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巡り合い

第502話

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 パーティーの料理と会場の用意、遠征に行った人達の家族へのパーティーの通知などを終えた所でアー君が騎士様にそれを伝え、今日帰ってくる。

 僕はてっきりダンジョンのプレオープンの日のように、城門前の丘で帰還を祝う祭りをやると思っていたけれど、途中で王様が「夜に門の外はさすがに危険だな」と我に返り、パーティーはお城で開催されることになった。
 大広間と庭が開放され、国民なら誰でも参加可能。
 本当はお城全体を使ってやろう!と王様が張り切ったけど、用意が間に合わないし、迷子が多発する未来しか思い浮かばないと宰相さんが却下したらしい。

 僕も迷う側の人間だから何も言えない。

 迷子防止に騎士を配置すれば良いと言ったら、護衛騎士の人が「俺らも楽しみたいんで」と国王様の意見を却下。
 警備より食欲とったのか……騎士が国王様の意見を却下しても許される国は異世界を含めても刀国だけだろうなぁ。

 そんな人が身近にいたような?
 ああ、神薙さんの旦那様の副官さんだ。
 最近忙しいのか夕食の席でもあまりみかけない、神薙さんに聞いたら鑑定が使えるので国庫整理に駆り出されているんだって。
 気付くとものが増えるから鑑定士の人手が足らないらしいです、うちの子と神薙さんが原因なので文句を言うこともできずに手伝っているそうです。
 なんかごめんなさい。

 まぁそれは置いといて。

 門から会場までは転移魔法で移動になるけど、現地解散して広場で屋台を楽しんでもよし、お城で飲み食いしてから城下に降りてもよし、そこは自由。
 屋台でしか食べれない味もあるからね。

 そして僕は現在着飾られています。

 着飾るってさ、普通、こう、煌びやかな服を着るイメージがあるんだ。
 実際に式典に参加した時はそうだった覚えがある。

 なぜ僕は今、ふわふわうさぎポンチョを着ているのだろうか。
 白くてもふもふ、手触りが最高級なのは間違いないけどね。

「母様、用意出来た?」
「うぅん?」

 迎えに来たアカーシャは黒猫でした。
 ギレンが狂喜乱舞しそうですね、あっ、違う、尻尾の形が狼だ。

 なんか遠くで「アカーシャ様が可愛いーー!」と佐助が叫んでいる声がする。

「かーしゃま」
「かーちゃ、かーちゃ、俺似合う?」
「お揃いにしてみた」

 涼玉とアー君はシャムスと同じ三角黒耳のカチューシャをつけている。
 なんだろう、凶悪に可愛い。
 二人のお耳が四つになっているけど可愛いからよし、何も問題ない!

「「わふ!」」

 ワンコ三兄弟は銀狼から黒狼になっていた。
 イネスがオシャレに使っている変化の魔法かな?

 あれ、みんなシャムスとお揃いの黒?
 白い兎は僕だけ?

「ドリアン、今から着替えを」
「行ってらっしゃいませ」

 部屋を追い出された。
 解せぬ。
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