529 / 1,127
巡り合い
第523話
しおりを挟む
女神様は騎士様達の分のプリンを持って席に戻っていった。
戻ったと言うか逃げた?
「うぅ、我の子供なのにぃ」
「おれのとうちゃんはとーうん!」
「わるいなぁ」
刀雲にべったりな涼玉にグラちゃんがちょっと泣きそうなのですが。
「やっぱり我もイツキの夫になりたい」
「……貴殿もか」
涼玉に父親として認識して欲しいと泣き言を漏らしたグラちゃんにアランが反応した。
「人間も?」
「アランだ。ドラゴン殿」
「我はグラちゃんと呼ばれておる、正式名は長くて忘れてしまった」
恵みを表す名前だった気がするけど、横文字苦手で僕も覚えてないや。
けど本人が覚えてないってどうなんだろう?
そのまま二人は意気投合したようで料理を楽しみながら愚痴大会に移行した。
「前々世の友とは再会できたけど、魂が前世での恐怖を覚えている上に肝心の友が妻至上主義になって友情成立しない。前世で別れる時、来世は友にって約束したあれなんだったんじゃろう」
そもそも普段の居場所がレイアさんの胸の谷間。
話し掛けるにはレイアさんの胸を見なければならなくて……交流は不可能ですね。
「俺は第三王子で継承権も低い、それでも側近候補の奴らと将来兄上の治世を支えようと誓い合ってたんだ。それがたった一人の女に崩された。研磨しあった日々はなんだったんだろうな」
お通夜みたいな空気になってきたのですが、どうしようこれ。
「グラちゃんは大家族の一員になったし、アランの経歴に多少の傷が付いたかもしれないけど、挽回は可能なんだからそう悲観する事もないんじゃない?」
「アカーシャ……旦那の膝から励まされてもなんか納得しにくい」
今もライチに似た果物を食べさせてもらっている。
久々に嫁と触れ合えてギレンもご機嫌ですよ、いつも妨害してくる刀雲が子供達に埋もれて来れないからねー。
そう言えばアカーシャがモール作ったり、商会立ち上げたの知ってるのかな?
「それに第三王子ともなれば国交のために外に出荷されるんじゃない?」
「出荷言うな」
異世界と言えば貴族、貴族階級は政略結婚があるから大変だね。
女神様は政略結婚から生まれる愛も好きそうだから、多分それは無くならないだろうな。
「他国が刀国の貴族と縁を結ぼうと婚約話が持ち込まれる事もあるらしいけど、成立する確率は低いらしいよ」
「そうなんだ」
なんでだろ?
「俺らも不思議に思ってじいちゃんに聞いてみたんだよな」
「うん、そしたら『うちの国の貴族が他国に嫁いでも問題しか起こさないから、外に出さない方が平和なんじゃ』って言われた」
「刀羅、鬼羅、お帰り」
『食べ終わったの?』
「食休み」
「少し休んだら次はデザート行く」
戻ってきた双子に左右からぎゅーっと抱き着かれた。
カレーの匂いがする。
「貴族って言っても領地も領民も持たないからね、貧乏貴族って勘違いされるみたいだな」
「真相はただ単に領地を与えようとしても駄々こねて受け取らないだけ、そして拡大する魔王領」
「魔王様可哀想だよな、とばっちりが酷い」
「だから領地を持ってくれたマシューに感謝してるみたいで、全力で支援してくれてるって」
マシュー君は他国の貴族の養子になったから実際は他国民なんだけど、邪神であるナーガと結婚してるし、うちの子、うちの子!って感じのノリらしい。
「他国の貴族とうちの国の貴族の違いはテストにも出たんだよ」
アカーシャの言葉に双子がうんうんと頷く。
「違いを探すのが面倒で『うちの貴族は猫をかぶるのが仕事』って書いたら丸もらえた」
「僕は『他国は特権階級、うちは官僚の階級』って書いた、アカーシャは?」
「ええと確か『他国は領地を奪い合う、刀国は領地を押し付け合う』、だったかな?」
地位と名誉も押し付けあってるよね?
「そもそも貴族制度があるのも、国王様が自分だけ地位高くて苦労するのが嫌だから、国民に爵位を与えて苦労をともに!ってのが発端って習った」
たまに騎士様に気に入られ、辻斬りのように爵位を与えられることもあるようです。
そっちはもう、ご愁傷様ですと言うしかない。
戻ったと言うか逃げた?
