはどこだろ?」
「ちゃやー」
「ああ春日さんの。確かに景色がいいし落ち着いた雰囲気だから見合いには向いているけど……せめてお姉さん達に身支度させてあげてほしい」
「手遅れなのー」
シャムスが指さした先に視線を向ければ、茶屋から白熊さんと一緒にグラちゃんも出てきてお兄さんと鉢合わせした。
あとは良くある展開。
自己紹介しなくても惹かれるものがあったのだろう、グラちゃんとお兄さんはそのまま個室へ消えて行ってしまった。
魔法使いのお姉さんの笑顔が怖い。
あと見合い席で先に待っていた涼玉がまた顎が外れるほど口を開けているのが見えた。
見合い席は個々に用意されていたらしく、池の見える四阿に翡翠君とマシュー君がそれぞれ待機している。
涼玉は緊張から解放され、マールスに抱っこされてぐったり。早く帰っておいで。
「……ねぇシャムス、見合いって個人でするものじゃない? 関係者引き連れて来すぎな気がする」
「さいしょーげんよ」
「あれで!?」
翡翠君の席には周防くんと神薙さんの旦那さんである副官さんがいた。
「神薙さんはさすがにいないみたいだね」
「専用席でごはん食べてりゅ」
「あら本当だ」
しかも神薙さんに給仕しているのうちの双子の王子ですね。
あれは野次馬なのだろうか、それとも部下を心配してそこにいるのだろうか、野次馬だろうなぁ。
そしてマシュー君はというと、正妻のナーガ、側室の他国の王子、猫の獣人、コック長の魔物、陽気な獣人団などがわちゃわちゃしていた。
いや、後半の人達いらないよね、なんでそこにいるの。
案内したアー君も頭が痛いらしく眉間を揉んでいる。
手を叩いて当事者以外を追い払い、あとは二人で話し合えと言わんばかりに背を向けて立ち去った先は神薙さんの席だった。
追い払われたその他大勢もそちらに移動、大きな体を小さくして見合いをガン見している。
誰一人として隠れてない。
せめて認識阻害使おうよ。
「いいママ、敷地から出ちゃ駄目! えっちゃんもよろしく!」
鼻息荒く言い聞かせてくるアー君は本日、少年ぐらいの背丈まで外見を成長させている。
服装もピシッとした感じの正装です。
「ギーギー!」
「えっちゃんが苦情を言っているよ」
「せめて俺が帰宅するまでは大人しくね! 行くぞ涼!」
「ぉぉぉぅ」
「涼玉様しっかり!」
緊張のあまり小刻みに震える涼玉を従えてアー君がお出掛けしていった。
「だっこ」
「はぁい」
本日の監視役はシャムス。
自力でお出掛けできないタイプの伏兵を置いていくとは卑怯な!
「でもシャムスは抱っこ出来るから、抱っこしたままお出掛け出来るよね?」
「っめ」
「はい」
可愛らしく駄目出しをされたので大人しく諦めるとしよう。
「お昼は何にしようか?」
「おにぎゅり」
「じゃあお味噌汁と漬物は必須だね、デザートは和風にしよう」
「あい!」
僕とシャムス、えっちゃんの三人でデザートを選びながらふと気付いた。
「様子見に行くのが駄目ならえっちゃんに実況してもらうのは?」
「おっけぇよ」
「!!」
任せろと言わんばかりに影が力こぶを作った。
えっちゃんって実は出羽亀なところあるよね、嫌いじゃない。
そして開幕された白黒実況、音無しだけど大体分かる。
デフォルトからリアルまで使い分けられるえっちゃんって凄いよなぁ。
「……門の所で足止めくらってる?」
「急ぎすぎよー」
お姉さん達の後ろには象ぐらい大きなチャウチャウ、もしやあれに乗ってここまで?
僕が思っている以上にガツガツしてます?
チャウチャウの横には戦士のお姉さんの腰を抱いた執事。
ああ、リア充が身近に発生して「私もぉぉぉ!!」ってなっているのか。
アー君がそこにやってきて、事情を説明してお姉さん達を通してもらった。
門番にも顔が利くのか、うちの子の顔の広さが凄いですね。
「転移したのかな、あそこはどこだろ?」
「ちゃやー」
「ああ春日さんの。確かに景色がいいし落ち着いた雰囲気だから見合いには向いているけど……せめてお姉さん達に身支度させてあげてほしい」
「手遅れなのー」
シャムスが指さした先に視線を向ければ、茶屋から白熊さんと一緒にグラちゃんも出てきてお兄さんと鉢合わせした。
あとは良くある展開。
自己紹介しなくても惹かれるものがあったのだろう、グラちゃんとお兄さんはそのまま個室へ消えて行ってしまった。
魔法使いのお姉さんの笑顔が怖い。
あと見合い席で先に待っていた涼玉がまた顎が外れるほど口を開けているのが見えた。
見合い席は個々に用意されていたらしく、池の見える四阿に翡翠君とマシュー君がそれぞれ待機している。
涼玉は緊張から解放され、マールスに抱っこされてぐったり。早く帰っておいで。
「……ねぇシャムス、見合いって個人でするものじゃない? 関係者引き連れて来すぎな気がする」
「さいしょーげんよ」
「あれで!?」
翡翠君の席には周防くんと神薙さんの旦那さんである副官さんがいた。
「神薙さんはさすがにいないみたいだね」
「専用席でごはん食べてりゅ」
「あら本当だ」
しかも神薙さんに給仕しているのうちの双子の王子ですね。
あれは野次馬なのだろうか、それとも部下を心配してそこにいるのだろうか、野次馬だろうなぁ。
そしてマシュー君はというと、正妻のナーガ、側室の他国の王子、猫の獣人、コック長の魔物、陽気な獣人団などがわちゃわちゃしていた。
いや、後半の人達いらないよね、なんでそこにいるの。
案内したアー君も頭が痛いらしく眉間を揉んでいる。
手を叩いて当事者以外を追い払い、あとは二人で話し合えと言わんばかりに背を向けて立ち去った先は神薙さんの席だった。
追い払われたその他大勢もそちらに移動、大きな体を小さくして見合いをガン見している。
誰一人として隠れてない。
せめて認識阻害使おうよ。
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