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女神の呪い

第815話

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 なんと神薙さん、邪神として超有名でした。
 下手をすれば世界を管理する女神様より有名っぽい。

「ほへー」
「いや、なんでその程度の反応!?」

 もっと畏れろと言われても一緒に暮らす家族だしなぁ。

「そこまで知名度あると思っていなかった」

 日常生活の中で信仰する神とは別に、討伐できない、怒りに触れてはいけない邪神として寝物語で子供達に言い聞かせているので名前だけなら誰でも知っているレベルらしい。
 ああ、刀国でも食べ残しが多い人に対して「神薙様が来るよ!」と言ってるし、なるほどそうやって名前が伝わり続けていれば知名度が高いのも納得。

「温度差が酷いのは気のせいか?」
「?」

 神薙さんすげーって話だよね? 何もズレていないはず。

「ボスー、ボスー!」
「はぁぁぁ、なんだ?」

 目を真ん丸にしたワンコ系獣人がボスに駆け寄り、ボスは大きなため息とともにそちらを向いた。

「金様に鍋を食べさせたら金貨もらった!!」
「はぁ?」
「俺は酒あげようとしたら銀色の子にぶん殴られた!」
「おいケガは」
「意外とへーき」

 銀ちゃんったら意思表現が激しいですね。

「どうしようボス、金貨が止まらない!!」
「噴水みたいに噴き出して止まらない!!」

 何それ面白そう、ちょっと見て来よう。
 虹色の羊に乗ったシャムスと一緒に金ちゃんを見るためにこっそり移動した。

「がぼぼぼぼー」
「刺身ウマイ」

 本当に金貨が噴水みたいに噴出していた。
 その横で銀ちゃんが葉っぱに並べられた生肉を上品に食べているけれど、金ちゃんが煩いので雅さは半減している。

「イツキどうしよう、止まらない」
「どうしたらいい?」
「そうだなぁ、亀の皮で作った袋に小分けして、皆で別ければいいと思うよ」
「違うそうじゃないよぉ」
「金貨じゃなくて金様のこと!」

 そっち?
 うーん、銀ちゃんが冷静だから放置でもいいと思うけどなぁ。

「金ちゃん、片付け大変だから金貨止めて」
「がっぽー」

 片付け。と言った瞬間に噴出が止まった。
 顔色も若干悪い、過去に何をやらかしたんだろう。

「俺、イイコ、チラカサナイ」
「うん」
「メイド怖い、メイド怖い」

 メイドと言えばお城だろうか?
 そう言えば前にアー君から金ちゃんがお城に遊びに行って、大臣にこっそりおやつをもらって金貨まき散らしてメイドさんに説教食らったって聞いたな。
 相当怖かったんだね、刀国のメイド強い。

「金貨は皆にあげていい?」
「おう!」
「パンケーキ出してあげるから元気出してね」
「生クリーム!! 特盛!!」
「シャムスも食べる?」
「あい!」
「銀ちゃんは?」
「刺身オカワリ」

 銀ちゃんの言葉に獣人が池に向かってダッシュした。
 そんなに大きな池じゃないはずなのに、どんなに食べても魚が尽きない不思議。

 廃離宮から撤退する時、この池どうしようかな。
 あと残念神。
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