「うぅ、我の子供なのにぃ」
「おれのとうちゃんはとーうん!」
「わるいなぁ」
刀雲にべったりな涼玉にグラちゃんがちょっと泣きそうなのですが。
「やっぱり我もイツキの夫になりたい」
「……貴殿もか」
涼玉に父親として認識して欲しいと泣き言を漏らしたグラちゃんにアランが反応した。
「人間も?」
「アランだ。ドラゴン殿」
「我はグラちゃんと呼ばれておる、正式名は長くて忘れてしまった」
恵みを表す名前だった気がするけど、横文字苦手で僕も覚えてないや。
けど本人が覚えてないってどうなんだろう?
そのまま二人は意気投合したようで料理を楽しみながら愚痴大会に移行した。
「前々世の友とは再会できたけど、魂が前世での恐怖を覚えている上に肝心の友が妻至上主義になって友情成立しない。前世で別れる時、来世は友にって約束したあれなんだったんじゃろう」
そもそも普段の居場所がレイアさんの胸の谷間。
話し掛けるにはレイアさんの胸を見なければならなくて……交流は不可能ですね。
「俺は第三王子で継承権も低い、それでも側近候補の奴らと将来兄上の治世を支えようと誓い合ってたんだ。それがたった一人の女に崩された。研磨しあった日々はなんだったんだろうな」
お通夜みたいな空気になってきたのですが、どうしようこれ。
「グラちゃんは大家族の一員になったし、アランの経歴に多少の傷が付いたかもしれないけど、挽回は可能なんだからそう悲観する事もないんじゃない?」
「アカーシャ……旦那の膝から励まされてもなんか納得しにくい」
今もライチに似た果物を食べさせてもらっている。
久々に嫁と触れ合えてギレンもご機嫌ですよ、いつも妨害してくる刀雲が子供達に埋もれて来れないからねー。
そう言えばアカーシャがモール作ったり、商会立ち上げたの知ってるのかな?
「それに第三王子ともなれば国交のために外に出荷されるんじゃない?」
「出荷言うな」
異世界と言えば貴族、貴族階級は政略結婚があるから大変だね。
女神様は政略結婚から生まれる愛も好きそうだから、多分それは無くならないだろうな。
「他国が刀国の貴族と縁を結ぼうと婚約話が持ち込まれる事もあるらしいけど、成立する確率は低いらしいよ」
「そうなんだ」
なんでだろ?
「俺らも不思議に思ってじいちゃんに聞いてみたんだよな」
「うん、そしたら『うちの国の貴族が他国に嫁いでも問題しか起こさないから、外に出さない方が平和なんじゃ』って言われた」
「刀羅、鬼羅、お帰り」
『食べ終わったの?』
「食休み」
「少し休んだら次はデザート行く」
戻ってきた双子に左右からぎゅーっと抱き着かれた。
カレーの匂いがする。
「貴族って言っても領地も領民も持たないからね、貧乏貴族って勘違いされるみたいだな」
「真相はただ単に領地を与えようとしても駄々こねて受け取らないだけ、そして拡大する魔王領」
「魔王様可哀想だよな、とばっちりが酷い」
「だから領地を持ってくれたマシューに感謝してるみたいで、全力で支援してくれてるって」
マシュー君は他国の貴族の養子になったから実際は他国民なんだけど、邪神であるナーガと結婚してるし、うちの子、うちの子!って感じのノリらしい。
「他国の貴族とうちの国の貴族の違いはテストにも出たんだよ」
アカーシャの言葉に双子がうんうんと頷く。
「違いを探すのが面倒で『うちの貴族は猫をかぶるのが仕事』って書いたら丸もらえた」
「僕は『他国は特権階級、うちは官僚の階級』って書いた、アカーシャは?」
「ええと確か『他国は領地を奪い合う、刀国は領地を押し付け合う』、だったかな?」
地位と名誉も押し付けあってるよね?
「そもそも貴族制度があるのも、国王様が自分だけ地位高くて苦労するのが嫌だから、国民に爵位を与えて苦労をともに!ってのが発端って習った」
たまに騎士様に気に入られ、辻斬りのように爵位を与えられることもあるようです。
そっちはもう、ご愁傷様ですと言うしかない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
332
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる